インペリウムBluebearさんのレビュー

作品紹介にも書いた通り、SF宇宙戦争ゲームとしてはあまりにも有名な作品です。

当時、様々なウォーシミュレーションゲームにハマっていた私たちは、噂を聞いて新たに輸入されたGDW版に飛びついたのです。

そしてそれはあまりにも斬新で、SFマインドに溢れたスペースオペラだったのです！

ジャンプドライブの実用化で本格的な宇宙進出を果たした地球艦隊。

対するは、銀河辺境を支配下にしようとする強大な銀河帝国艦隊。

マップは、各星系をジャンプ航路で結んだあまりに広大な宇宙。

遠距離ミサイル攻撃に秀でた帝国艦隊！

近距離レーザー攻撃に秀でた地球艦隊！

単純なルールの中で、激しい激突が描かれます。

特筆すべきは３点。

１つは互いの立場での違いが明確な事です。

地球軍は、全権を持って帝国に対応しますが、序盤は弱小なので生産計画を立てながら戦略を練ります。

ところが銀河帝国軍は、あくまで辺境の前線指揮官でしかありません。

強力な戦艦の建造許可はなかなかおりないし、たまに他の戦線に戦力を回せ、なんていう無茶な命令を頻繁に出してきます。

帝国艦隊の全精力を持ってすれば地球など一捻りなのにもかかわらず、戦況を理解しない上層部の命令で苦しい戦いをしなければなりません！

これが何とも中間管理職の哀悲を見事に表現しており（当時はまだ学生で、このシビアさを本当に実感するのはまだ先でしたが、笑）、感動すら覚えたものです。

２つ目は、この戦争が１回では終わらずに、停戦期間を挟んで、第２次、第３次戦争〜と続いてゆくことです。

１ターンは２年なので、ひとつひとつの艦隊戦を詳細に描くのではなく、辺境宇宙全域の紛争全体を描いており、一度停戦すると艦を修理したり、新造艦を作ったり（宇宙空母好きだった！）、旧式艦を引退させたりして、次の戦争に備えるわけです。（皇帝の命令で、泣く泣く戦艦をスクラップにしたりとか！笑）

したがって、２時間くらいかけて戦争をしたら、状況をメモして、次回のプレイの時には、その続きの戦争が始まる、という珍しい形式のゲームとなっており、決着がつくまで延々と続くのです！

まさに数十年にわたる戦争の歴史そのものを体感する事になるわけです。

こんなゲームは見たことが無く、結構夢中でプレイしましたね〜。（1日に２連戦したりとかありました、笑）

ちなみに箱の中には当時のメモが残っており、第９次戦争までの記録があります！懐かしいけど、さすがに今から続きはやらないだろうなぁ(^-^;

そして３つ目は、何と洋モノ宇宙冒険TRPGとしては有名な『トラベラー』とリンクしている事です！

両者は同じ世界背景を持っていて、この戦争はトラベラーの過去の歴史の一幕なのです。

おかげで、後にトラベラーに手を出す事になった我々には、このTRPGが特別な感慨を呼んだことはお分かりいただけるかと思います。

このように、今の目から見ても、斬新な試みが満載のこのゲーム。

まだ入手は不可能ではないと思うので、一度くらいは体験してみることをオススメします。（当分終わらなくなるかもしれませんよ、笑）