- 1人~4人
- 60分~300分
- 14歳~
- 1989年~
銀河英雄伝説/アスターテ・アムリッツァ会戦Bluebearさんのレビュー
田中芳樹氏の人気SF長編小説(アニメ版も人気)である『銀河英雄伝説』における宇宙艦隊戦を再現したシミュレーションウォーゲーム。
1986年にツクダホビーから発売され、この作品を皮切りにいくつかの会戦をそれぞれテーマにしたシリーズ作品として展開されました。
この第1作では原作の1巻より2つの会戦、『アスターテ星域の戦い』と、『アムリッツァ星域会戦』がセットになっています。(非常にお得♪)
特にこの『アムリッツァ星域会戦』は、登場する艦隊数も多く、かなり劇的な展開になるので、時々思い出しては銀英伝好きの友人を呼んでプレイしたものです。(しかし正直に白状しよう。私は実を言うと原作を読んだことも無く、過去のアニメシリーズを数話見たきり…というお粗末で、単にSF艦隊戦だというので勢いで買ってしまっただけなのです。従って、ドラマ設定や歴史背景はほとんどその友人からの受け売りなのですみませんご容赦を!)
計算高く冷徹なイケメンのラインハルトと、飄々とした実力者のヤン・ウェンリーの2人の対決は当時もかなりの人気でしたねー。(一歩間違えるとBLネタになりかね…ゴホンゴホン!)
◾️アムリッツァ星域会戦の設定
帝国領内に打ち入った結果、甚大だな損害を出した自由惑星同盟軍は、総司令官の意地によりアムリッツァ星域に残存艦隊を集結。
これに対する銀河帝国軍は、主人公ラインハルトの決断により、盟友キルヒアイスの別働隊を含めて約10万隻もの大艦隊を展開。
激戦の末、ラインハルトの帝国艦隊は同盟軍艦隊を撃破!
この戦いで同盟軍は2000万の兵を失い、『アムリッツァの愚行』と呼ばれて、その後の同盟軍の崩壊の決め手となった…らしい(笑)
うん、このような大戦の流れを変えるような大きな戦闘は大好物であり(ミッドウェー海戦やノルマンディー上陸作戦など)、そんなわけで私はほとんどこのシナリオしかやった事がありません(笑)
◾️ルールの特徴を簡単に
①すごい数の大艦隊!
このゲームの艦隊ユニットは、何と1つで700〜800隻もの宇宙艦隊を表します。
それが、帝国軍ラインハルトの主戦力で80ユニットくらい。さらに援軍として登場するキルヒアイスらの別働隊で40ユニットくらい。
対する自由惑星同盟側で総ユニット数70ユニットくらい。
つまり総勢15万隻くらいの(信じがたい数!)の宇宙艦隊戦ができるわけで、そんなゲームは他に知りません(笑)なかなか壮観です。
後半はバタバタと艦隊が損傷していくので、10数枚の全滅ユニットを次々並べて、「ああ、これで何千人何万人死んだのだろうか…」とお互いに感慨に耽ることもたびたびでした。(戦争とは誠に無情だ…)
②指揮官の能力をメインに
人気のある武将…じゃない艦隊司令官がたくさん出てくるドラマですから、やはりその人たちの能力が主体になるようにメインにデザインされています。
基本となる攻撃能力、防御能力の他にも、隊形変換などができる艦隊指揮力など、かなり細かく能力分けをしてあって、それぞれの指揮する艦隊に特徴が出るようになっています。それぞれのキャラクターごとにファンがいますからこのようなデザインは大事ですよねー。
③不確定な行動チット方式
このゲームで各指揮官の能力を最も端的に表しているのが《行動チット》です。
各指揮官ごとに決められた枚数のチットを封筒などに入れ、それを1枚ずつ引いて、その指定された艦隊が移動・攻撃を行う、というものです。
これによって、単に攻撃がうまいとか防御に優れているとかとは別に、艦隊の指揮・運用がうまいかどうかが見事に表現されているのです。
自由惑星同盟の将軍たちは肩書はエラい人になっていてそこそこの能力を持っていますが、チット数が1〜2枚しかないのに対して、主役級のラインハルトやキルヒアイス、ヤンなどは、何と4枚ものチットを持っているので、彼らがいかに柔軟で優れた艦隊運用能力を持っているかが分かります。(とは言っても、全部のチットが出る前に《ターンエンド》のチットが出てしまったら、残りのチットが何だろうとターン更新なので、必ずしも全てのチットぶんのアクションができるとは限りません。)
ここがこのゲームを非常に流動的でスリリングなものにしている点です。(中には、行動チットが出る前にターンエンドが来てしまい、そのターン中は何もしないうちに終わり!なんて事にもなりかねません。笑)
◾️他にも細かいルールが
ルール構成は、初心者用の簡単な《初級ルール》と、経験者用の《上級ルール》に分かれており、好みに応じてゲーム難易度を選択してプレイする事ができます。
けっこうルールが異なっており、全然違うゲームと言ってもいいかもしれません。
《上級ルール》になると、艦隊コマの向きによる移動や戦闘の影響を表すルール。
防御を犠牲にして攻撃に特化する《突撃隊形》や、戦闘能力を犠牲にして移動力を5倍にする《高速隊形》などの《隊形変換》。
その他、各指揮官ごとの特別能力や士気、艦隊運用できる指揮範囲など、けっこう細かいルールが増えます。
今回久しぶりに《上級ルール》で対戦しましたが、お互いに細かいルールを忘れており、何度もルールブックを読み直す羽目になりました(笑)。
◾️今回は帝国のボロ負け!
