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  • 10歳~
  • 2024年~

キャッスルコンボ18toyaさんのレビュー

411名
14名
0
13日前

【レビュー】軽いプレイ感の中にゲーマ的思考が要求されるナイスな軽中量級!

【評価8/10】

オープンドラフト✖️タブロービルド✖️セットコレクション✖️配置パズル


本作は「ファラウェイ」「フリップ7」「マインドアップ」「キューバーズ」などをリリースしているキャッチアップゲームズ社の作品。同社は軽中量〜中量級の作品を得意としている印象があり、本作もこうした流れを汲んだ軽中量ゲームとなっている。作者は「ダーウィンの足あと」「フェスティバル」などを手がけたグレゴリー=グラード氏と、同氏との共作が多いマシュー・ローセル氏。


ゲーム性はファラウェイとはいささか異なるものの、本作もまた非常に遊びやすくコンパクトにまとまった良い作品だった。2025年ドイツ年間ゲーム大賞のノミネートにも挙がっていた本作の概要を以下でレビューしていきたいと思う。


◇概要◇

本作は9手番を通して9枚のカードを獲得し、3x3のエリアに配置してなるべく高得点を取れるよう目指していくゲームだ。

非常にシンプルに聞こえると思う。実際ゲームの展開は分かりやすくルールの説明も容易だ。ただし「誰よりも高い得点を取ること」はそう簡単ではない。悩めるポイントもしっかりと盛り込まれている。


本作は最初に手番順が決まると、あとは時計回りに次のプレイヤーへ、次のプレイヤーへと手番が回っていくタイプだ。繰り返しになるが本作で核となる動きは「陳列されたカードの中から1枚を選んで獲得し、自分の3x3のエリアに配置していく」こと。非常にシンプルだ。

ただし、ディスプレイは3枚が2列となっており片方の列は必ず城デッキから捲られ、もう片方の列は村デッキから捲られる。プレイヤーはこれらの列のうち、基本的には使者駒が置かれている列からしかカードを取る事ができない


この場合は、上の列からしかカードを取る事ができない


使者駒が置かれている列の陳列カードに不満がある時は「鍵」を使って使者がある列の陳列カードを全て捨てて引き直したり、使者駒をもう一つの列に動かしたりする事ができる。ただし、初期資源の鍵は2本しかない上に、鍵は使わずに最後まで残せば点数になるので使い所が大事になる。

このように、基本的には使者駒がある列から、そして時には鍵を活用しながら効果的なカードを獲得して最終的な高得点を目指す訳だが、取るカードの中身だけではなく取ったカードを自分の「3x3エリア」のどこに置くかもまた、重要だ

カードは概ね即時効果と最終時点での得点を持っている。即時効果も最終時点での得点も、基本的には自分が作った盤面から影響を受ける。即時効果はアイコンを揃えることでお金や鍵といった資源を多めにもらえることがあるし、得点も同じ縦列や横列でアイコンを揃えることで得点を伸ばせたり、逆にアイコンを重複させない方が高得点になったりと、様々な得点方法がある。

時には一度置いてしまったカードを後から「なんであの時自分はここに置いたのか」と悔しく思う事もあるだろうが一度配置してしまったカードを後で別の場所に移動させる事はできない。置いてしまったからには自分の配置を最大限に活かして点数伸ばせるよう、カード間のコンボを組み合わせて考えていく事になるが、コレが悩ましくも楽しい!

以上の流れを各プレイヤーが9回繰り返し、最終的に全プレイヤーの3x3エリアが全て埋まったらゲームは終了。自分の場におもて面で置いた全カードの得点を合計し、更に余った鍵を1個1点として合算して最も得点を取った人がゲームに勝利する。


一見シンプルに思えるゲームの流れだが、悩ましい要素もしっかりあるので以下で説明したい。


◇本作の醍醐味◇

カードの獲得

カード獲得での悩みどころは以下の通りだ。

・即時効果を重視したカード獲得と得点を重視したカード獲得

・どのタイミングでしゃがむのか

・鍵を使うか使わないか

・使者駒が移動するカードを獲得しても良いのか


【即時効果を重視したカード獲得と得点を重視したカード獲得】

本作では初期資源として15金と2鍵をもらえる。カードをおもて面で自分の場に配置することを本作では「雇用」と言うのだが、一部0金のものもあるにせよ、基本的に雇用にはお金がかかる。雇用に5金以上が必要となるカードも少なくない。

