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開始1ヶ月で500人のボードゲームファン、40のゲーム制作サークルが集合! オンラインコミュニティ "VAGE" とは何なのか詳しく聞いてきた

開始1ヶ月で500人のボードゲームファン、40のゲーム制作サークルが集合!
オンラインコミュニティ "VAGE" とは何なのか詳しく聞いてきた
2020年04月04日
ボドゲーマ代表:若狭 創

新型コロナウイルスの影響で開催自粛となってしまったゲームマーケット2020大阪、ゲームマーケット2020春。これを受けて、ゲームマーケットや同人ゲーム文化を守ろうと動かれた方が、多数いらっしゃいました。中でも特徴的な動きを見せていた1つが、本記事で取材させていただいた "VAGE" です。

概要

VAGEをざっくり説明すると、ゲームマーケットのコンセプトである「ゲーム制作者、作品との出会いの場」の部分を、スマホやパソコンで出来るようにした独立型のコミュニティです。誰でも気軽に無料で覗ける、参加できる場です。

発起人/責任者はゲーム制作サークル「ペンとサイコロ」のろいさんです。長年活動されているため、ボードゲームを持っている方や名前を聞いたことがある方は少なくないのではないでしょうか。今回はVAGEが生まれた経緯や概要、これからのことについてお話を伺ってきました。

では早速… の前に、本記事は長文となっています。
「なんとなく分かってる、Discord使ってる、参加リンクはよ!」って方は、以下のリンクからVAGEにご参加ください。

▶ 「VAGE」に参加する(Discord)

VAGEはとてもおもしろい空間です。

メインコンセプトは冒頭のとおりですが、そこに縛られているわけではなく、自由で、様々な遊び方、集まり方、コラボレーションが起こる場所になっています。例えば直近だと最近Nintendo Switchで発売された「あつまれ どうぶつの森」に、飾りとしてボードゲームが登場します。

すると、、

「どうぶつの森に出てくるボードゲームが遊べるようになりました。来週あたりやる人いますか?」

あつまれ どうぶつの森に登場
ボードゲーム制作ツールで再現
ちなみに「あつまれ どうぶつの森」の画像は、ボドゲーマのまつながのデータを拝借。後の絵(コロ)とゲムマスタッフのちゃんちゃんこ再現クオリティにも注目してもらいたい…!


ボードゲーム制作ができる・作ったゲームをオンラインで遊べるようになる Tabletop Simulator や Udonarium というツールで早速再現されていました。

(…再現クオリティ高すぎじゃないですか?)

普段からボードゲーム制作をされている有志のゲームデザイナー3名によって、ルールが考案されたようです。しかも2つも。2020年4月6日の週にVAGE内で遊ばれるのではないでしょうか。

ボードゲームファンはもちろん、ゲーム制作者にとってVAGEは不思議で楽しい空間になるかと思います。もちろん、なんとなくみんな集まっているだけではなく、しっかりとしたメインコンセプトを元に運営されているコミュニティです。

ぜひご一読ください。

VAGEの起案者

まずは簡単な自己紹介をお願いいたします。

「ろい」といいます。「ペンとサイコロ」というサークル名(屋号)で、趣味でボードゲームを作っています。

今まで「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」「百怪夜行」「BLOCK. BLOCK」など、合計9作品を作っています。

VAGEの概要について

ろいさんは、ブログやアンケートも積極的に運営されていますね。内容が、考察や調査のフィードバック、という切り口での記事が多くて印象的です。

最近、ろいさんが始めたVAGEのことをTwitterで見かけるようになってきました。概要はなんとなく理解している方もいるかと思うのですが、改めてどんなことが出来るのか教えて下さい。

VAGE -Virtual Analog Game EXPO- は オンライン上のアナログゲーム展示会 です。VAGEは「ベージ」と読みます。

ゲーム制作サークルがスマートフォン・パソコン・タブレットなどを通じて、オンライン上に個々に出展ブースを設けてゲームの紹介・試遊・販売を行うことができる場です。 2020年4月2日現在、500人の参加者と39のサークルが登録されています。もちろん全て無料です。

