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  • 1人~5人
  • 40分~200分
  • 14歳~
  • 2023年~

テラミスティカ:革新の時代Sato39さんのレビュー

2213名
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約1年前

《あの名作テラミスティカが10年の時を超えて帰ってきた!》

発表時からずっと楽しみにしていた「テラミスティカ革新の時代(以下、革新の時代)」をプレイして、やはり期待通りの面白さを感じることができたのでオリジナルとの違いを中心に、進化した面白さをレビューしたい。

なおテラミスティカ自体の魅力については、先日のテラノヴァのレビューで思う存分語ったつもりなので、興味のある方はそちらを参照して欲しい。


【あの伝説のゲームが進化して帰ってきた!】

テラミスティカは2013年ドイツゲーム賞をはじめ数々の賞を受賞している名作中の名作だ。拡張も、「氷と炎(2014年)」「商人たち(2019年)」「オートマソロボックス(2021年)」と継続的に発売されていることに加え、コアなファンが作成したファン拡張種族も充実しており長く愛されているゲームだと感じられる。

その名作が2023年に新たな進化を引っ提げて帰ってきた!ゲーマーならこれは見逃せない!

【膨大な組み合わせにより遊び尽くせないバリエーション!】

テラミスティカの魅力の一つに種族によるプレイ感の違いがある。異なる種族を選択することで特殊能力の違いにより戦略が変わり、ゲームのプレイ感がガラッと変わることがある。テラミスティカでは世界中の愛好家がファン勢力を作成していることを考えると、その魅力は世界が認めるところだろう。

今作では、計画ディスプレイ(個人ボード)勢力タイルの組み合わせにより膨大な数の勢力を楽しむことが可能となった。単純に考えて、計画ディスプレイ7枚x勢力タイル12枚84種類となる。

しかもこれに能力タイルや革新タイルによる能力改善要素が付け加わるので、ゲームのバリエーションとしてはまさに無限大!(大袈裟かw)

【より強化された能力タイルと想像を超えた革新タイル】

テラミスティカでは交易所から神殿を建設した時に恩恵タイルを獲得して種族の能力を改善する要素があったが、今作でもギルドから学校を建設した時に能力タイルを獲得することができる。

ただし今作の能力タイルはより強力にパワーアップしている!特に科学トラックを3つ向上させるタイルにも能力が付与されて魅力的になった他、「」という新しいリソースを得ることもできる。

この本により、新たに本アクションが追加されると共に革新タイルの獲得が可能となった。革新ディスプレイ上にはゲーム毎にランダムに革新タイルが並べられており、これを獲得するためには4色いずれかに対応する本を合計5冊支払う必要がある。

なかなかコストの高い革新タイルだが、その追加能力も格別に強い!種類も豊富で、収入を向上させるもの、中立建物を建設するもの、ゲーム終了時に高得点を叩き出すものと魅力的な能力ばかりだ。この革新タイルをどのように獲得するかも今作では非常に重要な要素となっており、ゲーム全体として非常にアッパーな仕上がりとなっており高得点の戦いとなった。

【科学ディスプレイもさらに進化】

テラミスティカの教団トラックは科学ディスプレイとして実装されている。左から「金融」「司法」「工学」「医学」の4分野があり、機能はほぼ教団トラックと同様である。

ただし、レベル8以上に上げるためには都市建設により得られる鍵が必要となり、さらにレベル9で各種収入が得られるようになった。これは地味に嬉しい改善で、どの分野のレベルを上げていくかさらに悩ましく戦略的になっている。


【テラノヴァ、テラミスティカ、革新の時代のどれを選べば良い?】

2023年はテラノヴァも発売されておりテラミスティカ・ファミリーが一気に充実したすごい年だが、ボードゲーマーとして気になるのは自分に合ったテラミスティカはどれか、という問題だろう。これについて考察していく。

<プレイ時間(3人プレイ)>

テラノヴァ:1時間〜1時間20分
テラミスティカ:2時間
革新の時代:3時間

ただし革新の時代はルール確認をしながらプレイしたので、慣れてくれば2時間30分ほどでプレイできそうだった。それでもテラミスティカ本家よりは時間がかかりそうだ。もちろん4人、5人プレイではさらに時間がかかるだろう。

<インスト時間>

テラノヴァ:20分
テラミスティカ:(テラノヴァ)+20分=40分
革新の時代:(テラミスティカ)+20分=60分

革新の時代は明らかに要素が増えており、その追加要素を考慮すると仕方ないところだろう。

<選択の指針>

テラミスティカ経験者でテラミ大好きっ子は迷わず革新の時代を遊ぶと良い。きっとさらに深くなった戦略性に勝とうが負けようが満足のいく時間を過ごすことができるだろう。問題はテラミスティカ未経験のゲーマーだ。

あくまで私の考えだが上記を考慮すると、テラミスティカを全くプレイしたことがないゲーマーは、まずテラノヴァからプレイすべきだろう。いきなり革新の時代に挑戦すると、インスト60分+プレイ時間3時間=4時間は覚悟しなければならない。

テラミスティカは初プレイで勝てるほど甘いゲームではない。その難易度もこのゲームの魅力の一つなのだが、はたしてテラミスティカを初めて遊ぶプレイヤーが、どんどんと経験者から突き放されるゲーム展開において4時間に及ぶ長い時間を楽しめるだろうか。きっと「自分には無理だ、向いてない」なんて思うかもしれない。それでは残念すぎる。

実はテラノヴァは陣取り要素しかなく非常にタイトなゲーム性ではあるのだが、テラミスティカにおける基本戦略を学ぶことができる素晴らしいゲームだ。そして、そのテラノヴァがシンプルすぎると感じたら、まずテラミスティカを試して欲しいところ・・・なのだが、今の市場ではテラミスティカが入手難になっているため革新の時代にステップアップするのが現実的だろうか。


【感想】

これは期待通りの素晴らしい作品だ。無限のバリエーションをもたらす個人ボードと勢力タイルの組み合わせ、強化された能力タイル、超強力な革新タイルによりテラミスティカのあらゆる部分が上方修正され、特に後半の拡大感は以前とは比べ物にならないほど気持ちの良いものになった。

さらに革新タイルの効果により陣取り要素以外での様々な得点方法が付与されたため、以前のようにマップ上で行き先がなくなってゲーム途中で詰んでしまう事故が起こりにくくなったのは非常に歓迎すべき改良ではないだろうか。

欠点としては新しい本というリソースが増えたことや中立建物などの要素が増えたことによりインストが長く複雑になり、戦略の増加に伴いゲーム終盤でのダウンタイムが長くなったことが挙げられる。またボード上に設置するタイルも増えたためセットアップも面倒になった。しかもゲーム中の能力拡大により勢力毎の特殊効果の優位性が薄まった結果、戦略を考える上での指針が分かりづらくなったかもしれない。

良いことばかりではないので本家テラミスティカの方を好むゲーマーもいるかもしれないが、テラミスティカを好きなプレイヤーにとって革新の時代はゲーム展開のバリエーションが広がり、戦略性が無限に深まっているので、きっと好意的に受け入れられることだろう。

待ちに待ったテラミスティカ革新の時代。まさしくテラミスティカユニバースに革新的な進化をもたらしており、何度でもリプレイしたい欲に駆られてしまう。テラミ好きなら是非ともプレイして欲しい傑作だ。

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