各カードには即時に発動する効果と得点計算の両方が書かれている。即時効果の方は自分の盤面を参照する効果が多く、お金や鍵がもらえる効果が基本だ。場合によっては隣のプレイヤーのアイコン数を参照するカードもあって面白い。中には雇用する時の割引効果が書いてあるカードもあって、これは配置した後から常に発動している。

即時効果は拡大再生産のように、序盤よりも後半の方が効果が強くなる傾向がある。これは非常にタブロービルド的な遊び感だ。

一方で得点を伸ばすには「パズル+セットコレクション」のような要素が強い。

このように、一見9枚のカードを取るだけのシンプルなゲームと見えて、その実「即時効果と得点」の2層構造+平面上でどのようにカードを配置するかというパズルの楽しみという複数の要素が層を成している。非常に巧みな構成のゲームだ。


【どのタイミングでしゃがむのか】

さて、雇用にお金がたくさんかかる高いカードは強力な即時効果や高い得点力を持っている、いわゆる「バリューの高い」カードが多い。そのため、できれば高額カードをたくさん雇用したいのだが、問題はお金だ。高いカードばかり買っていては息切れしてしまうので、時折力を溜めるための「しゃがみ」も重要になってくる。

しゃがみには2種類あり、1つは安いカードを雇用しつつカードの即時能力でお金を得る方法だ。これは場合によって「都合のいいカードを雇用しつつお金を稼げる場合」もある。しかし、即時効果で十分お金を稼げなかった場合はもっと明確なしゃがみをする必要があるだろう。それが「獲得したカードを裏向きで置く」という方法だ。

時には裏置きも大事


獲得したカードを裏向きに置くと「6金と鍵2個」を得ることができる。ただし得点には一切絡まない。ゲームに勝つためには得点を取らなければならないので、できれば裏置きは何度もしたくない。しかし、しゃがむと損だからと思って中途半端な金額のカードばかり買っていると得点には繋がりづらいのも事実だ。結局メリハリを付けて「しゃがむ時はしっかりしゃがむ」のも一つの作戦だろう。

いずれにせよ、一度もしゃがまずに最後まで配置し切ることが強い行動とは限らない。後々しゃがみが必要になる事を過度に恐れず高額なカードを買った方がいい場合もある。しゃがむか、しゃがまず耐えるのかはいつでも悩ましいポイントだ。


【鍵を使うか使わないか】

さて、序盤は選択できる範囲の中でカードを選ぶことが多いだろうが、中盤以降自分の得点の方針がある程度明確になってくると、どうしても「今取れる3枚のカードには魅力的なものがない」と言う場面が出てくる。

各プレイヤーの手番時に陳列されているカードは常に6枚だが、基本的な選択肢は使者駒がいる側の3枚の中から1枚を選ぶことだ。今使者駒がいる列の3枚の陳列カードの中に取りたいカードがあれば問題はない。しかし戦略とうまく合致するカードがない場合は鍵を使ってカードの選択肢自体を入れ替える手が打開策になる場合が少なからずある。

各プレイヤーは自分の1手番中に1回だけ「鍵1個」を使ってカードを取る列を変更する(村→城、またはその逆)か、または使者駒はそのままで、陳列カードを全て捨て札にし、山札から3枚を捲って陳列カードを変更することができる。ただし、陳列カードを捨てて山札から3枚捲る行為は結構なギャンブルだ。鍵を使っても陳列カードが自分にとって美味しくなる確証はないし、更に他のプレイヤーに美味しいカードが捲れてしまう可能性もあるのだ。「結局どちらが良いのか」は誰にも分からない。

鍵は最後まで使わずに残しておけば1鍵1点にはなる。更に鍵の点数を上昇させるカードというものもあるので、鍵を使うほどの盤面なのか?と考え始めると非常に悩ましくなる。このような、陳列カードを全部入れ替えるアクションはちょっとしたギャンブル感があり、ゲームを非常に盛り上げてくれる。


【使者駒が移動するカードを獲得しても良いのか】

上記で見た通り、自分がカードを取るときに列を変えるためには鍵を使う必要がある。しかし、カードの中には「自分がそのカードを獲得した際に使者駒が動く」ことを示す、▲または▼マークの入ったカードがある。


