ボードゲームファンが選んだ偏愛トリテ 113作品一挙紹介

先日、X（旧Twitter）でこんなポストをしました！

突然ですが、ボードゲーム好きのみなさん。好きなトリックテイキングゲームはありますか？
あなたの「大好き！」「偏愛してる！」というトリテを教えてください！みなさんの愛を集計してコラムで発表します。
ということで…
あなたの #偏愛トリテ を教えてください！

たくさんのトリテ愛にあふれるツイートをしていただき、ボドゲーマのマイリストも作成していただき、集まったトリックテイキングの数は113作品！ひとつのジャンルだけで、偏愛されているゲームの数が113とは、ジャンルの豊かさを感じさせますね。

さすが、毎年国内でも多くの新作が発売され、過去に海外で発売されたゲームのリメイクも多い人気ジャンルです。

トリックテイキングは、よくある例をざっくり説明すると、まずプレイヤー全員にカードが配られます。カードにはスート（ハートなどのマーク）とランク（1~13などの数字）があります。最初に出されたカードと同じスートを順番に1枚ずつみんなが出して、最もランクの大きい人がトリックを獲得します。獲得トリック数の多さを競ったり、予想した数のトリックを取ることを目指したり、獲得したカードによって得点や失点があったり、バラエティ豊かです。今説明した例から外れるトリテもたくさんあります。

ということで、タグ付きツイートとマイリストを対象に、あがったトリテを集計したので発表します！

まずは3人以上からあがったトリテを、国産ゲーム、海外発ゲーム、トランプゲームと分け、ランキング形式で発表しようと思います。続けて1人、2人からあがったトリックテイキングも全て発表しますので、ご安心ください。どのゲームも誰かがしっかり愛しているトリテなので、きっとあなたに刺さるものが見つかるはずです。

では、紹介していきます！

国産トリックテイキング ベスト5

第5位は同票数で2作品がタイとなっております。

第5位：妖怪セプテット、ルイス（4票）

妖怪セプテットは、国内で七つの紋章、七つの部族として発売された後、海外に向けて出版された作品です。

カードには7つのスートがあり、各スートのランクは1～7や2～8…7～13と7枚ずつ必ず7を含む変わった構成になっています。4人で遊ぶ場合はペア戦となるのも特徴です。

デザイナーは操られ人形館の横内 宗幸さん（常時 次人さん）。最近ではキャットインザボックスも高い評価を受けていますね。

ルイスは2021年にコロコロ堂からリメイク作品として発売されました。

自分の数字は見えない状態でゲームが進みますが、他のプレイヤーのカードをもとに予想することができ、パズルを解くときのような爽快感があります。 

デザイナーは倦怠期の新澤大樹さんです。長年多くのトリックテイキングを発表されており、その一風変わったゲームには、ファンも多くいらっしゃいます。

第4位：ドキッと！アイス（5票）

アークライトゲーム賞2020最優秀賞に選ばれたトリテです。アイスのカードが可愛らしく、幅広いシーンで遊べるトリテです。

トリックをとってアイスをコーンに乗せていきますが、乗せすぎると崩れてしまいますので、コントロールが大事なゲームです。

デザイナーは、らなさんとそのパパさん。小さい時からボードゲームを作るのが大好きで、ドキッと！アイスの制作秘話はゲームマーケットカタログのインタビューでもしっかりお話ししてくださいました。

第3位：アメリカンブックショップ（6票）

本のカードには、『銀河鉄道の夜』『ドン・キホーテ』『老人と海』『失われた時を求めて』が描かれており、本が好きな人にはたまらないモチーフです。パッケージもまるでおしゃれな洋書。

デザイナーは、ルイスも作った新澤大樹さんです。アメリカンブックショップはカードの出し方はよくあるトリテと言えますが、獲得の際に特殊な処理をするゲームなので、一風変わったゲームがしたい方におすすめです。

第2位：キャット・イン・ザ・ボックス（9票）

オリジナル版が発売された後、ホビージャパンから世界に向けて発売され、海外でも高い評価を得て、今はキックスターターで巨大版がお披露目されている、話題が耐えない人気作です。

