モノポリーtouring123さんのレビュー

サイコロをふり、物件を購入して建物を建築し、賃料を荒稼ぎして富の独占（モノポリー）を狙え！　　

子供の頃から実家にあり、人生ゲームや「日本列島沈没」などとともに我が家に持ってきていました。うちのはポケッタブル版で、小さなコマが扱いにくいですが、ゲーム内容は全く変わらないと思います。

ポケッタブル版のボードを拡大コピーしています

極めてクラシックなゲームで、最近のボードゲームと比べると気になる点も多い本作。にもかかわらずなぜか小２の息子の評価が異常に高く、定期的にやりたがります。今回久しぶりにプレイし、彼の盛り上がりポイントが改めてよく分かりました。

サイコロを振って、止まった物件を誰も所有していなければ、購入することができます。誰かが所有している物件に止まると、賃料を所有者に支払います。物件にはカラーがあり、同じカラーの物件を全て独占すると、建物やホテルを建設できます。建物があると賃料が「桁外れ」にはね上がるので、誰もが同色の独占を狙います。

同色の権利書を独占して建物やホテルが建ち並び始めると、まさにゲームのフェーズが変わり、サイコロを振る緊張感が一気に増します。なにしろ、さっきまでは＄１６の支払いだったのに、今の賃料は＄９００なんですもの。 周回コースなので、支払わずに済むか高額の支払いを要求されるかのせめぎあいが毎周繰り広げられます。

とはいえダイス運もあり、そう都合よく同色の土地を独占することはできません。ここで登場するのが「交渉」です。土地の権利書を相手から購入したり（たいていふっかけられます）、自分の持っている土地の権利書との交換を持ちかけたりして、なんとか同色の独占を狙います。年長さんの頃は、足元を見られていることに気づかずに割の合わない交渉を受け入れていた息子も、今回は父の提案を鵜呑みにせず。そうはいかんか。

昨日のプレイ。息子がオレンジをホテル街としたのに対して、父はブルー（ボードウォーク）とパープルの一角を独占。息子のコマが近づいてきたタイミングで、一気に建物の建設を行い賃料を釣り上げます。「カタン」や「キャントストップ」の経験で、２つのダイスを振ると「７」「６」「８」などが確率的に出やすいことはお互いに理解しています。

「ふふふ、そこから先は父のホテル街やで」

「６・８・１０・１２の偶数が出たらやばい！やばい！・・９！！セーフやあぶねぇ！！！」

「うまいことすり抜けよった！」

「いよっしゃああああ！！！」

もはやじっとすることはできず、全身を小刻みに振動させながらサイコロを振る息子。振る前も「キャー」、振ったあとも「キャーキャー」、近所迷惑寸前の大声で、対面の父の耳はずっとキンキンしています。ほんとに楽しそうね。

ゲームはここに来て、決定的な支払いをどちらが先にすることになるか、チキンレースの様相を呈します。相手の高級ホテル群を無事通り抜けられるか、この出目で決まる。彼には、この「のるかそるか」のダイスロールがめちゃめちゃ刺さっておるわけです。興奮が収まらない。

なお高級ホテルの巨額な賃料の支払いに窮してしまうと、現金を捻出するため自らの誇るホテル街は売り払われ、限られた土地と資金が残ればいいほう。一気に寂れた我が不動産街を尻目に、相手は得た資金を元手にさらなる開発をすすめます。相手ブランドの林立するホテル群を何周もくぐり抜けることはもはや不可能で、一度傾いたパワーバランスは二度とひっくり返りません。 タイトルの「モノポリー（独占）」のとおり、勝者は栄華を極め、敗者は破産へのカウントダウンを歩むことになります。「モノポリー」は結局のところサイコロ次第な面が大きく、戦略の幅も求められず、一旦不利になった形勢に逆転の余地はほぼありません。 

最近のボードゲームは大変洗練されていて、運と戦略のバランスが取れている上、最後まで脱落者が出ないようにデザインされていて感心させられます。普段は「宝石の煌き」で８枚で１５点とったり、「フォレストシャッフル」で数々のコンボを自在に操ったりと、完成度の高いユーロゲームで大人顔負けのプレイをする息子。そんな彼が、「モノポリー」のバランスの悪さをものともせずサイコロ運にわーきゃーしているのを見ると、こちらも幸せな気持ちになります。面白がるかどうかってゲームの完成度だけじゃないんだなと改めて思います。息子の評価はもちろん星１０、父の評価は星６です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蛇足：追加ルールについて

うちでは投稿されているルール/インストやwikiなどを参考に、一部ヴァリアントルールを採用しています。ゲームバランスを大きく変えるほどではないですが、救済策や適度なスパイスがあるので気に入っています。

• 税金など銀行に支払うべきお金はジャックポッド（ゲーム盤中央）にプールし、フリーパーキングに止まれば全額ゲットできる
• 「GOカード」を採用し、所得税マスやGOマスに止まればカードをひく（「次回の支払い免除」カードなどがある）
• 不均等建設の許可（１軒・３軒 ・３軒 みたいな建て方でもOK）
• 鉄道会社の競争力の強化（水道会社と電力会社を５，６社めの鉄道会社とみなす）
• １時間タイマーが鳴ればゲーム終了で、その時点の現金の多いほうが勝利

ＧＯカード。息子にも読めるようにふりがな振っています

ジャックポットと鉄道会社サマリー。上が購入価格で、下が利用料金。

本来「所得税」は、マスに止まったら支払うというより、一周ごとに支払うべきな気もするし、累進課税制度なんかもあればよりそれっぽくなる気もしますが、さすがにそこまではやりこんでいません。逆転の余地があればとも思いますが、ガツンと形勢がつくまでのドキドキを楽しむゲームと割り切っています。

久しぶりにプレイするとヴァリアントルールあたりはうろ覚えでしたが、彼がビシッと教えてくれました。きみ、ほんとにモノポリー好きなんやねぇ。