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  • 2人~4人
  • 90分~120分
  • 14歳~
  • 2024年~

ビヨンド・ザ・ホライゾンSato39さんのレビュー

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30日前

《文明を発展させる独特なテックツリーシステム》

2025年5月16日(金)発売予定のアークライト社の新作ボードゲーム『ビヨンド・ザ・ホライゾン』のレビューキャンペーンに当選して、発売より一足早く遊ぶ機会を得たのでレビューしたい。

なお本レビューは株式会社アークライトから商品提供を受けて作成している。しかし、1ボードゲームファンとしての視点からその魅力をレビューしようと思うので、興味のある方はぜひ感想だけでも読んで欲しい。

なおこの記事は先日公開したnoteの記事に加筆、修正したものとなっている。こちらを私の正式なレビューとさせていただきたい。


【ゲーム概要】

ビヨンド・ザ・ホライゾン(以下、ビヨホラ)」は、文明開花をテーマとしており、プレイヤーは神の視点となりテクノロジーの進化と、未開の土地への探検、植民、発展を繰り返していき壮大な文明社会を作り上げていくことを目標とする。ラウンドを繰り返していき、一定の目標が達成されるとゲーム終了となり、最も勝利点の多いプレイヤーの勝利となる。


【ビヨンド・ザ・ホライゾンとは】

2020年に発表された「ビヨンド・ザ・サン(以下、ビヨサン)」は、宇宙開発をテーマとした独特なテックツリーのシステムが話題を呼び、BGGランキング101位(2025/4/29現在)と世界中で非常に高評価を受けているゲームである。最近、BGAにも追加されてその存在感はますます強くなっていると感じる。

私も3年前にオープン会で遊ばせていただいたのだが、独特なテックツリーシステムが非常に目新しく、星系を宇宙船で飛び回りマジョリティを争うゲーム感がとても楽しかったことを覚えている。ただ、ビヨサンには致命的な欠点があった。

カードの視認性が非常に悪かったのだ。肝であるテックツリーには新しい技術カードが何枚も並べられ、その中から自分にあったアクションを選んで実行するのだが、とにかくカードが見えない!いや見えているのだが、何が書いてあるのかよく分からない。

みんな手前のカードしかよく見えないので立って移動したり、手元に取って読み込んだりするため、いささかゲーム全体のテンポが悪くダウンタイムも長くなり、システムは非常に面白いだけに残念に思っていた。

そのビヨサンを文明発展にテーマを変えてリメイクしたものがビヨホラであり、独特なテックツリーシステムはそのままに、数々の改良が加えられたものとなっている。

デザイナーは、「フリート・ザ・ダイスゲーム」、「リバーバレー・ガラス工房」のデザイナー3人と、ビヨサンのデザイナーであるデニス・K・チャンの共作であり、さらに日本でも有名なシモーネ・ルチアーニ氏がデベロップしている。これらの豪華なメンバーにより、世界でも評価の高いゲームがどのように生まれ変わったのか非常に興味深い。


【アートワークは一新、非常に見やすくなった♪】

ビヨホラの最大の特徴はその視認性の良さだと思う。アートワークはとてもカラフルで色鮮やかとなり、テクノロジーカードは大きなアイコンが主体となり非常に識別しやすいものとなった。もうこれだけで大満足である。

一部に細いテキスト表記も見られるが、それでもビヨサンよりはよっぽどマシであり、また色鮮やかなアイコンもさらに視認性を良くしていると感じる。アイコンに慣れるまではちょっと大変だが、理解した後はとても快適だ。

個人ボードには、人口を表す駒、食料や経済の発展を示すキューブをたくさん置く必要があるのだが、ダブルレイヤーボードになっているためズレにくく遊びやすい。文明発展のテーマが感じられるアートワークも好印象だ。全体的にとても遊びやすくブラッシュアップされている印象を受けた。


