幼児の遊びとして最近は、画面を見つめてひとりで遊ぶテレビゲームよりも、身体を使って考えつつ組み立てたり友だち同士でコミュニケーションしたりする、昔ながらのアナログゲームに注目が集まっています。
積み木やかるたのような素朴な玩具もいいですが、ボードゲームなら子どもと大人が一緒に遊べるし、むしろ大人のほうが夢中になって子どもを巻き込んで遊びたくなるハマれるゲームもあります。ボドゲーマの読者なら、そんな目的でボードゲームを探したり買ったりしたという方も少なくないでしょう。
今回、子どもとボードゲームを遊ぶメリットを保育士のみっぽさんに聞きました。保育士というプロの目線から、ボードゲームで幼児と遊ぶことの教育的効果をおすすめのゲームとともに語っていただきました。
【インタビュー】保育士みっぽ
【 取材協力 】リトルケイブ、人狼ハウス
【その他の参考】子供向けの人気ボードゲーム おすすめランキング
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みっぽさんの保育園事情
みっぽさんは都内の認可保育園に勤める保育士で、今年は3~5歳児のクラス担任でもあります。クラスには5人の幼児が在籍して、子どもたちのリクエストで日々の遊びを決めています。
中には自分から率先して遊びを提案する子、みんなが仲良く楽しめるように盛り上げる子、誰かリードする子に付いていく子など、自然とクラスの中での役割ができてくるそうです。
みっぽさんの保育園には、いわゆるボードゲームはありませんが、トランプや積み木、動物などを描いた手作りのイラストカードで遊ぶほか、この時期には子どもたちと一緒にかるたを作っています。正月休みに家に持ち帰って家族で楽しめそうですね。
ママ・パパに実際におすすめしているボードゲーム
みっぽさんは保育士の日々の仕事に加えて、渋谷・人狼ハウスの別館で、子どもとお母さんを対象にした『おおかみさんのおうち』を主催しています。これは今年9月から月1回のペースで開催している親子向けのボードゲーム体験型イベントです。市販のボードゲームや人狼モチーフの紙芝居などを親子で一緒に楽しむことができます。毎回6組程度の親子が参加して2時間たっぷり遊んでいます。
『おおかみさんのおうち』で使われているボードゲームがこちらのタイトルです。読んでみて「ちょっと気になる!」という方は、以下の一番左の「興味あり」のボタンを押すことで、マイボードゲームに登録しておくことができます。
- カヤナックKayanak
- 294興味あり
- 591経験あり
- 86お気に入り
- 399持ってる
- こぶたのおんぶレース / すすめコブタくん / こぶたのレースRüsselbande
- 74興味あり
- 256経験あり
- 25お気に入り
- 217持ってる
- うさぎのニーノHopp hopp Häschen
- 78興味あり
- 83経験あり
- 8お気に入り
- 64持ってる
- キャプテン・リノSuper Rhino!
- 723興味あり
- 3948経験あり
- 621お気に入り
- 2615持ってる
ルールを少し変えて長~く楽しむ『うさぎのニーノ』
1本目は『うさぎのニーノ』(ドイツ セレクタ社)。対象年齢は3歳以上です。
穴の中で仲良く暮らすうさぎのおうちが突然水浸しになった!さあ大変だ、うさぎを1羽ずつ助けてあげよう!というゲームです。
付属のサイコロには5色の丸とうさぎマークの6面があって、出た色の階段をうさぎが1つぴょこんと登ります。もう1つ階段を登って地上に出してあげたプレイヤーがそのうさぎを1羽受け取ります。
