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  • 1人~2人
  • 45分~90分
  • 12歳~
  • 2022年~

オラニエンブルガー運河18toyaさんのレビュー

411名
15名
0
6ヶ月前

【レビュー】経路と建物の配置もアクション順も大事!あちらを立てればこちらが立たず、脳が痺れる良質パズル!

【評価8.5/10】

ワーカープレイスメント✖️リソース管理✖️カード配置


本作は超代表作「アグリコラ」を始め、「カヴェルナ」「アルルの丘」「オーディンの祝祭」「ヌースフィヨルド」「グラスロード」「ブラックフォレスト」等、傑作良作を数多く生み出してきたウヴェ=ローゼンベルク氏の作品。

本作は2023年にリリースされた作品のため、2025年5月時点でリリースから2年近くが経過していますが、今遊んでもなお十分楽しめる作品と考えたため、やや遅めながらもレビューしたいと思いました^^


なお本作のプレイ人数は1〜2人となっていますが、筆者はソロのみの稼働なので主に「ソロプレイヤーから見たオラニエンブルガー運河」を語ることとなります。事情をご理解いただけると幸いです。




さて、ソロゲームとして見た本作は以下のような特徴を備えています。

⭕️準備が簡単

⭕️基本的な仕組みは非常にシンプル

⭕️パズル好きな人にとっては最高級の没入感

⭕️大胆な削ぎ落としによる単純化と要素の集中

✖️「オラニエンブルガー語」の読解が難しい

⭕️ソロキャンペーンがアツい

✖️写真映えはやや残念


では、一つずつ見ていきましょう。


準備が簡単

複数人数で遊ぶ時も「準備が簡単」な事は大事なのですが、ソロの場合は特に顕著です。というのも複数人で遊ぶときは同卓の人と一緒に準備できますが、ソロだと1人で全て準備しなければならない。

もちろんソロゲーマーだってオーディンやアルルのような「準備が超大変系のゲーム」だって遊びます。ただ、「今日はオーディンの気分だな」と言ってサッと出す、とはいかない。準備が大変なゲームを遊ぶ時は準備前にそこそこ気合を入れる必要があります。だから、出すのが大変なゲームはしばらく出したままにしたいくらいなんです…私だけじゃないですよね? 笑


その点、本作オラニエンブルガー運河は超優秀。
自分のボード(産業ボード)と資源ホイール、アクションボードを出し、小物(資源駒、アクションディスク等)を指定の場所に置いて、あとはその日遊ぶデッキを決めたら緑6枚、赤5枚、青7枚を抜き出してシャッフルし、所定の場所に置いて準備完了。箱から出して5分でもう遊べちゃう!


筆者はお金、点数、経路を収納のまま使用してます。準備も片付けも労力が短縮できて楽チン♪


この手軽さはソロプレイヤーにとって非常に重宝。気軽に出せるゲームはぶんまわす回数も増えるってものです!



基本的な仕組みは非常にシンプル

準備が簡単なことに加えアクションが非常に分かりやすく、基本的な骨組みがシンプルなのも本作の長所です。


アクションボード。各エリアで出来るアクションは直感的に理解しやすい


アクションエリアは7種のみであり、そのうちの2つは

・基本資源である木を4つもらう

・基本資源である粘土を4つもらう

と、リソース補充のみの役割です。


その他、

・基本資源の木/鉱石/粘土のどれかを3つもらう、または「橋を1つ作る」

・「建造物を1つ作る」+「小道or道路を1つ作る」

の2つは1ゲームを通してずっと同じアクションを使えるエリアなので、これも分かりやすい。


残り3つのアクションエリアは、「最初から利用可能なアクション」と「最初のうちは未解放だが、ラウンドが進むと使用可能になるアクション」があり、上記の4つとは少し異なります。ただ、視覚的に「カードが置かれて隠れている間は使えない。ラウンドが進んでカードがなくなったらアクションが見えるようになり、その後は使用可能になる」という分かりやすさがあり、複雑という程でもありません。


・「建造物を1つ作る」+(置かれたカードが無くなったら「橋を1つ作る」)

・「小道か道路を3本作る」 または(置かれたカードが無くなったら「小道+道路+橋を1つずつ作る」)

