【評価9/10】
本作の作者は協力ゲームの金字塔である「パンデミック」でお馴染み、マット=リーコック氏。同氏は昨年も新たな協力ゲームの形を取り込んだ「e-ミッション」を生み出しドイツ年間ゲーム大賞を受賞したが、今回はパンデミックの基本システムを引き継ぎながらも大胆なアレンジを加え「中つ国」の世界をゲームに落とし込んだ。
本作はもちろんロードオブザリング(指輪物語)を知っていても知らなくても遊べる作品ではある。ただ、やはり推奨は映画「ロードオブザリング」3部作を見るか、または小説「指輪物語」を読んでから遊ぶ事だろう。世界の息吹がシステムに落とし込まれており、事前知識があれば世界観に浸って楽しみの深みが増す事と思う。
以下で、本作の魅力と特徴について記してみたい。
【本作の目的】
本作の舞台は現実世界にいささか似つつも、色々な種族が暮らし魔法が息づく「中つ国(middle earth)」。強大な冥王であるサウロンが作った「一つの指輪」を巡る物語だ。
冥王サウロンはかつて世界を支配しようと大きな戦争を起こした。サウロン軍の勢いは凄まじく、中つ国に住む人間を初めとした各種族は存亡の危機に立たされる。しかし絶望の淵まで追い詰められた人間とエルフは連合軍を組んでサウロン軍と戦い、かろうじて勝利。サウロンはその強大な力を一度は失うこととなる。
サウロンが力を失って世界は一旦平和を取り戻したものの、実はサウロンは完全に滅びた訳ではなかった。一度は連合軍に敗れたサウロンだったが、その後時間をかけてゆっくりと力を取り戻し、再び中つ国に魔の手を伸ばしていく。サウロンが求めるのは自分の力を大きく宿した「一つの指輪」。もしサウロンが一つの指輪を取り返してしまったら完全に全盛期の力を取り戻すだろう。世界に再び危機が訪れる。
では、その「一つの指輪」はどこにあるのか、誰が持っているのか。陽気な性格で戦いにはてんで向かない種族である「ホビット族」の若者、フロド=バギンズが「一つの指輪」の所有者となっていた。
魔法使いのガンダルフから指輪の秘密を教えられたフロドは、エルフの隠れ里である裂け谷に指輪を届けるが、裂け谷の長・エルロンドが会議を開くも誰が指輪をどうするか一向に結論が出ない。そんな中、フロドは自分が指輪を葬ることを決意する。
しかし、ここで大きな問題がある。「一つの指輪」を完全に葬ることができるのは「一つの指輪」の材料を溶かすほどの高熱を発する場所しかない。それは「一つの指輪」が生まれた場所。サウロンの本拠地であるモルドールにある「滅びの山」しか無いのだ。
かくして、フロドの過酷な旅が始まる。フロドは果たして、サウロンのお膝元であるモルドール、さらにその中にある滅びの山まで無事辿り着き、指輪を葬ることができるのだろうか。
…というのが指輪物語の導入である。本作のルールブックにはそこまで書いてある訳ではないし、この背景を知らなくてももちろんゲームを遊ぶことはできる。ただ、多くの目的カードがある中で「一つの指輪を破壊する」目的カードだけは必ず使用し、かつ最終目的となる理由は上記背景によるものだ。
もちろん、指輪物語/ロードオブザリングは超が付くほど有名な作品なので、ちょっとネットで調べればこれくらいの話はすぐ出てくるだろう。とはいえ、「圧倒的な力を誇る冥王に対し人間、エルフ、ドワーフ、ホビットという多種族が互いに協力し勝利を目指す」という燃える逆境シチュエーションであることは、ゲーム開始時に知っていた方が圧倒的に気分が盛り上がるのではなかろうか。
【ゲームの敗北】
本作の勝利条件は上記した通り「一つの指輪を無事葬る」事だ。では一方で本作の敗北条件は何か。それは「フロドが希望を全て失った時」だ。これは恐らく「一つの指輪を葬ることなんて、もう無理だ。サウロンに勝つことなんてできない」とフロドが諦めてしまい、サウロン勢力に捕まって指輪を奪われてしまう事を指すと思われる。
