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  • 1人~4人
  • 30分~120分
  • 14歳~
  • 2023年~

ドッガーランド勇者アッキーさんのレビュー

1252名
8名
0
9ヶ月前


プレイヤーは1万5千年前の人類のとある部族の長となり、厳しい環境の中を生き抜き、自分たちの部族が暮らした痕跡を残すことを目指す、シンプルなワーカープレイスメントタイプの重量級ボドゲです。テンデイズゲームズさんの少部数生産ラインナップの一作目。

ゲームは夏と冬が交互に訪れる8シーズンで構成され、周囲の土地から集めた各資源を活用して手工芸品を作成したり、洞窟にフレスコ画を描いて部族点を高めていき、居住地の建設や人口の増加で手数を増やし、最終的に最も大きな部族点を獲得したプレイヤーが勝利します。

各シーズンは以下の5フェイズで構成されており、ゲームが進行していきます。

①アクションの計画
②地形タイルの公開
③アクションの解決
④動物の移住
⑤ラウンドの終了



「①アクションの計画」で選択できるものは以下の8つで、手持ちの部族駒を割り当てて「③アクションの解決」に実行します。ここにワーカープレイスメントの要素が含まれています。

・居住地の建設
・手工芸品の作成
・誕生
・各資源の採集
・大きな獲物の狩猟
・フレスコ画の制作
・能力の向上
・村のシャーマンの使用




ゲームシステムは非常にオーソドックスなワーカープレイスメントであり、初期の部族駒6人を駆使して資源を獲得したり、探索を行い資源獲得エリアを広げたり、部族を増やし手数を増やしていきます。最初は居住地の周囲にしか資源タイルがありませんが、ゲームが進行していくと未知の場所に様々なタイルがランダムで設置され、プレイするたびに毎回異なるゲーム展開となり、何度もプレイを楽しむことが可能です。

 特に対人戦では、生き残りをかけて資源の奪い合いになることは間違いないでしょう。



ソロプレイ評価
かなり楽しい(85点:Aランク


戦略・判断    ★★★★★
攻防・戦闘    ☆☆☆☆☆
運要素      ★★★★★
交渉・取引    ★★☆☆☆
アート・外見   ★★★★☆
斬新さ      ★☆☆☆☆
緊張感      ★★★★☆
リプレイ性    ★★★★★
ランダム性    ★★★★★
パズル要素    ☆☆☆☆☆
プレイスペース  ★★★★☆
プレイ時間    ★★★★☆
準備・撤収時間  ★★★☆☆
ゲームの複雑さ  ★★☆☆☆
ゲームの難易度  ★★★★★
プレイ人数    1~4人
販売価格     11880円

【各カテゴリー要素についてはこちら】
https://braveaki.game.josoakixpooh.com/2024/02/02/



【ソロプレイの詳細】


通常の対人戦ルールでは部族点を獲得して高得点を目指すのに対し、ソロプレイではランダムに選択した目標のうちいくつか(11個から難易度に応じた数)を達成することで勝利となります。

実際に得点を獲得しないダミープレイヤー(NPC)との疑似対戦を行いながら、8シーズン以内に設定された難易度に応じた目標を必要数獲得することで勝利。目標達成できなければ敗北となります。この手のルールにはお決まりのオートマカード(30枚)があるのですが、1人のダミープレイヤーではなく、複数(3人)のダミープレイヤーが行動し、3人との同時疑似対戦を楽しめるという、非常に珍しい設定になっています。



各ダミープレイヤーは部族駒を移動させて資源を横取りしたり、シャーマンの行動(後述)を邪魔したりと、まるでプレイヤーと対戦しているかのようなリアルな動きをしてきます。また、オートマカードにはイベントも同時に記載されているため、ラッキーなことや不運な出来事など、毎ラウンドに様々な効果を受けます。


