- 3人~5人
- 30分前後
- 10歳~
- 2020年~
探偵稼業Bluebearさんのレビュー
ニューゲームズオーダーから2020年にリリースされた推理ゲーム。
プレイヤーはそれぞれ別の探偵事務所の探偵となって、さまざまな依頼を推理していきます。
ただし、ここで言う《探偵》とは、殺人現場で颯爽と犯人を指名して見せるような《名探偵》ではなく、探し物調査の依頼を受けて、分かった事を依頼人に報告するだけ、という《町の探偵事務所》の調査員です。
そして今回の依頼は、探し物。
《カバン》や《猫》や《子供》が消えた。
それら6つの失踪事件を調査します。
(でも、同じ依頼を5つの探偵事務所に同時に頼むクライアントってどうなんでしょうね、笑)
ただしこのゲームで扱うのは、その《居場所》の情報であって、失踪した動機とか、その背後関係とかには全く触れません。あくまでも居場所を《探す》という依頼なのです。
プレイヤーは、神経衰弱の要領で、調査によってどの手がかりがどこにあったかを記憶し、情報交換によって誰の手元にどんな手がかりがあるのかを推理していきます。
『第2回東京ドイツゲーム賞ニューゲームズオーダー特別賞作品』だそうです
◾️まずぶったまげる内容物
箱を開けてルールブックと小さいカード類を取り出すと、しばらく唖然とします。
何とそこにあったのは箱いっぱいにぎっしり詰まった透明なプラスチックパーツ!
何じゃこりゃあ!…と思って取り出すと、何と《カードスタンド》。それも15本!
15本ですよっ!
《ニューゲームズオーダー》のこだわりのコンポーネントちょっとびっくり。(ちなみにこのメーカー、『さまよえるオランダ人(Der Fliegende Holländer)』というクラウス・トイバーの名作の発売時にも、専用の蹄鉄のチップスタンド(しかも木製)をぎっしり6本含めるという型破りな事をしています。)
なぜこんなものが必要なのかと言うと、ルールを読んで理解。
手がかりカードの背面は基本的に全プレイヤーに見えるようにする必要があるが、カードの表面は自分だけ分るようにしたい。
という事でした。
ちゃんとゲーム内容的に必要性があってセットされているわけですね。(カードを伏せて並べてもできなくはないんだけどね)
◾️オシャレなグラフィック
イラスト担当はママダ・ユースケ氏。カラフルでありながら、リアルな雰囲気を出すオシャレなイラストで、没入感たっぷりです。(変にディフォルメマンガだったり萌えイラストじゃないところが素敵♪)
人物に《顔》が無いのが、ミステリーっぽくて更に良い感じです。
◾️記憶力と推理力の勝負
ゲーム内容は基本的にカードのみ48枚。
6つの調査対象の描かれたカードが、場所別に8色(1〜8番の数字が振られています)。結果6×8=48枚ですね。
非常に大雑把なルール説明をすると(細かい点は省いていますので注意です。)各探偵はスタート時に3枚のカードを持ち、スタンドに立てます。
自分の手番になったら次の2アクションを実施します。
①聞き込み
2つの山札のどちらかからカードを引く。
伏せてあるけどカードの背面《色=場所》が見えているので、自分の判断で選んで引けるっていうのはなかなか良い。
②情報交換
誰かを選んで任意の1枚をもらって、それとは別の自分のカードを1枚返す。
これもカードの背面が分かっているので、狙いを絞って引くことができます。
ここでこのゲームの大事な点!
