- 2人~5人
- 10分~20分
- 10歳~
- 2021年~
マグノリアBluebearさんのレビュー
2021年に、『ボルカルス』『ヴォーパルス(ペーパーテイルズ)』『ダンジョン・オブ・マンダム』で有名な上杉真人氏のデザインでリリースされた作品です。
基本的にカード配置のみのシンプルなルールで、ファンタジー王国同士の発展と攻防を描いています。
マグノリア(Magnolia)とは一般的に植物の木蓮(モクレン)の事で、単子葉類のため、花びら、がく、おしべなどが3の倍数になります。
タイトルから今作は、この《3の倍数》にこだわって作られている事が分かります。
◾️3×3の領地を作ろう!
カードは全部で102枚あり、全てなんらかのキャラクターが描かれています。
キャラクターデザインは『ヴォーパルス』『セブンスナイト』の長谷川登鯉氏。
やや漫画っぽいけど特徴や種族の描き分けがしっかりできていて、カードゲームとしてはいい感じ。
これをて手札から自分の場に出して行って、最大3×3枚の領地を作ります。
◾️多彩な能力の組み合わせ
カードごとに多様な特殊効果があるのですが、単独ではそれほど効果が高くないのですご、組み合わせる事で多彩なコンボの発動と、様々なボーナスを得ることができるので、そこをじっくり考えるゲームとなっています。
特別なパラメータとしては《技術点》と《信仰点》があり、それをどこまで上げるかによって効果の変わるカードも多く、単に毎ラウンドの金額収入や戦力だけではなく、自分の国のどこを伸ばすかをしっかり考えないと、効率的な発展が望めないようになっています。
他にも3×3枚のカード配置の中で、特定の1列を《職業》または《種族》で揃えると、何らかのボーナスを得ることができるので、そこも何を狙うか考えなければなりません。
カードの置き方も、結果的に3×3になればいいので、カードが少ないときは「上下」「左右」どちらに付けるか?というのも非常に悩ましいです。
このように考える要素が多岐にわたるので、同時に複数の要素を考える必要があります。
テキトーにやると効果が弱く、得点が伸びないようになっているという、ゲームとしては高い完成度を持ちます。
◾️戦力を比較して戦争
最近流行りの、特定の《誰かを狙わない》戦争です。
互いの国戦力を比較して、強制的により戦力の高い国だけポイントを得ておしまい。特に戦略とか損害はありません。
これは好みが分かれるところでしょうね。
個人的にはパワーバランスを考えてどこと戦争するか判断したいところですが、このゲームの趣旨を考えると仕方ないかなという感想です。
このポイントが結構大きいのですが、出遅れるとなかなか挽回出来ず、かなりの点差が付くので、初心者にやらせる時は要注意です。
ちなみに戦力も、自分が並べている3列のうち最も上にあるカードの戦力のみ有効、という変則的なルールが効いていて、極端な戦力アップができないようになっています。
◾️展開が早い!
手札は5枚。
1ラウンドに複数枚のカードを自分の場に出す事ができます。(場に出すのに金額コストがかかるので、高額のカードを連続して出すのは難しいようになっています。)
誰かがこのカードを3×3の9枚達成したらゲーム終了なので、展開はせいぜい5〜6ラウンドしか続きません。
この他に誰かが40点貯めても終了です。後半は結構点数が伸びるので、やはりたちまち終了します。(あくまで終了条件なので、集計結果で逆転される事はあります。)
ぼんやりしていると「えっ⁉︎もう終わりなの?」となるので気をつけましょう。
◾️アイコンが分かりやすい
このゲームは、《配置フェイズ》《戦争フェイズ》などの各フェイズごとに全員同時進行です。(そのため余計展開が早い!)
各カードの持つ特殊能力は、それぞれ特有のフェイズに効果を持つのですが、このアイコンが整理されてわかりやすく明示してあり、ルールのデザインだけでなく、ゲーム進行を分かりやすくする配慮も伺えて、好感が持てます。
こういう工夫は大事ですよね。《分かりにくいアイコンもたまに見かけるので…)
◾️ちょっとソロプレイ感はあるかな
前述のように特定の誰かと戦う戦争ではないですし、誰かのカードやポイントを奪うアクションもありません。短いラウンドの中でどうやって点数を伸ばそうかをひたすら模索するゲームです。
そのためややソロプレイ感があるのは否めませんので、そこに好みが分かれると思うので気をつけて下さい。
とはいえ、《戦争》している感があるかどうかはともかく、毎ラウンド他のプレイヤーと戦力を比較するので、他のプレイヤーたちの戦力が今いくつなのかはしっかり把握する必要があります。
これはデザイナーもよくわかっており、《戦力値》が今いくつなのかを表示するトラックが、得点とは別に用意されています。
考えてみれば別にわざわざ表示の必要はなく、各ラウンドに「今◯点だよ〜」で済むのですが、これをわざわざ表示する事で他者との比較が容易にできるように配慮されている事がよく分かります。
このように隅々まで配慮が行き届いているゲームを久々に見ました。
このように非常に切れ味鋭い、完成度の高いゲームでした。
5人でやってもせいぜい30分程度です。
そのくらいの時間で濃密なゲームやった感が得られる作品として貴重な存在です。
その代わり、繰り返すようですが、目的やコンボをちゃんと考えないでプレイすると、ものすごい点差が付きます!
点数をしっかり伸ばすには、ある程度のゲーム経験が必要な印象です。
実際ウチらで稼働させた時は、初心者が『何からやっていいのか全然分からない』と言ってました。
結果はトリプルスコアくらいになっちゃいました(泣)
なので初心者とベテランが混ざる時は、くれぐれも気をつけて下さいね。(『最初の1回は練習ね』が必要だと思って下さい。)
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