この敗北条件は指輪物語/ロードオブザリングを全く知らない人からすると「分かるような、分からないような…」という点かなと思う。なんで希望がフロド限定なの?フロドが希望を失っても、他の仲間の希望が失われなければ最後は指輪を葬ることができるんじゃないの?と。
これは「一つの指輪」の性質が大きく影響している。一つの指輪は道具でありながら意思を持っており、常に唯一の主人であるサウロンの元に戻ろうとしている。サウロン以外の誰にも支配されず、むしろ指輪をはめたサウロン以外のものの心を少しずつ毒し、蝕み、支配していく。
ホビットという種族は何故かこうした指輪への耐性が他の種族よりも強い傾向があるようで、その中でも特に主人公・フロドはかろうじて指輪の恐ろしい魅力「指輪をつけてみたいという衝動」や「指輪を我が物にして自分が力を発揮したいという欲望」に抵抗することができているが、ホビットなら他の誰でもその役割を担えるとは言えない(現にフロドの養父であるビルボは指輪に毒されかけた)。その者が指輪を手にした瞬間、指輪に精神を支配され、サウロンに指輪を差し出してしまう恐れを否定することができないのだ。
つまり、指輪を安全に葬ることができる可能性があるのはフロドだけということになる(それですら本当は危ういが)。そのフロドの精神が屈した時、遅かれ早かれ指輪はサウロンの元に戻る事になるだろう。これが「フロドが希望を失った時、ゲームに敗北する」意味ではないかと考える。
【フロドはどういう時に希望を失うのか、あるいは得るのか】
では、どういう時にフロドは心を病んでいくのか。システム上では次のように表現されている。
- 捜索ロールで「疲弊」等が出た時
- フロドがいる地域にサウロンの目がある時に「空が暗くなる」カードを引いた時
- 安息地が陥落し、冥王軍の砦になった時
- 冥王軍を配置しなければならないのにサプライに冥王軍部隊駒がない時
- プレイヤーカードを引く必要があるのにデッキが尽きている時
大きく分けると「サウロンやその仲間がフロド達を探している」という心理的負担によるもの(1、2)、冥王の軍勢がどんどん勢力を拡大しているという不安(3、4)、そして未来の可能性が失われつつあること(5)などがフロドの希望を奪っていくという事だ。
時間が経てば経つほどフロドの心は蝕まれていく危険性が高くなる。しかし一方で、フロドが希望を得る場合というのもある。
- 仲間が冥王軍の砦を占領して安息地にした場合
- 目的カードの達成(種類による)
- 一部キャラクターの能力
冥王軍の砦を落としたり、目的を達成することで「もしかしたら人間やエルフやドワーフはサウロンの力に屈さないかもしれない。なら、無事に指輪を葬れるかもしれない」とフロドの心に希望が芽生えることは想像に難くない(1、2)。
またメリー&ピピン(2人で1キャラクター)がフロド&サムと一緒にいる時、メリー&ピピンの固有アクション「1曲歌って!」を行うことで希望を得ることができる。元々歌や踊り、陽気な祭りなどが好きなホビットのことだ。フロド、サム、メリー、ピピンの4人で明るく歌を歌って「よし!また頑張ろう!」と思えるのだろう(3)。
【早く指輪を捨てたいのはやまやまだが…】
上記のように希望を増やす方法もあるものの、結局は時間が経てば経つほどフロドの希望が失われていく危険性の方が高いので、早く指輪を滅びの山に捨てに行きたいのはやまやまだ。しかし、それには下準備が必要となる。