・「好きな経路を2つ作る」 または(置かれたカードが無くなったら「建造物を1つ作る」)


デッキが捲れることで隠されたアクションが


これだけです。

こうして見るとアクションは「資源をもらうか、道を作るか、橋を作るか、建物(カード)を建てるか」の4種類しかなく、各エリアはこれら単体か、いくつかのアクションが合体しているだけで、出来る事は結局シンプル。


アクションの内容が分からない、と悩むことはほぼ無いでしょう。


ちなみにアクション関係で処理をスムーズに進められるよう、ちょっとした小ネタを投稿していますので、良ければこちらも合わせてご覧ください^ ^



パズル好きな人にとっては最高級の没入感

ただし!

ただし、アクションの内容は難しくなくてもゲーム自体は簡単とは限らない。高得点を目指し始めると途端に、本作は難しいゲームに様変わりします。


まず、本作はゲームを見た感じの印象どおり「建物を建てていくことが主題のゲーム」ではあるのですが、「何も敷かれていない経路」からマイナス点を受ける仕組みとなっており、実は経路も重要です。従ってマイナス点を消していくためには経路をどんどん敷設して空き経路を少なくしていく必要があります。

一方で、建物の敷地の方は空き地のまま終わってもデメリットはありませんが、建物自体が持つ点数や効果による得点が大きいため高得点を目指す以上建物は建てたい。


建物は大事、経路も大事、橋も大事。


この際、建物自体の点数は建てさえすれば必ず得られるので難しくはありません。

が、建物効果の方は建てただけでは発動してくれません。これが本作の特徴で、建物効果を発動するには建物の縦横4方向を経路で囲むか、または橋を2本架ける必要がある

しかも建物効果で得られる利益は無視できないほど大きい事が多いので「建てて終わり」とはしたくない、なるべく効果を発動したい。これが事態を難しくします。


結局、本作でプレイヤーは

・失点を消すために経路の敷設を行いたい。

・しかし一方で、得点を取るためには建物を建設する必要もある。できれば効果も発動したい。

・そして、建物と経路は得てして同じ資源を要求する。

という、両立が難しい欲望の板挟みに遭います。「あちらを立てればこちらが立たずパズル」です。


最終的にこれらの行動は「建物を経路で囲んで効果を発動したい」という大目標のもとに統合されることになる訳ですが、本作の根底には、経路と建造物の両者を同時に満たすことが難しい「ねじれ構造」があり、一筋縄ではいかない。この「ねじれ」を何とか解消しようとする集中が、本作の没入感を生んでいます。思考の海に身を投げ入れるような感覚。



大胆な削ぎ落としによる単純化と要素の集中

更に、建物効果が強力なものは、4種ある経路(小道、道路、線路、運河)のうち、特定の経路で建物を囲んだり、あらかじめ産業ボードに一定数以上の経路を敷設しておくなど、事前準備が必要なことが多い。


効果で経路を要求するカードの一例。建造物と隣接する経路が決まっていたり、産業ボード上の経路の数が大事だったり、要求の仕方はさまざま。


経路は最もコストが安い小道(粘土1)から道路(レンガ1)、鉄道(木1+鉄1)、運河(3金)まで4種ありますが、レンガや鉄はホイホイと生まれるものではないのでこれも下準備が必要になります。まずは資源やお金、点数を生み出す建物から効果を発動し始めた方が良い、ということ。

また、経路のうち線路や運河はどこでも好きなところに敷設できる訳ではなく、ボードに最初に印刷された(または上級面だと自分で置いた)線路や運河から徐々に延ばしていく必要があります。従って線路や運河に囲まれることで効果を発動するタイプの建物は、建て場所をどこにするかも重要ということになります。


経路に指定があるタイプの建物は、どこに建てるか立地が難しい。悩みは尽きません


かくしてゲーム中、頭はずっとフル回転。

「線路をここに敷いて、この建物の効果を発動したい。待てよ、線路を引くための鉄が足りないぞ…となると鉄をもらえるあの建物を囲んで効果を発動する方が先か?」などなど、アクションの順番や建物・経路を置く場所、さらには経路の種類など、考える要素は相互に絡み合い、入り組んでいます。