ゲームマーケット2020大阪が、新型コロナウイルスの影響で自粛要請を受け、中止となったのが発案のきっかけです。私自身も出展予定だったので、当事者としてなにか出来ることはないかなと思って。

実際に、ゲームマーケット2020大阪の開催予定日だった3月8日に「大阪ボドゲ.webというイベントを初開催し、イベント後に継続希望を頂いたので ”VAGE” と名前を変えて常設の場にしました。

きっかけはゲームマーケット2020大阪の開催自粛

紹介・試遊・販売ができるんですか?
そこらへんは本題になりそうなので、後ほど詳しくお伺いします。

ボードゲーム業界に限らずですが、新型コロナウイルスは心配する声が多く、延期か中止にしたほうが良いんだろうな、と多くの方が考えていたと思います。しかしいざ実際に中止になると、「在庫どうしよう問題」は現実として直面した課題です。これを受けてか、色々な方が現れましたね。

そうですね。特に、販路はかなり早めに確保されたように思います。

ボドゲーマJELLY ONLINEEngames (敬称略)などのスピード対応は話題になりましたし、協力的なアクションが多いので、Twitterで #ゲムマ対処 とか #ゲムマ通販 といったハッシュでまとめている方もいらっしゃいました。

販路については他にも沢山の動きがあったので、販売以外で出来ることを考えました。着想のポイントになったのは、ゲームマーケットに出展するときの作品を売る以外の部分です。これが現在のVAGEの形につながっています。

ゲームマーケットは、多くの人達とゆるく広くつながることができて、作品やサークルのことを覚えてもらったり、来場者と制作者が気軽に会話できる、という発信や交流の場でもあります。

ペンとサイコロの作品を、WEBカメラを使ってブースの作品スペースを再現してみたときのもの。来場者は出展者の配信映像を見ながら、チャットや会話をすることができる。

ゲームマーケットのイベント会場では、来場者が「これ遊んでみたいのですが」と出展者に声を掛け、そこに巡り合わせた他の来場者と、初めて遊ぶボードゲームを一緒に体験します。ゲームマーケットで体験できるあの雰囲気を、オンラインで再現することを目指しました。

VAGEへの参加方法

エアゲムマや小規模イベントを検討している方のツイートは多く見られましたね。
今回の事態を迎え撃つために、出来ること・思いついたことが積極的に発信されれていた方が多く、とても印象的でした。ボードゲーム業界は、ボードゲームに愛し愛される人がいっぱいいて本当に良い業界だと改めて思いました。

そんな中で、オンラインでのコミュニケーション部分に絞ったVAGEの企画は、個人的に一風変わった存在の1つでした。まずは見てみたい、という方は、どこからどうやって参加したら良いんでしょうか?

VAGEは現在、Discordというチャットツールを使っています。Discord内にVAGEというサーバーを立てており、そこに来場者や出展者が参加する形です。Discordのアカウント作成も、VAGEへの参加も全て無料です。

実際に入ってみていただけると分かるのですが、VAGEにはゲームマーケットの出展ブースのように、出展者ごとの専用ルームがあります。誰でも発言できるロビーのような場所もあります。簡単な操作で、興味ある場所を覗いてみたり、ボイスチャットに参加することができます。

パソコンからつなげたときの、VAGEの実際の画面。スマートフォンアプリやPCブラウザでもアクセスできる。

▶ 「VAGE」に参加する(Discord)

VAGEでは、参加者を出展者と来場者に区別しています。名前が赤い/青い人が出展者、名前の白い人が来場者です。区別しているのは、来場者が誤操作で出展者のデータを消してしまわないようにするためです。
出展者や来場者に迷惑を掛けてしまうような操作は出来ないように設定しているので、特に気構えずにDiscordとVAGEの各種機能をご使用ください。

出展者にはサークル専用の部屋(ブース)が提供されます。ブース内はサークルの方が自由に編集できます。「おしながき」「テキストチャット」「音声/映像チャンネル」を初期セットにしてお渡ししていて、そのまま使われてる方が多いですね。
このブースが、来場者数百名に覗いてもらえる場所となります。

