- 1人~4人
- 30分~60分
- 8歳~
- 2022年~
アップルジャックwinterkoninkskeさんのレビュー
二人プレイ時の感想を書きます。
アップルジャックは、自分のボードにリンゴのタイルを配置する組み合わせによって、効率良くリンゴを収穫し、より多くの収入を得ることを目指すパズルゲームです。
あなたはリンゴ農家となり、個人ボードに7種類あるリンゴの品種をより収穫量が上がるよう配置し、それで得た収入でより良い新たなリンゴタイルを購入していきます。
ゲームは手番を一回ずつ回していき、個人ボード(19マス)が全て埋まるまでの19手番で勝敗を決します。手番では必ずちょうど一枚のタイルを配置するので誤差がなく、非常に収束性の高いゲームであることがまずひとつ。
目的はとてもシンプルで、7種類あるリンゴの品種を、それぞれ隣接するように配置すればより多くの収入となります。タイルによって数も種類もまちまちなリンゴたちをうまく繋げてね、というのが基本です。
リンゴの並びによる収入は定期的なものですが、タイルには数字が表示されている辺があり、これを別の数字の辺と繋ぐことで、即座に収入を得ることもできます。
この数字は、値がそのままタイルの価値も示しているので、高いものは当然買うのにもリスクが生じます。また合わせた辺の数字は「低い方が収入になる」ため、なるべく近い数字同士を繋ぎたい。だけども高いものを毎回は買えない。数字がちょうど良くても欲しいリンゴが描かれているとは限らない。
しかも、お金が足りず購入できるタイルが無い状態になってしまうと、なんの収入も生まない裏面で配置することになり、2金という最も安いタイルしか買えない僅かなお金を渡されて手番が終わってしまいます。
こんなジレンマが主軸となって、プレイヤーを悩ませてくれるゲームです。
共通ボードを見てみましょう。
ダイスが現在のゲームの進行状況を表していて、これがぐるぐる回りながら中心に向かい、一周すると二周目になりダイスの目は1から2に変わります。3になった三周目の途中でゲームは終了します。
このダイスの位置と数値が、その時に買えるタイルのグループを示していたり、収穫されるリンゴの品種と価値、タイミングをも決定しています。
ボードの情報はかなり開示されていて、二手番くらい先まで予想しやすいですし、収穫のタイミングは完璧に把握できます。
じゃあ、あの欲しいタイルや収穫のために今は節約してこのタイルを買っておこう…など、見通しが非常に立ちやすいタイプのゲームかと思います。
では、数えきれない量のパズルゲームを作出しているウヴェさんの作品群において、アップルジャックは何が面白いんだい?他とどう違うんだい?という部分も説明していきます。
アップルジャックは、「定期的な収入の拡大性」に注目した作品となっています。
序盤はお金がないので、大抵の高いタイルは諦めて、手の届くものを買うしかありません。しかし後半になるにつれ、自分が苦しい思いをして配置してきたリンゴのパズルが生きてきて、どんどん収入が増えていくことで、好きなタイルに手が届くようになります。
リンゴは7品種あるので、なるべく多くの種類を有効な配置にしておけば、他人の手番であろうがガンガン収入が来る仕組みになっています。
とにかく収入が来るのが待ち遠しいし、機会も多い。「収入を育てる」のに熱中する、そんなゲームに仕上がっていると思います。
そして必ずパズルのマスを全員埋めきれる点が良いですね。
マスを最初に埋めきった人が勝ったり、空いているマスが減点になるようなルールはありません。全員がちょうど19手番。
収入が増え続ける爽快感と収束性の良さ。この点が他のパズルゲームなどと比べても秀でているように感じました。
インタラクションは、他の多くのパズルゲームと同様、タイルを取るタイミングくらいしか作用しません。
そのため、二人プレイでもそれ以上の人数で遊ぶ時とプレイ感に変化はないと思います。逆に一人増えると19手番ぶんのダウンタイムだけが生まれるようなものなので、三人くらいがベスト人数かなとも思います。
コンポーネントは、参加人数で裏表を使い分ける二枚のメインボードと四枚の個人ボード。スコアシートも付属。
リンゴタイルは100枚、あとはお金=ハチミツトークンがじゃらじゃら。
個人ボードは裏面もあって、少し難易度を上げるバリアントも入ってます。
もうこれだけパズルを作っているウヴェさんなので流石としか言いようがないのですが、不要な物(処理を煩雑にさせる細かい道具)はゼロ。ひとつのパーツに複数の役割が持たされているので、本当にスッキリと美しいゲーム構造とコンポーネントが味わえます。
あなたは農家です!リンゴは7つ!ハチミツはお金!でまとめられた穏やかなアートワークは芸術品ですね。
ウヴェさんのパズルゲームといえば、もう大抵の面白い作品は遊んできたように思う自分でも、また新たな楽しさに気づきがある作品でした。
減点がないルールなので、実際の難易度に対して難しさを感じにくく、拡大の快感に特化した親しみやすいゲームかと思います。
マスが埋めきれないゲームが苦手な人などにも、オススメしたい一作です。
- 70興味あり
- 219経験あり
- 38お気に入り
- 93持ってる
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