- 2人~4人
- 45分~90分
- 12歳~
- 2018年~
マニトバ荏原町将棋センターさんのレビュー
説明書を読んでいる途中で、これは面白い!と確信し、戦慄が走るというか痺れるような興奮を経験をしたことはないでしょうか。マニトバはその一つでした。「他力本願ヴァリアブルフェーズオーダー」システムがスゴイです。
マニトバにおける変則的ヴァリアブルフェーズオーダーとは、「アメリゴ」のキューブタワーで意図的に色を限定しているというイメージでしょうか。だからアメリゴよりもブーイングを買います笑。アメリゴは、投入した色が必ず出てきますので戦略も立て易いですが、マニトバはなぜか大事な時に限って、必要のない色を押し付けられます…
5色のディスクが積み重ねられたトーテムポールから、手番プレイヤーが何枚か重なったまま掴み、ひっくり返した色のアクションを行います。例えば、上から3枚目の白のアクションをしたければ、3枚掴み、白を一番上にします。
その後、他プレイヤーは時計回り順に、「その3つの色の中から」好きな色のアクションを行います。それで、ラウンド終了。
だからもし一番上のディスクしか取らなければ、全員、その色のアクションをやるしかないというインタラクションになります。
ラウンドは、冬1ラウンド春5ラウンド夏5ラウンド秋5ラウンドの16ラウンド(3人プレイは15ラウンド)。ラウンドごとに左隣りのプレイヤーがスタピーとなるので、全員同じ回数ずつスタピーができます。
アクションは、2アクション、セットで行います。一つが、(A)配置で、個人ボードからワーカーを一人、メインボードの今決めた色の土地に派遣するか移動をし、その資源を獲ります。もう一つは、(B)トラック。今決めた色のトラックを一マス進めてボーナスを得ます。この両方ができます。
他プレイヤーのアクションの場合は、ワーカーを配置するかトラックを進めるかどちらか一つしかできません。しかも、派遣には制限があり、すでに置かれている自分のワーカーの隣でなければいけません。
例えば4人プレイの場合、スタピーは4回しか回って来ません。つまり、総手番数の3/4は、色指定も他力本願、かつ1アクションというわけです。
VP決算は、春2回夏2回秋2回の計6回行われます。6回目に当たる秋の第5ラウンド(最終ラウンド)は、全ての資源の決算をしますが、それ以外の5回の決算は、特定の資源がランダムに指定されます。
決算は強制的で、決算に該当する資源を全て捨て、VPに変換します。当然、少ない資源で決算するとVPは小さく、貯めておけばおくほど大きくなります。
資源は、ベリー(緑)、バイソン(茶)、馬(黄土色)、カヌー(青)の4種類で、鷲の羽(白)はオールマイティになります。
個人ボードには、獲得した資源を置く各倉庫がありますが、このゲーム、基本、倉庫にはすぐ置きません。「置けない」のではなく、置けるのですが、その前に「手に入れておきたい物」があります。
獲得した資源は、「儀式の席」に置きます。仮倉庫のイメージです。5種類どの資源も混ぜて置くことができます。儀式の席は、3席用と4席用があり、例えば3席用の席に3つ置くと、それらは自動的に各倉庫に送られ、(鷲の羽はどこにおいても良い)、ボーナスとして貝殻を1枚貰えます。これが手に入れておきたい物です。
貝殻は、フリーアクションとなります。役割としては、ベリー倉庫のベリーを一つ、他3種の資源倉庫に移動させる(その資源の代わりとなる)か、(後述する)目覚めアクションをするか、どちらかを使うことができます。貝殻は一度にまとめて使うこともできます。
使った貝殻は裏にして使用済みとなりますが、4席用の儀式を満席にした時は、貝殻を貰いなおかつ裏の貝殻を1枚表に復活できます。
↑ 上、ラウンドカード。(春夏秋ともに三、五枚目が決算で、一、二、四枚目がイベント)。冬が終わり春も今終わりかけようとしている。馬で決算となっているので、今、赤プレイヤーは手番を終え、さらに貝殻を使用し、ベリーを1つ馬に変身させた。これで11VPを得て、この列全てを捨てる。ゲーム終了時、この貝殻のVPも雑魚点として加える。ラウンドカードが並べられるとパノラマのようになるのが美しい。
資源は、A配置アクションで獲ります。個人ボードにある「活動中の」ワーカーを、メインボードの好きな土地に置くだけです。その土地に置いてある資源を貰います。これだけです。
