- 3人~8人
- 30分前後
- 6歳~
- 2008年~
ディクシット18toyaさんのレビュー
適度に当てて適度に外して欲しい!ワード系ボードゲームの名作!
【評価8/10】
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本作はジャン=ルイ=ルビラ氏の作品であり、2009年から2010年にかけて数多くの賞にノミネートされ、更に2009年にはアスドール賞、2010年ドイツ年間ゲーム大賞・ハンガリーボードゲーム賞を受賞した、まさしく「一世を風靡した」ワード系ボードゲームだ。
既に投稿されているレビューの数(R7.9.29時点で90本)を見ていただければ分かるが、本作はすでに名作としての評価は決している。このような作品について、新たな視点を提供することは相当難しい。
とは思いながらも、筆者は個人的に本作に大変お世話になっているし、楽しませてもらっている。つい最近も直近2ヶ月(8月、9月)にまたがり、お初の方と卓を囲んで楽しませてもらった。これだけ楽しませてもらっている名作なので恩返しの意味でもレビューをすべきではないかと思い直し、筆を握った所存である。
【本作の流れ】
以下、本作の流れをざっくり説明する。
本作では「語り部」とその他のプレイヤーに分かれ、語り部は周り順でどんどん次の人に移っていく。
語り部がテーマを設定
全員が6枚の手札を手にしたのち、語り部のプレイヤーは6枚ある手札から1枚を出しながら、そのカードを当ててもらえる「何か」を表現する。
この「表現」、実際にゲームで遊ぶ時はおもに言葉を使うことが多いのだが、ルールブックによれば文章や擬音でも良く、更にバリエーションルールを採用すれば歌やジェスチャー等でも良いということになっている。実際に歌やジェスチャーでテーマを示す機会は珍しいだろうが、いろいろなバリエーションで楽しめる道が用意されていることは覚えておいても良いだろう。
例:語り部はこのカードを選び、テーマは「怪物」と設定した。
各プレイヤーは全員、カードを1枚提出
各プレイヤーはこの語り部の表現を見て・聞いて、それに当てはまりそうなカードを自分の手札から1枚選び、語り部に渡す。
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語り部のカードだと思うものに投票する
語り部は各プレイヤーから受け取ったカードと自分の正解カードを混ぜたのち、カードを一列に並べる。
各プレイヤーにはなかなか良いカードがあったようだ。果たして、語り部の選んだカードは投票してもらえるだろうか。
各プレイヤーはこれこそ語り部のカードだ!と思うものを秘密裏に選び、「投票トークン」を自分の前に裏向きにして置く。
答え合わせと得点
全員が投票トークンを置いたら答え合わせ!対応するカードの近くに投票トークンを割り振ったのち、語り部が「自分が選んだカード」を公開する。
1に1票、2に2票、5に2票と票が割れた。語り部は自分が出したカードを投票してもらえてホッとしている事だろう。
得点は「プレイヤー全員が語り部のカードを当てる」または「全員が外す」と語り部以外の全員が2点を得る。
全員正解でも全員ハズレでもなく、一部の人が語り部のカードを当て、残りの人が外した場合は、語り部と正解できた人達がそれぞれ3点を得る。
上の例で言うと、全員正解でも全員不正解でもなかったので、語り部(赤)と正解したプレイヤー(白、ピンク)が3点を得た。
なお、語り部以外のプレイヤーで「語り部の投票なのでは?」と推測してもらって投票をもらえた場合は、1投票につき1点を得ることができる。
上の例で言うと、青に投票してもらえた1のカードを出した白プレイヤーが1点を。 緑、黄色に投票してもらえた5のカードを出した青プレイヤーが2点を得た。
ここまで終わったら、ターンは終了。語り部は時計回りに左隣のプレイヤーに移る。
各自、手札を6枚まで補充したら、新たな語り部がテーマを設定し…と言う具合にゲームを繰り返していく。
ゲームの終了
そうこうしているうちに山札が尽きたらゲーム終了。その時点で最も点数を得ている人が勝者となる。
ここで山札が尽きて終了。トップを走ったピンクプレイヤーの勝利
【本作の醍醐味】
本作のポイントは「巧妙な得点システム」にある。
上記した通り、語り部はプレイヤー全員に正解を当てられてしまうと自分には点数が入らないので美味しくない。さりとて、誰も当てられないテーマでもダメ。
となると、「ほどほどに当ててもらえて、ほどほどに外してもらえるテーマ」を設定する必要がある訳だ。言うのは簡単だがこれがなかなか難しい!だが面白い!
