【第三弾】ディアシュピールに創業前事業計画・融資用プレゼン資料・現況との乖離等をぶっちゃけていただきました取材協力:DEAR SPIEL店長 川口 正志さん

【第三弾】ディアシュピールに創業前事業計画・融資用プレゼン資料・現況との乖離等をぶっちゃけていただきました
2017年4月27日
まつなが

こんにちは、まつながです。ボドゲーマにてコラムを書きつつも、今まで通りディアシュピールでキャストをしております。

2016年7月にTwitterの投票機能でアンケートを行ったところ、「ボードゲームカフェ・プレイスペースをいつか開けたらいいなあ。。夢。。」という方が95名もいらっしゃいました。 しかし、このインタビュー連載も1回目は2016年8月。それから約8か月たっています。 その当時数えられるほどだったボードゲームカフェ・スペースは毎月何件か新しくオープン、 今はボドゲーマに登録されているボードゲームカフェ・プレイスペースは167件!(2017年4月24日時点)

そこで、このボードゲームカフェの増加に先駆けてプレイ&イベントスペースを2015年にオープンしたディアシュピールに、ボドゲカフェについての話を聞きに行きました。

【公式ページ】DEAR SPIELE
【提供ゲーム】ボードゲームリスト

3回目の取材は「ディアシュピール」の代表、川口正志さん

ディアシュピールは2015年8月29日に東中野にオープンしました。川口正志さん(以下かんちょーさん)は前職でコンテンツビジネスや内部監査業務などを担当されていましたが、会社を退職し、ボードゲームの販売と、プレイ&イベントスペース、ディアシュピールを立ち上げました。

店内には1000を超えるボードゲームが整然と並べられています。プレイスペースの隣には販売スペースも展開されており、ディアシュピールから各店舗への卸売事業もしていることが特徴です。

ここ1年で大きな盛り上がりを見せているように見えるボードゲーム業界。先駆者のひとりでもあるかんちょーさんには懸念点も人一倍多くあり……。

ちなみにボドゲーマ公式コラムは、読者の皆様がなかなか聞けないような質問を行うようにしています。「無礼を承知で、思い切って踏み込んだ質問をしてみる。掲載OKにしてもらった箇所だけ公開する。」という攻めの方針をとっていますが、今回は質問のほとんどをお答えいただくことが出来ました。出来るだけ凝縮したつもりですが、約19,000文字ほどの大作です。もちろんこの記事は文字が多いだけでなく、終始濃密かつ希少な情報ばかりで、開業に興味のある方にとって店舗運営実績をベースにした情報の宝庫となっています。ゆっくりお読みください。

店舗開業・運営内容 サマリー

開業にあたり、まず考えないといけないのは資金面や事業計画。まずはサマリー表をご覧ください。

開店費用・自己資金
・融資
立地条件新宿から電車で5分以内の駅→東中野駅
駅から徒歩数分目安→駅から徒歩2分
坪数4階ディアシュピール部分で約20坪(約66㎡)
運営体制オーナー1名(かんちょーさん)+キャスト5名(平日は1名、休日は2名入れ替わりで対応)
主な収益源ドリンク含むプレイスペース:販売(店舗・通販):卸=1:1:1
飲食収益割合は低い(食べ物は持ち込み可)
料金形態・平日1時間300円、休日1時間400円
パック料金・平日5時間1200円、終日1500円(自動移行)
・休日5時間1500円、終日2000円(自動移行)
料金の備考・ドリンクのオーダーは任意
・平日学割あり
・曜日によってドリンクサービスあり
※詳細は公式サイトを確認
ターゲット/
コンセプト
ボードゲームを知った方が「もっとボードゲームを知りたい」「物足りない」と思ったときに訪れる「2軒目のお店」
来店者ライト層6割、コア層4割
公式サイトhttp://www.dear-spiele.com/

そして今回なんと「業界でつらい思いをする方がひとりでも減るように」との観点から、開業にあたりプレイスペースの運用や販売に関する非常に具体的なアドバイスや、 事業計画まで公開していただきました。番外編として当ページ下部に掲載しておりますので、ぜひ読んでいただければと思います。

1.お店を始めた経緯

まつながなぜお店を開いたのですか?

ディアシュピールは2015/8/29にオープンしました。ボードゲームが好きだったのでボードゲームの仕事をしたいなと思っていまして、せっかくなら東京都内ではあまり見られなかったボードゲームの販売とプレイ&イベントスペース(以下プレイスペース)という形態を取りました。

当時のボードゲーム関連店舗の様子を振り返ると、都内にはJELLY JELLY CAFE(現渋谷店)カフェ&ゲームバーのことぶきさんなどがありましたが、まだ少なかったと思います。

ディアシュピールのオープンの後は、コロコロ堂JELLY JELLY CAFE池袋店サイコロブクロなどが次々とできました。

【2011年】JELLY JELLY CAFE(現渋谷店オープン)、 【2015年11月】コロコロ堂(文京区根津にオープン)、 【2016年1月】JELLY JELLY CAFE池袋店(池袋にオープン)、 【2016年2月】サイコロブクロ(池袋にオープン)

まつながなぜその時期にオープンしたのですか?

