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8ヶ月前

【レビュー】もはや家宝級!究極のブルゴーニュはここにある!

【評価9.5/10】

タイル配置


本作は「マラケシュ」「ノートルダム」「トラヤヌス」「アメリゴ」等の名作を数多く生み出しているシュテファン=フェルト氏の代表作の1つだ。恐らく筆頭作と言っても過言ではないだろう。正式名称は「The Castle of Burgundy(ブルゴーニュの城)」だが、略称のブルゴーニュでも通じるほどボードゲーマーに愛されており、本記事の執筆時(R7.4.6)現在でも世界最大のボードゲームサイトBGGで16位という高評価を受けている。


筆者も個人的にブルゴーニュをこよなく愛しており、過去にもブルゴーニュブルゴーニュプラスの記事を執筆してきた。そんな筆者が、このスペシャルエディション(以下SEと表記)をもって「ブルゴーニュは完成した」と感じたためレビューする。


コンポーネント 〜 質実ともに申し分なし!

まず何よりコンポーネントが素晴らしい。色々と素晴らしい点はあるが、いくつかに要点を絞って説明していこう。


プレイヤーボード

以前の版ではプレイヤーボードが「ちょっと厚めの厚紙」くらいのボードというよりシートのようなもので、何かの拍子に折れてしまうのでは、とちょっと心配になる作りだったが、本SEではプレイヤーボードがしっかりした作りのダブルレイヤーになっており、段差も深すぎず浅すぎず、ちょうどいい塩梅だ。


更にボードがモジュラー式になっており、ベースとなるボードに


1から30までのうち使用するシートをボードに嵌め込んだ後


プラスチック製のタイル仕切りを被せることでタイルのズレも防げる。見た目の良さだけではなくプレイアビリティに直結するこうした気配りが非常にありがたい。



更に嬉しいのはNo.1〜No.30までのプレイヤーボードが全て4人分用意されている点だ。


と言うのも、元祖ブルゴーニュでは4人分用意されている同一ボードはNo.1だけであり、他のボードは1枚ずつ、つまり1人分しか用意されていなかった。そのため複数人が同条件のプレイヤーボードで遊ぶためには選択肢がなく、バリエーション豊かに同条件で遊ぶことが難しかったのだ。

この点は実はブルゴーニュプラスでも一部しか改善されておらず、全シート数は増えたものの4人分入っているのはNo.1と2だけであり、それ以外のボードを選ぶ際はやはり非対称で遊ばざるを得なかった。


しかし、本SEでは同条件の対戦を30種類ものバリエーションで遊べる。これは爆発的な進歩だ。

もちろん、相変わらず全員がランダムにボードを選び非対称で遊んでも構わない。しかし以前の版では望んでも出来なかった「全員No.14ボードで対戦な!」と言う遊び方ができるようになった。これは遊び感向上、リプレイ性向上にとって誠に大きい。


タイル

タイルも質の向上と共にプレイアビリティ向上に一役買っている。

まず改善点はタイルの大型化だ。面積にして約30%の増加との事だが、効果のイラスト自体も巨大化されており、ブルゴーニュプラスの「効果が小さくてやや見づらい」点を修正してくれた。


これだけでもありがたいのだが、更にタイルの裏には英語ながらもタイルの効果がテキストで書かれている。

もちろんサマリーを見ながら遊べばテキストは必要ないのでは、と言われるとそこまでだが、ボードやタイルの大型化に伴いゲームが机上で占める面積が広くなったため、サマリーを置く場所にやや困る場合もあるだろう。こうした際にタイル裏のテキスト表示はさりげない気配りとしてありがたいのではなかろうか。


タイルバッグ

ブルゴーニュを遊んでいると城・鉱山・船はタイルの種類がそれぞれ1種類だが、建物、修道院(以前のバージョンの知識)、家畜、中央市場などは複数の種類があるタイルで、フェーズごとにランダムにセットしなければならず手間を感じることがあった。


本SEではランダム引きを容易にするため、タイルバッグが最初から用意されている

しかもタイルの種類ごとに色が異なっているため見分けも容易なうえ、自立してくれるので置き場にも困らない。袋が最初から用意されているのは見た目に良いだけではなく、プレイアビリティの向上に繋がっている

原作やブルゴーニュプラスでは様々なプレイヤーが自作でタイルバッグを作るなど趣向を凝らしていたようだし、こうした工夫をすることもボードゲームの楽しみの1つであることは理解している。とは言え筆者は最初から専用バッグがあるのが有り難い派だ。