ここで語り部以外のプレイヤーの心理を考えてみよう。語り部以外のプレイヤーは最低でも自分は語り部のカードを正解したい。全員が当ててしまっても2点はもらえるし、うまく自分以外の誰かが投票を外してくれれば3点もらえるかもしれない。
しかも!もし「自分が出したカード」を「語り部の選択したカード」と誤認してもらえたら、他の人から投票してもらえる可能性もある。これは得点チャンスだ。うまいことすれば、自分以外のプレイヤーはみんな自分が出したカードに投票してくれて、自分だけが語り部のカードを当てられるかもしれない。そうなれば一番オイシイ。
従って、語り部以外のプレイヤーは一生懸命「語り部の選択と誤認してもらえそうなカード」を選んで語り部に送り込むことになる。
こうして、プレイヤーは決して語り部に協力している訳では無く、自らの欲望に従って動いているだけなのに、まるで協力したかのように「正解がいくつもあるように見える」カードたちが場に並び、場は混迷を深める事となる。
この構造が非常に美しくも面白い。巧みな得点システムによって、お互いに「自分が一番得したい」と利益を追求する結果、逆に混乱を生むと言う構造。これはまるで「囚人のジレンマ」のようであり、本作の面白さの根幹はこの得点システムによって生まれている、と言っても過言ではない。
一方で、語り部としては「完全な混乱」は困る。全員が外してしまうと自分は1点ももらえないのだ。従って、答え合わせをするだけのはずの語り部側もハラハラしながら皆の投票を見守ることになる。
こうして、全員が固唾を飲んで見守る中、最後の答え合わせに皆が一喜一憂する。
ルールは1枚の裏表に収まるくらいのシンプルなゲームではあるが、その実ゲームが盛り上がるよう、人間心理を巧みにくすぐる仕掛けがしっかりと盛り込まれた本作「ディクシット」。
そりゃあ、色んな賞を総ナメにしますわな!!😆
ルールはペラ1枚だがゲームの味わいは奥深い。
【弱点】
と、人間心理の癖をつき、全員が(答えを知っている語り部すら)ハラハラできる本作・ディクシット。
紛れもない名作なのだが、弱点も皆無ではない。
それは、本作の醍醐味である「語り部のテーマ設定」と密接に関連しているのだが、「上手くテーマを設定できれば、各プレイヤーから出されたカードの中には正解に見えるものも紛れ込み、絶妙なゲーム難度になる」のだが、逆を言えば「テーマ設定にしくじると語り部のカードがあからさまに分かってしまう場合がある」点だ。
本作では上記した通り、良いテーマとは「語り部以外のプレイヤーもテーマに沿ったカードが出しやすく、全員当たることも全員外すこともない」テーマとなる。しかし、これには多少の熟練が必要だ。
語り部が選んだカードが浮き彫りになってしまうようなテーマが提示されてしまうと、他のプレイヤーがカードを選ぶことに意味がなくなってしまう。こうなると「創意工夫の範囲」がほぼ無くなる。もっと言えば「インタラクションの消失」だ。
こうなってしまうと面白い面白くないのレベルを越えて「ゲームとして成立しなくなる」危険性すらある。
これを回避する方法として、本作の持ち主など、熟練者が最初にテーマを提示して見せるという手法がある。本作のテーマの提示の仕方が「自分のカードを特定できるように設定する」のではなく、「他の人もカードを出しやすそうなテーマを出すことに意味がある」ことを、具体例を持って知ってもらうのだ。
それでも、もしかすると「全体のカードにどんな絵が描かれているのか分からないから、どういうテーマを出せば皆も出しやすくなるかが分からない」と言われるかもしれない。そうした場合は、全てのカードを見せてもよいのだが時間がかなりかかってしまうため、数枚程度カードを開いて見せてみるのも良いだろう。