来場者の方は、気になるブースのテキストチャットを覗く映像配信しているブースを覗くオンライン試遊卓を視聴するテストプレイに参加する、といった使い方ができます。もちろん、出展者も来場者と同様に、他の卓を覗きに行ったり試遊卓へ参加することもあります。
気軽にコミュニケーションをとれる場所なので、音声でも文字でも、声をかけてもらえば嬉しいです。もちろん、無理して発言を求められたりすることもないのでご安心ください。

また、ご自身で映像配信していただいても構いません。YouTuberさんなどがゲーム紹介配信されることなどを想定しています。

ボードゲームの紹介/体験をオンラインで再現

なるほど。確かに仕組み的にゲームマーケットに近いイメージですね。
目に入ったものにを自由に見たり、話を聞いたりできるあの感じがあるわけですね。オンラインでの再現というと新しい試みですし、気構えずにふらっと参加してよい場所なのであれば、とても嬉しいです。
仕組みはよく分かったのですが、具体的なメリットはどんなところですか?

VAGEが目指しているのは、先にも言った通り オンライン上の展示会 です。

日本だけでなく世界中で、展示会どころか対面することも禁止される状況です。見本市やフリマといった販売イベントはおろか、遊ぶことも気が引ける人が増えているのではないでしょうか。

そして、ゲームマーケット2020春も開催自粛が発表されました。公式サイトでゲームマーケット運営代表の刈谷さんが「【重要】ゲームマーケット2020春 開催自粛のお知らせ」の投稿でお気持ちを語られているように、ボードゲーム、アナログゲームは娯楽です。
ゲームマーケットは「販売」の場としてももちろん重要ですが、刈谷さんが仰られていたように、「楽しむ/楽しめる」場であることはイベントとして重要なポイントだと思います。

ゲームマーケット2020大阪の中止に伴い、販売をサポートするイベントは多数立ち上がり、小規模での展示イベントも行われました。しかし情勢がより厳しくなってきています。ゲームマーケット2020春の中止が発表されるころには、オリンピックの延期も決定したり、自宅勤務の推奨・休日の外出を控えるよう、政府から国民全体への要請もありました。

この厳しくなっていく自粛ムードの中でも、ボードゲームを目いっぱい「楽しむ」場にするにはオンラインしかないだろうと考え、”VAGE”を立ち上げています。

VAGEでは全てがオンラインで行われることなので、対面のほか、移動の問題などもクリアしています。実際に前回のイベントでも海外から参加されている方が複数いらっしゃいました。出展者も来場者も、色々な人とコミュニケーションしたり、制作者のことを知ったり、作品と出会ったり、遊んでみたり、すぐに買えるサイトもブース内に書いてあります。

VAGEは、社会情勢を気にすることのない環境があるので、現状ボードゲームを思いっきり楽しめる場にしていきたいと考えています。

運営メンバーや費用負担について

新型コロナウイルスは、世界的にも国内的にも悪化の一途をたどっています。
この流れのなかでオフラインイベントとなると、お客さんはもちろん出展者も楽しめないイベントになってしまいますね。

VAGEはちょっとした「駆け込み寺」のような位置づけに思えるのですが、運営の負担や費用はどうなっているのですか? ろいさんが運営責任者で、他の運営メンバーがいるのですか?

運営費用は基本的に一切かかっていません。

元々Discordが無料のサービスなので、発生するのは私の手間だけです。強いて言えば、参加者はVAGEにサーバーブーストという課金をすることができます。

サーバーブーストは、音声通話や映像品質を改善させることができる数百円程度の投げ銭方式で、有志数名がするだけで全参加者が恩恵を受けられるものです。安いので私自身もしています。たった数人で500人が使う機能がグレードアップするので、VAGEの活動を応援してくださる方は、ブーストが切れたタイミングでぜひお願いいたします。

VAGEは、2020年4月3日時点でレベル2の特典が受けられている。ボードゲームのオンライン試遊や映像配信は快適。

運営や企画については、人件費やスタッフについて疑問に思われる方が多いようで、質問頂くことがあります。ボードゲーム制作とは別に、プログラミングや配信者などれぞれの得意なジャンルを持っている方が、VAGEを発展させていくためのアイデアを出してくれています。そうした有志が運営メンバーと言えます。とてもありがたいです。

