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  • 60分~120分
  • 10歳~
  • 2024年~

エンデバー:ディープ・シーSato39さんのレビュー

73名
6名
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約4時間前

《拡大感の気持ち良いエンデバーシステムで海洋調査に出発だ!》

隠れた名作(?)「エンデバー」の新作が登場!テーマは海洋調査にガラッと変わったが、エンデバーらしいシステムは継承しており非常に面白く仕上がっているためレビューしたい。なお、また長文レビューとなっているので既にゲームを御存じの方は感想だけでも読んでいただけると嬉しい。


【エンデバーシリーズ】

エンデバー」は、2010年のドイツ年間ゲーム大賞推薦リストフランス年間ゲーム大賞ノミネートと、評価されながらもタイトルを獲得することのできなかった隠れた名作。大航海時代の植民地競争をテーマにしており、攻撃要素のある強いインタラクション性で根強いファンがいるものの、遊ぶ人を選ぶ作品だった。

デザイナーは、カール・デ・ビザー(Carl de Visser)ジャラット・グレイ(Jarratt Gray)の共作。2010年、日本語版がホビージャパンから発売されたが現在は絶版。

2018年には第2版の「Endeavor: Age of Sails」が海外で発売された。プレイ人数に合わせた両面マップ、アートワークの強化、リプレイ性を高めるシナリオなど、大幅な改良が行われているが日本語版はなし。

この「エンデバー」が2024年、海洋調査というテーマに置き換わって登場!
テーマが変わっただけでなく洗練されたエンデバーシステムはそのままに、より遊びやすく改良されている。今回はこの「エンデバー:ディープシー」をレビューしたい。


【マップのモジュール化によって見た目は大幅に変化!】

従来の「エンデバー」は大航海時代をテーマにしていたため大きな世界地図がメインボードに描かれていたが、今回は海洋調査がテーマとなっているため、メインボードはなく各地域が大きなタイルで表現されており完全にモジュール化された。

モジュール化されたためソナーアクションにより随時マップが広がっていくことになり、海底探索の雰囲気がうまく表現されている。ゲーム序盤は1〜2地域ほどしか移動できないためどの方向に探索していくか悩ましくなっており、特に潜水トークンの取り合いもあるので他のプレイヤーと競合せず効率よくアクションできるように考えなければならず面白い。


【秀逸なエンデバーシステムはそのまま!】

ゲームの基本的なシステムはオリジナルのエンデバーと同じ。
全6ラウンドあり、1ラウンドは2フェイズで構成されている。

<フェイズ1:準備>
 ①スペシャリストの雇用:「知名度トラック
 ②ディスクの補充:「指導力トラック
 ③ディスク回収:「調整力トラック
<フェイズ2:アクション>
 スペシャリストタイルへディスクを置き、アクションを実行する。

<フェイズ1>

フェイズ1は準備フェイズとなっており、毎ラウンド新しいスペシャリストを雇うことができる。このとき雇うことができるスペシャリストのレベルは個人ボード1番目の「知名度トラック」で示されており、トラックを進めることで強い乗組員を雇うことが出来る。これがまた楽しい♪

2番目の「指導力トラック」でアクションに必要なディスクが補充される。この数が多いほどアクション数が増えるので大事だ。

3番目の「調整力トラック」ではディスクを回収して、前のラウンドで使用したスペシャリストを再度使用できるようになる。これも地味だが大事な要素だ。

4番目の「創造性トラック」は、そのレベルだけ深く海底に潜ることができ、また移動力も同時に表している。このトラックを上げないといつまで経っても海底を探索することができないので大事なトラックだ。

・・・つまり、全てのトラックが重要であり全てのパラメータを効率良く上げていくことが要求されている。一見地味なようだが、各パラメータが密接に関係しており、プレイすると徐々に拡大していくことが非常に気持ちの良い優れたシステムであることが分かるだろう。

<フェイズ2>

フェイズ2のアクションフェイズでは、自分が雇用したスペシャリストにディスクを配置して、そのスペシャリストに示されたアクションを実行できる。

タイル右上に記されたマークがランクを表しており、これが多いほどより強い効果を持っている。また雇用した直後のスペシャリストは新人なのだが、論文アクションなどを行った際に昇進させることができ、熟練スペシャリストになるとさらにボーナスやアクションが強化される。これがまた楽しい!


【アクションは5種類】

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実行できるアクションは上記の5つとなる。

航行アクションでは、潜水艇を移動させる。海洋ボードは全て異なった構造を持っているため、行いたいアクションのあるボードへ移動する必要があるのだ。

ソナーアクションでは、新しい海洋ボードを発見、配置することができる。ソナーアクションサイトにより探索できる深さが指定されているため、指定範囲内の海洋ボードを2枚引いて、そのうちの1枚をそのレベルの深さに配置する。

潜水アクションでは、潜水トークンを回収することができる。海洋ボードにより枚数が決まっている早取りのため、他プレイヤーに取られる前に取ることが大事となる。潜水トークンは様々なボーナスをもたらしてくれる。

保護アクションは、様々な海洋生物を保護することで能力を上げたり、インパクトを獲得できる。また保護サイトのほとんどにリンクが張られており、これらのサイトにディスクを置いた全てのプレイヤーが何らかのボーナスを得ることができる。

論文アクションでは、研究シンボル(DNAマーク)を支払うことで論文を発表することができる。これにより能力値を向上させたり、スペシャリストを昇進させたり、新たなアクションを実行できるようになる。


