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  • 1人~4人
  • 60分~90分
  • 12歳~
  • 2022年~

1998 ISS山本 右近さんのレビュー

173名
2名
0
3ヶ月前

合わないヤツとどう付き合っていくか、というのは誰もがどこかで直面する問題だ。学校や会社ではもちろん、家庭でも、遊びにおいてですら、避けて通ってばかりではいられない。しかし、仲の悪い相手と共にだからこそあげられる成果もあったりして、不思議でもあり面白くもある。そういうのも「人間らしさ」と言えるのかもしれない。

国際宇宙ステーション(ISS)もそんな人間らしさが生み出した成果のひとつだ。ISS最初のモジュールである「ザーリャ」が打ち上げられたのは1998年。以来、この宇宙のシェアハウスは、様々な国が様々なモジュールを持ち寄り、現在の形に近づいていった。

アメリカとロシアが協力して宇宙ステーションを作るというある意味で突飛なこの計画は、多くの論争を生み賛否が真っ二つに分かれながらも進められ、東西冷戦終結の象徴としての役割も果たしながらここまで歩みを進めてきたのだ。

本作はタイトルの通り、そのISSの黎明期を追体験するゲームとなっている。

本作の特徴といえば、「プレイヤー全員による意思決定」が真っ先に挙げられるだろう。

プレイヤーがアクションを行うたびに、米露いずれかの宇宙船の発射カウントダウンが進んでいく。どちらの船のカウントダウンを進めるかはアクティブプレイヤーが決めるが、1人の力で発射させることは不可能だ。

どのモジュールが発射されISSにドッキングされるかも、全プレイヤー間の投票のようなもので決められる。

このシステムは、ISSという利害関係を気にしながら表向きには国際協力をして宇宙開発しましょうというテーマにまさにマッチしていて、わたしが本作で最も気に入っている点と言っていい。

ISSにドッキングしたモジュールにはいくつかのコンパートメントがあり、そこは得点源となる実験や一部のアクションで利用する事になる。これらのコンパートメントは排他的なスペースであり、ちょっとした奪い合いが発生する。

ISSの初期を振り返ると、当時は参加国が互いに自分たちの所有する食糧や施設を他国のメンバーにも快く貸し借りして助け合っていた。しかし5年ほど経つと、ロシアは他国が使用した自国の資源に対して課金をし始め、米国の行うミッションは商業的な枠組みに移行していき、その影響でトイレすら他国に貸すことが禁止された。

本文の前半でISSをシェアハウスに喩えたが、シェアハウスの冷蔵庫に入れた食材の行方でメンバーが揉めるリアリティショーがふとわたしの頭をよぎった。勿論訓練された宇宙飛行士たちがそんな低俗な揉め方をしているわけではなく、問題は国家間で起きているのだが。

ゲーム中のコンパートメントの奪い合いはそれとは少し文脈が異なるが、プレイヤー同士の利害関係がゲームが進むにつれて分かれていき、静かに腹を探り合う感じがそこにも表現されている気がしてならない。

そのようなテーマに沿ったインタラクションはしっかりと感じられつつも、直接攻撃のようなものはなくあくまで水面下で進み、ゲーム中は程よい緊張感が感じられる。プレイ時間も手頃で、60分程度で終わる点も良い。

イデオロギーが異なる大国同士の複雑な思惑が交錯するISSではあるが、結局のところ、一国ではどの国も成し得なかったことをやり遂げたという事実は揺るぎないものだ。それだけで十分に意義があったのだろうと思う。

そしてISSは今、その役割を終えようとしている。

誰かが「何かが無くなってしまうことはどうでもいい。そこにあったということが大事なんだ」と言っていたのを思い出す。30年もの間、人種や国境をこえて続いた人類の共同作業は程なく終わりを迎えるが、そこにISSがあったということが重要なのだ。

2031年にISSがポイント・ネモに落下しても、テーブルの上ではまだISSの建設が私たちを待っている。そしてもしかしたら、宇宙飛行士の形をした木駒たちが「やなヤツともたまには一緒にゲームしてみたら?いい対戦相手になるかもよ」と語りかけてくるかもしれない。

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ハナチャ
びーている / btail
山本 右近
山本 右近
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