私は運営責任者といわれればそうなのですが、自分視点では「サーバー管理人さん」というイメージに近いです。そもそも私よりDiscordも、各種配信ツールも使い慣れている人がたくさんいますし、みなさんのアイデアで少しづつアップデートしていっている感覚です。

何より、私自身もVAGEの参加者の1人として、出展したり試遊させてもらっています。VAGEはそれほど運営作業、保守業務が発生することもありませんので、意見を求める・議論させてもらう固定メンバーはいます。

出展者の売上実績や間接効果はあるのか

参加者、出展者が主体となって1つのコミュニティが育っているのですね。これからがとても楽しみです。

ところで、ボドゲーマ公式コラムでは、敢えて2,3歩踏み込むような質問をさせていただいています。
冒頭でゲームマーケット2020大阪の代替イベントとしての開催が初回だった、とおっしゃられていましたね。ずばり、みなさんの作品はいくらくらい売れたんですか? 出展者の満足度はどうだったんでしょうか。

はっきり言えば、ゲムマ大阪のような実際のイベントより売り上げは少ないです。

”VAGE”自身に販売機能は無く、手引やサポートをしているわけではありません。もちろん制限をしているわけではないので、販売を増やしたい方は自分の作品の販売サイトへ誘導することになります。

私のように複数の販売サイトを使っている場合、どれがイベントからの売り上げか分からないのですが、イベントの前後を比較してみた結果、販売金額への直接的な影響は大きくなかったという結果です。

他の方にも売上は正直どうだったのか伺ってみました。在庫がリアルタイムで反映されるBOOTHやボドゲーマのみで販売されている方もいて、在庫が全く動いていない出展者はいました。逆に、ブースに訪れた方が購入するといってすぐに在庫が減ったという出展者もいました。結果はピンキリだったようです。

とはいえ、「このイベントで知って買った」という声もいくつか頂いています。買う/買わないはもちろん大切な部分ですが、その手前の「知ってもらう」「興味を持ってもらう」「ほしいと思ってもらう」という流れが生まれていたので、VAGEの目的としては多少なりとも手応えを感じました。

来場者にとっては、試遊してそのまま1つ買っていく、という手軽さがありません。リアルイベントよりも購買行動につながりにくいのは間違いなく、ここは改善したいところです。

ただ実際のイベントと違う所は、販売ブースのスペースを気にしなくて良い事です。私の場合はいつも展示会には持ち込まない、「コロポックル 見~つけた!」という子供向けゲームに興味を頂いた方がいらっしゃって、購入頂きました。

VAGEでの出展は、リアルイベントとは違う展示・紹介になります。オンラインならではのメリットを活かしていけます。ゲーム制作者やイベント運営者が、致し方なく目をつぶっていたところを、VAGEならある程度補完できるという側面があります。

急ピッチで立ち上げたイベントでしたが数百人は集まってくれました。とはいえ、リアルイベントの10分の1です。売上については、来場者がもっと増えていくことで解決すると思います。出展者と来場者をもっと増やしたいのは、そういった点も強く意識してのことです。

あとは、カタログのようなものが無かったので、とりあえず来てみたけど、どこを覗けば良いか判断しにくく、来場者が訪れるブースの数が少なかったのではないかと感じています。このあたりは、出展者情報のまとめサイトを作る、紹介専用のブースを作るなど意見を頂いています。今後改善を考えている部分です。

来場者にとってのVAGEの良さ、逆にオンラインならではの欠点とは

売上については、仰られるように人数の問題だと思います。
人が増えれば出展者は増えますし、作品が増えれば来場者も増えるという、「鶏と卵」の現象ですね。既に500名と40サークルが存在しているので、お互いで引っ張り上げあっていく、自然成長のトレンドに入っているのではないでしょうか。

現状、来場者にとってはどんなメリットが挙げられますか?

