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  • 1人~4人
  • 60分~180分
  • 14歳~
  • 2022年~

将軍の刀山本 右近さんのレビュー

498名
11名
0
1年以上前

本作「将軍の刀」はイタリアのゲームデザイナーによる江戸時代の日本を舞台にしたワーカープレイスメント型の戦略ゲームで、よくあるファンタジー・ジパングではなく本格的な設定の、ある意味異色な作品だ。アートワークは西フランクシリーズに少しテイストが似ているが、Giorgia Lanzaというアーティストによるものだ。名前からして女性アーティストと思われるが、力強いアートワークに魅力を感じる。

●コンポーネントについて

メタルコインとフィギュアはかなり品質が良く満足度は高い。フィギュアの材質は柔軟性がありつつ丈夫そうで、同じ種類のコマでもそれぞれの個体ごとに形が違うなど、こだわりを感じる完成度だ。

このゲームの肝とも言える刀タイルは全てダブルレイヤー加工がされており、しっかりとした厚みで手触りも良く、品質は素晴らしいの一言。総じてコンポーネントはこれまでに購入したゲームの中でもトップクラスの品質だと思われる。

付属のインサートはシンプルな作りだが、必要な機能をきっちりと満たしておりこの手の付属インサートに無能が多い中でかなりいい線を行っている。セットアップや片付けもしやすく、リソーストレイも多少使いにくいもののそのままゲーム中に使用できる。

●ルール難易度

BGGのルール難易度は3.6程度の評価で、同程度の評価のゲームにアークノヴァ(2021)などがある。だが、感覚的にはもう少し低く感じられる。強いて言えば、カードの使用方法に細かいルールがある点と、刀鍛冶のアクションがユニークな点で戸惑う人がいるかもしれない。ルール量だけで言えば評価2.8程度のガンジスの藩王(2017)と同程度ではないかと思う。

●プレイ感

・インタラクション

各アクションスペースは限りはあるもののワーカーを配置する場所が複数あるため、自分のやりたいアクションは概ね行えるようになっている。直接的な攻撃要素もなく、逆に相乗りの要素もある。しかしながら目標カードや刀タイル、その他のカード類は早取り要素があり、将軍の刀による各種ボーナスは基本的に取り合いとなる。保守的な感じは受けるが、今風の穏やかなインタラクションが備わっている。

・独自性

このゲームの独自性は刀鍛冶ボードで展開されるソロパズルが真っ先に挙げられる。獲得した刀タイルはこのボードの左端の対応する場所に配置される。そこにアクションによって完成に必要なリソースを乗せていくのだが、ワーカーを置いた列もしくは行にあるすべてのタイルがアクティベートされる。そしてリソースを乗せるとそのリソースと関連する行に移動するのだが、移動先に刀タイルが既に置かれている場合は移動ができないため、せっかくアクティベートさせてもリソースを乗せることができない。

この移動とリソースのやり繰りパズルが難しく、この刀鍛治ボードの管理がこのゲームのユニークかつ最も面白い部分に感じる。

最終的に将軍の刀という特別な刀を作ることになるが、毎ゲーム必ず完成させられないプレイヤーが居るくらい歯応えを感じる難易度のパズルとなっている。完成させないと最終得点計算時にボーナス獲得の対象から外れてしまうので、プレイする機会があれば将軍の刀の完成を目標にしてプレイすると良いだろう。

また、各ラウンドでプレイヤーごとに2回まで有料で強力なワーカーを使用できる点も面白い。さすが課金コンテンツだけあって、どのアクションスペースに配置しても強力な効果が付随する。決して安くないため、これらを如何に有効活用するかも悩ましく、刀鍛冶ボードだけでなく全体的に効率化、パズルのテイストが強いゲームだ。

・リプレイ性

セットアップにランダム要素が多く、ラウンド毎に獲得できる目標カードもランダムに出現する。ゲーム中にもランダム要素は多く、システム的なリプレイ性は保証されている。ランダム要素は多いが運に左右されるガチャ的なものは少なく、そういった点でのストレスは感じられなかった。

●拡張

この画像は少しわかりにくいが、ワンダリングキャラクターズ(放浪の志士)という拡張を入れてプレイした盤面である。4人のNPCをアクションスペースに配置してゲームを始めるが、そのNPCが占有するアクションスペースを使用すると特殊な効果が得られるという拡張になっている。

プレイ感は大きく変わらず考え所が増える拡張で、味変としては面白い反面、プレイ時間は伸びてしまうので採用するかどうかは好みが分かれそうだ。私はまぁまぁ気に入っているが普段は基本のみでもいいかなと感じている。

●総評

イマドキのゆるいワカプレかと思いきや、ゲーム中のパズルはめちゃくちゃ難しい。それだけに上手くいった時には達成感が得られ、失敗すると今度こそ、という気持ちにさせられる。インタラクションの薄さがプラスに働いており、それがこのゲームの魅力的な部分であり特徴ではないだろうか。

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hiro
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Sak_uv
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山本 右近
山本 右近
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