前の仕事をやめたい気持ちが大きくなったタイミングと、この店舗となっている物件を見つけたタイミングがぴったりだったので。

お店のオープンまでのだいたいの動きはこんな感じです。

  1. 2012年頃 不動産物件を見ることが日課に
  2. 2015年6月上旬 物件を発見、開店に向け準備開始
  3. 2015年6月上旬 融資の事前相談
  4. 2015年6月下旬 物件を仮契約
  5. 2015年7月中旬 融資の審査を受ける ※融資は場所が決まらないと受けられない
  6. 2015年7月中旬 物件を本契約
  7. 2015年8月上旬 融資の審査がおりる
  8. 2015年8月29日 グランドオープン!

まつなが前の仕事をやめたいという気持ちもあったのですね。

前の会社は10年近く勤めて、いろんなことやらせてもらいました。6年間Webコンテンツ企画や版権周りの仕事をしたあと、会社の経営管理に後半4年間いたので、内部統制や内部監査に係る業務、たとえば経理、税金、会社法、コンプライアンス周りなどから、総務も兼務していたので株主総会に係る業務や、日々の雑用まで幅広くやりました。

総務に関しては当時やりたくないと思っていた仕事もありましたが、会社の仕組みに関わる部分を担当させてもらったので、今はすごく役に立っています。自分の過去の経験は、今の店舗経営で必要な多くの部分をカバーしてくれています。

まつながお店を始めて、ボードゲームを遊ぶ時間は減ったんじゃないですか?

減りました。メビウス便で遊んだり、ボードゲーム会を開いたりはしていますが、仕事を兼ねてでしかボードゲームができなくなりました。ボードゲーム会の主催者はボードゲームをあまり遊べないのと同じだろう…と、始める前からわかっていましたが(笑)

※メビウス便…メビウス頒布会の通称。メビウスゲームズがヨーロッパの最新ゲームを毎月届けてくれるサービス。手軽に海外のゲームをいち早く遊ぶことができる。公式サイトはこちら

これからやりたいなと思っている方は、ボードゲームに囲まれてボードゲームの仕事だけできて幸せだと思ったら、危ういかもしれません。ボードゲームがやりたければ、客としてゲームスペースに行って遊ぶのが確実だと思っています。

中にはインスト(ルールを噛み砕いて分かりやすく伝えること)が好きだから大丈夫って思っている方もいるかもしれません。でも、他の業務中でも、おすすめしないボードゲームでも、逆におすすめしたボードゲームが別にあっても、お客様に「これインストしてください」って言われたらそれをインストしなきゃいけない……そこまで負担でもないかもしれませんが、想像ほど楽でもなければ、楽しくもないと思います(笑)

ボードゲームに限りませんが、趣味を仕事にしても、すべて好きなようにはなりませんよね。なかなか難しいです。

2.事業計画

まつなが事業計画はどのように作成しましたか?

新品の小売も中古もディストリビューター(卸売)も、広くやりたいと思い事業を計画し始めました。過去3回ゲームマーケットで中古販売を行い、予想を上回る結果を得ることができました。しかしそれだけで食べて行こうとすると、毎月それ以上の売上を達成しないといけない計算になってしまって、難しいなと。

そこで収益の柱をボードゲームの販売プレイ&イベントスペースの2つにし、やっと売上がなんとかなりそうだったので、事業計画を作ってみようと思いました。

事業計画は融資を受けるためにも必要なものですが、そもそも収益の見通しが立たないまま始めても、うまくいかないと思います。店舗を開業するには勢いも大事ですが、それ以上にまず事業計画を明確にすることが大切だと思い作成しました。

まつながなぜこの物件を選んだのですか?

まず東中野という駅から決めました。駅を決める基準は、新宿を中心にして3駅以内でした。ここは新宿から2駅5分。東中野駅のホームから1分で来られる。すごくいいかなと思って。

この物件の良さは家賃の割に広いところです。4階でエレベータもありませんが、家賃の安さを考えるとあまり気になりませんでした。

まつなが料金はどのように決めましたか?

もともと自分が主催していた「調布のあな」も含め、個人のボードゲーム会では1日数百円で遊べる環境がありました。お店を始めた今でも料金設定は難しいポイントの1つではありますが、1人にいっぱい支払ってもらうより、販売もする予定だったので、リーズナブルな価格にしてとりあえず多くの方に足を運んでもらいたいと思いこの価格設定にしました。

調布のあな…かんちょーさんが主催していたボードゲーム会。2011年6月から2016年8月まで、毎月1回、最大120人ほどの規模で開催していた。

1時間刻み且つ後払いにしているのは2つの理由があります。1つは好きなタイミングで来てもらって、他のお客様がこなければ気軽に切り上げられるようになっています。

もう1つは、平日は夜の遅い時間帯に気軽に立ち寄りたいお客様が居ると思ったので「21時に来て2時間で600円」「ドリンク飲んで1000円以内」といった、割安感・気軽感のある利用方法が提供できると考えました。

まつながクラウドファウンディングはなぜやらなかったのですか?