【序盤は苦しいが、その後の拡大感が気持ち良い♪】

プレイ時に注意して欲しいのは、序盤がかなり苦しくなったことだ。少なくとも第3ラウンドぐらいまでは何もできないと思っていいぐらい苦しい。元のエンデバーはもう少し楽なプレイ感だったと思うが。

その分、中盤以降の加速が凄い。アクションも移動範囲も急激に増加してどんどんとやりたいことが出来るようになる。と思ったら、あっという間に6ラウンドが終了してしまう。

おそらく他プレイヤーのサイトを奪うことが出来なくなったので、これ以上長いとゲームが破綻してしまうのかもしれない。ゲームバランスはとても丁寧に調整されている印象を受けた。

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【攻撃要素がなくなり、より現代的なインタラクションに変化!】

今作の最も大きな変更点であり好みの分かれるところは、そのインタラクション性だろう。もともとの「エンデバー」は世界が6+1の地域に分かれており、その地域でのマジョリティ争いをテーマとしていた。

そのため、いつも他のプレイヤーとの力関係に注意を払う必要があり、神経をすり減らしながらお互いの動きを牽制し合う必要があった。また攻撃要素もあり他プレイヤーの都市を攻撃して奪うことも可能であった。

この強いインタラクション性が「エンデバー」の魅力の一つではあったのだが、攻撃要素を好まないプレイヤーも少なからずいたようで、エンデバーがゲーム会に出しにくい理由でもあった。

エンデバーのメインボード

しかし、今作の「ディープ・シー」ではこの攻撃要素が完全になくなっている。地域は海洋ボードというモジュールに分かれ、アクションサイトや潜水トークンの早取り要素のみとなった。

では他プレイヤーとの絡みがなくなり、つまらなくなったかというとそうではないと感じる。まずディスクを置けるサイトが少ないため、ボヤボヤしていると美味しいアクションサイトは全て持っていかれてしまう。

またソナーアクションで新しい海洋ボードを出しても、潜水艇の能力が低いと海深く潜ることは出来ない。このため、やはり他プレイヤーに先を越されてしまう。また海洋ボードは配置する場所を選べるため、出来るだけ自分が得をするように配置するのも面白い。この配置を悩む感じは私の大好きな「ティカル」に似ていると感じた。

さらに保護サイトなどには”リンク”が張られており、そのサイトにディスクを置いているプレイヤーは全員ボーナスを受け取ることが出来る。このwin-winなインタラクションは非常に現代的に感じられ「テラミスティカ」のような「離れたいけど近付きたい」というジレンマを生み出していて面白い。

攻撃要素の苦手な私のようなプレイヤーは非常に快適に遊ぶことができるようになっており、実際ゲーム中は終始楽しくプレイすることができた。どちらが良いということではなく、より好みに合う方を選べるようになったことを歓迎したい。

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【シナリオシートにより何回でも遊べる!】

今作では両面のシナリオシートが5枚付属している。それぞれのシナリオでは異なる目標初期マップインパクト表が記載されており、これが変わるだけでかなりゲームの目標とするところが変わりプレイ感が変わる。実際、任務1では保護アクションや論文アクションが重要であり、そのアクションのある部位へ移動することが大事であったのだが、任務2をプレイしてみたところ保護アクションは価値が下がり、むしろ海洋マップのどのエリアにディスクを置くかというエリアマジョリティにゲームが変わった。

そういう意味では少なくとも10回は遊べると思うし、拡張でシナリオが追加されることも期待できる。これはソロプレイでも同様の効果が期待できるため、ソロプレイ専門のプレイヤーも安心して遊べるのではないだろうか。

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<良いところ>

  • マップのモジュール化により探索のワクワク感が楽しい。
  • 洗練されたエンデバーシステムにより拡大感のあるプレイが気持ち良い。
  • シナリオシートにより毎回異なったプレイ感で遊ぶことができる。

<気になるところ>

  • 海洋タイル毎の特殊ルールがあり、初見はアイコンが分かりづらくサマリーで確認するのが面倒。
  • 論文カードの自動的な更新がないため、停滞すると閉塞感があるかも。

<プレイ時間>

説明書:16ページ
BGG Weight: 2.89(2024/10/8現在)
インスト:20分
プレイ時間:1時間25分(3人プレイ)、1時間40分(4人プレイ)


【感想】

これは非常に面白かった。
以前、名前も聞いたことがなかった「エンデバー日本語版」を遊ばせてもらい、拡大感のあるパラメータ上げがとても面白いと思いつつも殴り合いのマルチ要素が気になり、またプレミア化していたこともあり購入できず残念に思っていた。

しかし今回、懸念の攻撃要素は完全に排除され、サイトや潜水トークンの早取り、リンク形成によるwin-winなインタラクションなど現代的な改良を加えられてリメイクされた。このことは非常に喜ばしい限りだ。

先に述べたように元々のエンデバーは大航海時代の植民地競争がテーマとなっており、攻撃的な要素も含めてそちらの方が好みというゲーマーもいると思うので、そういう方は第2版である「Endeavor: Age of Sail」を入手されると良いだろう。ただし日本語版は存在しない。

そして私のように攻撃要素が好きではないゲーマーには今作「エンデバー:ディープ・シー」の方が非常におすすめだと思うし、遊ぶメンバーで使い分けても面白そうだ。ソロモード協力モードも用意されており、選択肢が増えて名作エンデバーが誰とでも遊びやすくなったことが個人的にはとても嬉しい。

2024年を代表する素晴らしい作品に出会えた気がするのは私だけだろうか。テーマやシステムに興味の出た方は、ぜひ一度試してみて欲しいと思う。


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大航海時代をテーマにした人気作「Endeavor: Age of Sail」が 現代テーマになってリメイク!
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