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  • 3人~5人
  • 90分前後
  • 10歳~
  • 2009年~

スチーム真夏。さんのレビュー

121名
4名
0
23日前

スチームは、産業革命の波が鉄道という革新をもたらした時代を背景にした、本格的な経済戦略ボードゲームです。プレイヤーは鉄道会社の経営者となり、新たな路線を敷き、商品を都市へと輸送することで収益と名声(勝利点)を獲得していきます。

この作品は鉄道ゲームを数多く手がけてきたデザイナー、マーティン・ワレスの代表作の一つであり、彼の鉄道シリーズの中でも「最も洗練されたシステム」として高く評価されています。テーマ性、戦略性、そしてインタラクションの緊張感が見事に融合しており、ボードゲーム上級者にとってはまさに至高の一作と言えるでしょう。


豪華なコンポーネントと多彩なマップ

スチームには美しく描かれた両面ゲームボードが含まれており、アメリカ北東部およびカナダの地図とヨーロッパのライン川・ルール地方の地図を舞台に遊ぶことができます。プレイ人数に応じて使い分けられるため、ゲームのバランスがしっかり調整されています。

そのほかにも線路タイルやアクションタイル、商品キューブや都市成長マーカーなど、多彩なコンポーネントが用意されており、視覚的な満足感も非常に高いです。盤上がプレイヤーの鉄道ネットワークで埋まっていく様子は、まるで本物の鉄道網を作り上げているかのような興奮があります。


奥深いゲームの流れ

ゲームは複数ラウンドに分かれており、それぞれのラウンドは「アクション選択」「路線敷設」「商品輸送」「収入と支払い」という4つのフェーズで進行します。

アクション選択フェーズでは、他のプレイヤーとの順番争いや有利なアビリティの獲得をめぐる駆け引きが重要です。どのアクションを選ぶかによってその後の展開が大きく変わるため、序盤から頭を使う場面が続きます。

鉄道敷設フェーズでは、ボード上の地形と既存の路線網をにらみながら、自社の線路をどこに延ばすかを判断していきます。この工程はパズル的な楽しさがあり、他のプレイヤーの動向を見ながら効率の良い配置を目指す必要があります。

商品輸送フェーズでは自分の鉄道網を活用して商品を対応する色の都市に届けることが目的です。輸送のたびに「収入」と「勝利点」のどちらを得るか選ぶ必要があり、短期と長期の利益を天秤にかけた選択が求められます。

収入と支払いフェーズでは路線の維持費や金利などの支払いも発生するため、単に得点を狙うだけでなくキャッシュフローの健全化も大切になります。


他にはないゲーム性と強み

  • 緻密なルート構築

スチーム最大の醍醐味は、限られた資金の中で「どの道を、どうやって、どのタイミングで敷くか」を綿密に計画することにあります。まるで都市計画や物流シミュレーションに挑んでいるかのような感覚が味わえます。

プレイヤーの路線が交差し、商品の流れが錯綜する様子はリアルな鉄道経営そのもの。しかも相手の敷いた路線を経由して輸送することもできるため、完全な個人ゲームにはなりません。他者の動きを利用した輸送も戦術の一部として成立しています。

  • 常に変化する輸送需要

商品キューブと都市はランダムに配置されるため、毎回異なるルートが求められます。また、都市成長マーカーによって都市の需要が増えるため、「今は運べないが将来は有力な拠点になるかも」といった長期戦略も視野に入れる必要があります。

  • 基本と標準、2種類のルールで遊べる

ルールブックには「基本ゲーム」と「標準ゲーム」の2通りのルールが用意されています。基本ゲームではシンプルな収入と得点の獲得に集中でき、初めてのプレイヤーでも理解しやすくなっています。一方、標準ゲームでは銀行からの借金ルールや株式の価値、鉄道会社の経営戦略までが加わり、より経済シミュレーションの色合いが強くなります。

このように、遊ぶ人のレベルや好みに応じてゲーム体験を変えられるのもスチームの大きな魅力の一つです。


プレイ上の注意点と改善点

スチームは非常に戦略的なゲームである反面、以下のような点で好みが分かれる可能性もあります。

  • ルール説明に時間がかかるため、初見プレイヤーが複数いるとゲームスタートまでに時間がかかります。
  • プレイ時間が90分を超えることが多く、軽めのゲームを期待していると疲れを感じるかもしれません。
  • ダイスやイベントカードといった不確定要素がほぼ無く、全体的に淡々と進行するため、劇的な展開を好む方には合わない可能性があります。

しかし、これらの点は裏を返せば「自分の思考と計画がすべてを左右する」という硬派な戦略ゲームの証でもあります。軽めのゲームでは味わえない緻密な達成感が確かに存在します。


プレイ体験から得られる学びと楽しさ

スチームをプレイして強く感じるのは、「無駄なアクションがほとんど許されない」という緊張感です。すべてのターンにおいて目的意識を持って行動する必要があり、他者のルートを見て柔軟に戦略を修正する力も試されます。

また、ゲーム終了時に盤面に自分の線路網が広がっている様子を見ると、まるで自分の手で地図を塗り替えてきたような達成感に包まれます。この感覚は他のジャンルのボードゲームではなかなか味わえないものです。


まとめと総評

スチームは、資金管理、路線戦略、輸送計画など、あらゆる経営的視点をゲームに落とし込んだ名作です。テーマ性とメカニズムが高度に融合しており、鉄道系ボードゲームの中でもトップクラスの完成度を誇ります。

長時間ゲームを苦にしない方、複数回遊んで戦略を練り込むのが好きな方にはまさにうってつけのタイトルです。計画性に富んだ「地に足の着いた戦略ゲーム」を求めている方には、間違いなく刺さる一本となるでしょう。

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山彦
じむや
びーている / btail
kaya-hat
真夏。
真夏。
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