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  • 1人~4人
  • 75分~150分
  • 12歳~
  • 2022年~
1130名
13名
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約1年前

本作はフィスターの人気作品「グレートウエスタントレイル」(以下GWT)のコンポーネント品質を向上させルールの細部を調整し改めて発売された第二版からの流れを汲む三部作の第二弾となる。

舞台をアルゼンチンに移したこの新作は、ゲームシステムは前作をほぼ完全に踏襲しつつも、ゲーム内の要素が担う役割の変更や要素の追加などによって、前作のファンがプレイしやすく尚且つ新鮮な感覚で遊べる作品に仕上がっている。

ぱっと見GWTそのままという感じだが、同じ感覚でプレイすると得点が全然伸びない。似ているが全く別のゲームという不思議な感覚だ。

★アルゼンチンと牛

少しだけブエノスアイレスの歴史について学んでみよう。1536年、ペドロ・デ・メンドーサ率いるスペインからの遠征隊が1200人の男性にわずか12人の女性、そして牛数頭を連れてこの地を訪れた。当初は原住民と友好的だった遠征隊だが、その傲慢さが表面化し衝突するまでに長い時間は要さなかった。遠征隊は原住民に叩きのめされ敗走したが、そこにあるものが残された。牛たちである。

牛たちはどこまでも広がるような草原を植民地化し、この地に牛が栄えるようになり、この地の重要な資源となっていった。

その後別の遠征隊がこの地を手にし、La Trinidadと呼ばれる都市を建設することになるが、これがブエノスアイレスの始まりである。この辺りはGiochix社のTrinidadというボードゲームで追体験することができる。

Trinidad(2022)はゲーム性以外の部分、つまり植民地化を美化しているとしてBGGではある意味不当に低評価を受けたゲームである。この手の歴史を学べるゲームは貴重だが、モンバサのように今後あまり見られなくなるかもしれない。

★前作からの変更点

まず、災害タイルが廃止され、ならず者が新資源である麦に強く関連する農民にリプレースされている点がドラスティックだが、ルールを確認すればすぐにエンジニアの役割が大きく変わっていることに気づくだろう。前作はエンジニアを多く雇用することにより鉄道トラックを進めやすくなり、進めていれば恒久的に遠方の都市へのアクセスが追加のリソースなしでできるようになるというものだった。

本作では出荷は船となっており、遠方へ出荷するのには消費型のリソースである麦を使用する。麦は所有できる上限数が決められている特殊なリソースで、出荷のたびに消費するため、エンジニアを多く雇用しても遠方へのアクセスには何も寄与しない。

エンジニアの役割が鉄道トラックを進めることというのは変わっていないのだが、実は鉄道トラックの役割そのものが変わっている。

鉄道トラックを進めると、自分のコマを鉄道に乗せることでゴール地点にワープさせることができるという、つまりはショートカットが可能になるという役割に変更されているのだ。

エンジニア戦略を取るということは回転数重視型の戦略を取ることになる。

また、駅の改良による勝利点がかなり強化されており、1金で2勝利点などのようにコストパフォーマンスが飛躍的に向上している点にも注目したい。

その他にも新要素である港町ボードの存在がかなり大きい。これまでは出荷で勝利点を多く稼ぐには価値の高い牛を買うかもしくは特殊な建物効果により多くの証明書を稼ぐ必要があったが、本作では特定の船に乗せられた牛は幾つかのタイミングで港町ボードに移動し、そこから更に麦を消費することで勝利点をはじめとする各種ボーナスを得ることができるようになっている。

このため比較的価値の低い牛を出荷したとしても大きな勝利点につなぐことが可能となっている。牛を得点化する方法にも新たな選択肢が生まれ、これがゲーム展開を豊かにしている。

★プレイ感

基本的にはGWTのルールを踏襲しているので、前作が好きならこのゲームも気にいるだろう。良い部分はそのまま残されている印象を受けた。ただ、リソース(金や麦)の管理は前作より難易度が高いし、個人建物の効果もA面ですら前作に比べるとトリッキーに感じるように、全体的にプレイ感は重めにシフトしている。よりゲーマー向けになり、前作のように何となく牛を集めていたら楽しめるというような手軽さは無くなっている。しっかりと考えてアクションの取捨選択をしないと、全く勝敗に絡むことはできないだろう。

★総評

GWTが好きで何度もプレイしているような方や、重ゲーを普段から好んで遊ぶ層には間違いなく勧められるゲームだと思う。逆に重ゲーに慣れていない方やGWTにあまり興味がない、という方に勧めるのは慎重になったほうが良いだろう。前作とこちらとどちらが面白いか、という質問に対しては、私は別のゲームと答えている。実際似て非なるもので、どちらのゲームにもそれぞれの良さがあるように感じられた。前作の熟成されたゲームバランスとシャープなゲーム性も、アルゼンチン版を遊んだからとて色褪せるものではないからだ。

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山本 右近
山本 右近
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