カードには色が書かれておらず、プレイするときに宣言します。パラドックスが発生しないように状況を把握して進めることが大事です。

妖怪セプテットの横内 宗幸さん（常時 次人さん）の作品です。

第1位：ノコスダイス（10票）

Quoth Games（クォースゲームズ）から発売された後、engamesから発売されました。2023年にはエッセンシュピールで世界に向けてお披露目となることがengamesから発表されました。これからの海外からの評価に期待です。

珍しくダイスを使ったトリテです。ダイスの色と数字をカードのように扱います。狙った数のトリックを取るのが目的ですが、一筋縄ではいきません。次こそは、と何度でも遊びたくなるトリテです。

以上、国産のトリテ6作品を紹介しました！どれもオリジナル版が発売されたあと、メーカーから発売されたことで広まり、多くの方に遊ばれるようになったようです。

どれもかわいい、かっこいいアートワークの作品で、初めて遊んだトリテがこのゲームでその後トリテにはまったから思い入れが強い、という方もいるかもしれません。ひとつ遊ぶとどんどん遊びたくなるのがトリテの魅力のひとつかもしれません。

1位のノコスダイスは、再販＆海外での展開がこれからあるということで、日本にとどまらず世界中のもっと多くの方の偏愛されるトリテとなることでしょう。

次は海外作品編です！

海外トリックテイキング ベスト17

第13位：B.O.N、ウィザード、ドルイド、パパヨー、乗り間違い（3票）

同数で5作品があがりました！どれもちょっと癖のあるトリテです。

乗り間違いは多くのトリックテイキングの日本語版を出版している数寄ゲームズから発売され、今でも多くのボードゲームショップで手に入ります。トリックを取ったほうがいいのか、取らないほうがいいのか、状況を読み間違えないように様子を伺いながらプレイします。

第12位：ニェット！（4票）

シュテファン・ドラの30年近く前に発売されたチーム戦のトリックテイキングです。シュテファン・ドラは他にも多くのトリテを作っています。ラウンドのはじめにプレイヤー間の投票により、ゲームのルールを決めます。「ニェット」はロシア語でNoの意味だそうで、 選ばれなかった選択肢がそのラウンドのルールとなります。

第６位：5本のキュウリ、ザ・クルー、シュティッヒルン、トリックマイスター、ペッパー、ポテトマン（6票）

6作品があがりました。5本のキュウリはアークライトの定番小箱として長く流通しています。お店で見かけた方も多いのではないでしょうか。

ザ・クルーは他に比べ新しく、2019年に発表され2020年に多くの賞を獲得しました。協力プレイが特徴で、続編もジーピーから発売されています。

トリックマイスターのデザイナーは5本のキュウリと同じ、緑が特徴のフリードマン・フリーゼです。トリックマイスターはまさにトリテ好きに作られたトリテを目一杯堪能するためのトリテといえるでしょう。サニーバードから日本語版が発売されましたので、遊びやすくなりました。

第5位：知略悪略（7票）

リードカラーと同じ色のカード必ず出さないといけないマストフォローがトリックテイキングの多くを占める中、知略悪略はメイフォローを採用している名作です。デザイナーのKlaus Paleschさんはシュティッヒルンなどいくつかトリテを手掛けています。

数寄ゲームズからリメイク版が発売されたため、20年以上昔のゲームですが今でも多くの方に遊ばれています。

韓国語版の知略悪略であるプロッターズインクも知略悪略としてカウントしています。

第4位：ブードゥープリンス（8票）

ライナー・クニツィアによるトリテです。ルールがシンプルで遊びやすく、最後から2番目に抜けると高得点というチキンレースのような盛り上がりどころがわかりやすいゲームデザインになっています。

ブードゥープリンスが初めて遊んだトリテだという方も多いのではないでしょうか。

第3位：テキサスショーダウン（9票）

最近ホビージャパンから、デザイナーリメイクの波乱と海原が発売されました。海の絵となっており雰囲気は異なりますが、テキサスショーダウンのルールでも遊べます。

マイナス点を取らないようにするタイプのトリテで、スートごとに含まれる数字が違い、カードを見るとそのスートにはどの数字があるのかわかるようになっています。

第1位：スカルキング、ボトルインプ（11票）

1位は同率で2作品となりました！全体でも最多票です。

スカルキングは、配られた自分の手札を見て何回トリックを取れるかを予想します。ぴったり当てないとマイナス点になってしまうため最後まで気が抜けないところや、ゼロ宣言をしたときのハイリスク・ハイリターンが特徴で、黙々と進みがちなトリテの中でも、つい歓声や悲鳴を上げてしまうゲームになっています。掛け声に合わせて宣言を同時に行うのも楽しいですね。