ソロプレイは目標達成をすることで勝利するため、点数や個人評価システム(獲得点数に応じた称号獲得)などはなく、 純粋に「勝利または敗北」という厳しい設定になっています。難易度は3段階(簡単・普通・困難)あり、調整することで達成目標数を変更(簡単→4/6・普通→5/7 ・困難→6/8) できますが、運要素も大きめでゲームに慣れないうちは低難易度でも敗北するくらい難しいです。


プレイ時間は約90分ほど。毎ラウンドあれこれとじっくり考えながら、非常に緊張感のある充実した楽しい時間を過ごせます。




【良かったところ】



① 「厳しい環境で過酷な状況を生き延びる」というテーマとおり、このゲームはリソースが常にカツカツ。やりたいことがたくさんあるのですが、特に序盤は部族民が非常に少なく、毎ラウンドの食料の確保にとにかく悩まされます。木材・石材・毛皮・骨などの各資源を確保したい。部族民を増やして手数を増やしたい。居住地も建設したい。フレスコ画も描きたいし、各能力も向上させたい。道具も作りたい。けど人手不足や食料不足に毎回悩まされる...。そこをどう考えていくかが非常に悩ましく、かなりのやりごたえがあります。



夏と冬はそれぞれに対応した大型動物駒(馬・鹿・バイソン・マンモス)が出現し、狩猟に成功することで貴重な食料や資源が大量に手に入るのですが、必要な部族駒や力があり、簡単には狩猟できません。また、ダミープレイヤーに動物を横取りされることも頻繁にあります。そもそもタイルの引き運によっては動物がほとんど発生しない場合もあり(笑)、その際は周りからの資源タイルに頼ることになり、毎ラウンドギリギリの生活を余儀なくされ、かなりの緊張感があります。

冬のアクションには追加のリソース(毛皮)も支払う必要があるため、「苦しい生活をどう生き延びるか?」という、1万5千年前の生活がリアルに再現されているのも非常に良く出来ています。ゲームの難易度はかなり高めですが、複雑さは低いためにシンプルなゲームをしっかりと楽しむことができます。



② 新しい部族が誕生して人手が増えていくにつれ、手数が増えて少し楽になります(追加の食料は必要)。たった一人の部族が増えるだけでも大きな違いがあり、その嬉しさはかなりのもの。ただし部族の誕生には二人の部族駒を使用(シャーマンでも可)するため、ここも良い意味で悩まされます。

また、各技術レベル(移動力・輸送力・道具作成)をアップグレードさせることが可能で、1段階アップさせるだけでもプレイがだいぶ楽になります。しかし、ここにも部族民駒が必要になるため、タイミングの見極めも大事になってきます。



③ 地形タイルの公開フェイズ時、部族民駒が移動した各タイルの隣に新たなタイルが置かれるのですが、どんなタイルが置かれるかは完全ランダム。毎回違った地形とそれに沿ったゲーム展開になるため、これが非常に楽しくリプレイ性も非常に高いです。

運が悪いと食料を確保できず部族民が飢える状況になったり、欲しい資源を確保できずに計画が進まないこともあり、エリアの資源は一度でも採集すると枯渇し(3/4人プレイでは2回まで)、緊張感は非常に高いです。



④ ソロプレイ時のオートマカードには様々なイベントがあり、嬉しいイベントや悲しいイベントが起こるたびに一喜一憂。予想外の展開に嬉しくなったり、計画が丸つぶれになったりすることもよくあります。このシステムも高いリプレイ性とランダム要素を含んでいて、とても良く出来ていると感じました。


ちなみにイベントは30個あり、どれも様々な効果でゲームの流れを変えるものばかり。しかしオートマカードはソロプレイ専用のため、これを多人数プレイでも使用すると、イベントで非常に盛り上がるのではないかと思います。検証していませんが、多人数プレイでも資源を横取りするダミープレイヤーを取り入れると面白そうですね。




⑤ この手のボドゲでソロプレイは「オートマ1体との対戦」がほとんどなのですが、ドッガーランドは専用のオートマカードに3人の部族駒の動きが記載されており、それ通りに動かすだけで疑似3人プレイが楽しめるのは非常に面白い試みだと感じました。


