- 1人~7人
- 30分~210分
- 12歳~
- 2022年~
カヴェルナ:狂乱の魔物たち(拡張)勇者アッキーさんのレビュー
カヴェルナの拡張セット第2弾。個人ボードに作成した農作物・家畜・部屋などを荒らし回る4体のオークから防衛するタワーディフェンス要素が加わるという、異色の拡張セットになっています。
個人ボードをチマチマと繁栄させていく基本版に防衛システムが加わるため、ゲームの流れも大きく変更。かなり好みが分かれる拡張セットです。実際、海外を含めたプレイレビューは賛否両論や酷評も多い作品なのですが、結論、わたしはかなり楽しめました。
1プレイ時間は約60分ほど。
【基本版レビューはこちら】
https://bodoge.hoobby.net/games/caverna-die-hoehlenbauern/reviews/50754
ソロプレイ評価:かなり楽しい
(80点:Aランク)
戦略・判断 ★★★★★★★★
攻防・戦闘 ★★★★★★
運要素 ★★★☆☆
交渉・取引 ★☆☆☆☆
アート・外見 ★★★☆☆
斬新さ ★★★★★★
緊張感 ★★★★★★
リプレイ性 ★★★★★★
ランダム性 ★★★☆☆
パズル要素 ★★☆☆☆
プレイスペース ★★★★★
プレイ時間 ★★★☆☆
準備・撤収時間 ★★★★☆
ゲームの複雑さ ★★★☆☆
ゲームの難易度 ★★★★★★★
プレイ人数 1~7人
販売価格 5280円
【各カテゴリー要素についてはこちら】
https://braveaki.game.josoakixpooh.com/2024/02/02/
【追加・変更要素】
① 通常のプレイで収穫イベントが変更になり、定期的にオークの襲撃イベントが発生します。(3R・6Rは確定。以降はランダムで2回)
3体のオークは森林エリアの上部から洞窟入口に向かって進み、移動先にある農作物や家畜などを襲ってきます。オークの動きはカードを引いて指示に従い、ランダムに動くのが特徴。イベント発生時に賄賂(リソースはランダム)を渡すことで動きを少しコントロールしたり、戦力を減らすことが可能で、救済処置があるのはありがたいですね。
2回目の襲撃イベント時には4体目の強力なオークも出現。4回目の襲撃後に残っているオークはすべて部屋の中に侵入し、各リソースや家畜、部屋タイルボーナスを無効にします。これにより、基本版よりも緊張感と難易度は遥かに高くなりました。なにしろ、ただでさえ手数が足りないルールに加え、オークへの対応にも追われるのですから...。
② 基本版ではドワーフに武器を持たせて強化し、探検にて様々なアクションを行えたのですが、今回は武装したドワーフで襲撃してくる各オークと戦闘することが可能。戦闘値以上の武器(犬も参加可能)があればオークを退治することが可能です。退治したオークについては、今回で新たに追加された報酬タイルに配置することで、様々な報酬を獲得できます。(全28種類)
ただし、戦闘を行ったドワーフは戦闘値が減少するため、今後の展開をよく考えて実行する必要があります。(戦闘に参加した犬は消費されストックに戻します)
③ オークの襲撃に対抗して、新たにトラップタイル(いわゆる罠)が追加。トラップタイルは購入後、あらかじめ森か平原に仕掛けておく必要があります。
トラップは全12種類で大きく分けて3種類(撃退・弱体化・捕獲)あり、オークの戦闘力を下げたり、ハマれば一撃で退治できたりなど、うまく使えばドワーフで戦闘するよりも効率の良い展開になります。面白いのが捕獲系のトラップ。そのトラップにハマったオークを捕獲でき、専用の部屋を作成することでゲーム終了まで味方になり、ドワーフと一緒に作業が可能に。(笑)
味方になったドワーフは基本的にリソースの回収のみにしか使えず、行動も一番最後になる(拡張忘れられた部族のゴブリンとほぼ同じ)のですが、ワーカーがひとり増えるのはやはり強いです。
④ 罠タイルの追加に加え、新たな部屋タイルも13枚追加。戦闘に参加する犬が強くなったり、武器をすぐに装備できるリビングだったり、ドワーフと同じような働きをしてくれる味方オーク専用のリビングや得点計算時の部屋タイルなどがあります。
ただしタイル数はかなり少なくなっているため、48種類から選べた基本版よりも遥かに選択肢は狭まり、より緊張感が高まっています。(プレイ人数によってタイル数が異なる。ソロプレイだと12種類のみ)
⑤ オークの襲撃ルール追加で、ソロプレイ専用のキャンペーンモードが新たに追加。ソロメインのわたしにとっては、このモードが非常に楽しめました。
全5ラウンドを連続でプレイし、すべてのオークを退治または捕獲できればプレイヤーの勝利。最終合計得点を更新する設定になっています。逆に、オークを1体でも退治または捕獲できなければ敗北。キャンペーンは最初からやり直しといったシビアなルールです。
オークはラウンドごとにだんだんと強くなるのですが、プレイヤー側も獲得したポイントでボーナスを獲得できるのが非常に面白いです。最初から各種リソースが手元にあったり、無料でトラップタイルやダブルタイル、リビングを獲得できたりなど。「次のラウンドのみ使用できる/永続で使用できる」を決めるのが悩ましいですね。
難易度は2段階ありますが、イージーモードでもかなり難しいです。ただ、テレビゲームのように「自分が頑張ったぶんだけ、のちの展開が楽になる!」というルールが非常によくできており、時間を忘れてかなり没頭できました。
⑥ オークの追加ルールに合わせて、アクション実行タイルやドワーフの探検ボーナスなどが変更されています。また、鉱床にある鉱石やルビーはロバが運ぶようになりました。
【やや気になる点】
・もともとかなり忙しいルールにタワーディフェンスの要素が加わり、ゲームシステムが大幅に変更し難易度は更に上昇。わたしはカヴェルナをかなりやり込んだつもりですが、繁栄と防衛を同時並行で行う必要があり、これは極めて難しいゲームだと感じました。初心者お断りのゲームとなっています。全く知らない初心者が手を出そうものなら、投げ出したくなるような...