結局は自分が得点を伸ばさなければ勝てないので、自分がベストのカードを取る!この考えももちろん大事だ。しかし、自分が得る利益よりも、列が動くことによって他の人が得る利益の方がかなり大きくなってしまうとしたらどうだろうか?あなたは、それでも使者駒を動かすカードを取れるだろうか。

もちろん、たった9枚のカードを獲得して配置するだけのゲームなので軽い気持ちで欲しいカードを直感的に取っても良い。正解は誰にも分からないのだから。



初心者へのアドバイスがしやすい

上記で見てきたように、カードの獲得にまつわる複数の「悩ましポイント」はボードゲーマーでも楽しめる要素となっている。

しかし、本作がゲーマーのためだけに作られた作品かと問われたら答えはノーだ。ゲーマーでも楽しめる要素がある一方で、本作は初心者でも遊びやすい特徴も備えている。

一つは各プレイヤーが秘匿する個人情報が存在しないことだ。手札等、自分だけしか見られない情報というものはなく、3x3エリアに置かれたカードも、所持金も鍵も全て公開情報となっている。従って、他プレイヤーからのアドバイスもしやすい。無論アドバイスをするかしないかは相手によって決めれば良いが、いざアドバイスをした方がいいという場合には同卓者が容易にアドバイスできる。これは心理的なハードルをかなり下げるのに役立ってくれるだろう。


選択肢が良い意味で絞られている

また、初心者が遊びやすいもう一つの特徴として、選択肢の幅が多過ぎず手頃、という点がある。

上記してきたように、鍵を使わないなら基本的にカード獲得は「3枚のカードの中から1枚を選ぶ」というシンプルな選択となる。鍵を使うと色々と選択肢の幅が増えるので少し複雑だが、経験者が「ここは鍵を使って列を変えるのも一つの手だね」など、基本的な考え方を伝えれば判断の助けになるだろう。ここにも上記の「秘匿情報がない全公開盤面のためアドバイスがしやすい」長所が生きてくるのだ。



◇弱点◇

上記で見てきたように、本作は軽中量級の中にボードゲーマーでも楽しめるカード獲得の悩ましさ初心者でも楽しめる仕組みを詰め込んだ良作である。

実を言うと弱点らしい弱点はないが、かろうじて探すとすれば、本作は比較的短時間で遊べるよく出来たゲームゆえに何度も遊びたくなる訳だが、そうした時に村・城デッキ各39枚というカードプールはどの程度のリプレイに耐えうるのか、不安があることだろうか。

何とか捻り出した弱点なので若干推測混じりなのをお許しいただきたい。ただし光明もある。海外では既に拡張が出ているのだ。本作が十分に売れてくれれば拡張も日本語版でリリースされる可能性がある。ぜひ皆さんも本作を購入し、遊んでみて欲しい。



◇まとめ◇

以上、本作の概要を見てきた。

本作キャッスルコンボは

・9手番で9枚のカードを獲得し、盤面に配置して高得点を目指していく、わかりやすいゲームだ。

・ルールの説明も比較的容易だが悩ましさもしっかりとある。

・カードの獲得にまつわって即時効果と得点力のバランスをどう取っていくのかが悩ましくも面白い。

・また、いつしゃがむのか、しゃがまず走り切るのかを考えるのも醍醐味。

・鍵の使い方は2種類あって、どちらも獲得できるカードを変更する力があるが、特に山から引き直す効果は自分に都合がいい捲れになるとは限らずギャンブル。だがそれが良い

・盤面に秘匿情報はなく全て公開の点は熟練者が初心者にアドバイスしやすく

・取りうる選択肢が程よく絞られている点を考慮しても、ゲーマーのみならず初心者も遊びやすい作品だ。

・弱点らしい弱点はないが、カードプールがリプレイに耐えうるのか少し不安があるが

・海外では既に拡張も出ているので日本語版でもぜひリリースしていただきたい。

総じて、初心者からゲーマーまで楽しむことができる、バランスの取れた良き軽中量級ゲームである。未プレイの方はぜひ遊んでみていただきたい。



以上です!

軽中量級のゲームのレビューとして、もう少し短めにまとめようと思ったのですが、少し長くなってしまいました!皆さんに本作の面白さが伝われば良いのですが。

本レビューを最後までお読みいただきありがとうございました。皆様の良きボドゲライフに貢献できましたら何よりです^^

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