宿命の旅団（オリジナル版）C2さんのレビュー

シンプルなカードプレイで、奥深い読みあいを楽しむ

＜作品紹介＞

• 3種のコストを管理しつつ、相手に同じカードを出されないよう「手札」と「出す順番」を考えるゲーム
• 検討する要素が少ないが故に、深読みやブラフなどテクニックが重要
• 明快なルール、程よい運の要素と短いプレイ時間で万人が楽しめる

＜ビジュアル＞ 

• 「チームで財宝獲得！」という雰囲気に合致したイラストレーション
  カードがいずれもキャラ立ちしていて、個性的なメンバーで構成され魅力的な旅団に見えます。いずれのキャラクターも異なるテーマカラーにそった配色で描かれつつ表情やポーズも豊かであるため、たった9種類のカードでも場が映えて見えます。少年漫画風のイラストのテイストも個性的でありながら、クセが強すぎずポップに描かれています。
• コンセプトにあったアート設計
  ゲームの勝敗には財宝の得点しか影響しないためそのカードのイラストまで注視されませんが、カードの裏面のアートや挿絵はラフなテイストながらしっかり旅団員の姿を含んだ描写で描かれ、冒険記に見えるようになっています。
  また、プレイヤーごとに絵柄の異なるキャラクターがいるため、違う旅団が対峙している設定に見合っています。
  さらに獲得したカードをただ裏面にして保持するのではなく、旅行記カードの下に入れることで冒険している感覚を強めています。

＜わかりやすさ＞ 

• 管理する要素が少なく、基本ルールがシンプル
  コストの種類は3種色違いで把握しやすいため、他プレーヤーの状況が瞬時に把握できます。また、基本的なルールも「ラウンドごとカードを4枚選び、順に出していく」「強い効果のために待機中の状態で、他者が重複するカードを出したらキャンセルされる」ことに集約されるシンプルさが魅力です。勝利条件も獲得した財宝の合計点で決まり、獲得する財宝も場に出ている4枚から選ぶだけなのでスムーズに進行できます。
• 特殊な状態や継続効果がない
  キャラクターの効果を強化するカードがある以外、毎ターンに継続する効果や特殊な状況などはないため、ほぼ自分および他プレイヤーが出すカードの読みに集中できます。その読みの判断材料も、各自が保有するコストの種類と量、強化カード、出されたカードといった限られた要素であるため複雑ではありません。

＜面白さ＞

• 出すカードと出す順だけで練る戦略の面白さ
  数少ないヒントから他プレイヤーの手札を予想し、邪魔されないように自分のカードを出していくだけですが、そこにコストの獲得と消費といった状況把握が絡むため、読みあいが発生しゲームに深みが増します
• 4ラウンドで終了する短期決戦型
  上述の通りシンプルなやり取りですが熟考が生じ、4ラウンドで終了するためほどよい疲労感と満足感で終了します。

＜気になったこと＞

• スリーブをつけると箱に納まりきらない
  カードが裏面から把握できることが致命的になるゲームですが、スリーブをつけるとパッケージに収まらなくなります。そのため蓋がすこし浮かせた状態になってしまう弊害があります。
• 英語表記がかなり小さい
  言語依存が少ないゲームでいずれのカードにも英語表記がありますが、英語を必要とする場合はかなり小さいため注視して読む必要がありあす。