- 2人~5人
- 45分前後
- 8歳~
- 2019年~
ディープ・ブルーBluebearさんのレビュー
青いパッケージが印象的な、海洋を舞台にしたトレジャーハンティングがテーマのゲーム。
各自が、専用のサルベージ船2隻ずつを操り、海域に沈んだ沈没船から金になる宝物をいかに引き揚げるかの競争です。
2020年に、英国ゲームズエキスポにおいて、ベストファミリーゲームズピープル賞と、審査員賞を受賞した、どちらかというとファミリーゲーム寄りのボードゲームです。
最大5人まで遊べるところがウチらには貴重な存在。
初ゲームを5人でやって、説明込みで1時間半かからないという軽さです。(慣れれば1時間で終わるかな)
■豪華なコンポーネント
さすがは、「スモールワールド」「チケット・トゥ・ライド」シリーズの《デイズ・オブ・ワンダー社》の製品だけあって、コンポーネントはとても豪華で、広げるだけでちょっと気分が盛り上がります。
メインボードは6つ折りで、広げるとけっこう大きい。
そこには美しい海洋沿岸が描かれており、2種類の難易度に分かれたダイビングスポット(沈没船が沈んでいる海域)が描かれており、移動はそれぞれをつなぐ《航路》によって規定されます。
ボードの海洋が美しいので、それだけで海洋ロマンを感じますね。
他にもカラフルなサルベージ船コマ、50枚の《船員カード》、勝利点になる《お金トークン》などがありますが、特筆は各プレイヤーごとに用意されているプラスチック製の《宝箱》!
ここに《お金トークン》をしまって、他人から見えないようにするためです。ただそれだけのために、しっかりした作りの箱が人数分用意されています(笑)
コンポーネントがしっかり収納できるプラスチック内箱といい、このメーカーの姿勢にはいつも感心しますよね。
■多彩な船員たちを雇って自分のカードデッキをつくる。
ゲーム最初には、顔も名前もない一般船員のカードが4枚だけ。
ここから多彩なイラストが描かれ、いろいろな能力を持った《船員カード》を雇っていきます。
ルール的にはよくある方式で、場に4枚並んでいる一番左がもっとも安く、誰かが雇うと新たなカードで間を詰めていく方式。
能力も様々で、引き揚げた財宝に追加でお金を得られる奴、船の移動力をプラスできる奴、酸素不足のトラブルに対処できる奴、海棲生物に襲われたときに対応できる奴、次の船員を雇うための資金を持つ奴、といろいろ。
これらのカードは一度雇えば使い捨てではなく、自分のデッキで循環してずっと使える。
しかし、アクションで1手番《休息》を選ばないと手札に戻ってこない仕掛けです。(「センチュリー;スパイスロード」みたいな感じと言えばわかりやすいかな?しかしこちらはシャッフルして3枚しか戻ってきません。)
自分の《お金トークン》ではなく、なぜか船員たちが持つお金アイコンで雇うという不思議は気にしないでおきましょう(笑)。
イラストがカラフルで、ゲームをやっていると能力ではなく顔やイメージで選びたくなります(笑)
実際にある1人は完全に顔で選んでました。「だってどうせならイケメンやイケオジがいいじゃない♥」だそうです(笑)。
ただ、日本語版なのですが名前がそのまま原語表記になっており、中には発音できないものもあるので、ちょっと良し悪しかな。
■財宝の引き上げは、実際に自分の手でひく!