色んな解釈が出来そうなカードたち。「こんな感じのカードだよ」と例示するとイメージも湧きやすいかもしれない。
【まとめ】
以上、本作のゲームの流れと醍醐味、本作が抱える弱点を見てきた。
本作では、「語り部役」のプレイヤーが選んだカードと、各プレイヤーが選んだカードたちがひとまとめにされた中から「語り部役が選んだ、たった1枚のカード」を当てることが目的となる。
語り部役は「全員正解」も「全員不正解」もどちらも自分が点数を得られないので、適度に当ててもらえて適度に外してもらえるような絶妙なテーマ設定が求められる。
プレイヤーは語り部役のカードを当てることが点数を伸ばすために必要な一方で、自分のカードを語り部役のカードと誤認してもらえれば点数が得られるので他の人に選んでもらえそうなカードを語り部役に渡すことになる。結果、プレイヤー同士がお互いに騙し合うような形となる訳だ。
答えを知っている語り部役も、全員正解・全員不正解を避けたいという思いから、ドキドキして皆の投票を見守ることになる。
このように、本作ディクシットは、語り部役であってもそれ以外のプレイヤーであっても投票をドキドキしながら見ることができるという巧妙な仕組みが組み込まれた名作である。
一方で、「絶妙なテーマ設定」というのが初見プレイヤーには難しいと感じられる面は弱点ではあるが、熟練したプレイヤーが例を示すことで回避を図ると良いだろう。事前にカードを数枚程度見てもらい「手札はこうした漠然としたいろいろな解釈ができるカードたちだ」と知ってもらうのも効果的かもしれない。
総じて、本作はボードゲームに慣れていない人でも遊びやすい作品である。ファミリーで遊んだり、仲間同士のパーティゲーム、オープン会での導入ゲーム等として使う時は、特に力を発揮するのではないだろうか。
遊んだことがない方はぜひ一度プレイしてみて欲しい、ワード系ボードゲームの名作。それが本作ディクシットである。
以上です!
我が家のボードゲーム黎明期は家族で遊ぶために購入し、かなり活躍してくれました。
その後も「ボードゲームをどれくらい遊べるか、力量が分からない人と一緒に遊ぶとき」や「ボードゲームへの熟練度合いが様々な人が入り混じって遊ぶ時」などで活躍してくれています。
「ヘビーゲーマーだけで遊ぶクローズ会」のような場には馴染まないという面は否めません。ですが、適切なシチュエーションで使えば2025年現在でも十分に力を発揮してくれる本作、使うシチュエーションが思い浮かぶ方はぜひ試してみていただきたいです!
長文乱文、失礼しました。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。皆様の良きボドゲライフに貢献できましたら何よりです♪
カードを増やす拡張や12人まで遊べる拡張等もあり、末長く楽しめます^ ^
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例:語り部はこのカードを選び、テーマは「怪物」と設定した。
各プレイヤーにはなかなか良いカードがあったようだ。果たして、語り部の選んだカードは投票してもらえるだろうか。
1に1票、2に2票、5に2票と票が割れた。語り部は自分が出したカードを投票してもらえてホッとしている事だろう。
上の例で言うと、全員正解でも全員不正解でもなかったので、語り部(赤)と正解したプレイヤー(白、ピンク)が3点を得た。
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緑、黄色に投票してもらえた5のカードを出した青プレイヤーが2点を得た。
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