下準備の一つは、目的カード「一つの指輪を破壊する」以外の目的カードを全て達成することだ。目的カードは24枚ほどあり、全て中身が異なる。この中からゲームの難易度によって「1つの指輪の破壊」を含めて4〜6枚の目的カードを用意することとなる。つまり、最高難度ともなると5枚の目的を先に達成してから、ようやく一つの指輪の破壊に踏み出せるのだ。
下準備のもう一つは、目的カード「一つの指輪を破壊する」自体が要求する必要資源だ。アイコンが指輪のカードと指輪トークンを合わせて5個を、フロド&サムが持っている必要がある。
ここら辺は「パンデミックみ」を感じるところで、治療薬のために同色のカード5枚を揃える流れと似ている。また、他プレイヤーとの間でカードを渡したりもらったりするためには、「キャラクターが一緒の場所にいるなら、今いる地域のカードに限り、受け渡しが出来る」という制限を受ける。この辺りもパンデミック譲りだ。
最後の勝利のためには何とかフロド&サムに指輪マークのカードを集めたいところだが一筋縄では行かない。渡せるような地域のカードが出ないかなぁ、とプレイヤーカードを引いているうちにパンデミックの「エピデミックカード」に当たる「空が暗くなるカード」を引かされてしまい、だんだん苦境に陥っていく、という流れだ。
また、ゲーム序盤からサウロンの目やナズグルがフロド&サムと同じ地域にいるのもフロドたちが安易に動けない理由となっている。上記した「希望を失う場合」の1や2がお膳立てされた状態でゲームが始まるという事であり、開始時点で既に劣勢の苦しい状況を表している。
序盤からマークされ過ぎのフロドさん
ただし、幸いにも探索されているのはフロド&サムだけなので、他のキャラクターはナズグルやサウロンの目があってもなくても移動には何ら支障がない。アラゴルンやレゴラス、アルウェン等が縦横無尽に動き回ってサウロンやナズグルたちの気をそらし、少しでもフロド&サムへの監視の目を軽くしつつ、指輪破壊以外の目的をどんどん達成して、ゲームクリアに向けたお膳立てを整えていく必要があるのだ。
【手番の流れ】
さて、上記で本作の背景である指輪物語/ロードオブザリングと、ゲームシステムの融合度合いを見てきた。物語の世界観がどのようにシステムに落とし込まれているのか、少し見えてきたのではないかと思う。
ここで少しシステム面での話になるが、各プレイヤーの手番で行うことについて見ていこう。
各プレイヤーはそれぞれ2キャラクターを使用し、どちらかのキャラクターで4行動、残りのキャラクターで1行動する。行動は移動や交友(カードの受け渡し)、準備、招集、攻撃(パンデミックの治療のイメージに近い。パンデミックでウイルス駒を除去するように、本作では冥王軍の駒を除去する)、占領の全6種。これらを組み合わせて4行動+1行動が終了したらアクションは終了だ。
次に、プレイヤーカードを2枚引く。ここで「空が暗くなる」カードが出たら冥王軍の脅威度が上がり、冥王軍カードの捨て札をシャッフルし、冥王軍カード山の上に戻す。
最後に冥王軍カードを、脅威度に応じた枚数引いて処理を行う。ここまでが1プレイヤーの手番で行うことのセットとなっている。以上が終了したら、勝利条件や敗北条件を満たしていない時は次のプレイヤーに手番を渡す。
【世界への脅威〜冥王軍の増大と侵攻】
パンデミックでは都市カードを引いて、その指示に従ってウイルス駒を置く。1都市に置けるウイルスは3個までで、更にその都市にウイルス駒が追加される際に隣接するすべての都市にウイルス駒が置かれる形でウイルスが広がっていった。
本作もパンデミックと同様、プレイヤーは手番の最後に冥王軍カードを引き、その指示に従って冥王軍を置く、あるいは動かす。パンデミックと異なり1都市に置ける冥王軍駒の上限はない。ただし、置かれた駒がいつまでも最初に置かれた場所にいるとは限らない。相手は軍隊なのだ。彼らは冥王軍カードの決まりに従い、軍隊を拡充したり進軍したりする。その目的地は、中つ国で平和に暮らすさまざまな種族の拠点だ。彼らは人々が安心して暮らせる安息地を破壊するために侵攻してくる。これが非常にスリリングである。