しかも、建物は毎ラウンド少しずつディスプレイに追加される一方で、場合によっては捨てられてしまう建物もあるので長期計画を立てる事が難しく、「今見えてる中でベターな選択」を選び取るという即興的な思考まで求められます。


こうした経路と建物の即興パズルは思考負荷がかかるもので、普通なら頭がクタクタに疲れてしまいそうなところです。しかし、本作ではこうした建物と経路のパズルに集中できるよう、要素は大胆に削ぎ落とされ単純化されているため、意外とプレイ感はサラリとしています。


工業発展というと貿易とか化石燃料とか資本家とか労働者とか株式とか、少し考えただけでも色々な要素が絡みそうですし、そうしたものを使った方がフレーバーとシステムの融合度が高まりそうに思えます。しかし本作では経路と建物に意識と思考を集中できるよう、色々なものを削ぎ落としていったのでは無いかと思います。


結果、フレーバーとシステムの絡み具合は高いとは言えなくなっており、これを本作の弱点と見る人もいるかもしれません。しかし筆者はこの単純化はむしろ美しいと感じます。ここを楽しんで欲しい、というメッセージは十分伝わりますし没入もできる。本作の真髄はこの「選択と集中」にある、と言えるかもしれません。



「オラニエンブルガー語」の読解が難しい

ただし、ここで一つ集中を妨げる要素を言っておかなければなりません。

それは、本作のカードのアイコン表記です。


ボードゲーマーはいくつかのゲームを経験するうちに様々なゲームで共通して使われるアイコンについて無意識に習得していくものと思います。こうした「無自覚の知」をデザイナー側も理解し、活用していると思うのです。

例えばイナズマのようなマークが付いていると「1回のみの即時効果が発動するのかな?」とか、無限大とかループしてるマークが付いていると「常時効果かな?」とか、プレイヤーは推測する事ができます。


しかし本作ではアイコンが他の作品ではあまり見ないオリジナリティのあるものとなっており、一見しただけでは効果を正確に解釈することは難しい。ユーザーはこれを指して「オラニエンブルガー語」と呼称しているようです。


オラニエンブルガー語の一例。3枚それぞれ、条件が何で、どういう効果が起きるか分かります?筆者は自信を持って解決するには解説書が手放せません(^^;;


実際、私も何度も遊んでいても新しいカードが捲られた際に「!?効果が分からない…」とデッキの解説書を捲ることがしばしば起こりました 笑

このように「オラニエンブルガー語によりゲームのテンポ感が落ちる」という批判を受けた場合、否定することは難しい。ただし、逆を言えば「理解しやすく単純な効果に絞ってゲームテンポを維持することより、直感的な理解は難しくとも幅のある展開を生む多様な効果を建物に持たせることを、作者が選んだ」という事なのかな、とも思います。


ゲームの要素を大胆に削ぎ落とした中で、削ぎ落とせなかったのは建物の効果。だとすれば、これもまた本作の持ち味として受け止め、最大限に楽しむのが吉ではないでしょうか^ ^



ソロキャンペーンがアツい

ここで個人的な推しにはなりますが「ソロで遊ぶならキャンペーン!」という話をしたいと思います。


本作の日本語版では、出版社のテンデイズゲームさんが最初から拡張デッキⅠ・Ⅱを同梱してくれています。おかげで我々はA〜Fの6種のデッキで遊ぶことができる訳ですが、ソロで遊ぶ場合、各デッキを単発で遊ぶのはいささか勿体無いと思うのです。

と言うのも、各デッキは緑20枚・赤20枚・青20枚の計60枚から構成されているのですが、1ゲームで使うカードはソロの場合、緑6枚・赤5枚・青7枚と、たった18枚のみです。デッキの3分の1しかカードを使っていない事で「たまたま選んだカードの中にシナジーが噛み合うものがあれば高得点を取り、噛み合わなければ低得点に甘んじる」という運ゲーで終わってしまいかねない。

でも大丈夫、この運要素を抑える方法があるんですよ。

それがソロキャンペーンです!^ ^


本作のソロキャンペーンでは3戦連続で同じデッキを使用し、緑・赤は使わなかった残りのカードから用意。青だけは最終戦で未使用カードが6枚になり1枚足りないため、1戦目2戦目で建設しなかった青の中からランダムに1枚を取り出して未使用の6枚に加え、7枚として3戦目に使用する形となります。

キャンペーンを導入することで、デッキ内のカードはほぼ全てを使うこととなり、運要素をある程度抑えることができます。また、たくさんのカードを目にする機会にもなるし、更にソロプレイで障壁となる「封鎖ディスク」の動き方も1・2・3戦目で全て異なります!