プロモーションの一貫としてやろうとは思いましたが、いくつか懸念点があったのでしませんでした。

※「ディアシュピール:ツヴァイ」のオープン時にはクラウドファンディングを実施しました

・お礼に適切なものが思い浮かばなかった
・目標金額が集まらずに店舗に対してマイナスイメージがつくリスクがある
・クラウドファンディング自体を利用することに対してイメージがプラスかマイナスか測りかねていた

です。2015年はボードゲーム業界全体で「同人でゲーム出すからクラウドファンディング」「再販するからクラウドファンディング」と案件が増えてきた時期でした。

クラウドファウンディング自体にどういうイメージを持たれるかわからなかったので、怖かったこともあります。悪いイメージを持っているお客様がいた場合に、そういうお客様を取り逃したくありませんでした。

まつながあの…事業計画を見せていただけたり…しないでしょうか……?

今見ると適当だなと思いますが、これでよければ(笑)

※なんと開業前当時の「融資金調達用プレゼン資料」のPowerPointと、「収支予測を計算した事業計画書」をExcelで頂きました。番外編にて読み合わせ形式で解説していきます。…言ってみるもんですね(笑)

まつなが事業計画と比べて、実際はどうですか?

事業計画通りにはいっていません。もう、なにもうまくいかない(笑)ボロボロです(笑)

事業計画は最低の売上ラインを想定して作るので、たいてい実際の売上は事業計画の上をいきます。それだけならいいのですが、経費が計画よりずっとかかってしまっています。例えば人件費に関しては、アルバイトも、当初の事業計画だと平日は金曜日18時から23時の5時間、土日は14時から23時のみ入ってもらおうと考えていましたが、そんなのやっぱり無理で(笑)今では平日も含めて毎日、土日は2名体制で入ってもらっています。

売上も支出も事業計画よりも上で、結局「売上-支出」である利益は、売上が計画よりかなり上振れている割には良くありません。毎月預金を積み立てるようにしているのですが、その積立を崩さないといけないときはまだあって、その月は要は赤字です(笑)

3.ひとつめの柱 プレイスペースについて

まつなが売り上げの割合はどのようになっていますか?

おおまかに言うと、プレイスペース(ドリンク等込)・小売・卸売で、大体3分の1ずつです。

販売の売上には波がありますが、プレイスペースの売上は安定しています。ただ、プレイスペースの売上は人件費、家賃、光熱費などの経費でほぼ飛んでいくので、販売をやって初めて自分の給料が出るイメージです。たくさん買ってください(笑)

まつながプレイスペースとしてのディアシュピールの特徴は何ですか?

ディアシュピールのコンセプトは「2軒目のお店」です。

ボードゲームを少し知って遊んだことがある方が、もっとゲームを知りたい!となった際に来店してもらって、「知らないゲームがいっぱい!」と物量に驚いてほしいですね。ボードゲームも1000個まで増えると、店に入った瞬間に「あ、すげえな」って思えるインパクトがあると思うんです。

今では手に入れるのが難しいボードゲームも大量にある。写真はほんの一部。

そういったインパクトもコンセプトのひとつです。大量のボードゲームを前にするだけで「次はこれやりたい」とか「これどんなゲームだろう」とか、ちょっとワクワクしませんか?ライトな層も恐らく1,2個遊んで面白かったからウチに遊びに来てくれるのだと思うので、「沢山あるけど全部面白いのかな!」って並んでいるボードゲームを見てポジティブな気持ちになってくれるかも知れませんしね。

また、インパクトを作ることで、メディアに取り上げられやすいのではないか?という目論見もありました。「有吉くんの正直さんぽ」か「モヤモヤさまぁ~ず」狙いだったんですが、狙い通り「モヤさま」が来てくれて本当にうれしかったです(笑)

まつなが実際に来るお客さんはどんな層ですか?

最近は6割ライト層、4割がコア層です。ボードゲームを何も知らないので何か面白いものを紹介して、とお客様に言われることも多々あります。平日はコア層が多く、休日はライト層が多い印象です。

年齢層に関しては、2015年当初は20~30代後半くらいがメインの業界という印象でした最近若くなってきている気がします。購買層は開店時から今まであまり変わらず、新しいユーザーは純粋にゲームを遊んで帰られます。

まつなが開店当初から今まで、どのように軌道に乗りましたか?

2015年の開店当初、事業計画に対して来店者数は大きく上回っていましたが、そのあと少し落ち着きました。2016年からは顕著に増えていっています。2016年はイベントのてこ入れをして、平日金曜日のイベントを新しく始めたりもしました。

2017年は木曜日の定休日もなくしました。平日はどの曜日でも何かしらイベントやサービスを行っていることを押し出し、初来店の方やおひとりでいらっしゃる方が来やすい工夫をしています。

最近では、土日が予約で埋まり、平日の夜はおひとりでいらっしゃる方などで賑わっています。

まつなが2016年4月はテレビの「モヤモヤさまぁ~ず」、5月は「お願い!ランキング」、11月は「じゅん散歩」の取材がありましたが、影響はありましたか?

放送後、急にお客様が増えるということはありませんでした。「モヤさま」の効果が明らかに出始めたのは1ヶ月以上たってからです。

「人生ゲームしか知らないけど「モヤさま」見て来ました」っていうお客様がゴールデンウィークあたりから続けて来るようになりました。未だにそういうお客様はたまに来るので、一般層が見ているテレビの効果はなんだかんだ大きいと思います。

「じゅん散歩」は年配の方がいらっしゃったりして効果はあり、年配の方という限定的ではありましたがゲームを買ってくれる層が来てくれるようになりました。若い方が見ている番組のほうが口コミで話題になる可能性もありますし、拡散力はあるかと思います。

ふたつ目の柱:販売・卸について

販売スペースは広く、取扱商品も多い。ランキングも出しているので誰でも気軽に買いに来れる。通販でもほぼ同じ商品を購入可能。

まつながどのように取り扱っている商品のプロモーションをしていますか?

