- 2人~4人
- 45分~60分
- 10歳~
- 2022年~
スウィンドラーwinterkoninkskeさんのレビュー
二人プレイ時の感想を書きます。
スウィンドラーは、ビクトリア朝ロンドンの町で泥棒となり、金持ちから金品を盗んで売っちまえという、非常に分かりやすい盗みと逮捕のリスクを味わえる袋引きの運ゲームです。
ゲームは手番制で、決まった5ステップを終えたら次のプレイヤーに手番が移ります。
①依頼を受ける
②袋からタイルを引く(盗む)
③盗んだ戦利品を売ったり依頼を達成して勝利点などの報酬を受け取る
④達成した依頼などを補充する
⑤共犯者を雇う
の5ステップを行います。
まず、本作の根幹となるのは袋引きによる運の要素です。
5色の袋の中身は全て違い、それぞれに決まった戦利品が入っており、内容はプレイヤーボードに全て記載されています。戦利品は引いた後も公開情報なので、袋の残りは常に全員が把握できます。
プレイヤーは欲しい物が入っている袋を一つだけ選び、必ず一枚以上のタイルを引かなければなりません。
そしてドクロのタイルを引くとバースト。それまでに引いた戦利品は全て没収になってしまうので、ちょうど良いところで止めなければなりません。
基本はこの運によるバッグドローが中心となり、様々な依頼を達成して、特定の依頼数を誰かが達成した時点での勝利点を競います。
依頼は「同じ袋から二回連続で同じ物を引く」とか、「この戦利品とこの戦利品を持っていれば達成」「違う戦利品を三種類以上引く」など多種多様。最後は結局運による引きの良し悪しになってはしまうものの、「5種類の袋から選べる」という選択肢の多さや、どの依頼を選ぶのか、依頼内容のバリエーションを鑑みて戦略的に袋を選んだりできるので、単純に一つの山札から引いていくタイプのカードゲーム系チキンレースとは明らかに違い、プレイヤーの判断も重視されているのが大きな特徴です。
一発目でドクロを引いてしまうこともしばしばありますが、その場合のみオマケでコインが貰える救済措置があります。
さて、運要素によるセットコレクションが主体となる本作において、もう一つパーティー要素を盛り上げるのが、共犯者カードの存在です。
共犯者カードは戦利品などからコインを獲得し、支払うことで手札へとやって来ます。
効果は「他人と自分の戦利品を入れ替える」とか「他人の引いた戦利品を半分選ばせて横取り」など、なかなかエゲツない使い切り直接攻撃を持ったものも多数。
これがほとんどの場合、相手の手番でも使用できるので、だんだんと手札が増えてくる後半戦はまさに共犯者の殴り合いの応酬となり、カオスです。
また「逮捕」というペナルティもあり、達成が容易だったり、報酬の多い依頼をこなしすぎると「手配書」が手元に溜まっていきます。これがある時、依頼書の山から警察の抜き打ちというイベントが突然現れて、手配書を一定数持っているお尋ね者が一回休みになる、といったアンラッキーイベントが起こります。
「バッグドローでハラハラドキドキ!」「お邪魔効果で殴り合え!」のパーティー感を主体としながら、毎手番のアクションは必ず自分で選ぶ納得のいく戦略性もあるため、なかなか面白い部分の多いドラマティックなゲームになっていると思います。
実際遊んでみると、割とボードゲーム感のある戦略を練っていながら、笑いどころも多いのでかなり楽しめました。
最下位の人が達成しやすい依頼なんかもあって、一発逆転のチャンスもあるのが魅力的です。
二人プレイだと、手番が早く来るので袋引きをガンガン遊べるのが良い部分かなと。三人以上だとダウンタイムも増加しますが、共犯者カードには「相手がドクロを引くか引かないか賭けるカード」だったり、「相手がたくさん引けばたくさん横取りできるカード」なんかもあるので、他人の手番でも飽きさせない工夫になっているのかなと思います。
コンポーネントは箱の割にまあまあ大きなメインボードがあって、外周が勝利点トラックになっているタイプです。誰が勝っているか一目で分かるので、攻撃行動の基準になるでしょう。点差を詰める/広げるために、高リスクな依頼に挑戦する目安としても機能します。
カードにタイル類、袋にじゃらじゃら入った戦利品など、様々な質感が用意されているのも、ボドゲらしくてワクワクしますね。
運要素は3〜4割くらいがスマートでいいんじゃないか、などと言われているこの界隈で、運要素7割くらいのゲームが上手いこと戦略性と調和して面白くなっている、というタイプの珍しいゲームかと思います。
是非とも、「運だけなのにボドゲやってる感」のある不思議な戦略的パーティーゲームを体験してみて下さい。
- 22興味あり
- 51経験あり
- 11お気に入り
- 50持ってる
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