封鎖ディスクの動きによってアクションの順序や優先順位も変わる


ソロゲーマーがせっかく本作を遊ぶなら、キャンペーンを活用して色々なデッキを隅々までしゃぶり尽くしていきましょう♪



🤞うまく行かない時はデッキを変えてみよう☝️

ところで1戦ごとにしてもキャンペーンにしても、何回か遊んでるのにうまく点数が伸びないときがあります。そんな時は思い切ってデッキを変えてみるのも有力な選択肢ですよー!という事をお伝えしておきたいと思います。

筆者自身も最初Aデッキのみで遊んでいてうまく点数を伸ばせず、当初は「合わないのかなぁ〜」と思っていました。しかし、ふっと「まだ他のデッキ触ったことないな」と思い、何の気なしにBデッキに変えたところ点数が伸びた上に「オラニエンブルガー楽しい!」と感じる事ができたのです!そこからはグイグイと本作の魅力に引き込まれていきました。


これはあくまで個人的感覚なので、他の人もデッキを変えれば必ず楽しくなる!と断言することは出来ませんが、デッキを変えるだけで意外とプレイ感は変わるもの。同じデッキを使い続けて「この作品は合わないなぁ」と思ってしまうのは勿体ないなと思ったので参考まで。

なお、変え先のデッキ候補として筆者はB、D辺りをオススメしておきます♪



写真映えはやや残念

最後に少し余談ぎみな話になりますが、何度もキャンペーンで遊んだからこそ感じた弱点にも触れておきます。


私はボードゲームを遊ぶ時、ソロでも対人戦でも最終盤面を写真に収めることが多いのですが、本作のキャンペーンを写真に撮った時に気付いてしまったのです。

「デッキがAでもBでもCでも、1戦目でも3戦目でも、絵面が変わらない…」


全部違うゲームの写真ですし、全て激闘で楽しかったはずなんですが、絵面からその事が伝わりますかね…?💦


例えばアグリコラなら動物や作物などがありましたし、ヌースフィヨルドなら森林タイルや船、漁獲の魚や木などがあり、最終盤面の写真は割とプレイごとに違いが出ていたものでした。

しかし本作の場合は要素を大胆に削ぎ落として建物と経路に全てを集中した結果、どの写真を見ても「産業ボードに建造物カードと経路が一定数置かれた絵面」になっており、自分で見てもどの時のプレイ写真か分かりづらかったんですよね(^^;;


このように「映える盤面」と言う点において、本作は残念さがある事は認めざるを得ません。ただし、これは本作の長所である「要素を絞った」ことによる反作用みたいなものです


確かに「本作のソロプレイ時間がいかに至福であるか」を1枚の写真で雄弁に伝えることは難しいかもしれません。しかし「一見地味に見えるが、遊んでみると分かる面白さと没入感」はきちんと備えています。


2人用は未プレイなので語ることはできませんが、ソロゲーマーにとってはソロで遊んで楽しいという点だけで購入動機は十分ではないでしょうか 笑

フレーバーとシステムの関連性が薄かろうと絵面が寂しかろうと、思考の渦に1時間没頭できる即興パズルの輝きを失わせるほどのものではありません。未経験のままは勿体ない!是非一度、お試してみていただければと思います☺️✨



以上です!

本当は本作の特徴の一つである資源ホイールについても触れたかったのですが、文章があまり長くなってもかえって読みづらくなるのではと思い、本作の「選択と集中」にならって大胆に削ぎ落としてみました!🤣 2人用の話には触れずソロプレイに話を絞ったのも同じ考えによるものです。

狙い通り、程よい長さで読みやすいレビューとなっていたら良いのですが。


本レビューを最後までお読みいただいた皆様、ありがとうございました!皆様の良きボドゲライフに少しでもお役立ていただければ幸いです♪

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