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  • 2人~5人
  • 50分~125分
  • 14歳~
  • 2023年~
289名
5名
0
4ヶ月前

《アール・ヌーヴォーのように美しく情熱的なインタラクションに酔いしれる》

2013年に発売され、2014年フランス年間ゲーム大賞(As d’Or – Jeu de l’Année)を受賞した名作のリメイク。エンゲームズから日本語版が出版されたので、さっそく遊んでみたところ近年のゲームにはないインタラクションの塊のようなゲーム性に惚れたのでレビューしたい。


【アール・ヌーヴォー】

アール・ヌーヴォー(フランス語: Art nouveau)とは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動のことで「新しい芸術」を意味する。

花や植物などの有機的なモチーフや自由曲線の組み合わせによる従来の様式に囚われない装飾性や、鉄やガラスといった当時の新素材の利用などが特徴。分野としては建築、工芸品、グラフィックデザインなど多岐にわたった。

「黄道十二宮」アルフォンス・ミュシャ,1896, Public Domain

タッセル邸、Stairway of Tassel House, Brussels: Henry Townsend, Public Domain

【ゲーム概要】

プレイヤーはベル・エポック(美しき時代)の建築家となり、アール・ヌーヴォー様式の壮大な建物を建築し名声を得ることを目指す。ゲームは5ラウンドで構成され、1ラウンドは3フェイズからなる。

  • 計画フェイズ
  • アクションフェイズ
  • 解決フェイズ

5ラウンド終了後に最も名声点を獲得したプレイヤーの勝利となる。


【アール・ヌーヴォーを感じさせるアートワークが美しい!】

このゲームの魅力の1つとして、アール・ヌーヴォーを感じさせる美しいアートワークがあると思う。花や木をモチーフとした非常に繊細なデザインがとても素晴らしい。好みの問題だとは思うが、私はこういう絵画的なアートワークが大好物である。素敵だ♪

また偶然だが、今回遊ばせていただいた巣鴨のボドゲカフェ「有明亭」さんの落ち着いたカフェの雰囲気とも非常にマッチしていて、我ながら見事なセッティングだと感じた。雰囲気のあるアートワークなので、ぜひ遊ぶ環境にも凝ってみてはいかがだろうか。


【計画フェイズから戦いは始まっている!】

ゲーム準備時にアクションストリップ5枚をランダムに組み合わせてアール・ヌーヴォーボードを作成する。このアール・ヌーヴォーボードには25箇所のアクションスペースが存在することになるのだが、その全てを使用できるわけではない。ラウンドのスタートプレイヤーが株式市場カードに示された選択肢のうちの一つに直角定規を配置することで、アクションスペースが決定される。

つまり、この時点でスタートプレイヤーは自分に有利なアクションスペースを構築することが出来る。計画フェイズから水面下の戦いは始まっているのである。何と、いやらしいシステムw


【多彩なアクションはインタラクションだらけ!】

アクションフェイズではワーカープレイスメントを行う。
アクションスペースは、9箇所でアール・ヌーヴォーボード上に5つ、ブリュッセルボード上に4つ。アール・ヌーヴォーボード上のアクションはお金が必要。ブリュッセルボード上のアクションはお金は必要ないが、ラウンド終了時に置いているワーカーが一番多いプレイヤーは、ワーカー1つを裁判所に取られてしまう。

<アール・ヌーヴォーボード>
①工房アクション
売却アクション
貴族アクション
資材アクション
建築アクション

<ブリュッセルボード>
⑥株式市場アクション
⑦グラン・プラスアクション
⑧サンカントネール公園アクション
⑨聖カトリーヌ市場アクション

基本的な流れとしては、①工房アクションで美術品を作成、②売却アクションで換金。④資材アクションで資材を獲得し、⑤建築アクションで家を建設してアクション強化。これを繰り返していき名声点を獲得する。

やることは分かっているのだが、そこには他プレイヤーとのインタラクション地獄が待っていたw


<売却アクション>

まずお金がないとアール・ヌーヴォーボードでのアクションができないので、売却アクションで美術品を売ってお金にしたい。しかし売却アクションでは現在市場に出ている色の美術品は売却できない。そのため上手く他のプレイヤーの状況を見て被らないように美術品をコントロールする必要がある。