色々な個人制作ゲームを見たり遊べたり、また作者が直接紹介してくれる点は、ゲームマーケットと同じです。

良い点は無料であること巡回しても疲れないこと休憩時間や食事は自由が効くことではないでしょうか。また、実際のイベントだとなかなかその場で丁寧に説明を読むのが難しいことも多いのですが、VAGEではじっくりとそれぞれの紹介を読めるので、ゲームを理解したうえで、そのブースに訪問するかを決められると感じました。私も来場者として各ブースを覗くとき、いつもよりルールをちゃんと読んでからボイスチャンネルに入る、という動きになっていました。

ただ、オンラインなので直接手に取って触ることが出来ないのはデメリットというか、VAGEの欠点の1つです。特にゲーム制作者はコンポーネントをじっくり観察したいかと思いますが、これはもうどうしようもないので、我慢していただくしかありません。

出展側は、リアルイベントと同様に来場者の方とコミュニケーションをとることも楽しさの1つです。来場者の方にもぜひマイク・スピーカーを繋いで貰い、気軽に声を掛けてもらえば嬉しいです。
新型コロナウイルスによるイベント自粛も、いつかは終わります。改めてゲームマーケットが開催されるときに「VAGEで遊ばせてもらっていた〇〇です!買いに来ました!」「おー改めて初めまして!」、といった出会いが、VAGEで生まれたら素敵だなと思います。

また、せっかくのDiscordですので、グループチャット機能で友達と連絡をとりあいながら「次このブース覗いてみない?」といった具合に、知人と一緒に色々なブースを回遊してほしいです。

VTuberやTRPG勢もあつまる、アナログゲーム全般のコミュニティ

ゲームマーケットの一般来場者は一人で行く個人参加型というより、友人複数名と一緒にその空間も楽しむお祭り気分を体験している方も多いので、そのイベント感も実現できているのですね。
VAGE固有の文化はなにかありますか? 例えば、出展者や来場者に向けて、許可や歓迎してることなど。

更に自由に使ってもらいたいです。

ゲームマーケットのようなイベントをオンラインで再現する、というのが発端ですが、たくさんの人に集まってもらっているので、色々な活用方法があります。

例えば出展ブースの出展者やその関係者で、VTuberの方が3名いらっしゃいました。VAGEはオンラインならではの使い方ができますし、視聴者にとっても新しい体験が得られます。好きなやり方、試してみたい方法をここで実践してもらって構いません。むしろ大歓迎です。

新しい試みが行われるようになればなるほど、来場者にとっても「VAGEには何かがある。いつも新しい体験をさせてくれる。」と感じてもらえるようになります。VAGEという場にいるだけで常に楽しみが降ってくる、そんな場所で在りたいと考えています。

他にも、DiscordでTRPGを遊ぶ方も多いということで、TRPGサークルが複数参加いただいています。自作ゲームが無くても音声や映像配信をしてもらうのは大歓迎ですし、「これからゲームを作ってみたい」という方が、試作品のテストプレイの場として貰っても構いません。

オンラインで試遊、テストプレイする方法

VTuberやTRPGの方も歓迎してらっしゃるのですね。配信しているのを見かけたら、視聴してみたいと思います。

ところで試遊やテストプレイってどうやるんですか? 配信者の手元に作品があって、それを映すまでは想像できるのですが。

色々な方法があります。例えば「BG Engine」「Udonarium」というサービスを使って、オンライン上でボードゲームを作って、他プレイヤーと一緒に遊べます。BG Engineは2D、Udonariumは3Dですね。

BG Engine
Udonarium


有料ですが「Tabletop Simulator」ではボードゲームが3D空間上で再現出来て、より自由度が高くなります。どのぐらい自由かというと、負けそうになったら机をひっくり返せます。

プログラミングの知識があると作り込みが出来るみたいですが、カードやコマなどを設置してテクスチャーを貼るだけで十分です。ゲームプレイに参加すると、そこにあるのはコンポーネントと作者からのルール説明だけです。逆にそっちのほうがリアルですね。VAGEに集まってくるのはボードゲーマーですし、参加された方も実際に手にとって遊んでいる感覚が結構あるみたいです。

もちろん、そうしたツールを使わなくても、WEBカメラで自分の机を映しても遊べます。私は実際にその方法で紹介も試遊もやりました。

試遊やテストプレイによく参加している人は、制作者や関係者が多いです。やり方についての質問や、困ったことなどあればご相談ください。アイデアを出してくれたり、詳しく教えてくれると思います。