例えば商品の原価が小売価格の2割だとして20万利益をあげよう、と思うと80万で仕入れて100万円で売らないといけなくて……。例えばですが毎月100万円売るというのは結構大変ですよ(笑)

ただ並べておいても売れません。商品の情報を積極的に発信していく必要があります。販売する前から店に置いてプレイしてもらって、面白かったら面白いって情報を拡散してもらえればなと。自分自身も発信するようにしていて、「かんちょーが面白いって言うなら買ってみよう」って方もちらほらいらっしゃって、とてもうれしいです。

ただ、面白くないものを面白いって言ってしまうと信用をなくしてしまうので、そこは正直に発言するように気をつけています。

まつなが海外だけでなく国内の作品も扱っていますね

今までは「狩歌」や「似顔絵探偵」、「IKI」などをPUSHしてきました。面白ければ、同人ボードゲームも喜んで扱います。

まつなが海外の取扱作品はどうやって決めていますか?

お客様から面白いボードゲームを教えてもらって、そのボードゲームを知ることが多いです。たとえば6月に日本語版を出すチェックポイントチャーリーの捜査犬は、エッセンシュピールに行って買ってきたお客様が、その足でお店に来て遊ばせてくれたことで知りました。

その商品を扱いたいなと思ったら、まずそのメーカーが、他の日本の問屋と取引していないかを確認します。他と取引していなさそうなメーカーであれば、仕入れの交渉をします。取引していなさそうだと思ってメーカーに連絡しても、既に日本の取引先が決まっている、と断られることもあります。

一度取引をして付き合いができると、メーカーから新作の案内が来るようになり、安定して取引できるようになります。たとえばRENEGADE Game StudiosやIDW Gamesがそんな感じです。

懇意にしているRENEGADEとIDW。RENEGADEはワールズフェアからのおつきあいで、ゲームマーケットには社長が挨拶に見えたほど。IDWのディアシュピールの最新作は科学と魔術の学園。

まつなが思った以上に売れなかったりしたことはありますか?

海外で実績があるものでウチで売れないっていうのは、今のところないですね。ディアシュピールで扱っている商品はお陰様でどれも在庫残すことなく推移しています。もし海外で売れているのにもかかわらずウチで売れないボードゲームが今後出たら、プロモーション不足か値段設定の考慮不足だと思います。

ディアシュピールではまず遊んでもらって知ってもらうところから始めるので、今のところ大丈夫です。

まつながディアシュピールは2016年にロゴを追加していますが、なぜですか?

ルールブックにロゴを印刷するようになって、前のロゴは小さくすると何を書いているのかよくわからないと気づいたので、ぱっと見てディアシュピールだとわかるロゴも作りました。

まつなが海外から仕入れるときに気になるのは送料のイメージです。一度にたくさん送ってもらうと送料は安くなりそうですが、その分まとまったお金が必要になってくると思います。どうやってバランスをとっていますか?

まとまったお金を用意するのは大変ですが、大箱ならせめて100個くらいはまとまって注文しないと送料の関係で利益が出なくなる、もしくは価格を高くせざるを得なくなるんです。金銭的に負担が厳しいときは、小分けに仕入れるのではなく、アイテムごとに月を分けて仕入れる、というように数ではなく時期を調整します。

まつなが輸入費っていろんな種類があるんですか?飛行機で送るか船で送るかですか?

日本国内でも郵便局の他に佐川急便やクロネコヤマトなど、いくつか運送業者があるかと思いますが、海外からの輸入も同じで、業者が違うと輸入にかかる費用は異なります。

物量が多い場合は個人輸入で使われる業者よりも専門の輸入業者のほうが安くなりますし、値段の交渉も多少可能です。業者は送る側でも受け取る側でも決められるので、仕入元に任せる場合もあります。また、値段だけに注目しがちですが、業者ごとにサービスも異なるので慎重に選んでいます。

直近、今後のディアシュピールの動向

まつなが定休日(木曜日)の営業を復活させたのはなぜ?

今日はお店をやっているのかな、という心配をお客様に持たせたくなくて、木曜日の定休日をなくしました。

今までもお店は開いていなくても仕事のために出てきていたのですが、たいていお客様の来店か電話のどちらかはあるんですよね(笑)

まつなが2016/12に貸切専用スペース、ディアシュピールツヴァイを3階にオープンされました。フロア拡張ではなく貸切専用にされた理由はなんですか?

貸切専用スペースであれば追加の人件費を考えず、今の人員で回せるかなと考えました。今までの4階とは階が分かれているので、同じようなプレイスペースにすると追加でキャストを配置しなければならず大変だなと。

今までは4階しかなかったので、貸切の際、通常の営業が行えなくなっていたんです。そうなると貸切利用でも通常の営業と売り上げが同等なるように考えなければならず、仮に同等になったとして、物販分マイナスとか、あまりプラスの要素はありませんでした。ツヴァイではイベントを行っても4階の営業に影響がないのでリスクが低く、貸切のイベントを打ちやすくなりました。

これからどんどんツヴァイで貸切イベントを行うことを訴求していきたいと思っています。いろんな方に使ってもらうこともそうですが、月の土日のうち5~6日は、月例のレギュラーイベントで埋めたいと思っています。知人のイベントだったら主催者が赤字にならないように配慮しています。参加者が集まらず赤字になりそうですって相談されたら、参加者ひとりあたりいくらの支払いでいいですよって言える場合もあるので、ぜひ使ってください。

まつなが法人化したいと話されているのを聞いたのですが、なぜですか?