土地は、緑色の森(ベリー)、茶色の丘(バイソン)、黄土色の草原(馬)、青の湖(カヌー)、白の山(鷲の羽)と、資源の色に対応しているので簡単です。
Bトラックアクションも、「ビジョンの道」と呼ばれる4つのトラックのうち一つを選び、一マス進めるだけです。4つのトラックは、緑、茶色、黄土色、白となっており、青のトラックはありません。普通、白が無いと思うのですが、面白いですね。
緑のトラックでは、ベリーを中心とした資源が貰えます。茶色のトラックは、VPを得ます。黄土色のトラックは、永続効果を得ます。白のトラックは、最後のマスに行くと、ゲーム終了時全ての資源を1つずつ捨てるという辛いイベントがあるのですが、無効にできます。
最後に、目覚めについて。目覚めは、休止中ワーカーを活動化させることです。ワーカープレイスによくあるやつです。スタート時、ワーカーは5人が活動中、3人がティーピー(テント小屋)で寝ています。最初の冬の準備ラウンドで、活動中のワーカー2人を、モジュラーボードとトラック、それぞれ1人ずつ任意の位置に置くのですが、特にトラックは、4列あるのにスタート地点にいるワーカーは、どれか一列だけなのです💦つまり、ゲーム中、早めに4トラック4人体制になるよう、あと3人送り込まなければいけません。
決算をした後は、該当の資源の土地に居るワーカーは全てテントに戻り、寝ます。つまり、このゲーム、(8人も居るのに)、「活動中の」ワーカーがカツカツになるのです…
これに呼応するシステムとして、手番プレイヤーだけは、「集団目覚めアクション」ができます。これは、例えばテントに4人居たとしたら、トーテムポールを4つ掴んでひっくり返し、4人「全員起床!」させることができます。プレイがとても楽になりますが、貴重なスタピーの2アクションを放棄することになります!
↑メインボードは、「マニトバ湖」または「マニトバ山」のどちらかを選んで作る。ただ真ん中に湖や山を集めるだけ。これは2人プレイ時の例。
戦略は…………無いのです。総手番の3/4が他力本願なのですから。
どのプレイヤーも、季節ごとに予告された決算の資源を、いかにして集めるかです。
敢えて言えば、目覚めをどう考えていくかが、戦略の岐路となります。
黄土色(馬)トラックの最後のマスに早めに到着し、その後さらに黄土色トラックを進めると、進めない代わり、そのたびに目覚めができます。
貝殻をたくさん集め、「ベリーの変身」に使わず、目覚めに使う戦略もあります。
ゲーム中、1回だけ、先程言った「集団起床」をやってしまう戦略もあります。
この3つでしょうか。
ポイントとしては、
■序盤の定石として、黄土色トラックの2マス目まで進んでおく。1マス目は目覚め、2マス目は、他プレイヤーA配置アクション時の派遣の縛り(隣にしか派遣できない)が消える。
■各トラック4マス目にある各資源「決算免除」に進んでおく。こうしておけば、まだ資源が少ないのに決算になった時、該当する資源を決算せず貯めたままにしておくことができる。(カヌー(青)の決算免除は白トラック3マス目にある)
■決算時寸前に、該当する資源の土地から移動しておく。A配置で決算該当の資源を入手したのはいいが、そのままだと決算時、テントに戻って寝てしまう。それを避けるため、A配置で、派遣ではなく移動を行い、決算該当の資源とは違う土地に逃げておく。
■最終ラウンド、各資源全部−1というイベントを喰らうと、VPが下がるだけでなく、資源数が0になった種類につき−2VPとなる。白アクションの時は、鷲の羽が獲れるのでA配置をやりがちだが、できればBトラックも進めて、このイベントを消去したい。(だから青トラックでなく白トラックにしているのだろう)
↑ 4つの「ビジョンの道」。スタート時(冬の準備ラウンド時)は、馬のスタートにワーカーを置くのがセオリー。これで早速1人を目覚めさせ、次の一歩で、他プレイヤーA配置アクション時の派遣の縛りを消去できる。なお、全部のトラックを進めるのは容易ではないので、バイソントラックの「コツコツVP」を進めない、だったら最後までワーカーを置かない、という「バイソントラック放置戦略」もある。
中量級のプレイ時間なのに、難しくて、デザインも美しく、煩雑な効果類も少なく、システムも貴重でユニーク。かなり好みのゲームです。
- 17興味あり
- 16経験あり
- 2お気に入り
- 18持ってる
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