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  • 1人~4人
  • 60分~90分
  • 12歳~
  • 2020年~

西フランク王国の子爵真夏。さんのレビュー

140名
1名
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約1ヶ月前

中世の西フランク王国を舞台に子爵として王国の発展に尽力する本作。デッキ構築とロンデルを組み合わせた独特のシステムで多くのボードゲームファンを魅了しています。シリーズ最終作として集大成とも言える複雑さと奥深さを備えたこのゲームは、はたして期待に応える出来栄えなのでしょうか。



魅力と良いところ

1. 豊かな戦略的選択肢

「西フランク王国の子爵」は、西フランク王国三部作の最終作として複雑かつ奥深い戦略性を備えています。プレイヤーは写本、城への労働者派遣、建設、交易という4つの主要アクションを通じて勝利点を獲得できます。それぞれのアクションが万遍なく勝利点に繋がるため様々な戦略を試すことができます。


2. 独特のカードシステム

個人ボード上の3枚のカードが効果を発揮するシステムが非常に独創的です。プレイしたカードは3ラウンドにわたって効果を持続し、手番ごとに右にスライドしていきます。これにより先々の計画を立てる必要が生まれ、上手くプレイできたときの達成感が大きいです。


3. デッキ構築×ロンデルの組み合わせ

デッキ構築とロンデル(円環状の移動システム)を組み合わせた珍しいメカニズムを採用しています。カードをプレイして子爵駒を動かし、止まった場所のアクションを実行するという流れが新鮮で、特定のアクションに偏りすぎないバランスを生み出しています。


4. 美徳と悪徳のシーソーシステム

シリーズ伝統の美徳と悪徳のシステムも健在ですが、今作では独自の仕組みとなっています。個人ボード上で美徳と悪徳のマーカーが動き、衝突した場所に応じて借金や権利証を得るという興味深い要素があります。借金は完済すれば資源を得られるため必ずしもデメリットとはならない点も面白いです。


5. 城のシステムの爽快感

城への労働者配置は特に魅力的で、同じセクションに3人の労働者を送ることで押し出し効果が発生し、連鎖するという爽快感があります。また、城の最上部を支配することで「城の支配者」の権利を得られますが、後から来たプレイヤーに奪われる可能性もある下剋上の要素も面白いです。



欠点と気になるところ

1. ルールの複雑さと初見のハードル

ルールが非常に細かくアイコンの種類も多いため、初めてのプレイでは混乱しやすいです。全てのアイコンを網羅したサマリーが付属していないため独自にまとめる必要があります。序盤の指針が立ちにくく、初心者には考慮すべき点が多すぎるかもしれません。


2. 長いプレイ時間とダウンタイム

手番でやることが悩ましく長考しがちになるため、全体的にダウンタイム(自分の手番以外の待ち時間)が長くなる傾向があります。特に4人プレイの場合、プレイ時間は120分程度かかり少し疲れるゲームになることも。


3. ソロプレイの課題

ソロプレイではオートマ(AI対戦相手)との対戦になりますが、シリーズの中でもバランスが悪く感じられます。特に写本特化のAIは非常に強く初心者には手が付けられないほどです。また、オートマの処理も複雑でミスや見落としが発生しやすいです。


4. 得点計算の複雑さ

ゲームの内容が複雑で様々な要素から勝利点が得られるため、得点計算も大変です。スコア用紙やスコアボードが付属していないため、公式アプリを使用するか自分で計算する必要があります。


5. わかりにくいアイコン

アイコンが紛らわしく、同じアイコンが異なる処理に使用されることがあります。たとえば、捨て札の×と押し出し効果の×、常在効果の資源変換を意味する→と特定アクションのボーナスを意味する→など、意味合いが異なるのに同一のアイコンが使われる点が混乱を招きます。



遊んだ感想

西フランク王国シリーズの集大成として、最もゲーマー向けの重さを持ったゲームに仕上がっています。初回プレイでは複雑なルールに戸惑いますが慣れてくると様々な戦略を試したくなる奥深さがあります。

個人ボード上の3枚のカードが効果を発揮するシステムは特に魅力的で、カードを強化することでボード上の3枚でできるアクションが強化される楽しさがあります。勝利点の獲得方法も城への駒配置、建物配置、写本、権利書と大きく分かれており、どの戦略を重視しても勝機があるバランスが素晴らしいです。

ただし、手番でやることが悩ましいため長考になりがちで、特に子供を含むファミリープレイには少し向いていないかもしれません。プレイ時間も長めで集中力を要するゲームです。



どんな人におすすめか

  • 戦略的な思考と計画を楽しめるミドル~ヘビーゲーマー
  • デッキ構築とリソース管理の組み合わせを楽しみたい人
  • 複数の勝利点獲得方法があるゲームが好きな人
  • シリーズの他の作品(「西フランク王国の建築家」「西フランク王国の聖騎士」)をプレイして楽しめた人
  • 考えがいのある複雑なボードゲームを好む人



その他気づき

西フランク王国シリーズは各作品でシステムが大きく異なりますが、美徳・悪徳の要素やキャラクターのイラストなど雰囲気の統一感があります。本作の町民カードには同シリーズの「建築家」「聖騎士」に登場した町民が多く登場し、シリーズを通して遊んだ人には嬉しい要素となっています。

初めてプレイする場合はアイコンの意味を十分に把握してから臨むことをお勧めします。また、序盤は様々な勝利点源に満遍なく手を出し、中盤から自分の得意分野に特化するという戦略が有効かもしれません。

総合的には、複雑さと引き換えに得られる戦略性の深さと達成感が魅力的な、完成度の高いボードゲームと言えるでしょう。

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びーている / btail
真夏。
真夏。
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