あと、何も配信されない日はちょっと寂しい、VAGEはボードゲームに関連した何かしらの楽しみが毎日ある場所、と思ってもらいたいので「まいにち共通広場Live!」という配信チャンネルを用意しています。ここは、平日の22:00~に配信イベントを行っている場所です。
今のところ自作ゲームの紹介を兼ねた試遊が続いているので、「共通広場」のチャットはゲームを遊んでいる最中の書き込みが多いですね。

思いついた仕組みをVAGEという形にした想い

VAGEでいくつかブース訪問や配信の視聴、試遊の参加を体験させていただきましたが、ここは面白い空間ですね。立ち上げた動機も既にいくつかは叶えられているのではないでしょうか。

仕組み、実現性、目的、動機はよく理解できましたが、運営にお金が掛かっていないとはいえやはり大変そうです。なにか特別な想いがあってのことなのでしょうか?

私がゲームマーケットに出て6年、その他にも北海道・金沢・大阪・京都と色々なイベントにも出させて頂きましたが、今回の騒動を受けて、おそらくボードゲームを遊ぶ「場」が無くなるという恐怖が一番最初です。

楽しく遊んで、新しい交流ができる場所を作り、それを守らないと、せっかく育ったボードゲームの流れが絶えてしまうなという思いがありました。 

私がゲームを作り始めてからのここ数年でも、個人制作ボードゲームの市場は出展者・来場者どちらも大きく伸びています。特にここ1~2年で作り始めた方、これから作ろうとしている方にとってはそうした場所の存在がなにより大切だという思いはありましたね。

「レコードマイスター」を制作者のmiRaさんがインスト中。7人の視聴者がいて、このあと制作者を含めた4人でプレイが行われた。見てて楽しい、やってて楽しい。ボードゲームファンがボードゲームを好きな理由の1つが、VAGEで育まれていたように感じた。

また、これは前から思っていたことですが、遠隔地で来られない人も参加できるイベントが欲しいなと思ったこともあります。今ちょうどKickStartarのプロジェクトも行っていて、アメリカ在住の方とやり取りをしているため、VAGEのような場があればもっと幅が広がると考えていました。こうした交流・紹介・試遊が出来る場を作って、育てたいと思った結果が、VAGEに繋がりました。

もちろんゲームマーケットの復活は心待ちにしています。その一方で、オンライン限定のコミュニティだからできることも追求してみたいと考えています。

VAGEのこれから

たくさんゲームを制作されてきた、ろいさんのボードゲーム愛やゲームマーケット愛、とても伝わってきます。
今何もしなければボードゲームへの熱が冷めていく方も多いかもしれません。「2020年前半はちょっと一時停止した瞬間だった」といえるように、ボドゲーマも国内ボードゲーム市場のために、出来ることをやっていきたいと考えています。

このご時世なので、ボードゲーム業界全体が受け身をとれる企画の1つが生まれた、素敵な挑戦だと感じています。それはそれとして、VAGEそのものはこれからどうなっていくんでしょうか?

…どうなっていくんでしょうか(笑)

VAGEは、リアルイベントと比較すると多くないかもしれませんが、今の時点で登録者は500人になりました。ボードゲーム業界にとって、オンライン上に500人の制作者/プレイヤーの集まっているため、既に1つの新しい空間になりつつある、と考えています。

「どんな体験を期待できる場所なのか」というイメージは持ちたいところですが、VAGEはサービスではなく ”場所” です。何が出来るかを期待していただくよりも、何かを発見できるかもしれない・誰かと出会えるかもしれない。そう思ってもらえる場所にしていきたいので、まだまだ出展者と参加者を増やしていきたいと考えています。

日々の空いた時間や、家でゆっくりしているときにふらっと覗いたり、気になるゲーム制作者のテストプレイを覗いたり、夜更ししてオンライン試遊をすることだってできます。24時間365日、誰しもがアクセス可能な、パブリックな場所です。

人がいる・コミュニケーションする場があるので、ゲームデザイナーや同人ゲームファンの消化不良になっている部分を、少しづつ解決していければと考えています。

これからどうなっていくか、と聞かれれば、具体的な回答はできません。

いわゆる同人、個人制作ボードゲームがメインの場ではありますが、TRPG勢もいらっしゃいますし、ユーロゲームを紹介する配信があっても構いません。よりよい「場所」になるよう、サポートを続けられればと思います。