近いうちに、ディアシュピールを法人化したいとは考えています。あくまで希望ですが(笑)法人化すると多少節税にもなりますし、取引の話がしやすくなるとか、いろいろとメリットがあるんですよね。でも問題も多いですし、経験上面倒なことも多いので、考え中です(笑)

まつながこれからは何をやっていこうと考えていますか?

イベントを厚く打っていきたいです。うちは、イベントを打っても響かないっていう課題があって……。

イベントを通して、常連さんだけじゃなく新しい方にうちをもっと知ってもらいたい。もともと来てくれている方は今まで通り大事にして、新しい方でツヴァイを埋めることができれば、ツヴァイを作った意義を感じられると思います。

コロコロ堂さんの「夜コロ」は毎回満席で成功していてすごいなと思います。あのように、定例化して、毎回安定して人がきて、安定してイベントが開けるようにしたい。店主催もありますが、主催してくれるお客様も増やしていきたいと思っています。

※コロコロ堂の夜コロ…木曜日に毎週開催されているイベント。コロコロ堂らしくボードゲームはすべてインストしてもらえることもあり、人気の定例イベント。過去の開催履歴はこちらからご確認いただけます。

直近だと5/21(日)にねいじまさんのイベントもありますのでぜひ。

※ねいじまさんのイベント…重量・時間・値段…規格外で話題のゲーム「大いなる文明の曙/Mega Civilization」体験会 Presented by ねいじまとーこ

また、4/29(土)に講演会をやります。プレイスペースの経営は厳しいよって話になると思います(笑)講演会を聞いて、やべえなって思った方のほうが実は正しい。やらないほうがいいっていうのは極端かもしれないけど、覚悟とプラスアルファが必要だと思っています。このコラムを読んで興味を持った方もぜひ来てください。

※講演会…しくじりシュピール「プレイスペースって儲かるの?」

6.お店を始めたいという人に向けて

まつなが新しくプレイスペースを開く人に対してどう思いますか?

自分はまずは厳しい現実を伝えるようにしていて、「この世界大変だからおすすめしないよ」って言っています。たいていの方はけっこうカジュアルに考えすぎているような気がします。プレイスペースだけでも難しいし、販売だけでも難しい。利益が出ない時に補填できる何かが必要だと思っています。

確かにプレイスペースは、それほど初期資金は必要ないかもしれません。店舗を借りる場合は家賃の10倍程度を初めに払うので、20万家賃の店舗を借りると200万円。ボードゲームも100個は少なくともいるとして、だいたい1個3000円だとすると3000円×100個で30万円。あとは改装費がいくらかかるかです。

でもそれだけで始められるかって言うと難しくて、実際には続けていこうと思うと特色を出さないといけない。置くゲームは100個だけでいいのかとか、内装もこれでいいのかとか、販売しなくていいのかとか、何かしら他と違うことをするためにお金がかかってきます。

ただ、これは首都圏の話で、地方は状況がわからないからなんとも言えません。もしかしたら地方のほうが可能性はあるかもしれませんね。

販売は簡単に見えるかもしれないですが、在庫リスクがあるので利益を出すためには一筋縄ではいきません。

まつなが何から始めればいいですか?

それでもお店を開きたいと考える方は、やるかどうかわからない時点で物件だけでも見ておくと、いざお店をやろうって時に役に立ちます。

あとは超個人的な意見ですが、エクセルに慣れることです。お客様の何%が何円くらい払ってくれるかって単価を考えて、何人来るかを考えて、計画値を入れられる計算シートを作っておきます。物件を見つけるたびにエクセルに数字を入れると、一ヶ月の売り上げ予想が出るようにします。自分も日課でやっていました。意外と楽しいんです(笑)

まつなが家族、子どもをターゲットにする動きも最近は大きいように思います。

相談を受けたときにどういうお店を作りたいのかって聞くと、「今はまだボードゲームが大人の趣味だから子供も交えて来られるような店にしたい」って答える方が3人に1人くらいいますが、個人的にはなかなか難しいんじゃないかと思っています。大人だったらひとりで来てひとり分の料金ですが、子どもがたとえ半額で安かったとしても同じ家計の1家族で2人、3人分負担しないといけない。そこまでして頻繁に子連れが遊びに来る絵は描きにくいんですよね。

逆にボードゲームの販売に関しては希望が持てて、ディアシュピールも家族連れが来て、子供が「ほしい」って言うと親が買う流れになります。家族連れは買ってくれる割合がとても高いんです。

ゲームマーケットでも子どもを対象にした企画がありますが、良い試みですよね。

7.ボードゲーム業界の未来

まつながボードゲームスペースが増えていますが、お客さんが増えている印象はありますか?