上記「プレイヤーの手番」の説明の中で、プレイヤーカードを引いた際に「空が暗くなる」カードを引いた場合、冥王軍の脅威度が上がる話を書いたが、脅威度が上がれば上がるほど手番最後に引く冥王軍カードの枚数が増えていく。最初は2枚で良かったのが次第に3枚、4枚と、一度に引かなければならない枚数が増える。
それによって、冥王軍の駒が急速に盤面に置かれ、恐ろしい大軍がそこここに生まれたり、想定よりも進軍が早く対応が追いつかなくなって安息地が危機に晒されたりと危険度は時間が経てば増す一方である。
この加速する冥王軍の増大と侵攻も、プレイヤーたちが「なるべく早く指輪を葬らなければ」と焦りを覚える原因になるだろう。
【ゲームの大きな流れ】
以上をまとめると、本作「指輪物語:運命の旅】の大きな本流が見えてくる。
まず、一つの指輪を持つ「フロド&サム」を最終的に滅びの山まで到達させ、指輪シンボルのカードと指輪トークンを合わせて5個消費し、「一つの指輪を破壊する」目的カードを達成させることが最終的な目標となる。
そのためには他の目的カードをなるべく速やかに達成したい。ただしフロド&サムはサウロンの目やナズグルに注視されており動きづらいため、他のキャラクターが一つの指輪破壊以外の目的を達成していく流れとなるだろう。
ただし、目的カードばかりを追い求める訳にも行かない。冥王軍が安息地に向かって侵攻してくるからだ。安息地が陥落してしまうとフロドの希望が失われてしまい、敗北に近付いていく。
従って、プレイヤーたちは最終目的である「一つの指輪の破壊」を念頭に置きながら、先に他の目的達成を目指す必要があるが、並行して冥王軍を撃退したり数を減らすことも必要となってくる。
もう一点、戦闘には重要な意味がある。プレイヤーキャラクターが冥王軍に攻撃を仕掛けると、サウロンの目が戦場となった地域に移動してくれるのだ。サウロンの目がフロド&サムと違う地域に移動する意味は大きく、「空が暗くなるカード」を引いてしまっても希望が失われなかったり、ナズグルがサウロンの目のいる地域に移動してくれることがある。サウロン勢力の注目をフロドたちからそらす「陽動作戦」の意味合いからも、戦闘を仕掛ける意義は大きい。
エオウィンとアラゴルンでアイゼンガルドに攻撃を仕掛けようの図。サウロンは気になって見ずにはいられない。今がフロド移動のチャンスだ。これらの各キャラクターの協力により、ある時はサウロンの目やナズグルを引きつけてもらったり、目的カードを達成してもらったり、冥王軍の勢力を削ってもらったりして、何とか希望を繋ぎながら最後のフロド&サムのモルドール潜入、そして指輪の破壊に繋げていく。以上が本作の大まかな流れとなる。
【人数が多いほど難易度が下がる?】
そして、ここは本作の大きな長所として語りたいのだが、筆者の体感で言うと本作は「プレイ人数が多いほどクリアしやすくなる」珍しいタイプの協力ゲームであると感じた。
理由は大きく2つあるのだが、これを説明してしまうと、ゲーム内で遊んでるうちに「ああああ〜〜〜そゆこと!?」の「気付きの楽しみ」が失われてしまう危険性がある。それは勿体無いので、説明はここでは省略することとしよう。
ただ、協力ゲームでどんどん人を誘いたくなるシステムを作ってくれたのは良い試みだと個人的には思った。「あまり上手じゃないから」とか「自分が入ってうまく行かなかったら困るから」と遠慮しがちな人を「一緒にやってくれると私たちも助かるから!お願い!」と誘えるのは、協力ゲームとして良い在り方ではなかろうか。
