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  • 3人~4人
  • 90分前後
  • 14歳~
  • 2024年~

カタン:新エネルギーSato39さんのレビュー

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3日前

《エネルギーを駆使して自由で戦略的に発展する新しいカタン!》

ジーピー社によるプレゼントキャンペーンのおかげで2024年新作の「カタン:エネルギー版」を早速遊ぶことができた。今風な改良が随所に見られた新しいカタンの魅力をレビューしたい。なお、カタンについて調べていたら面白くてまたしても長文レビューとなってしまったので、時間のない方は最後の感想だけでも読んでいただければ嬉しい。


【カタンについて】

1988年、歯科技工士だったクラウス・トイバー(Klaus Teuber)は、自身初の商業用ボードゲーム「バルバロッサ(Barbarossa)」を完成させ、同年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞した。

その後も彼は、「貴族の務め(ADEL VERPFLICHTET, 1990年)」、「ドリュンター・ドリューバー(Drunter & Drüber, 1991年)」とヒット作を次々と発表しドイツ年間ゲーム大賞を受賞している。

そんな中、1995年にトイバーが発表した「カタンの開拓者たち(Die Siedler von CATAN)」は非常に高く評価され、同年のドイツ年間ゲーム大賞およびドイツゲーム賞のW受賞を果たし、その他のゲーム賞をいくつも受賞することとなる。

現在、40ヶ国を超える言語版が世界中で販売されており、4,000万部以上の販売数を誇る。(2024年11月現在、カタンHPより)

写真はKOSMOS社より発売されたドイツ語版(カタンHPより引用)

世界中で高い評価を得た同作品は拡張セットも続々と発売される。まず翌年の1996年に5〜6人拡張パックが発売され、その後も大型拡張パックが次々と追加された。


<第1拡張パック、Seafarers of CATAN、1997年>

海を舞台としたシナリオが9つ用意されており、様々な条件下での勝利を目指す。海に船を建造して配置するだけでなく、海賊や砂金川など新しい要素も追加されている。通称「海カタン」。

写真は、現在GPより発売されている「カタン:航海者版」


<第2拡張パック、Cities and Knights of CATAN、1998年>

ダイスが1つ追加され蛮族がカタン島に襲撃してくる拡張。蛮族に都市を破壊されると開拓地に戻されてしまうため騎士を配置する必要がある。より厳しく戦略的なゲーム体験ができるカタン。通称「騎士カタン」。

写真は、現在GPより発売されている「カタン:都市と騎士版」


<第3拡張パック、CATAN: Traders & Barbarians、2008年>

原作者トイバーが厳選した4つの選択ルールと5つシナリオ集。カタン島の物語をより深く味わえる拡張となっており、シナリオごとに専用のコマやタイルが付属されバラエティに富んだゲームを楽しめる。

写真は、現在GPより発売されている「カタン:商人と蛮族版」


<第4拡張パック、CATAN: Explorers & Pirates、2013年>

ボード上を自由に移動できる船を持ち、多数の追加要素が5つのシナリオと3つの任務により徐々に追加されていく。これまでとはひと味違うカタンの世界を楽しむことができる。

写真は、現在GPより発売されている「カタンの開拓者たち:探検者と海賊版」


<ブランド名変更とその後>

そして2015年、20周年を記念しブランド名が「カタン」へ改名された。

現在、日本ではジーピー社がそれぞれ「カタン:スタンダード版」「カタン:航海者版」「カタン:都市と騎士版」「カタン:商人と蛮族版」「カタン:探検者と海賊版」として販売している。

スタンダード版に追加する大型拡張パックは以上の4種類だと思うが、追加シナリオ、歴史シリーズは数えきれないほど出版されており、とても書ききれない。またスピンオフ作品、独立拡張は現在も新作が発表されており、世界中のカタンファンが楽しみにしている。

また1999年に発売され絶版となっていたファン待望のアイテム「カタン 宇宙開拓者版」が、2019年に発売され話題となったことは記憶に新しい。

そんな中、2024年に発表された新作が今回レビューする「カタン:エネルギー版」である。


【ゲーム概要】

「カタン島」と呼ばれる未開の無人島は、辿り着いた多くの探検家たちにより大きく変貌した。小さな村は研究都市にまで成長し、新たなエネルギー問題に直面している。プレイヤーの決断にカタン島の未来が委ねられているのだ。

カタンは長年愛されてきた有名なゲームなので通常ルールについては割愛させていただき、新たに追加された要素について述べることにする。基本的なルールはオリジナルのカタン同様と考えてもらってほぼ差し支えない。


【今度のカタンはエネルギーの活用と環境問題がテーマ】

まず、今作では新しいリソースとして「エネルギー駒」が追加されており、アクションフェイズにエネルギー駒を使用することにより様々なものを獲得できるようになった。

例えば、エネルギー駒2個を使用して任意の資源カードを獲得したり、手札上限を10枚まで拡張する倉庫を購入することができる。これは従来のカタンでは考えられないほど自由度が増したように感じる。もう港へ向かって道を建設しなくても、エネルギーを使って好きな資源を獲得できるのだ。カタン島の人類はここまで進化したのかと感動する。

では、どうやってエネルギーを算出するかというと「発電所」を建設すれば良い。発電所には2種類あり、茶色の化石燃料(石炭、ガス、石油)の発電所と、緑の再生可能エネルギー(太陽エネルギー、風力エネルギー)の発電所である。

