- 1人~6人
- 30分~45分
- 10歳~
- 2023年~
カスカディア:ランドマーク(拡張)winterkoninkskeさんのレビュー
二人プレイ時の感想を書きます。
カスカディア拡張:ランドマークは、基本ゲームに更なる選択肢を与える大型拡張です。感覚的には中型拡張といったボリュームですが、基本に慣れた人なら明らかに楽しさが倍増する新要素を盛り込んでいます。
追加要素は大きく二種類。
①ランドマークコマ
②新たな地形タイルと動物カード
まずはランドマークコマ。
プレイヤーは、ある一種類の地形が「5個以上」繋がった時に、その地形に対応したランドマークコマを「今置いたタイル」に配置するかどうかを選べます。(今ランドマークを置いたタイルでなければ、動物ディスクも他のタイルに置けます)
ランドマークコマを置いたタイルにはもう動物ディスクを置けなくなる代わりに、「ランドマークカード」をプレイ人数分並べられたディスプレイから一枚獲得できます。
このカードにはゲーム終了時に追加の勝利点をもたらす条件が書かれており、例えば「森林に置かれたクマ一匹につき1点」とか「最も大きな湿地のグループだけでなく、二番目のグループも含めて得点計算できる」など。
だいたい動物ディスクは一枚につき2〜4点をもたらしますが、その代わりとして置かれるランドマークコマも3点くらいなので、大差はないように感じます。
しかしながら、基本ゲームをプレイしているとあまり得点に繋がらない動物ディスクを置かざるをえない機会があったと思います。また、ゲーム終了時にディスクを置かないタイルが3枚ありましたが、本拡張では初期配置のタイルが1枚増えるので、4枚の空きタイルが発生します。
そういった瞬間に、代わりにランドマークを置くことで「地形を繋げつつ、違った勝利点を獲得する機会」を得たり、空きのタイルを有効活用することができるようになるのです。
頑張れば5点6点と狙える可能性も秘めたカードの条件もあるので、より高得点を目指したいプレイヤーが逃す手はないと思います。
こうした「動物ディスクや空きタイルを活用しきれない手詰まり感」に対して、思いがけない勝利点へのアプローチが行えるのが、本拡張の最大の特徴と言えます。
続いて新たな地形と動物カード。
単純に「4:2の地形タイル」「地形1種に対して置ける動物が3種いる代わりに自然トークンが貰えないタイル」「2:2:2で動物1種のタイル」が45枚加わり、基本ゲームのタイルと全て混ぜて遊べるようになります。
基本を知る人なら分かると思いますが、へんなタイルで面白いですね。
なお、拡張を入れず、この新タイルだけを混ぜて基本ゲームを遊ぶこともできます。混ざった拡張タイルだけを取り除くのがめんどくさい時にどうぞ。(基本の難易度が僅かに上がる程度で済みます)
動物カードは新たに各3枚の計15枚が追加されますが、こちらは「一体以上が森林に置かれたクマのペア」「ちょうど2種類の動物に隣接しているキツネ」「サケの列に隣接するクマからも1勝利点」など、より複雑かつ、地形や他の動物と連動したテキストになっていたりします。
これもやった人なら分かると思いますが、「森林のクマタイル」なんてなかなか出てきません。この貴重なタイルを確保しながら動物を並べるのはとても困難で、難易度だけでなくレアなタイルを取り合う新たなインタラクションをもたらしているのです。
ソロプレイ感の多かった基本ゲームに、かなりタイル取得を焦らせる機会が増やされたので、なかなか良いジレンマです。「今はあんま関係ないけど後々のために取っとかないと取られる…」などと、貴重なタイルを取るか悩む事になります。
こうした新ルールのため、ピンポイントで欲しいタイルの重要性が増しました。いざという時に確実に確保するためにも、自然トークンをなるべく多く持っておく戦略は有効性が増したように思います。
これらの要素が、あまり大胆な変更になり過ぎないよう追加されたのが、本拡張の特性と言えます。
ゲーム開始時からある程度ランドマークカードを狙って戦略を組み立てたくなりますが、タイルのランダム性の振れ幅が大きいので予測がつかず、結局その場の即応性が重視される点は変わりません。
元々賞を取るくらい完成度の高い基本ゲームの雰囲気を崩さずに、ちょっとの選択肢とちょっとの難易度をかさ増しする。それが思いのほか効いていて非常に面白い。そんなコンセプトになっているのが、ランドマーク拡張なのかなと思います。
あと4人までだったプレイ人数が一気に6人まで増えました。それに応じて各トークンとディスクも追加されています。
「大人数で普通にやったら時間がかかりすぎちゃったので時短ルールも作ったよ」もあります。
コンポーネントは既存のタイルやカードに大量の追加があるほか、何と言ってもランドマーク駒の存在がデカいですね。
独特の形状、タイルの上に置いたらなお目立つ大きさ、色合い…大きくてかわいい木駒はやはり良い。この一言に尽きると思います。
ちなみに、基本または拡張の箱の紙製インサートを取り除けば、両方のコンポーネントが無理なく一つの箱に収まります。
元々の箱も小さめなので、遊びやすいだけでなくこの携行性の高さも、カスカディアのひとつの魅力と言えるでしょう。
実際のところ個人的には、基本ゲームのシンプルな良さ、拡張込みの少し入り組んだ良さの両方があると思うので、これらを気分で使い分けて遊べるようになった点は非常に大きいと思います。
必須の拡張ではなく、カスカディアが好きな人により長く楽しんでもらうための拡張…こんな立ち位置なのかなと。
特にもう少し重い方が好き、と思っていたような人には、是非ともお勧めしたい拡張であります。
- 56興味あり
- 150経験あり
- 27お気に入り
- 312持ってる
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