やり取りしたカードの置き場所(カードスタンドのどこに立てたか)を変えてはいけない、という事です。
これによってやりとりしたカードが何だったのか、だんだん分かってきます。(憶えていれば、ですが。笑)
そしてある程度、調査対象がどこにあるか分かったらいよいよ【調査報告】です。
調査対象が例えば《猫》だったら、その《猫》の場所カードを連続で指定していきます。
相手の持ち札を指定してもいいです。先に自分だけ見て、合っていたら公開します。間違えて違う対象を引いてしまったら公開せずに本人に返して終了です。
いずれにせよカードを指定された探偵は《報酬チップ》を1点ぶんもらえます。
自信がなくなったら好きなところでやめてもいいです。
つまり、相手が狙っているカードを自分が持っていれば最終的に加点になるのです。
この辺の狙いどころが難しい。
1つの調査対象に8種類の場所カードがあるのですが、ゲーム終了時に最大多数を《報告》できていれば、カード枚数の2倍、2位だったらカード枚数+2点、3位以下ならそのままカード枚数の点数をもらいます。
(8種類しかないのは分かっているので、最低4枚押さえればいいはずのですが、多いほど点数になるっていうのが悩みどころですね)
こうして1人最大3件までの対象を《報告》をしたら終わりです。
つまり、いかに狙った調査対象のカード(場所)のありかをたくさん確定させて、さらにそれを憶えておけるか、の勝負となります。
しかも早い者勝ちの要素もあるので、余計に大変です。
早めに少ない報告で済ませるか、時間をかけて調査を続けるかのジレンマになるのです。(ぼやぼやしてると先に《報告》されてしまいますからね)
普通のカードゲームなら、狙った対象の手がかりカードを、出来るだけ自分の手札に集めようとするんだけれど、このゲームはそうではないところが変わってるのですね。
誰のカードスタンドのどこに立ててあるかさえ知っていればいい事になります。
けっこう頭を使うのがわかってもらえるかと。
いやー、歳を取ると物覚えが悪いので、正直言ってこのゲームかなり苦手です!!
憶えておけるのは、せいぜい3箇所くらいまで。
それもだんだん各自が新しいカードを引いて並べて立てていくので、途中から記憶がどんどんあやふやになってきます。
ちゃんと憶えたつもりでも、順番に《報告》していくと、違うカードが出てきて「あれ〜っ?」と困惑、全員爆笑なんて事も良く起こります。
結構他人の失敗が楽しい♪(ちなみにこの手のゲームをやる時に、これをあまり揶揄し過ぎると、相手によっては嫌な気分になるので要注意でしょうか。)
ウチではなぜか女性陣の方が得意らしく、たまに若手でサクサク報告を連続していく子を見ると、ああ脳みそが若いってすごいな、と変に感心してしまいます。(これで負けるとさすがに悔しくないから不思議)
最大5人まで。
所要時間はせいぜい30分程度の手軽さです。
サクサクやればもっと短時間になるのでしょうが、やはり途中で少し考え込んでしまうので30分は見ておく必要があると思います。
あまりキャーキャー盛り上がるタイプのゲームではなく、みんな静かに考えているような作品ですね。
記憶・推理要素のゲームが苦手でない人は、チャレンジしてみる価値のあるゲームと言えましょう。
【余談①】
ちなみにこのカードスタンド。
向きがあって、うまく箱に入れないとサイズがぎゅうぎゅうすぎて、なかなかきっちり収まりません。(これもう少し何とかならなかったのでしょうかね)
【余談②】
このゲームの《報告》内容が、冷静に考えるとちょっともやもや。
ある調査対象について《場所カード》を指定公開していくのがゲームの目的なのですが、これって何を報告しているんだろうと考えてしまう。
『ここまで足取りをつかみました。』
という報告なのか、
『今の居場所はここではない』
という消去法での報告なのか、明確にはされていません。(おそらく前者なのだと勝手に思っていますが)
いずれにせよ、《探しもの》を最後に探し当てた!という結末ではないので、これで《調査終了》って言われると、??って感じです。
個人的な印象ですけどねー。
【余談③】
このゲーム、ルールブックの記載が非常に分かりにくい!
ゲーム慣れした私でも3回読み直してやっと理解しました。
細かい項目に分かれておらず、長めの文章でひたすらつらつら述べてあるので、一読ではなかなか詳細が掴めません。
ここもう少し何とかして欲しかったところです。
(せっかく買ったのに、全然分からんと言ってオクラ入りしてる人がいない事を祈ります。)
近いうちにちゃんとサマリーを作ろうと思います。
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