ちなみにプレイ人数は1〜5人となっている。協力ゲームがソロでも遊べるのは周知の事実ではあろうが、本作ぐらいやりごたえのある協力ゲームで5人まで遊べる作品というのはまだまだ多くない。そういった意味でも、今後も存在感を発揮し続けるゲームではないかと思われる。
【リプレイ性】
本作では使用できるキャラクターは13人おり、プレイヤーごとに2人ずつ使うとしても組み合わせのパターンが非常に多い。各キャラクターは固有能力を持っており、今回はこのキャラクターがいるからこういう戦略でいこう、などプレイングに幅が生まれる。
プレイヤーカードに混ぜ込む「イベントカード」(誰でも、どのタイミングでも使えるカード。パンデミックで言えば「静かな夜」「人口増加」「政府の援助」等に当たるもの)も一度に全てのカードは使わず、開始前に数枚抜く。
目的カードも24枚あり、1ゲームで使うのは3〜5枚+「一つの指輪を破壊する」なので、バリエーションが相当生まれる。また、各目的カード自体の難易度も異なると思われる(あからさまに難しそうな目的カードも)。
難易度調整として「空が暗くなる」カードを何枚プレイヤーカードに混ぜるか選ぶことができる(4枚で簡単、5枚で普通、6枚で難しい)。また、目的カードの枚数も4〜6枚の範囲で選ぶことができる。
このように、リプレイ性はしっかり担保されているので繰り返しのプレイにも容易に堪えると思われる。特に、筆者もまだ未プレイだがゴクリ(映画で言うゴラム)などはかなりクセのあるキャラクターなので、混ぜて遊ぶとプレイ感が結構変わりそうだ。いずれにせよ、一度や二度遊んで満足するようなゲームではないことは断言しておこう。
【本作の弱点】
さて、上記では本作の大まかな流れをざっくりとなぞり、その魅力をお伝えしてきたところではあるが、残念ながら弱点も皆無ではない。
まず、上記では意図的に「ざっくりとした流れ」をメインに説明したのだが、実際に本作をプレイしようと思いルールの詳細を読んでいくと、意外と細かな処理が多く、想像以上に複雑だった!と感じる人が出るかもしれないことを、正直に伝えておく。指輪物語が大好きだがボードゲームにはまだあまり慣れていない、と言う方にとっては正直、ルールが難しめかもしれない。ボードゲーマーにとっても「少し重めの中量級」と言ったところだろうか。本家パンデミックよりはルール把握に骨が折れることは間違いなく「遊べる人をやや選ぶゲーム」である点は弱点とさせていただく。
次に「奉行問題」を解決する仕組みは内包されていない点だ。作者マット=リーコック氏は「e-ミッション」で、「各プレイヤーが個別に自分の勢力の問題を解決しながら全体利益も追求する必要がある」と言う「奉行問題が発生しづらい協力システム」に取り組んだが、本作ではそうした知見は組み込まれていない。
これは世界観による影響もある。e-ミッションはアメリカ・中国・ヨーロッパといった世界の各勢力を取り扱っており、各勢力は自己の独自目標を追求する必要もある一方で、世界環境を無視すれば結局全てが無に帰するという「個と全体のバランス」を問う世界観となっていた。これがシステムとマッチすることで奉行問題を回避できたのだが、指輪物語では複数のキャラクターが一緒に行動するケースが発生しやすく、結果的には奉行問題をむしろ誘発する仕組みとなってしまった。
無論、誰か一人が奉行をするのではなく、全員で話し合って方向性を決めるのがベストではある。ただ、上記したルールの若干の複雑性により「命じられたことをこなす事しかできない」置いてきぼりの参加者を生み出す危険性があるのだ。
この点は非常に難しいところで、本作のルールは「指輪物語の世界観をシステムに落とし込み、物語とシステムの融合を図りつつ、ゲームとしての遊び甲斐も担保しよう」と言う調整の苦労が非常によく感じられる。これは原作「指輪物語」への愛とリスペクトに他ならず、「指輪物語が好きなボードゲーマー」からすると感涙ものなのである。