2016年からここ最近にかけてボードゲーム業界は盛り上がっていると言われますが、おそらくみなさんが思うほど盛り上がってはいないのではないかと感じています。

今プレイスペースやカフェを始めようとしている方が見ている景色と、実際にやっている私から見える景色はちょっとちがっているなあと温度感の違いを感じることがあります。新規参入する方には、ボードゲーム市場はブルーオーシャンに見えるのかもしれませんが、自分としては1年半くらいの間でお客様も商品の売れ方も多少増えたよね、くらいの感覚です。

客層も変わって広がっている実感もありますが、たとえば近隣に2店舗3店舗ボードゲームスペースができても、お客様をシェアできるほどは増えていないように思います。カラオケや漫画喫茶くらいライトに、特定のお店にこだわらず利便性が良ければふらっとお店に入ったり、時間が空いたから行ってみたりする、というような層はまだまだ少ないと感じています。

まつながプレイスペースの増え方はやはり異常でしょうか?

まだこれからも広がるとは思いますが、広がり方がちょっと危うくて心配しています。プレイスペースの増え方が急速だなあと。

今の盛り上がりが単なるブームだったら、このペースだと近いうちに廃れそうな気もしています。最近ボードゲームを始めた方たちが継続してプレイスペースで遊んでくれるような文化にはまだなっていないと思っています。

ボードゲームを文化として遊びの定番にしていきたいという想いは、自分も含め業界の方ならみんなあると思います。ただ、ブームを文化まで持っていくのは非常に難しい。誰もどうすればよいか答えを持っていません(笑)

自分が考えているのは、今は既存のプレイスペースやカフェのオーナーががんばらないといけないフェーズかなって。どの店も休日はいつもいっぱいで、平日も昼に学生さんが遊びに来る、夜はサラリーマンが来るっていう状態を各店舗がちゃんと作っていかないといけない。

少し足りない、ちょっとした需要過多の状態っていうのが次に繋がると思っていて、予約なしに行くと席が埋まっていて入れず、「別の店に行ったら入れたけどぎりぎりだな」というような不足感、「もっとプレイスペースがあってもいいよね」という不足感ができてから、次の店が生まれるくらいが丁度良いと思っています。その状態を既存店が作ることが今のフェーズであり課題かなと。

お店の席が埋まるっていう算段を立てないまま作って、そのまま店が潰れてしまうともちろんオーナーは不幸になるし、業界に対する見え方も悪くなる。今あるプレイスペースがしっかり回せるようになることで、次のステージへ繋がりますし、もうすでにボードゲームスペースやカフェに対する「新規性」はなくなっていると思うので、今開店を考えている方は前述したような不足感ができてきてから参入するほうがリスクが低いのではないかなと思うんです。

プレイスペース同士は競合もしているかもしれませんが、敵対する立場だとは思っていません。これからプレイスペースをやりたい方は、顧客の奪い合いにならないようにボードゲーム業界全体のパイを見据えて参入してほしいと思っています。

番外編:プレゼン資料と事業計画書を根掘り葉掘り聞いてみた

新しくできるプレイスペースがうまくいかないと業界全体になんとなくマイナスイメージを持たれかねない、というかんちょーさんの思いから、事業計画とプレゼン資料をご提供いただき、解説していただきました。熱量と情報が詰まっています。

これらの資料について改めて説明しておくと、ディアシュピール創業時、融資を受けるために提出された資料となります。また、今のお店の状況も踏まえて解説していただいています。「ここまで公開してしまって良いんだろうか!?」と感じつつも、「業界全体のために希少価値の高い内部情報を公開する」という強い想いを感じます。

内容は、モチベーション上の背中を押すための内容ではなく、考慮すべきリスクは、どう事業計画/収益計画に盛り込まれているのか、といった経済合理性上のヒントを得ることが出来る内容です。

「開業するためには勢いも大事だけど計画性が大事」というお言葉がインタビュー中にもありました。開業を検討されている方は、計画と実績について参考になるところも多いかと思いますので、この貴重な資料をぜひご参考ください。ただ、制度などは常に変わっている可能性もありますので、気になった方は、詳細を各自でご確認ください。

ということでさっそく、プレゼン資料について

このプレゼン資料は、何のために作成したものですか?

融資を受けるときに説明資料として使いましたが、そのために作ったというよりかは自分の中で事業のイメージを膨らませるために作成しました。今見ると、融資を受けるために自分を大きく見せようと、嘘ではないですが恥ずかしい自慢のような内容になっていますね(汗)本当に恥ずかしいです。

フリードマン・フリーゼ※との写真に奥さんも写っていますが、会社を退職して創業となると、周りの方の反対はありませんでしたか?

※フリードマン・フリーゼ……Fから始まるタイトルで緑色の箱にするこだわりを持った有名ボードゲームデザイナー。髪も緑。

妻は自分が会社をやめたいと思っていることを知っていましたし、妻も個人事業主、両親も元個人事業主なので、心配はされましたが誰からも反対はありませんでした。

東日本大震災のときに初めてブラフをされて、その後3ヶ月でオープンなボードゲーム会を開かれたと略歴にあります。当時も気軽にボードゲーム会を開催する文化が周りにありましたか?