特殊なカードが多く、特にトリテに慣れていない人にはルールが複雑なように思いますが、カードが1枚で少ない得点・失点から始まるため、「まずはやってみよう」と始めやすいのも嬉しいポイント。

いくつかのバージョンがありますが、今はリゴレさんの日本語版が流通しています。

私自身、発売されてから今まで10年近く様々なシーンで遊んできて、何度遊んでも楽しいなあと毎回思っています。評価はよくありませんが、2人でも楽しめます。人数が増えるほどコントロールが難しく、パーティゲームのような雰囲気になります。

ボトルインプはスカルキングに比べ、トリテの玄人からのファンが多い作品だと思われます。

少なめの3つのスートで、数字は1～37の37枚。同じ数字で別のスートといったカードは存在しません。背景となったストーリーがあり、カードの絵がそのストーリーに沿った内容になっています。

なんでも願いが叶う悪魔のボトルですが、持ったまま死んでしまうと永遠に地獄の業火に焼かれてしまいます。生きている間に手放さなければいけませんが、買値よりも安く手放されなければなりません。

つまり、ボトルを手に入れるとコインが手に入りますが、ゲームが終わるまでに手放さないと失点になってしまうのです。ボトルの値段は下がっていき、誰かひとりは手放せずに終わってしまいます。周りのプレイヤーの手札を把握し、いいタイミングで手放しましょう。

現在は数寄ゲームズさんから小箱版の日本語版が発売されています。

ルールも複雑で独特のため慣れるまでに時間がかかるかもしれませんが、遊びだすとどんどん仕組みがわかってきて、次はこうすれば勝てるはず…もう一度！とつい言ってしまうトリテです。

トランプのトリックテイキング

最後に、ボードゲームではなくトランプで遊べるトリックテイキングを紹介します。

第3位：オーヘル、キャンセレーションブラックレディ（3票）

第2位：ナイティナイン / 99（4票）

第1位：ハーツ（6票）

ハーツはWindowsの付属アプリとして入っていた時代があるため、パソコンで遊んだという方も多いのではないでしょうか。キャンセレーションブラックレディはトランプが2つ必要ですので注意です。

ルールさえ分かれば家にあるトランプでいろんなゲームを次々楽しめるのがトランプのいいところです。ボードゲームを遊ぶために集まったときにトランプのゲームをすることは難しいかもしれません。ただ、普段ボードゲームをしない友人と遊ぶときは見慣れたトランプで遊ぶほうがハードルが下がるかもしれませんし、トランプのゲームを遊ぶ会がボードゲームカフェで開かれている場合もありますので、気になった方はぜひルールを調べてみてください。

以上、3名以上から名前があがったトリックテイキングを一挙ご紹介しました！

総合ランキングはこちらとなります。

どれかダントツに人気があるのではなく、幅広く多くのゲームがあがったのが驚きでした。

また、発売から10年20年と経った作品でもリメイク版として日本語版が出ていることが多く、ありがたい限りです。たくさんのトリテを世に送り出してくださったデザイナーの方々、メーカーの方々、ありがとうございます。

集計対象のツイートは #偏愛トリテ タグで確認できます。愛あるコメントとともに投稿されていますよ。

2票のゲームはこちらの16作品です。

国産トリックテイキング：コルドロン15、シャーデンフロイデ、狸と茶釜、仲良シふれんず

海外トリックテイキング：ウィザードエクストリーム、ウーゴ、エッベス、スパイジョブ、ゼロの恐怖、トランプ、トリックス、ゲーム！、トリックスター、フォッペン、ブラックスパイ、リーパー、レッドドラゴン、泥棒と乞食

トランプのトリックテイキング：ナポレオン

シャーデンフロイデと狸と茶釜は、ボドゲーマオンラインストアでも現在販売中ですので、気になった方はぜひ御覧ください。

ジーピーから日本語版が発売されているスパイジョブは、正体隠匿のようなインサイダーが紛れているトリテです。協力的な要素もありつつ周りを疑いプレイする、新鮮なプレイ感になっています。

