はじめまして。ボードゲームの通信販売ショップ「ボードゲームショップとど」を運営をしています、田中です。不定期ではありますが、ボドゲーマ様に記事を書かせていただくことになりました。ボードゲーマー・ショップ店員の視点から、様々なボードゲームに関するコラムをお送りいたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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第一回目のお題は「ゲームマーケット2016春」の体験レポート
ゴールデンウィークも後半戦の開始となる5月5日、東京ビッグサイトで開催されたゲームマーケットに行ってきました。先のボドゲーマ管理人によるコラムにて、来場者の推移予想は10,000人突破とのことですが、その実情は果たしてどうだったのでしょうか。開始時間の30分前を目標に、最寄駅からビッグサイトがある国際展示場駅を目指します。駅に到着してすぐの混雑を予想していたのですが、それほど人の多さを感じることもなくビッグサイトの真下まで。
とくに人出の多さも感じることはなく、ふと「楽勝じゃん」という考えが頭をよぎります。ところがビッグサイト裏手の待機列を見てそんなぬるい考えは打ち砕かれます。
…多いよ!
以前、同じ会場で行われたカードゲームイベントの視察に来たことがあるのですが、その待機列と同等かそれ以上の長さなのではないでしょうか。何往復かにわたって列が折り返されており、ここだけで並んでいる人の数は1,000ではきかない気がします。
並ぶ気力はすでに無いのでボーッと待っていると、開場の時間が近づくにつれ列がスタッフによって誘導されていきます。10時になり無事会場。前のほうの人が、急いで会場の奥へ向かっていきます(走ってはいけませんよ)。方向的に彼らの目標は床売り、もしくは「世界の七不思議」「タケノコ拡張(ちびっ子)」などを手掛けたゲームデザイナー、ボウザ&ルブラの「外人ダッシュ」でしょうか。
私はというと、中に入ってまずは様子見という名の挨拶周り。気になっているゲームは、開発者ご本人の「そこそこ用意してある」との言葉を信じ、一段落してから買いに行こうと思います。
広くなった会場は知り合いを探すのにも一苦労
今回の「ゲームマーケット2016春」はビッグサイトの西3・4ホール。前回が東4ホールですので、その広さは2倍。こうなると入場証であるカタログで詳細を調べず、いきなり会場を歩いて知り合いのブースを探すのはちょっと難しく感じました。なんとか知り合いブースへ到着をしますが、さすがに開場直後は忙しそうで、遠巻きに眺めるだけ。そういうわけで会場全体をぐるっと見てまわることにします。
まず、朝の待機列から会場入りをすると、一番最初に目についたのはこれ。
数回前から展示をはじめたWizards of the Coast社のMagic: the Gathering(以下、MtG)のブースに飾られたこのキャラクター。いきなり目を引きます。
他のブースに比べてこういった目立つ飾り・販促物が準備されており、さすが大手といった印象ですね。定期的に開かれる初心者講習会は早々に予約でいっぱいになってしまい、トレーディングカードゲームの人気や興味の高さをうかがわせます。
またMtGは、翌日から3日間にわたり、同会場にてイベントが開催されるとのことで、プロジェクターを使用して過去のイベントの様子なども、見ることができるようになっていました。
ふと気づくと、そのMtGブースの横手まで列が伸びてきているブースがありました。たどってみるとそこはFlipFlops。「ハートオブクラウン」の新拡張の頒布を行っていました。待機列はシャッターの外まで伸びており、どうも会場で一番長い列が形成がされている様子。ブースのスタッフがきちんと列形成から誘導まで行っており、たいへん慣れていて安心できる状態だったのが、印象に残っています。
「ドミニオン」をベースとしたデッキ構築型ボードゲームは、未だに人気が衰えることなく製作・販売が行われています。本家「ドミニオン」は、今年もホビージャパンから日本選手権が行われることも発表されましたし、新エキスパンションの「Empires」の発売も発表されています。まだまだ、その流れが終わることはないのかもしれませんね。(ボドゲーマ掲載中の「ドミニオン:帝国」はこちら)
そんな「ドミニオン」の発売元ホビージャパンのブースに来ると、例年通りの人だかり。ここ数ヶ月の新作から旧作まで販売が行われていたのですが、そんな中でも今回のゲームマーケット注目は「ポーション・エクスプロージョン」の先行発売でしょう。
この「ポーションエクスプロージョン」は、ビー玉をゲットし間が詰まって連鎖をすると、さらなるビー玉をゲットできるという至極単純な仕組みなのですが、なんか連鎖してくと無性に嬉しいんですよね。この「お、キタキタ」みたいな感じにさせてくれるのは、年代的に落ち物ゲーをやっていたからなのでしょうか。