自分の周りには、全くありませんでした。当時、知る限りで定期的に開催されているオープンな会は高円寺盤遊会※と非電源系ゲームサークル袋小路※くらいしかなくて、ミスボド※もない時代でした。他にもボードゲーム会はあったとは思いますが、宣伝はあまりしていない印象でした。

1回目のゲーム会はあまり宣伝だとか考えず、自分がキャメロットを覆う影を7人でプレイしたいという理由で場所を借り、自分の卓以外にもスペースがあったのでオープン会にしただけでした。

2回目からは人が集まってもらえるように工夫をして考えて開催していきました。

当時はボードゲーム会に対して事前に参加者が参加表明をするというシステムはあまり活用されておらず、自分のような初心者はどういった会で何人くらい集まるのかイメージがわかなかったので、なんとなく行きにくい雰囲気でした。

そこで、ミクシィの掲示板でイベントの告知をして、参加者で公開しても良いとおっしゃってくれた方はリストとして公開するようにすることで、人が集まるようになりました。来る方を透明化することで、たとえ知らない人の名前ばかりのリストであっても、いろんな人が来るんだなと思えて安心感がありますし、知人がいれば参加しやすいメリットもあります。

適当に開催した1回目には日本のボードゲームの歴史に名前が残るような猛者たちがたくさん来てくれて、当時は自分も何も知らなかったので随分フランクに話してしまったなと思います(笑)

※高円寺盤遊会と非電源系ゲームサークル袋小路:2012年時点でも活動していた東京のボードゲーム会・サークル。

ゲームマーケットにブースを出された2013年は、P.22にもある通り参加者5000人ほどと今の半分以下でした。売上は記載されていますが、利益も出たのでしょうか。

利益も出ましたよ。利益率は3割弱くらいだったと思います。たとえば2014年秋は70万円分くらい仕入れを行い、会場費や人件費で10万円くらい使ったとして、残りが利益でしょうか。

プロモーションは、ゲームマーケット公式サイトのページも使いましたが、自分のブログがメインです。事前に何を出すのかこまめに情報を出していました。

2014年あたりは中古品の注目度がすごく高かったんです。手にはいらない絶版品のゲームを中古品で探す動きが今よりも活発だったと思います。自分のブースは全商品、日本では通常手に入りにくいものでした。1万円超えるものもありましたが、だいたい6000円から8000円くらいの値段帯で売っていました。大箱が多かったです。

キャンディ工場など、和訳が公開されていないボードゲームには自分で和訳をつけていました。

開業されるにあたり、動画などで顔が広く知られているということで何か得することはありましたか?

得することはあるかとは思いますが、動画を配信したから業界に顔が売れたということはないかと思います。業界の方はわざわざゲームの紹介動画を見ませんからね(笑)

ただ、顔が見える状態というのは新しいことを始める上で必要なのかもしれません。

自分の世代よりもっと新しい世代と自分より更に上の世代にはちょっとした壁があって、今、上の世代の方の中には最近この業界に入った方を警戒している方もいるかと思います。「最近の参入者はボードゲームに思い入れがあるわけではなく、ブームだと思って乗っかって、業界を悪い方向へ持っていくんじゃないか」と心配しているようです。自分もどういう方がやっているのかわからない、顔の見えない団体については警戒してしまいます。故に、顔が見える、知られていることはある程度必要だと思っています。

サービスの中にフード提供は書かれていませんが、主なサービスではないからですか?

そうですね。売上をあげるにはフードをやらないとなって思ってはいるんですが、手が回っていない状況です。

海外の中古ボードゲーム販売は現在ほとんどされていません。なぜですか?

中古は値段が高いこともあり、店舗で並べてもなかなか売れないとわかったからです(笑)エネルギーポーカー看板娘も超レアですが、まだ店にあります。ゲームマーケットはお祭りのようなものなので、せっかく来たからには買おうという心理が働き売れましたが、店頭や通信販売だとなかなか難しいようです。

また、レアなゲームを中古品で買うという文化が以前より弱くなってしまったこともあります。やりたかったのに名残惜しいということはなく、当時と雰囲気も違うのでもういいかなって(笑)

エネルギーポーカーと看板娘はどちらもDEAR SPIELの通販サイトで購入可能です

国内の中古販売もする計画だったのですね。現在もされていないのはなぜですか。

販売にかかる工数が新品の販売よりもずっと大きくて、割に合わないと判断しました。中古品は中身を全部検品しないといけないですし、古物営業許可をとるにも多少ですがお金がかかりますしね。

ドイツの方とは英語で会話されるのですか?ルールの和訳もされていますし、もともと英語は得意だったのですか?

英語は今でも全くできません(笑)必要にかられてなんとかやっています。ドイツ人も英語が母国語ではないので、シンプルな文章を使います。誤字脱字は多いですが。最初はネットでビジネス英語の文章を調べてパズルみたいに組み立てて、意味わかるようにしてメールを送っていました。

英語はしゃべれるようになりたいなと思います。この写真を撮っているときも本当に大変で、最終的に取引相手の1人とは、大学のときにドイツ語をちょっとやっていた妻がドイツ語で話していました。

今年エッセンに行こうと思っているのですが、英語は通じるのでしょうか。

英語ができれば問題ありません。むしろ英語が必要です。イベント会場のブースにはドイツ人はそれほど多くなく、近隣のヨーロッパ諸国や英語圏、世界中のメーカーから人が来ています。半面中古品を扱っているブースは現地の人なので、英語よりもドイツ語のほうが通じます。

ご自宅の写真、ボードゲームが大量にありますね。

天井まであって、棚の間の光量が足りずにスポットライトもつけているんですよ。今でも500個ほど家にボードゲームがあります。

事業計画書(PLのサマリー)について

ゲームスペース貸+ドリンク販売の②平均客数/日について、実際はこれ以上いつもいらっしゃる印象ですが、計画と実績の乖離はありますか?