「簡単操作で疑似多人数プレイ」は、常にソロプレイがメインのわたしにとって非常に嬉しいシステムでもあり、これは他のボドゲでも標準装備してもらえたら嬉しいです。また、ワーカー駒である部族駒のデザインも非常に珍しいタイプのもので、こういったところも評価したいポイントです。




⑥ シャーマンは6つの特殊アクション(フレスコ画・村移動・長旅・巨石・双子・交易)を実行することが可能で、その効果はどれも強力。しかしゲーム中にそれぞれ1回しか発動できないため、1体のみ存在するシャーマンをゲーム中どのタイミングで使用するのかが非常に楽しく、良く出来ていると思います。


特に双子の誕生祈願や交易(資源交換)のタイミングは重要で、うまくいけばかなりの恩恵を受けることが可能。ダミープレイヤーに邪魔されたり、タイミングが合わなかったりでうまくいかないこともよくあります。ちなみに、シャーマンは通常の部族駒と同様のアクションを取ることも可能です。(大型動物の狩猟は不可)




【気になるところ】


① 「厳しい環境で過酷な状況を生き延びる」というテーマをリアルに再現しすぎているおかげで、難易度が全体的に高めに設定されており、最初のソロプレイでは最も簡単な難易度でも何度か敗北しました。

わたしはストーンエイジやプレヒストリーなども経験済みですが、それらの狩猟時代ボドゲよりもはるかに難しく感じました。ボドゲ初心者の方や運要素が苦手な人には少々荷が重いかも...? ちなみに、ゲームに慣れた現在でもソロプレイで難易度「普通」で敗北することもあるし、難易度「困難」においてはまだ一度も勝利したことがありません。


② ゲームシステムそのものはシンプルなワーカープレイスメントタイプのボドゲであるため、特別に斬新なシステムや変わった要素等はなく、そういったものを求める人にとっては不向きであると感じました。また、メインボードもかなり大きいため(75cm×65cm程度)、それなりのプレイスペースが必要になります。

ソロプレイではよくある獲得点数+個人記録更新、それに応じた評価システムなどは一切ないため、「勝利または敗北」という結果のみ。ゲームシステムそのものはシンプルながらよくできているため、できれば点数に応じた評価システムや、ソロプレイ用のシナリオモードなども搭載していればもっと楽しめたと感じました。


【総評】


ワーカープレイスメントによる資源の確保や大型動物の狩猟、部族の増加や各能力の向上、毎回変わる資源タイル配置や大型動物、イベントによるランダム性やリプレイ性もかなり高く、「シンプルでしっかり重量級」のボードゲームであると感じました。ソロプレイでは簡単操作で3人との疑似対戦を楽しめるため、この辺りも非常に面白かったです。


前述したように、ドッガーランドは狩猟時代系ボドゲのなかでも難易度は高く、当時の過酷な状況を存分に味わうことができます。このゲームは「過酷な状況で生き延びることを楽しむ」というところがミソで、特にソロプレイではダミープレイヤーの動きやイベント要素などを含め運要素も高いため、他のボドゲで例えるなら「軽めのロビンソンクルーソー」的な印象を受けました。なので、どんなに戦略を練っていても無理ゲーになることもよくあります。そこを楽しめるかどうかがポイントになると感じました。



お値段も難易度も高めですが、ゲームシステムはシンプルであり、「合う人には合う・合わない人には合わない」という好みが分かれそうなゲームです。(わたしはかなり好きです)余談になりますが、このゲームをプレイした後に肉料理が無性に食べたくなります☆


もし今後に拡張が出るならば、難易度を少し抑えたゲームモードや前述したソロシナリオモード、新たな資源+タイルや追加の動物駒のほか、固有能力キャラや動物をとらえる罠の作成などがあると、さらに楽しめるのではないかと感じています。

ソロプレイをさらに楽しむ記事も作成してみました。参考にしていただければ幸いです。↓





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