【徐々に増えていく強力なアクションが魅力!】

「ビヨンド・ザ・〜」シリーズの魅力はその独特なテックツリーシステムにある。プレイヤーの手番ではメインボード上の八角形のアクションスペースを一つ選び、ポーンを置いてそのアクションを実行していく。ワーカー1つのワーカープレイスメントと考えれば理解しやすく、非常に遊びやすいシステムだ。

ゲーム序盤はメインボード下に用意された基本アクションを多用することになるのだが、テクノロジーが進化すれば徐々に強力なアクションが開発されていく。テクノロジーにはレベル4まで用意されており、時代の進化を感じることができるだろう。

しかもその強力なアクションはテクノロジーが進化すればするほど増えていく。どんなアクションが追加されるかは、テクノロジーを調査したプレイヤー次第になるので、自分の戦略に合ったアクションが追加されるかもしれないし、はたまた(意図的に)全く必要ないテクノロジーが選択されるかもしれない。それがまた、このゲームの面白いところだろう。


【テクノロジーの調査が面白い!】

新たなテクノロジーの調査をするには、それより源流の必要なテクノロジーに学者コマを置いてある必要がある。その状態で調査アクションを行うと次の時代の新しいテクノロジーを調査できる。その際、ビヨサンとは違い指導者カードを獲得してボーナスを受けることができる。

指導者カードには、歴史上の偉人が表記されており、テクノロジーを発展させたプレイヤーだけがボーナスを得られるようになった。ビヨサンではイベントカードでプレイヤー全員に影響を及ぼすイベントだったが、今回は先取りボーナスとして実装されたようだ。これにより、他プレイヤーよりも早くテクノロジーを開発するメリットができ、よりテクノロジー開発の競争が激化する仕組みとなっている。

指導者カードを受け取った後は、調査するテクノロジーのメインカラーを1色指定する。カラーは4色用意されており、経済科学文化軍事に大体相当するようになっているので、自分の戦略に合った色を選んでいくことになるだろう。

4色のうち1色を選んだあとは、そのレベルのテクノロジーカードを選んだ色が2枚出るまで引き続け、そのうちの1枚を選択してテックツリーエリアへ配置する。これで新たなアクションスペースが生まれ、そのテクノロジーを調査したプレイヤーのみが選択できるようになる。

他のプレイヤーもそのアクションを使用したければ、そのテクノロジーを研究すれば使用可能となる。自分に必要なアクションなら調査していくと良いだろう。


【独特な人口管理システム】

「ビヨンド・ザ・〜」シリーズのもう一つの特徴として、独特な人口管理システムがある。食糧トラックを上げていくとA〜Eと徐々に生産フェイズで増える人口コマのロックが解除される。例えば下の写真の状態ならば、Bまで食糧トラックが解放されているので、A列とB列の人口コマが1つずつアクティブ化され右上のスペースへ移動する。

この人口コマは学者コマになったり地形タイルに送られて入植者コマ兵士コマとして働くのだが、役目を終えるとまた人口プールに帰ってくる。そしてまた生産フェイズでアクティブ化されて働くのだが、この人口管理が実に機能的で独特なプレイ感を生み出しており、発展しているはずなのに拡大再生産をして気持ち良い感じにはならない。どちらかというと渋いプレイ感でゲーム中はずっと資源管理に頭を悩ませることになるだろう。


【未開の土地の探索と開発にワクワク!】

食糧トラックの開発を行っていくと人口が増え、アクティブになった人口駒を入植者兵士として初期土地に出現させることができる。茶色の丸いトークンの乗った駒が入植者で灰色のトークンの乗った駒が兵士である。欲を言えば、ちょっと乗せたトークンが不安定でプレイアビリティは悪いので、もう少し工夫して欲しかった。

入植者コマを未開の地に移動させると新たな土地を探索することができ、そこに植民して都市にしたり兵士により要塞化することもできる。このゲームは文明発展ゲームだが、相手国を侵略したりすることはなく、兵士は要塞を建設できるだけのコマとなっており非常に現代的なシステムだと感じた。