通常の平日8人、金曜16人平均はつい最近になって到達しています。2015/12に軌道に乗る、とあるので軌道に乗るまでの期間に乖離はありますね。また、実は金曜日と他の曜日の差はあまりありません。

また、アルコールの比率も、ソフトドリンク2:アルコール:1とありますが、もっとアルコールの比率は低いです。この辺もかい離していますね。

商品購入を除く、飲食代とゲームスペースをあわせた客単価は計画と実際で乖離はあまりなさそうです。2017年3月はプレイスペースに700人の来客があり、一人あたり約1500円の単価です。販売もやっているので、客単価が安くても何回も来てもらってついでにボードゲームを買ってくれる機会を増やしたほうが良いと思っています。

平均でなくプレイスペースの1日の利用者は最高で何人ですか?

1日最高54人です。ツヴァイの予約が入っていない日だったので、特別に通常のプレイスペースのように使ってもらいました。次に多いのは47人で、ツヴァイがまだない平日の月曜でした。

ゲーム販売は計画よりも売上があるのではないでしょうか。

はい。計画を上回っていますが、仕入れも同じくかさんでいて、毎月100万は超えてくるようになってしまっています。

通販も初期からやっていました。計画に書いていないのは、どれくらい売上があるのか見通しが立たなかったからです。今、通販と店頭の売上は半々くらいです。通販は8,000円以下の注文だと送料がかかるのですが、意外とみんな気にせず小箱1つから注文が入ります。

卸販売についても試算ができず書いていないだけで、もともとやる予定でした。想像よりも早くやることになったんですが、卸もやらないと回らなかったからです(笑)。月1本は新作を出したいと思っています。

卸売のために数百個仕入れても、どういうペースで売れるかはわかりません。早く売れると倉庫代が安くすむのでその分利益率は高くなります。チェックポイントチャーリーの捜査犬の日本語版を発売予定で、それなりの数を作りました。欲を言えば1年で売り切れてくれればなと思っています(笑)

2015年8月にオープンで9月からは利益が出るグラフになっていますが実際どうですか?

利益なんて未だにないようなもので、2015年の9月ももちろん赤字でした。ショップとしての認知度が足りないので、販売の売上もそこまでありませんでした。

仕入れが一番計画と実際の乖離があるのではないですか?

そうですね、仕入れしないと売り上げはあがらないってあるとき気づいたんですよ、当たり前なんですけど(笑)

経費に関して、計画と実際の乖離はありましたか?

ツヴァイの物件を新しく借りたので、家賃や光熱費は倍以上になりました。また、人件費は抜群にあがっています。アルバイトを5名雇っていますが、人件費を考えるとひとり社員を入れたほうがいいんじゃないかなって思うときもあります。

大変好評で2回の開催が決まったしくじりシュピールではどんなお話をされるんですか?

偉そうにしゃべりたくないですし、セミナーをやるつもりもないんですよね(笑)

「普通に考えるとプレイスペースだけでは無理ですが、できているところがあるので、やりようはあるんだと思います。充実したフードを出すなどはありますが、実際に店舗を出すことを考えている方はそういう収益の柱を複数しっかり考えていますか?ぼくは考えているようで考えきれていませんでした!」
って話す予定です(笑)

以上、番外編、事業計画書読み合わせコーナーでした!

かんちょーさんはExcelが趣味とのことで、お店を始めるまでの3年間、毎日試算をされていたそうです。プレイスペースを検討されている方の参考になるよう、様々なお話を伺いました。ぜひ事業計画を作成される際の参考にしていただければと思います。

インタビューを終えて

以上、プレイスペースに加え販売についても詳しくお話いただきました。ボードゲームの販売については、国内での仕入れであっても取引先との調整があり、なかなかハードルの高い事業だということが意外でした。

海外からの仕入れについては、輸入費の調整ももちろん和訳も大変な作業です。Google翻訳アプリの新機能、カメラのリアルタイム翻訳が2017年1月頃に話題になりました。自動翻訳があれば海外のボードゲームも誰でも遊べるかというとそうでもなく、抜けがない、曖昧さがない、そして読みやすい和訳がボードゲームのルールには必要になります。

インタビュアーのまつながもディアシュピールが扱っているゲームの一部については和訳を担当しておりますが、完璧にできた!と思っても、かんちょーさんの赤入れで大きく修正が入ります。英語と日本語の言語特性の違いもあり、販売できるレベルのルールにするにまだまだ修行中です。

最近のボードゲームの業界全体の熱については目を見張るものがあります。それでもまだまだドイツの市場規模と安定感には届きません。ドイツでは家族で遊ぶ文化があると話に聞きますし、エッセンシュピールの写真を見ると、日本のゲームマーケットと異なりご年配の方、子ども、女性が多く、一部の方の趣味という印象はまったく受けません。

日本のボードゲーム界がどのような業界であるべきか、あってほしいかの理想は人それぞれかもしれませんが、私自身も文化として根付いてほしいと思っています。

バックナンバー