これらを自分の村や研究施設に隣接して建設することで、その土地の資源が産出される際にエネルギーを生み出してくれる。村には1つ、研究施設には3つの発電所を建設することができるため、出来るだけ研究施設までアップグレードして発電所を建てたくなる。非常に上手い仕掛けだと感じた。


【施設を建てるたびにカタン島の環境汚染が進む!】

だが、今回のカタンでは村や研究所、発電所など建物を建設するとカタン島の汚染度が増していく。各プレイヤーの環境汚染度は、個人ボード上の汚染マークを数えることで計算することができ、全プレイヤーの合計値がカタン島の環境汚染度となる。

つまり、各プレイヤーが村、研究所、化石燃料の発電所を建てるたびにカタン島の環境は汚染され、公害などの悪いイベントが起こりやすくなる。逆に再生可能エネルギーの発電所を建てるとコストは高いが汚染度は下がっていく。

カタン島の汚染度は環境汚染トラックで記録されており、次に説明するイベントフェイズでのチップを取り出す枚数に関係してくる。このチップがなくなるとゲーム終了となるので、汚染度が進むとゲームが早期終了してしまう可能性があるため悩ましい。


【ドキドキワクワクのイベントフェイズ】

今回、プレイヤーの手番においてダイスを振る「収入フェイズ」と「アクションフェイズ」の前に「イベントフェイズ」なるものが追加された。

イベントフェイズでは、袋に入ったイベントチップをカタン島の環境汚染度に合わせた枚数だけ取り出し、ボード周辺の対応するチップ置き場に置く。チップが満杯になると、そのチップ特有のイベントが発生する。

茶色のチップは環境汚染を表しており悪いイベントが起こり、緑のチップは環境問題対策を表しており良いイベントが起こる。どのプレイヤーにイベントが起こるかは、そのプレイヤーの環境汚染度により決まる。

つまり環境汚染度が低い(=環境問題に取り組んでいる)プレイヤーには良いイベントが起こりやすく、環境汚染ばかりしているプレイヤーには悪いイベントが起こりやすい。環境を配慮してイベントの恩恵を受けるのか、環境汚染は無視して我が道を行くのか、プレイヤーの判断に委ねられており非常に面白い。


【環境調査員と環境破壊マーカー】

そして今回も「環境調査員」という名の盗賊が存在する。ダイス2個を振った合計値が7の場合、手札上限(初期値は7枚)を超えたプレイヤーは手札を半分捨てることとなり、手番プレイヤーは環境調査員を任意の地形タイル上に移動させる。当然、その地形では資源が産出されなくなる。

また各種イベントにより村や研究施設、地形そのものに環境破壊マーカーが置かれることがある。このマーカーが置かれるとその施設は機能しなくなってしまうため早急に除去する必要がある。特に環境汚染ばかりしているプレイヤーには環境破壊マーカーが置かれやすくなっている。

カタン特有の資源が産出されないストレスが、環境破壊というテーマで表現されているように思えた。


<良いところ>

  • エネルギー使用による資源購入や手札枚数増加ができるようになり自由度が増した。
  • イベントチップの袋引きによりドキドキ感が増して盛り上がる!
  • カタン島の環境破壊による早期終了が追加され、収束性が良くなった。

<良くないところ>

  • 環境調査員という名の盗賊が直接攻撃要素として残っているため好き嫌いがありそう。
  • 良くも悪くもプレイ感はカタンそのもの。

<インスト&プレイ時間>

説明書:24ページ
インスト:15分、プレイ時間:110分(4人プレイ)

ゲームの重さとしては、通常のカタンより若干ルールが複雑になっている。
おそらくBGG Weight 2.3〜2.5程度と予想される。


【感想】

久しぶりにカタンを楽しんだ気がする。特に新しい要素である発電所とエネルギーが面白く、研究カードが1枚あれば発電所が建てられるため、化石燃料を使った発電所を多めに建ててみたのだが、交渉が成立しなくても好きな資源を購入できるため自由度高くプレイすることができたと思う。

反面、環境汚染度が高くなってしまったため、イベントが起こるたびに悪い効果が適用されバランスが上手く取られているように感じた。また研究カード3枚でも好きな資源と交換できるため、港がなくても十分やりくりできる仕組みになっており通常のカタンとはまた違った戦略が楽しめるのではないだろうか。上手いプレイヤーの戦略を見てみたいものだ。

ただしプレイ感は通常のカタンそのものと感じた。やはりダイス目により資源が産出されず何も出来ないストレスはあるし、環境調査員による直接攻撃にはイライラさせられる。私はそれもカタンの醍醐味だと思っているが、カタンが合わないと感じているゲーマーにはお勧めしない。

カタンは来年で30周年を迎える。上記のような欠点があるため完璧なゲームではないと個人的には思っているが、これだけ長く多くのプレイヤーに愛されているゲームも珍しい。きっとデザイナーであるクラウス・トイバーの情熱と愛情がカタン島には埋まっていて、世界中のプレイヤーはダイスを通してその宝物を少しずつ受け取っているのかもしれない。

対戦相手が「また明日あなたと遊びたい」と思うようなプレイをしよう。
(K.トイバー/カタンFAQより)

残念ながら、クラウス・トイバーは2023年4月1日に他界された。だが、彼の作ったカタンは今も世界中のボードゲーマーに愛されプレイされている。この新しいカタンにも彼の精神が宿っているに違いない。それを感じながら久しぶりに新しいカタンを遊んでみてはいかがだろうか。

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