こうした「痒いところに手が届く配慮」に原作へのリスペクトと愛を感じる。


アクリルタイル

これは一番ベーシックなセットには付いていない「アドオン」のため、SEを持っている人が必ず持っている訳ではないが、個人的には触れない訳にはいかない。

私が持っているのは地形タイル+ぶどうダブルタイルのアクリル版だが、これが滅法良い


まず厚み、重み、手触りが心地よい。遊ばない日もアクリルタイルを触りたくなるくらい良い(これは個人的感想なので、感じ方は人によるかもしれない)。


また、ボードからタイルを取り外す際にも違いがある。アドオンしなかった通常SE版のタイルだと、タイルずれ防止のプラスチックレイヤーと高さがあまり変わらず、わずかに空いた隙間に指を引っ掛けて取り出すしかない(ちなみに、タイルとプラスチックレイヤーのサイズは意図的に隙間が開くよう設計されてるので、この作業自体は難しくはない)。

しかし、アクリルタイルの場合はレイヤーから浮いているので、取り外しも容易だ。


アクリルタイルには裏面のテキスト表記が無いので、建物や修道院の効果に慣れていないうちは通常SE版のタイルの方が優れていると感じる面もあるだろうが、効果さえ覚えてしまえば手触りや見た目の好みで選べる。筆者は建物を把握してからはアクリルタイル一本だ。



拡張 〜 過去の拡張、新しい拡張

次に同梱拡張についても触れておこう。

本SEでは、今まで出た拡張はほぼ含まれている。含まれていないのは「ドイツボードゲームチャンピオンシップ2013」で使用された第3拡張、及び同大会2016で使用された第7拡張だけだ。ブルゴーニュプラスで含まれていた「塔拡張」も守衛として含まれている。本SEでブルゴーニュが「完成した」と言えるのは、こうした点も考慮しての事だ。


更に、本SEでは初公表となる新たな拡張も含まれた。それが「ぶどう園」「シャトーマ」だ。過去の拡張については以前の「ブルゴーニュプラス」の記事でも記載したため、本稿ではぶどう園とシャトーマに焦点を絞って紹介していく。


ぶどう園

ぶどう園拡張では今まで「ブルゴーニュなのにワインもブドウも出てこないのはどうして?」と散々ネタにされてきた葡萄が満を持して登場する

基本はぶどう棚にぶどうのダブルタイルが陳列されており、ダイスを利用して地形タイルを取る代わりにぶどうを取って自分の計画エリアに置くことができる。

その後、ダイスを利用してぶどう畑にぶどうを置く。やる事は基本ゲームと大きく変わらない。


ただし、ぶどうはダブルタイルなのが曲者だ。計画エリアには3つのタイルしか保管しておくことができないのに、ぶどうはそのうち2つを占めてしまうのが非常に辛い。が、その分見返りは大きく、ぶどうダブルタイルを置いた瞬間に発生する即時効果が強い。また、自分にとって点数になる品種のぶどうを上手くたくさん繋げることができれば大きな得点源にもなる。


この「置いたら即時効果」は交易路に似た感覚だ。交易路も「該当の商品を売って商品タイルを置いたら即時効果を発動」だったので、ブルゴーニュプラス等で交易路を遊んだことがある人ならすぐに慣れることができるだろう。交易路同様、ぶどう園も導入によりダイナミックなプレイ感を得ることができるアッパー系の拡張だ。


また、「他人の邪魔のために自分には不要なタイルを取る」動きは、ダブルタイルを置く余地を低下させるため、ぶどう園導入時はカットの旨みよりもデメリットを強く感じる可能性がある


これらの二重の意味で、本拡張の導入は心地よいプレイ感に大いに寄与する潜在力を秘めていると言って良いだろう。


ちなみにぶどう園のボードはプレイヤーボードとしっかり組み合わせることができ、小道で繋がっているフレーバーも良い。


段々畑もしっかり立体的になっており、こうした細かな配慮がプレイ体験を特別なものへと変えてくれる。


シャトーマ

この拡張はいわゆる「オートマ」、つまり自動操縦プレイヤーだ。ソロで遊ぶ際には対戦相手になるし、対人戦においてもプレイヤーを増やすために使える。

シャトーマは専用のデッキと「シャトーマボード」を持っており、独自のルールに基づいて動く。このシャトーマの動き方の仕組みは若干複雑で、慣れるまでに2、3戦を要するかもしれないが、一度慣れさえすれば処理の根幹は難しくないことに気付くだろう。


細かな部分については表記に若干曖昧さが残っているように思えるものの、個人的にはついにブルゴーニュに本格的な対戦型ソロが実装された点を大いに評価したい。


ブルゴーニュプラスでもソロルールは導入されていたが、それは「ソロ専用のプレイヤーボードを用いて、37タイル全てを埋め尽くすことが目的」というパズル的な要素が強いものだった。それはそれで面白みはあるものの、「共通の盤面からお互いにタイルを取り合い、相手の狙いを防ぎつつ自分の狙いをやり遂げたい」と願いながらダイスに翻弄されるブルゴーニュの面白みとは少し違う気もしていた。

SEにもちゃんとプラスと同様、ソロボード(第10拡張)が入っているので引き続きこのソロでも遊べる。


それが、本SEでシャトーマが導入されたことにより「お前の好きにはさせんぞ!」と狙ってタイルを取りに行く、という「ブルゴーニュらしい面白さ」をソロでも楽しめるようになった。この点は大きい。


