1570年の中国、隆慶帝時代の明王朝がゲームの舞台となります。隆慶帝が暮らす紫禁城は故宮とも呼ばれ、15世紀初頭の竣工以来多くの歴代皇帝が居を構え、長らく中国の政治の舞台となった場所として知られています。
隆慶帝は酒色に溺れ若くして崩御した比較的凡庸な皇帝でしたが、即位した当時は内政が大きく乱れており、その改革には力を入れていたようです。贈収賄に関しては厳罰を科し、役人たちの汚職の撲滅に成功したかに見えました。しかし、彼らは明らかに価値に隔たりがある贈り物の交換という手法に抜け道を見出したのです。この贈り物の交換という風習が、このゲームでは上手くゲームシステムに落とし込まれています。
プレイヤーは中国の貴族の1人となり、高官たちと贈り物の交換をする事により様々なアクションを行い勝利点の獲得を目指します。手札を場札と交換する事によりアクションを行いますが、カードの価値は数値化されており、場札より価値の大きいカードでなければ交換時にペナルティを支払う必要が生じるのが特徴となります。
また、交換によって得た場札は次のラウンドの自分の手札となるため、アクションの種類だけでなく将来を見据えてのハンドマネージメントが求められるのです。
勝利点を得ることは重要ですが、ゲームの終了までに隆慶帝に謁見することもプレイヤーにとって重要かつ必須のタスクとなっています。それが出来なかった場合、そのプレイヤーは勝利点を全て没収されてしまいますので、ゲームに勝つためには何としても隆慶帝に謁見しなければなりません。
贈り物の交換以外でも、ゲームシステムにはこの時代の様々な背景が上手く描写されています。例えばこの時代はモンゴルからの侵攻に頻繁にさらされており、その防衛策として万里の長城での公共工事が盛んに行われていました。プレイヤーは万里の長城アクションによってそれを追体験する事になるでしょう。このアクションは変則的なエリアマジョリティとなっており、工事が終わるたびにその工事に最も貢献したプレイヤーに得点をもたらしてくれます。
このBIGBOX版には4つの拡張モジュールが同梱されており、基本セットと様々な組み合わせで遊ぶ事が可能です。
鄧茂七の反乱をモチーフにしたと思われる「小作農の叛乱」拡張はプレイ感をガラリと変え、世界遺産である好山園をモチーフにした好山園拡張は戦略の幅を広げてくれる事でしょう。
1点が、そして1手が重く、非常にシビアなゲーム性。ユニークなゲームシステムに豊かなリプレイ性。豪華なコンポーネントと魅力の詰まった、やり甲斐のあるゲーマーズゲームです。