こういう見た目がカラフルなものは子供とかのウケもいいので、期待ができそうなゲームだなと感じました。
昨今のボードゲームカフェ人気の走りかな
企業ブースの中にJELLY JELLY CAFEを発見しました。最近、食べたり飲んだりしながらボードゲームを遊べる場所が、急に増えている印象がありますが(おそらくは実際増えてますよね)、その人気の走りとなったのはこの「JELLY JELLY CAFE」なのではないかと、個人的には思っています。他メディアに取り上げられてる回数が他に比べて多い気がするのですよね。
しかもお店の雰囲気が理由なのか、広告媒体が違うからなのか、お客さんの客層が全然ゲーマーっぽくない。学生さんが少し遊びにきました、というような気軽に遊ぶ場所のようになっているのでしょうか。
ともあれ、こういう企業がボードゲームを遊ぶ場所を増やしていってくれることで、ボードゲームの普及になって業界全体が盛り上がってくれるんじゃないでしょうか。
そしてイチオシゲームのブースへ行ってみると……
話をゲームマーケットに戻しましょう。このゲームマーケットで筆者が個人的に一番気になっているゲーム。それはBakaFirePartyの「桜降る代に決闘を」です。BakaFirePartyは、過去に「惨劇Rooper」「OWACON」など人気ゲームを製作しており、国内のみに収まらずZ-manから英語版も発売されています。そんなBakaFirePartyの新作ともなれば、期待度も大変高いのです。
さてブースに到着してみると「完売」の張り紙が……。
おいおい、まだ開場して2時間だぞ。
BakaFireさん本人にミスボドで「結構、数は用意している」って確認していたのですが。本人に少し話を聞いてみたところ、「◯◯◯部用意したんですけどね……」と言っていたので、確かに結構な数を用意していたようです。それだけこのゲームの前評判があったってことですね。そういうわけでゲットはできませんでしたが、このゲームを少しプレイしてみました。
このゲームは1対1の対戦ゲームで、TCGではありませんがLCGのようなデッキ構築カードゲームです。プレイヤーは最初に「メガミ」というキャラクターを2人ずつ選び、相手が選んだキャラクターに合わせて、各「メガミ」に割り当てられたカードプールから、対戦相手に有利になるようなデッキを構築するのが、ゲームの準備となります。ちょっとデッキ構築というと難度が高いように思えますが、慣れるまでは構築例が示されていますので、それを使用するのがよいのではないでしょうか。
対戦自体はTCGによくあるカードゲームです。コストの概念だけが特殊なものとなっていて、間合いを詰める(決闘的フレーバーいいですね!)ことでオーラを纏い、オーラを使用したりライフを削られることでフレアという必殺ゲージが貯まる。このフレアを使用して、強力なカードを使用していく流れになります。
トレーディングカードゲームに慣れている筆者には大変わかりやすいゲームシステムで、とっつきやすさはダントツによかったです。しかし、通常のボードゲームに慣れている方は、感覚を身につけるまで少し時間がかかるかもしれません。とはいえ、「メガミ」が複数いることで毎回ゲームが変わるので、リピート性は十分にあり、長く楽しめるゲームになっているように感じました。
オークションでは珍品続出
午後からは恒例のオークションが開催されていました。中には高額になる珍品も続出し大盛り上がり。「ダイナマイトナース」フルセットがオークション最高額を叩きだしていましたが、個人的に興味をもったのは「TRUMP THE GAME(ミスター・トランプ)」。
今、話題となっている大統領候補トランプ氏が20年以上前に製作した、幻のボードゲーム。このゲームの未開封品がオークションに登場しました。
落札額は20,000円と、この日2番目の高額落札となりましたが、果たしてゲームとして面白いんですかね。
アークライト発表では10,000人を突破!
ゲームマーケットは無事に終了。翌日のアークライトの発表では約11,000人の来場者とのことでしたので、前回突破できなかった10,000人超えを果たしました。20年ほど前からボードゲームに触れてきた身としては、たいへん驚くべき数字ですね。
今回、紹介しきれない企業・サークルさんはたくさんありましたが、まだまだおもしろいゲームは眠っているはず。ここから一ヶ月くらいで、今回のゲムマ新作を触る機会は多いと思いますので、オススメゲームが見つかったらご報告したいと思います。
ライター: ボードゲームの通信販売ショップ「ボードゲームショップとど」 店長・ライター:田中 久也
写真協力: ぺらねこ
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