各ダイビングスポットに潜ると、沈没船から財宝を引き上げる事ができます。
しかし!その結果はダイス判定とかではなく、袋に手を突っ込んで実際に自分の手で引くのです!(考古学発掘がテーマの「テーベ」を思い出してもらえればいいかと)
このとき価値のある銀(コイン)、金(金塊)、赤(宝石)が出たらお金(勝利ポイント)になります。
しかし、青(酸素不足)や黒(海棲生物…サメやタコかな。の襲撃)を引いてしまうと、お宝をすべて放り出して逃げ帰ってこなくてはいけません。
ちなみに青と黒は、1個目は警告で、2個目を引いたらアウトになりますので(「インカの黄金」みたいですね)、どこで止めるかをドキドキしながら進める事になります。
またゲームを進めると、緑や紫のトークンがバッグに追加されてゆくのですが、これは古代遺物などを表しており、それをさばける(勝利ポイントに変換できる)船員を持っていないと価値がありません。
このへんが良くできていて、このゲームの最大の盛り上がりどころ。
「まだまだいきますっ。ほら金!これで3個目♪」
「すげーなー、〇〇ちゃんのツキはいつも走ってる(笑)。」
「銀も5個目か。よく出るなー」
「青出ろ青出ろ青出ろ…」
「あーうるさいっ」
「あ、黒…」
「きっとサメの集団襲われているのね。好かれてそうだし(笑)」
「でもまだ大丈夫なのよね。1個目だから」
「そうそう、でも次に黒が出たらアウト(笑)」
「で、もう帰るの?」
「うーん…どうしようかな。いい、行きますっ!」
「おお女は度胸!」
「ええいっ、ほら赤出たー!」
「うおお、スゲーな。何点になるんだ?」
「あああ、乗っかっておくべきだった…(笑)」
…と、実際にこんな展開でした。
期待値や確率はともかく、実際には出かたがマジでかなり偏るので、ちょっと運の要素が強すぎる印象はありますので、このへんが好き嫌いあるかもしれません。
どんなに綿密に準備しても全然でないでアウトを食らう時もありますし、大した準備もなくお試しにちょっと潜ってみたら大量ポイントになったりしましたからね。
そんな運・不運も込みでゲラゲラ笑えるメンバーとやるのが正しいでしょう。
全然出ない、勝てない、バランス悪い、つまらない!と文句言う奴はほっときましょう。次から呼ばなければいいだけです(笑)。(ウチにはいないけど)
■ダイビングは《相乗り》ありの早い者勝ち!
沈没船のあるダイビングスポットは限られており、基本的に早い者勝ちです。
各スポットごとに1人しか潜れないわけではなく、面白いのは《隣の海域》にいた船は、無償でその海域に移動してダイビングに加わることができます。
元からその海域にいた船は、大きなボーナス能力を持つダイビングスポットを占有できるので有利なのですが、隣にいるだけで分け前にあずかれるのでこれは有利♪
ダイビングスポットの数と位置が限られているので、どこの海域に船を進めるかを考えなければいけません。(しかも船は各自2隻あるんです)
「よし、俺も奥の赤いブイ(港から遠いが得られるポイントが多い)を目指すぜ!」
「きゃー!さっきからなんでどっちも私の船の後を付いてくるのよ!」
「…いや何となく、ツイてそうだから(笑)」
「その位置は…誰が潜っても《相乗り》する気満々ねー(笑)」
「い、いやあ~偶然だよぉ(笑)」
「でも逆に《相乗り》されるって事もあるのよねー。」
という感じでした。
《相乗り》しても、なぜか引き上げた宝石を山分けするわけではなく、なぜか引き揚げた分の財宝を基本的にはそれぞれが得ることができます。(けっこうお得なのでみんなが狙うわけです)
しかし、最初にその海域で『潜る』宣言をした人が潜水リーダーなので、どこまで危険を冒して引き揚げるか、どのタイミングで安全を考えて止めるかは、この潜水リーダーだけが決定できます。
相手の船員の能力も予想して決定できるので、けっこうここが面白いです。
「もう酸素が1個出てるから危険なんじゃない?」
「大丈夫大丈夫、ウチの船にはねえ~、さっき雇った優秀な船員さんがいるから、酸素は何とかしてくれるのよ~」
「お、持ってたか。ということはまだまだイケますな。」
「あ~でも、俺ちょっとヤバいかも。帰ったほうが良くない?(笑)」
「ふふふ、相乗り君に決定権はないのよ~♪」
「あー!青でたー!アウトか~?」
「いや《エンゾー》さんいるし。」
「ワタシも《シャニ》さん…って言うのかな。この人いるから大丈夫♪」
「うおお、みんなちゃんと持ってるし。もしかして俺だけアウトぉ~!?」
「(爆笑)あはは、サヨウナラ~♪」
「くそっ!さっきその人を雇うかどうか迷ったんだよなあ~。チクショウ!」
「金目の船員に釣られるからよねー♪」
「しくしくしく…。」
「お姉さんキャラばっかり選ぶからよ。」
「だってムサいオッサンばっかじゃあ味気ないんだよお~」
こんな感じでけっこうワイワイと楽しく盛り上がることができました。
我々には充分合格点です。
特に妨害要素はありませんのが、船員も潜水場所も早い者勝ちなので、先に取られるとけっこう悔しい展開になります。
ゲーム全般を見ると、どこかで見たようなルールの集大成みたいな部分が多く、オリジナリティを感じる部分はそれほどありませんが、優れたゲームのルールを導入すること自体は決して悪いことじゃないと思っているので、頭の固いゲーマーさんでなければきっと大丈夫です。
おススメです!
- 149興味あり
- 270経験あり
- 43お気に入り
- 162持ってる
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