本来のルールでは、「うさぎマークを出したら、階段を使わずに直接1羽救い出せる」のですが、みっぽさんのイベントでは「すでに持ってるうさぎ1羽を穴に戻す」ルールに変更しているそうです。子どもはついついうさぎを独占的に集めようとしてしまうので、教育的な配慮と長く遊ぶためにルールを変えてみたのだとか。
このボードゲームを通じて子どもたちは
社会ルールの学習
順番を守ってサイコロを振って1人ずつプレイすること
数の数え方
サイコロの出た目に従って、5色の階段を1つずつ登らせること
目的の共有
ほかのプレイヤーと協力してうさぎをすべて助ける目的達成のための共同作業
我慢強さ
うさぎマークを出したら1羽戻すというルールによって、悔しがったり残念に思ったりする感情を自分の中でコントロールすること
などが学べるといいます。
上目遣いのうさぎのフィギュアは手触りのいい木製で、フェルトの耳がピンと立っています。最初は乱暴に耳をつかんだり振り回したりする子もいますが、遊んでいくうちに優しく体をつまんでうさぎを大事に扱う子の行動を、自然に真似ていくようです。
おんぶして一緒に進もう『すすめコブタくん』
続いて紹介されたのが『すすめコブタくん』(ドイツ ドライマギア社)。対象年齢は4歳以上です。
長方形のカードをつないで一本道を作り、サイコロの出た目で進むすごろくタイプのボードゲームです。カードの並べ方で毎回道が変わるほか、逆転性のある特殊ルールが用意されています。
コマはカラフルな7匹のコブタ。柔らかいパステルカラーよりも、メリハリのある原色系のほうが子どもには喜ばれるそうです。よく見ると背中とおなかの曲線がぴったり重なる形をしています。
特殊ルール その1
自分の番になったらサイコロを振ってコマを進めるのは通常のすごろくと同じですが、小さな数字(黒の1や2)が出たらもう一度サイコロを振れます。
特殊ルール その2
先にいるコブタと同じ場所まで進むと、そのコブタの上に乗っかります。下にいるコブタが進むときは上にいるコブタを背負ったまま進まなければなりません。上のコブタは自分の番で降りて進めるので、ちゃっかりゴールに近づけるわけです。
特殊ルール その3
さらに、1枚ずつ配られた丸いチップを使うことで、すでに全員が通過した道をゴールの先につなげて道を延ばすことができます。誰かがもうすぐゴールしそうだなと思ったら、自分のコマを進める代わりにゴールを先に延ばしてみましょう。
パッケージやマニュアルには、コブタのコマを積み木に見立てた写真やイラストが数多く載っているので、すごろくが終わったらみんなで協力してバランスよく積み重ねても楽しめます。
童話『ブレーメンの音楽隊』のようになるべく高く積み上げたり、コブタとチップを組み合わせて微妙なバランスのタワーを作ったりするのもアリですよ。
このボードゲームでは
・すごろくの道をみんなで作る創造性や共同作業
・サイコロを連続で振るルールでの足し算
・コマの上にコマを乗せる積み木(バランス)
・自分のコマを進める代わりにゴールを先に延ばす駆け引き
などを学ぶことができます。特にコマの形状や重量バランスが独特なので、積み木のバランス感覚は大人も夢中になる絶妙です。機会があればぜひ手に取ってみてください。
氷上のワカサギ釣りをリアルに再現!?『カヤナック』
今回紹介いただいたボードゲームの中でも特に子どもが熱中するというのが、この『カヤナック』(ドイツ ハバ社)。対象年齢は6歳以上です。穴をあけてもかまわないA4サイズの紙が必要ですが(大きさが合っていればチラシや裏紙で構いません)、子どもと一緒に大人も夢中になることまちがいなし!
