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  • 1人~4人
  • 60分~120分
  • 14歳~
  • 2022年~

イレブン:フットボールマネージャー山本 右近さんのレビュー

436名
8名
0
2年弱前

欧州のサッカーリーグに所属する新興チームを運営するというテーマのゲーム。似たようなテーマのゲームにTime of Soccerなどがあるが、私自身は本作以外のサッカーテーマのボードゲームは未プレイである。

★コンポーネント(Gamefound版)

コンポーネントは全てにおいて素晴らしい。個人ボードはプレイヤー毎に3枚あるが、ピッチのボードには実際の芝生のような加工がされている他、スタジアムボードやオフィスなどはダブルレイヤーボードとなっている。また、木駒類も精巧な加工がされているが、強度はしっかりとしており破損は見られなかった。

カード類が多く言語依存度は非常に高いため、日本語化に手間がかかる。ルール自体の複雑さはそれほどでもないが、この言語依存という点がプレイするまでの乗り越えるべきハードルを上げている。私は秘匿情報のあるカードのみ和訳を作成し残りは公開時に読んでいたが、プレイに5時間掛かってしまった。手間はかかってもできれば日本語化は行った方が良いだろう。

★ゲームシステム

アクションポイントが主なゲームのメカニクスとなっている。1ラウンドを1週間とし6ラウンドでゲームが終了するが、各ラウンドの火曜日、水曜日、木曜日に1アクションずつ行うことができる。その3手番でスポンサー契約やスタッフの雇用、選手の売買などを行い、週末は試合を行うという流れだ。

試合は選択したフォーメーションに選手を配置して、対戦相手(主にAIのチーム)とその配置と選手のパワーを比べ、選手の特殊能力の発動などを行いスコアと勝敗が決まる。実は試合中は基本的にダイスを振らないので、意外にもパズル的な要素が感じられる。PVPマッチのルールを採用すると駆け引きも重要になり、AIとの対戦とは異なる面白さが感じられる。

★プレイ感

テーマ性が高く育てたチーム同士で対戦する辺りは道場訓ぽさがあり、従業員や設備の特殊能力で強化する辺りはプレタポルテっぽくもある。しかし実はリーグ戦の結果は勝利点のごく一部に過ぎず、スタッフのセットコレクション、目標カード、若手の育成、オフィスやスタジアムの拡張など勝利点を生み出す要素は多く、どこに重きを置くかで様々な戦略を試せるユーロゲームとなっている。この辺りが非常に面白く、私がこのゲームを気に入っている要因のひとつだ。

★良い点

・テーマ性の高さ

ユーロゲームのプレイ感を保ちつつもデジタルゲームさながらのテーマ性を持ち合わせている。

・難易度調整が可能

ディビジョン1から3までで難易度が選べるため、初めてでもマッチに全敗、ということは起きづらくなっている。参考までに、私は初プレイはディビジョン2で5勝1敗という成績だった。

・充実したソロシナリオ

基本ゲームにソロシナリオがいくつか同梱されており、1人でも十分に楽しむことができる。

★欠点

・細かいルールの不明確さ

ルールブックだけでは明確な判断が難しい細かいルールが多い。特にジャージの配置や入れ替えなどの部分は勘違いしやすく、事前にBGGで公開されている非公式FAQを読んでおいた方が良いだろう。

・長いプレイ時間

マッチは同時処理が可能なため慣れれば2時間級になるはずだが、前述の通り処理間違いが起きやすいため、初プレイのメンバーがいる際にはルールを理解しているメンバーが処理の手助けをした方がよく、そのため時間がかかることになるだろう。

・薄いインタラクション

これは好みの問題だが、BGGのベスト人数は1となっており、実際にインタラクションは今どきのユーロゲーム的でかなり薄い。しかし個人的には多人数プレイの方が楽しく感じられた。また、通常ルールではマッチは全てAIとの対戦となるが、PVPマッチを採用すると他のプレイヤーとの対戦が組み込まれ、そうするとプレイヤー間に駆け引きがより多く生まれてくる。個人的にはこのルールを採用した方が面白いと思うが、目標カードのいくつかの難易度が激変するため、マッチの結果に左右される目標カードはあらかじめ抜いた方が良いかもしれない。

★総評

テーマ性の高さだけで既に大好きだが、思った以上にユーロゲーム感が強く重ゲー欲も満たしてくれる。いくつかの欠点も挙げたが個人的にはどれも大して問題ではなく、テーマが好みなら間違いなく楽しむことができるだろう。

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山本 右近
山本 右近
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