惑星のマジョリティを争っていたビヨサンよりもインタラクションはマイルドになっており、今作の開拓地の早取りが好きな方も多いと思う。特に「リバイブ」などを好きな方はこちらの方が好みだろう。この辺りは好みの分かれるところだと思うが、「エンデバー」シリーズのように好みに応じて選択できるようになったのは嬉しい限りだ。

探索した土地には建物タイルを建てることができる。ボーナスを獲得できるので、入植が難しければ建物を建設する選択肢もあるのは嬉しい。また他プレイヤーの探索した土地に建てることもできるため入植の妨害に使えるのかもしれない。


【プレイヤー固有能力が追加された!】

ビヨサンではオプションルールだったプレイヤー固有能力が標準装備となった。政治体制カードと呼ばれるカードには合計8種類の固有能力が示されており、各プレイヤーは一番上の初期能力(S)を持っているが、インフラ表を進めていくことで、A→B→Cの追加能力を獲得することができる。

これらはとても強力な能力となっているため、プレイする指針となるだろう。ただ、固有能力に差があるようにも感じられ、初心者が使いやすい能力や、玄人が使うと強いが初心者は上手く使いこなせない能力もあり、賛否のありそうなところだ。しかし、それがまたやり込み要素にもなっているように感じられ、リプレイして使いこなせるようになる達成感もありそうだ。


<説明書&プレイ時間>

  • 説明書:12ページ
  • ルール説明:20分
  • プレイ時間:125分(3人初回プレイ)、90分(2人プレイ)


<こんな人に遊んで欲しい!>

  • 文明発展系ゲームが好きな方。
  • 苦しい資源管理が好きな方。
  • 「ビヨンド・ザ・サン」のマジョリティ争いが苦手で敬遠していた方。
  • 「ビヨンド・ザ・サン」の視認性が悪くて残念に思っていた方。

特に、「ビヨンド・ザ・サン」のテックツリーシステムに興味はあったけど、SFテーマが好みでなかったり強いインタラクションが苦手で敬遠していた方にぜひ遊んで欲しいと思う。


【感想】

文明発展系のゲームが好きな方には、かなり魅力的な作品だと思う。ビヨサン譲りの独特なテックツリーシステムは文明の技術開発テーマにぴったりであり、他のゲームにはない唯一無二な面白さがある。また視認性も良くなり遊びやすくなったのは非常に嬉しいところだ。

ビヨサンの惑星を征服するマジョリティ争いの強いインタラクションは好きな人にはたまらない魅力があるのだが(実際、BGGで高く評価している方はそういう人が多いように感じる)、苦手なゲーマーも多かったと思う。その点、ビヨホラは開拓地の早取り要素へ変更となっており、より現代的なゲームを好む方はこちらの方がおすすめだろう。これは好みの問題だと思うので、選択肢が増えたことは非常に喜ばしいことだと感じている。

ただこのシリーズは、昨今のゲームに多い拡大再生産的な気持ち良さはないので、初回プレイで高評価を受けるようなゲームではないとも感じる。このゲームを遊ぶ方にはぜひ2回、3回と繰り返し遊んでいただきたい。実際、私は1回目よりも2回目、2回目よりも3回目の方が面白く感じた。徐々にゲームの理解が進んで面白さが増したように思う。

肝であるテクノロジーカードはランダムで現れるため同じゲーム展開はほぼなく、固有能力によるプレイ感の違いも感じられるので非常にリプレイ性があり、繰り返し遊ぶゲーム的な強度はとても強く何度でも遊べるだろう。

今回、2人プレイ、3人プレイで遊んでみたが、プレイ人数によるプレイ感の差異はあまり感じなかった。インタラクションはあまり強くなくビヨサンよりも現代的なゲームなので、2人プレイの方がスッキリして遊びやすいかもしれない。ただプレイ人数が多いほどテクノロジーの早取りや陣取りの面白さはあると思う。

独特なテックツリーシステムと機能的な人口管理システムによる唯一無二の不思議な面白さを持った「ビヨンド・ザ・〜」シリーズの最新作。ぜひ一度体験してみて欲しい。


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