・オークの動きがシンプルで単調。各オークごとに体力が違うものの、基本的には洞窟の入口目指して突入してくるのみです。各オークごとに特殊能力があったり、様々なイベントなどがあればより面白かったと思います
・罠タイル設置の関係もあり、オークが動き回る森林地帯が非常に狭く感じました。この拡張で個人ボードに追加の森林地帯エリアタイルを設けたら、もう少し余裕のあるプレイを楽しめたのではないかと感じます。この話からも、第1拡張である「忘れられた部族」との組み合わせは推奨できない設定です
・タワーディフェンス要素追加で、多人数プレイ時のインタラクションがかなり低くなったと感じました。ワカプレやスコアを争う以前に、とにかくオークの襲撃に悩まされます。海外を含めた酷評レビューが多いのもたしかに納得。参加プレイヤーが各個人ごと繁栄とタワーディフェンスを必死にやるスタイルは、ちょっといかがなものかと。ただ、ソロプレイは全く問題ないのですが...
・ソロ専用のキャンペーンモードはゲームごとに部屋タイルや報酬タイルを変更する必要があるため、基本版よりも準備に時間を費やすようになりました。わたしのように机に出しっぱなしなら問題ないのですが、準備や片付けを頻繁に行う人にとってはちょっと辛い状況になると感じました
【総評】 10/8点
タワーディフェンス要素追加でカヴェルナ本来の面白さがガラリと変わり、非常に好みの分かれる作品ですが、わたしはかなり楽しめました。特に7ラウンド以降はオークの襲撃イベントがランダムなため、「いつのタイミングで襲ってくるのか...」というスリルとドキドキ感があります。
全5ゲームを連続プレイするソロ専用キャンペーンモードは、勝利ポイントによるお買い物やボーナスの引き継ぎルールがかなり楽しく、没頭して楽しむことができました。ただ、キャンペーンモードは難しいので、ハウスルールで難易度を調整することでより楽しめています。(オークの戦闘力が2ずつ上昇→1ずつ上昇など)
手番ごとのワーカーをどこに置くのか、基本版以上に重く悩むため、「カヴェルナ&ソロプレイ大好き!さらに難易度の高いものを楽しみたい☆」という人には、かなりおすすめできる拡張です。ただし、難易度がさらに高まり、カヴェルナ本来の面白さは減少するため、万人にはおすすめできる拡張ではないと感じました。一言でいえば「とにかく忙しい」です。(笑)
ここからはかなりの余談になるのですが、その昔セガサターン(旧版は3DO)で「ザ・ホード」という、村育成+ホード(怪物)から防衛するというゲームがあり、わたしはこれをかなりやり込んでいました。
村を育成しつつ、全方向から定期的に襲って来るホードを退治するゲームシステムは非常に面白く、イベントやシナリオごとのコミカルなムービーが楽しすぎて、かなりのドストライクゲームでした。あまりにもマイナーすぎて続編などはもちろんありませんが、今回のカヴェルナオーク拡張は非常に酷似しているところがあり、そのあたりも含めわたしは没頭して楽しめたのだと感じました。
タワーディフェンスタイプの面白いボドゲはたくさんあるものの、個人ボードに都市育成+TDタイプのボードゲームは、正直かなり少ないと思います。これはインタラクションの低さや難易度などが関係しているのだと感じましたが、大手メーカーやインディーズなどで今後ぜひ作成してくれないかなと願っております。(1人~2人。対戦または協力プレイ可能)
あと、今回の拡張購入で「自分の直感を信じる」ということは大事だなと改めて感じました。各メーカーや制作者の誇大広告、ブランドや各レビューなどに惑わされず、自分がビビッと来たボードゲームを購入していこうと思います。
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