1票のゲームは70作品ありました。

本コラムではそのゲームがトリックテイキングといえるかどうかの判断は行わず、あがったゲームをすべて紹介いたします。

国産トリックテイキング：キャッチー！、トリックページズ、アニマナイズ、グースカパースカ、クローバーブーケ、コンクルージョン、サバトのマジョたち、シノミリア、ジャントリック、シリアリアン、スポーツフェスタ、てづま師、テケリリ、トリックorトリートのトリックテイキング♪、ハイパートリックジャム、ヒーフー!!、フォークランズコンフリクト、ルーレッテイキングゲーム、美少女戦士セーラームーン・カードゲーム：マスカレイドバトル、悪魔でお仕事、指輪を落とさないで、手札のないトリテNO HAND、上洛、真打、世界60名山カードゲーム、日本60名山カードゲーム、敗者の権利、不知火、朧ニンジャスタートリック

海外トリックテイキング：インシディアス7、インディスクレション、ヴァスシュティッヒ、ウィリー、ウォンオーバー、オンザカーズ、ジキルとハイド、シケリア、シャキーン、スプリングラリー、バーゲンハンター、ハーフパイントヒーローズ、パーラ、パイレーツトリックス、ピココ、ピサ、フォックスインザフォレスト、ブライアンボル、ミュッケンシュティッヒ、モウ、よくばりパグ、レイジ、王国の派閥、七つの印、勝利と名誉

トランプのトリックテイキング：アゴニーアント！、アノウ、カマリ、カムレッド、クリベッジ、コントラクトブリッジ、シェリフ、シュナプセン、スカート、ドッペルコップ、トランプクルー、ハムレット、フィネス

スポーツフェスタはなんとダイソーで100円で売っているトリテです。100円とあなどるなかれ、テーマもよく、遊びやすくてよくできていると話題になりました。

変わったトリテは変態トリテとよく呼ばれますが、そう呼ばれる筆頭がヴァスシュティッヒと言えるでしょう。カードが配られるゲームは、たまたま配られたカードが強いか弱いかで最終的な勝敗が決まるように思えることもあり、運要素が強いと言われがちですが、ヴァスシュティッヒでは手札を獲得するところから勝負が始まっています。

ハーフパイントヒーローズも変わっていて、ポーカーとトリテの組み合わせのようなゲームになっています。正体隠匿✕トリテ、陣取り✕トリテ、 協力ゲーム✕トリテ、チキンレース✕トリテ…。トリテは無限の可能性がありつつ、フォーマットが決まっているので遊びやすい、非常に優れたメカニクスだと言えるのかもしれません。

今回はコラムにまとめる都合上ランキングの形式にしましたが、あまり流通していない作品や、発売してから時間の経った作品は上位に少なくなりがちです。あがった回数の少ないトリテの中にも最高に面白いゲームは必ずありますので、遊ぶ機会があればぜひ全部遊んでみてください！

トランプ以外の全トリテをマイリストにまとめました。各ボードゲームのページから遊べる店舗も確認できます。

遊んだトリテはレビューを書いていただけると嬉しいです！

また、本コラムで発表しているランキングの引用や、イベント等に活かしていただくことは大歓迎ですので、何かときっかけを作ってどんどんトリテを遊んでいきましょう！

上位24作品でビンゴを作ってみました。画像をダウンロードして、ペンやスタンプで遊んだことのあるゲームに印をつけていきましょう。ご自由に画像を編集していただいて問題ありません。ビンゴのためにも、まだ遊べていないトリテをどんどん遊んでみましょう！

#偏愛トリテビンゴ でSNSへの投稿をお待ちしております！

※ビンゴにするための数の調整として、ハーツ以外のトランプで遊ぶトリックテイキングはビンゴから外しております。

2023年はこれから、10月にエッセンシュピール、12月にゲームマーケットと新作が多く発表されます。これからも面白く、ぐぬぬと唸らせてくれる、シンプルなのに思いもしなかった、もしくは一風変わったギミックが組み込まれている、そんなトリテがどんどん登場することを楽しみにしています。
また、今はなかなか手に入りにくくなっているトリテが再販・リメイク等されると嬉しいですね。

では、お読みいただきありがとうございました～！良いトリテライフを！