シャトーマはぶどう園を始め、様々な拡張を導入しても対戦できるように設計されている。高価な本SEを購入しても遊べる相手が居ないので棚に飾っておくだけになりそう…などという心配は無用だ。存分に対戦の醍醐味に興じよう。

左がぶどう園無し用シャトーマデッキ、右がぶどう園あり用デッキ


(余談だが、ブルゴーニュプラスでシャトーマと遊びたい1ユーザーがプラス用シャトーマを自作してBGGで公開したようだ。シャトーマの日本語ルールもネット検索などで探せば容易に見つかるはずなので、興味がある方はぜひ試してみていただきたい)



弱点

さて、名作ブルゴーニュをついに完成させた感のある本SEだが、明確な弱点としては「大きくて重い」という点くらいしか無いように筆者には感じられた。

そもそもブルゴーニュプラスの記事の際に書いた事だが、ブルゴーニュプラスの薄いプレイヤーボードを残念と思いつつも、もし堅牢な作りで作った場合、箱の厚さも重みも、そして値段もこんなものでは済まなかっただろう、と予測した。

まさしくSEではその危惧が現実となっただけの事だ。

これはいわばトレードオフの関係で、持ち運び・取り回し・求めやすい価格を重視すればブルゴーニュプラスのような形になるし、プレイ体験とコンポーネントの豪華さ、堅牢さを重視すればSEのようになるという話でしかない。従って、箱の大きさも重さも、このプレイ体験が得られるのであれば甘んじて受け入れるべき範囲のものだろうと、個人的には思う。


そして、逆を言えばブルゴーニュSEにはそれくらいしか弱点が無い。このプレイ体験が得られるのであれば許容範囲とすべき「大きさと重さ」が弱点かもしれない、くらいだ。


もっと根源的な話をすれば「そもそもブルゴーニュの城というゲーム自体が持つ弱点がうんぬんかんぬん」のような話はあるのかもしれない。しかしブルゴーニュの原作やプラスではなくSEのレビューを読んでいる人であれば、既にそうした「うんぬん」は飛び越えてきた人なのだろうと思う。そうした人に対し、本SEをお勧めしない理由は「ない」。本当に無いのだ。


私も最初はブルゴーニュプラスを持っているのに、あえてSEをKickする事に若干疑問を感じてはいた。本当に必要なのかと。

しかし実際に遊んでみて気付かされた。むしろ我々が今まで遊んでいたプラスが「本物のブルゴーニュを持ち出し可能にした、ポータブル版だった」のでは無いかと。それほどの衝撃と感動と満足感が、このSEには詰まっている。


筆者は好きなゲームであっても弱点を「あえて」探し、複数の視点に立った公平なゲームの見方に注力してきたつもりだ。しかし、本SEだけはどうやらそれは難しい。評価も「基本的に10点は付けない」という自分の基本方針が無ければ10点を付けていただろう。いや、もしかすると12点を付けていたかもしれない。それぐらいの家宝級ゲームだ

本作を現実のものとしてくれたアレア、ラベンスバーガー、Awaken Realms、そして原作者であるシュテファン=フェルト氏に深い感謝を捧げたい。


まとめ

以上、ブルゴーニュの城スペシャルエディションについて、筆者なりの視点から分析と評価を加えてきた。

ブルゴーニュそのものについてはここでは触れないが、本作はその後継として

質実ともに素晴らしいコンポーネント、特にNo.1〜30の全ボードが4人分用意されている点はまさしく完成版と感じさせてくれる。
また、過去リリースされてきたうち一部を除くほぼ全ての拡張を含み、
更には新たなアッパー拡張(もしかすると余計なカットを抑制してくれる可能性もある)であるぶどう園、初の対戦型ソロ「シャトーマ」なども搭載。

これらを高次元でまとめた本SEは間違いなく「ブルゴーニュの完成形」であり、ブルゴーニュのファンであれば所有しない理由がない名作、神作である


本SEの箱が大きく重いことは否めない。が、コンポーネントをここまでしっかり作れば当然の結果であり、今後も「携帯性のブルゴーニュプラス」「完成度と満足感のSE」という形で棲み分けが続くだろう。SEを手にした人は似たような思いを抱いているのではないだろうか。筆者も引き続きプラスとSEの両方を所有し続けるつもりだ。

プラスを持っている方でも本SEに手を出す理由は十分にある。
ぜひ共に至高のひと時を味わおう。



以上です!

評価9.5は自分でも初めてのゲームです!今年(2025年)は毎月1作ずつ、その月のベストと思った作品をレビューしているため月末執筆が多かったのですが、4月は他に何を遊んだとしても本SEを越える作品は現れないだろうと確信し、本記事執筆に踏み切りました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!本レビューが皆様の良きボドゲライフのお役に立てば何よりです^^


最後に、参考までにブルゴーニュ関連の拙筆記事へのリンクを載せておきます。気になった方はぜひ本記事と併せてご覧いただけると幸いです☺️🙏


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