久しぶりすぎて、セオリーをだいぶ忘れており、帝国軍を指揮する私は、ケンプ艦隊とミッターマイヤー艦隊で圧迫をかけつつ突撃の得意なビッテンフェルトで左翼から戦線を切り崩す。
「わはは、圧倒的じゃないか!」
しかし調子に乗って突出したビッテンフェルトを予想していた相方はチットに助けられて第8艦隊と第13艦隊の両面攻撃をうまく展開。
「お前の事だからそう来ると思ってたよ(笑)」
その後、運悪くメックリンガー艦隊とケンプ艦隊がほぼ壊滅し、ラインハルト艦隊の進撃が間に合わず、帝国ピンチのタイミングで、援軍キルヒアイス艦隊が到着!
その後右翼からのロイエンタール艦隊が善戦し、連続攻勢のラインハルト艦隊による圧倒的な攻撃によりヤンの13艦隊を追い詰めていく。
そしていよいよ激動のラスト12ターン目。
「よし、ラインハルト3枚目!前進して一斉攻撃や!これは勝てるか!」
「いかん!もうヤンは4枚使い切っとる!さすがにやばいぞ。後がないな。…うぅむ、やはり損害が大きいか…。」
「これでラインハルトを引けば勝ちだな♪」
「よーし(チットをゴソゴソ…)、えいっ」
「…《フレデリカ》」
(互いに爆笑!!)
実はフレデリカとはヤンの副官の女の子で、たびたびヤンに的確なアドバイスをする役柄です。(フレデリカ駒を引くと、ヤンを引いたのと同じようにヤン艦隊が行動できるのです!)
「うぉー、そんなもん入ってたんだな。フレデリカの奴、このタイミングで余計な事を〜!!」
そして帝国軍艦隊は見事に3個艦隊が壊滅!自由惑星同盟の大勝利となりました(涙)。
4時間半ほどかかりましたが久しぶりにメチャクチャ楽しかった♪(セットアップがやたらめんどくさい、というのもある)
◾️宇宙っぽくない宇宙戦
このゲーム、宇宙戦闘なのに戦線ができて、隊形変換を駆使して穴を開け、そこから突破をかけるという、全く宇宙っぽくない戦闘です。
3次元のはずの宇宙なのに艦隊コマで戦線を固められると容易に突破ができません。
また、損害を受けると艦隊は《後退》したりします。
デザイナーも言っている通り、完全にナポレオン時代の戦術戦闘をイメージしています。
まあ、原作のイメージがそもそもそんな感じなので、シミュレーションとしては正しい(笑)。
ここを許容できるかどうかでこのゲームの評価は大きく変わると思います。
まあ、そんな事マジメに突っ込まずに、好きな指揮官の艦隊で派手に暴れて楽しめばそれでいいゲームだと割り切って楽しんで下さい。
◾️余談①
結局この後に続くシリーズ作品は全て購入して積んでありますが、他の作品は思ったより会戦の規模が大きくなく、結局いつまでもこの《アムリッツァ星域会戦》しかやってません(笑)。
◾️余談②
この1作目では、ターン更新チットが1枚しかなく、唐突にターンの終わりが来るために、本当に何もできない艦隊は何もできません。(そこはかなり運任せです)
そこで2作目からはターン更新チットが2枚になって、1枚目ではまだターンは終わらず、2枚出たら終了とねなりました。(『インカの黄金』みたい、と言えば分かりやすいかな?)
我々もターン終わりがいきなりなので、ブランクカウンターを使ってターン更新チット2枚でプレイするようにしてます。(活躍できない指揮官がいると悶々としますからねー)
ここはお好きに調節して下さいまし。
- 14興味あり
- 7経験あり
- 3お気に入り
- 8持ってる
ツクダの銀英伝、懐かしいです。自分も高校時代の仲間を中心にシリーズを結構遊びました。惜しむらくはツクダがシミュレーションゲームから撤退してしまったため、原作の戦い全てが再現されなかったことです。
そこでマル・アデッタ(ビュコック最後の戦い)や第二ランテマリオ (双璧の戦い)のシナリオを自作して仲間内やシミュレーションゲームのサークルに参加してテストプレイを行いました。またチット1枚の提督は弱すぎると感じていたので、全員2枚目のチットを作成したのは良い思い出です。
余談ですがレビュー中にある第二作目の変更点で、終了チットが2枚になったと記述されていますが、終了チットは1枚で1回目はカップに戻し、2回目に引いた時に終了となるのが正解だと思います。2枚のときと1枚のチットを二度引くのは、イニング終了までに指揮官チットが引かれる(無駄にならない)確率が異なります。
(終了チット2枚だと2/3の確率で引かれ、1枚を戻す方式だと3/4の確率で引くことが出来ます)
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