- 2人~4人
- 20分~30分
- 8歳~
- 2022年~
アクロポリスwinterkoninkskeさんのレビュー
二人プレイ時の感想を書きます。
アクロポリスは、六角形のタイルを自分の領地に配置し、5色の特色を持った施設を決まり通りに並べることで得点化して、機能的な都市を築くパズルゲームです。
ゲームは手番に一枚、共通の場からタイルを獲得して、自分の領地に置きます。
これを順番にプレイ人数によって決められた回数を終えれば、ゲーム終了となり得点計算になります。
5色の施設はそれぞれに有効な得点方法があって、大きく繋げる必要があったり、周りを完全にタイルで囲むことで初めて得点化のチャンスが生まれます。
そしてただ有効な配置をするだけでなく、その色と同じ「星」を持ったマスも一つ以上配置しなければ、得点になりません。
例えば青の施設は、最も大きく繋がったグループ×星の数なので、5マス繋げて、星が4個あれば5×4で20点。
更に、タイルは条件さえ満たせば上に積んでいってもいいルールで、1段目は1マス1点換算でも、2段目は2点、3段目は3点…と増えていきます。星の数と乗算するので、例えば星が5個ある色が3段目にあるなら、1マスから入る勝利点が15点になり、大きく得点が伸びるチャンスがあるわけです。
そして今作の面白いところは、どれだけ施設を上手く並べても星がなければ勝利点にはならない、という点ですね。
星の取り方に特徴があるのです。
写真は二人プレイでの、共通の場です。スタートプレイヤーはこのプレイ人数+2の列から1枚を選び、次のプレイヤーも1枚選びます。一周したら、余った2枚からスタートプレイヤーがもう1枚取って、余りは次に繰り越されて補充され、スタートプレイヤーが隣に移ります。
端のタイルは無料で獲得できますが、隣に行くにつれ「石材」を払う必要があり、消費する数が一個ずつ増えていきます。しかも端のタイルは前回の選択で余った一枚なので、たいていの場合いらないものになっているのがニクい。
そして石材は本ゲーム唯一にして貴重なリソースになっていて、「この星が欲しいから三つ使おう!」などと言って安易に消費してしまうと、もう好きなタイルはほとんど取れなくなってしまうバランスになっています。
石材は白のマスの上にタイルを積み重ねると獲得できますが、そのために他の色のついたマスまで潰してしまうのは嫌なので、なるべく白だけの上に置きたい。
石材の使い方、獲得方法に大きなジレンマがあるので、ただでさえ思い通りのタイルが手に入らない状況で、一回のアクションにかなりの選択の幅が生まれます。
最初は5色それぞれのルールを覚えるのが面倒かな?と思ってたんですが、一回プレイすればもう忘れないくらい簡単でした。運の要素も少しあって、スタートプレイヤーの時に自分の欲しいタイルが安く手に入る位置にあれば石材をかなり節約できるので、ラッキーだと感じる機会も多いです。対象年齢は8歳くらいでも十分に遊べるでしょう。
インタラクションは意外にも重要で、性質上星を一個増やすだけで大量得点になる人も出てくるので、これ以上取らせないためにわざわざ石材を払ってまでカットする戦法も有効です。
終わってみると30分弱の短いゲーム時間の中に、ボードゲームらしい波乱の展開が繰り返し押し寄せてくる、なかなかよく出来たゲームだと思います。
まだ二人でしか遊んでいませんが、タイルはプレイ人数によって決められた表示のあるタイルを増やすので、人数によるゲームバランスは整えられています。
どの人数でも面白くなるタイプのゲームだなと感じました。
あと「それぞれの色について、難しい条件を満たすと追加点が入る」という上級ルールもあります。正直、基本ルールが十分すぎるほど面白いのでまだ出番はないです。良い意味でいらない追加ルールの好例。
コンポーネントはタイルと石材、スタートプレイヤーマーカーとサマリー、得点シート。
このシンプルさで深みのあるゲーム体験ができますから、非常にスマートで完成度の高いゲームと言えるでしょう。
エンゲームズはこれを発売する時、新たな定番ゲームとして期待していると宣伝していましたが、全くその通りで、気軽さと満足度のバランスがきわめて高いゲームです。
30分くらいで気軽に遊べる中級タイル配置ゲームとして貴重な作品で、例えば「カルカソンヌ」のような初心者にはインスト時間や慣れが必要なゲームを始める前に、ざっくりとタイル配置の面白さを知ってもらうのに最適なゲームと考えています。
自宅の棚に、軽くてしっかりしたゲーム性を持つ優れた作品として、並べてみてはいかがでしょうか。
- 176興味あり
- 572経験あり
- 125お気に入り
- 304持ってる
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