まず箱の底に、大小ある金属の球を適当にちりばめます。次に穴が開いた2枚重ねのシートの間にA4サイズの紙を挟んで、箱の上に乗せたら準備完了。順番に2つのサイコロを振ってシロクマのコマを4スミのスタート地点から進めて、コマの隣のエリアで数字のぶんだけ穴を空けて釣り糸を垂らします。
釣り糸の先には磁石があって、その真下にいるワカサギや小魚に見立てた金属の球を釣り上げれば獲得。こうして釣った魚の数を競う魚釣りボードゲームです。
サイコロの目には邪魔するマークもあって、これが出たら穴を空けられないように6角形のチップでふさぐことができます。
紙にズボっと穴を空ける行為は、日常なら子どもがやっても怒られそうなイタズラですが、このボードゲームでは凍結した湖面を掘ってワカサギ釣りをする手順をユーモラスに再現しています。魚の場所が見えないのでどこに魚が多く残っていそうか、予想しながら穴を空けて釣り糸を垂らす感覚には大人も熱中しちゃいますよ。
このボードゲームをプレイすることで
・氷上の魚釣りの基本的な手順の学習・理解(移動して、穴を空けて、釣り糸を垂らす)
・釣った魚の数を競うことでの足し算や大小の比較
・コマの位置で邪魔チップをどこに使うべきか考える行動予測
などが自然に学習できます。でも、学習目的を忘れてひたすら氷にズボズボ穴を空けて釣り糸を垂らすのが楽しくなる、そんなハマリ系のゲームです。
バランスよく積み上げる協力ボードゲーム『キャプテン・リノ』
ここまで紹介したボードゲームは獲得した数やいち早くゴールすることを目的とした競争ボードゲームですが、この『キャプテン・リノ』(ドイツ ハバ社)はちょっと違います。対象年齢は5歳以上です。バランスよく積み上げて、キャプテン・リノのフィギュアをより高みへと登らせましょう。
ボードゲームのライトユーザーからコアユーザーなど、様々な経験層にご利用いただいている当サービス『ボドゲーマ』でも、たくさんの評価がついています。ボードゲーム界における定番作品のひとつにもなっています。
床カードに描かれた形に合わせて「く」の字の壁カードを1~2枚立て、その上に床カードを乗せていきます。これを交互に繰り返すのですが、リノマークがあったら、キャプテン・リノのフィギュアを乗せてあげなければなりません。これが重量バランスを変えるキモ。
このボードゲームを子どもたちとプレイすると
・床と壁を組み合わせた基本的な建物(立体構造)の理解
・重量配分や形状によるバランス感覚
・みんなで作ったタワーを崩さないように協力する一体感や連帯感
などを身に着けることが期待できます。はかなく崩れる紙のタワーをみんなで協力して少しでも高く、昨日よりも上へと積み上げて、リノを登らせる感覚は大人同士で遊んでも楽しいですよ。
今回ご紹介した中でのイチオシ
みっぽさん自身のイチオシは『うさぎのニーノ』。フィギュアのかわいさとルールのシンプルさ、水浸しの住み家からうさぎを助ける優しい目的などが子どもと一緒にプレイするボードゲームにぴったりと推薦してくれました。
気になった方は、以下の一番左の「興味あり」に登録しておくことで、ボドゲーマ会員のレビューやプレイ日記の新規投稿をチェックしやすくなります。
- カヤナックKayanak
- 294興味あり
- 591経験あり
- 86お気に入り
- 399持ってる
- こぶたのおんぶレース / すすめコブタくん / こぶたのレースRüsselbande
- 74興味あり
- 256経験あり
- 25お気に入り
- 217持ってる
- うさぎのニーノHopp hopp Häschen
- 78興味あり
- 83経験あり
- 8お気に入り
- 64持ってる
- キャプテン・リノSuper Rhino!
- 723興味あり
- 3948経験あり
- 621お気に入り
- 2615持ってる
また今回ご紹介したボードゲーム以外にも、子供向けの人気ボードゲーム おすすめランキングをチェックしてみてください。どれも可愛らしい見た目になっています。小学校高学年や中学生以上、大人同士で遊べるボードゲームを探している方は、ボードゲームの総合情報サイト「ボドゲーマ」(当サイト)から様々なゲームを見つけることが出来ます。ぜひチェックしてみてください。
みっぽさん主催イベント『おおかみさんのおうち』
渋谷・人狼ハウス別館にて毎月1回開催している、親子参加のゲームイベントです。この記事で紹介したボードゲームのほか、絵本の読み聞かせや紙芝居、人形劇、どうぶつしょうぎなどさまざまなゲームが用意されています。
次回は12月23日(金・祝日)の11時~13時に開催。参加資格は2歳~小学生の子どもとその保護者。入館料は1人700円でソフトドリンク飲み放題付き。
おおかみさんのおうち
公式ブログ
取材協力・ボードゲームカフェ『リトルケイブ』
JR高円寺駅から徒歩30秒の駅近にある、豊富なボードゲームを30分250円(平日料金)から遊べるボードゲームカフェです。
店内には500を超えるボードゲームが用意されていて、1人で遊びに行っても店員さんやほかのプレイヤーとの同席でボードゲームが楽しめます。また9歳以下は無料なので親子で遊ぶボードゲームを見つけるのにも便利! 知らないゲームはルール説明してくれるほか、今回のように幼児と遊ぶゲームといったジャンルを伝えれば、店員さんからオススメゲームを推薦してもらえます。
リトルケイブ
公式サイト
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