ただし、喜びのあまり突っ走りすぎると「ルールを十分に把握できず、世界観の把握も不完全。あとはマシンとなって有識者の意見に従う虚無のプレイヤー」を生み出す危険性がある点も警鐘を鳴らしておく必要があると思われた。
「システムが担保する奉行問題回避の仕組み」はない。プレイヤーはこの点を認識した上で、「虚無の人」を生み出さないよう、プレイングで回避する必要があるかもしれない。
【まとめ】
以上、長文になったがまとめに入る。
本作「指輪物語:運命の旅」は
・協力ゲームの傑作・パンデミックの基本システムを継承しながら、人気作品「指輪物語/ロードオブザリング」の世界観の再現を目指し、システムと融合させた意欲作である。
・サウロン勢力から常に監視されながら、希望を失わずに「一つの指輪」を葬ることができるか、その前にフロドの心が絶望に塗り潰されてしまうのか、緊張感のあるゲームを楽しむことができる。
・協力ゲームとしては珍しく、プレイ人数が多い方が難易度が下がる傾向があるため未プレイの人も遠慮なく誘いやすい点が長所。
・また、5人まで遊べる点も良い。
・キャラクター、イベントカード、目的カードなども多数含まれており、リプレイ性も担保されている。
・ただし、ルールの難度は決して低くない点は注意。
・また、奉行問題への回答はシステムに内包されていないため、プレイヤーが意識してこれを回避する必要がある。
・こうした弱点も内包はしているが、総じて良好な協力ゲーム。特に「指輪物語が好きなボードゲーマー」にとっては感涙ものの完成度だが、それだけに突っ走りすぎて虚無プレイヤーを生まないようご注意を。
以上です!
筆者は個人的な体験として指輪物語/ロードオブザリングを知っている・好きな人と囲んだ卓も、ほぼ知らない人も含めた卓も、どちらも経験しました。
また、ボードゲーマーとして本作のルール負荷に耐えられる人ばかりの卓も、そうでない卓も、どちらも経験しました。
このように、いろんなパターンの卓を経験できたのは得難い機会でした。そこで色々な学びもありましたし、そうした経験を通じて自分なりに感じたことを本レビューに反映することができたのかな、と思っています。
本作はとても良い作品です!特に、指輪物語/ロードオブザリングが好きな人であればあるほど、その思いは強まるでしょう。
仮にそうした事前知識がなくとも協力ゲームとして良い作品でもあります。ただし、用いる際には注意点もあるので、避けられる危険は回避しつつ本作を末長く楽しんでいただければ、と思います^^
長文乱文失礼しました。最後までこの記事をお読みいただいた皆様に感謝を。ありがとうございました♪皆様の良きボドゲライフに少しでもお役立ていただければ何よりです^ ^
- 投稿者:
18toya
- 48興味あり
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- 85持ってる
| 世界観/基本テーマ |
|---|
| 頻出するメカニクス | |
|---|---|
| 得点や資源等の獲得ルール | |
| 行動に関する仕組み | |
| その他のメカニクスや仕組み |
| 運・確率 | 7 | |
|---|---|---|
| 戦略・判断力 | 6 | |
| 交渉・立ち回り | 4 | |
| 心理戦・ブラフ | 0 | |
| 攻防・戦闘 | 1 | |
| アート・外見 | 6 |
レビュー 7件
リプレイ 0件
戦略やコツ 1件
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