また売却エリアの中央にある変な正方形が売却価格と名声点のチャートとなっていて、所持している美術品の数だけこのチャートを好きなように動かして売却するのだが、みんな自分の有利なように動かすためなかなか思うようにいかない。この市場が思うように動いてくれない歯痒さが実に面白いw

そしてアール・ヌーヴォーボード。基本的にスタートプレイヤーが決めたエリアのアクションを行っていくのだが、置いた駒の位置が解決フェイズで非常に重要な役割をもってくる。


<アイリスのエリアマジョリティ>

各アクションスペースの間には格子状にアイリス(の花)マークがあり、このアイリスが完全に囲まれた状態にある場合、最も多くのワーカーを置いているプレイヤーはアイリストラックのレベルに応じて名声点を得ることができる。つまりエリアマジョリティになっているのだ。

ご想像通り、実行したいアクションとアイリスのマジョリティが一致するわけもなく、アクションを優先するのか、マジョリティを優先するのか非常にプレイヤーを悩ませる。

またアクションスペースには各プレイヤーが家を建て始めるのだが、家のあるアクションスペースを踏むと相手プレイヤーはボーナスアクションを行い有利になってしまうため、それもまた悩ましく面白い。


<名声カードをめぐる入札>

また、縦の列では入札が行われておりワーカーと一緒にお金も置いているのだが、最も多くのお金を入札したプレイヤーはボード下段に置かれている名声カードを獲得することが出来る。これは個人ボードの右側に差し込むことで、最終得点計算時にボーナス点が増える仕組みとなっている。最終得点に非常に大きく影響してくるので、この名声カードの取り合いも非常に熱い!

つまりプレイヤーはアクションを行う際に、制限されたアクションエリア内で「アイリスのマジョリティ」「名声カードの入札」「家の有無」を考慮しなければならず、非常に悩ましい選択を迫られるのだ。これがとても面白い!


【貴族カードを捨てるか手元に残してコストを払うか、それが問題だ】

③貴族アクションを行うとボード上に並んでいる貴族カードを獲得することができる。即時効果を得て捨て札にしても良いが、手元に置いておきフリーアクションとしていつでも使用することが出来る。これらはとても強力な効果を持っているため、うまく利用できると非常に気持ちが良い。ただし、手元に置いた場合はゲーム終了時に表記されたコストを支払うことができないと-5VPの失点をもらってしまうため注意が必要だ。

個人ボードではアイリストラック、王冠トラック、建築家トラックの3つのパラメータがあり、勝利点獲得に大きく影響する。アイリストラックはアイリスのマジョリティを取った際の勝利点が増加し、建築家トラックはゲーム終了時に建築した家1つの勝利点が上昇する。王冠トラックは貴族カードの発動枚数を増加させる。どれも重要な要素となっており、拡大感のあるゲーム展開を楽しめる。


<良いところ>

  • アール・ヌーヴォーを感じる美しいアートワークが素晴らしい。
  • あちこちに散りばめられた間接的だが強烈なインタラクションが面白い。
  • 拡大感のある解放要素が楽しい。

<良くないところ>

  • アクションの種類が多いため理解に時間がかかる。
  • 直接的ではないが強いインタラクションのため人を選びそう。

<説明書&プレイ時間>

説明書:15ページ(基本)+7ページ(拡張)
インスト:40分、プレイ時間:135分(3人プレイ)
BGG weight: 3.60 (2023/12/25現在)


【感想】

これは想像以上に面白かった。上記の通りバチバチのインタラクションだらけなので人を選ぶゲームだと思うが、気の知れた相手とインタラクションの強いゲームを遊ぶと本当に楽しいので、タイミングを間違えなければ素晴らしい体験を得られるだろう。

実際、私はゲーム中ずっと悩ましい入札とエリアマジョリティの駆け引きに悶絶していたが、終わってみれば非常に楽しくプレイしていたことに気付いた。

オリジナルが10年前ということに驚いてしまうほど現代的な個人能力の拡大システムを採用しているが、同時に古いシステムである入札やエリアマジョリティ要素が残っているところに魅力を感じてしまう。古典的なゲームから現代的なゲームに変化する過渡期に生み出された名作として大事にしたい作品だと感じた。今後はベル・エポック拡張なども入れて楽しんでいきたい。

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