現在の課題としては、初めて覗いてくださった方にとって見どころがない状態が発生していることです。いつでも誰かが配信を行っていたり、試遊相手が自然と生まれる場所にしていきたいと考えています。

そのため、毎日誰かが何かしらボードゲームの試遊やテストプレイを配信をする場になるよう、VAGE内でオンラインになっているゲーム制作者の方に声をかけて、誘導や案内を行っています。VAGEの活動を応援してくれている人や、配信者の応援に駆けつけた方が、SNSやLINE等で拡散してくれています。

VAGEへ、ぜひ気軽に参加してみてください。


あとがき

企画者のろいさんも、集まってくる人も、ボードゲームを愛する人で溢れていた…!

国内ボードゲーム業界も新型コロナウイルスの影響を受けています。
そんななかで立ち上がった有志のうち、企画を形にしはじめてたったの数日で、この基本形を整えきったろいさんの行動力や企画力は光るものがありました。「ボドゲーマで記事にしませんか?」と声を掛けさせていただきました。

既に私もVAGEに参加させていただいていますが、「えっ!あんな人までVAGEにいるんだ」っという、国内はもちろん世界のボードゲーム業界でも著名な方が、何人か参加してらっしゃいました。

課題を感じる一方で、VAGEは既に大きくなっていく兆しが…!

少々気になったのは、Discordはゲームマーケットを模したブース出展に使うには想定外の仕様という点です。40サークル×3チャンネル=120チャンネルという規模感になると視認性があまり良くないと感じました。

ただこれは、日に日にVAGE参加者は増えている結果の反動です。少しづつ盛り上がっていくイベントやコミュニティ、サービスというのは成長痛を伴います。
新しく生まれる不便さを課題として発見し、それの解決を繰り返すことで更に多くの人に愛される場所へと変貌を遂げていくものです。VAGEは始まったばかりですが、大きな発展性を感じています。

Tabletop Simulator はすごかった!

文中でご紹介していらっしゃった Tabletop Simulator は Steam(世界最大のPCゲーム販売プラットフォーム)でもよく見かけています。海外ではデザイナーもプレイヤーも、こういったツールの利用に積極的なのかもしれません。

ハセガワさん制作、正体隠匿/ダイスを混ぜた程よい緊張感の「コドクのロンド」をTabletop Simulatorで対戦。ハセガワさんと私がボイスチャットとTabletop Simulatorを使用し、もう1名はテキストチャット/画面共有配信でプレイに参加。4~5人が観戦していて、手に汗握る展開だった。

もともと気になっていたのと、同人ボードゲームのオンライン体験はとても興味があったので、早速買って試遊卓へ突撃してみました。プレイヤーとしての感想ですが、かなり満足です。

懸念してた点というのは、ボードゲームの試作品をオンラインで遊べるツールで作ってしまうと、正直「オンラインで遊べる・無料で遊べた、いざ完成したときのアナログ版を買ってもらえなくなっちゃうんじゃないか?」と、思っていました。

実際VAGE内でボイスチャットしながらオンラインプレイさせていただきました。が、終わったときには、ゲームマーケット参加時のように「これ、みんなと遊ぶために1個欲しい」って思っていました。試遊方法がデジタルでも、体感はリアルイベントととても似ている点は多かったです。

もちろん、コンポーネントを触る・相手の顔を見るといった部分がないので、リアルイベントと大きく違う部分は当然あります。しかし、作品に対して生まれる感情はオフライン/オンラインに大きな違いはありませんでした。これは、とても意外でした。

VAGEで試遊卓やテストプレイに参加した方は、似たような感想をする方が少なくないと思います。冒頭で仰られていた「オンラインで再現」は、既に完成度がかなり高いのではないでしょうか。

始まってまだ1ヶ月ほどしか経っていないVAGEですが、日に日に発展を感じています。記事を読んでいただいて、可能性を感じたり、ワクワクしてきた人は是非参加してみてください。

▶ 「VAGE」に参加する(Discord)