- 2人~4人
- 15分前後
- 7歳~
- 2014年~
それはオレの牧場だ! / バトルシープBluebearさんのレビュー
日本語版タイトルだけ見ると、『オイ!それは俺の魚だぜ』というタイル取得ゲームの姉妹編に見えますが、実は発表年度もデザイナーも、発売会社もすべて別物で、互いに関連はありません。(こちらのタイトルは、もっと直球で『Battle Sheep』ですね)
しかし、敷き詰めた六角マスタイル上を、『まっすぐ行き当たるまで直進しなければならない』という基本コンセプトは同じなので、シリーズだと言われるとたぶん誰もが納得するんじゃないか、という作品です。
『俺の魚』も、イメージは氷の上を魚を求めて滑るペンギンでしたし、今作のイメージも、牧草地を求めてまっすぐ暴走する羊の群れで、アートデザインもコミカルなため、一見すると子供向けの単純なゲームに見えます。
ところが、『俺の魚』をプレイされたことのある方はご承知の通り、この作品も全く運の要素が無く、外見に反して非常に思考性の高いガチゲーになっています。
1.ゲームボードはプレイのたびに形が変わる。
牧草地は、4マスかたまったタイルを全員で順番に敷き詰めることから始まるので、全体の牧草地の形状は、プレイのたびに大きく変わり、展開のワンパターン化を防いでいます。
特に地形の区別はなく、全部がただの牧草地なのですが、つなげ方により空白地ができたり、いびつな形になったりするのが面白いところです。
2.ヒツジは群れでまとめて爆走する。
各プレイヤーに渡される羊コマは全部で16枚。これを最初は一山に積み上げて《群れ》とします。
各手番にはこれを、マス目の列に沿ってまっすぐ動かす。やることはただそれだけ!非常にシンプル!(ルール説明も5分かからない感じです。)
ただし、群れはどう分割してもよく、もとのマスには最低1匹は羊を残さなければなりません。
この群れは、ボードの端や他のコマ(他のプレイヤーだけでなく自分のコマも)にぶつかるところまでまっすぐ進み、途中で止まることは一切できません!
このため、羊をいくつに分けるのか、どっちへ進むのか、すごく考えます。
だんだん自分の群れが複数になってくるので、どの群れを動かすかですごく悩むのですが、当然他の羊によって占領されたマスが増えてくるので、計画通りに動かせなくなってくる場所も増えてきます。
そのため、考えなしにテキトーに動かすとあっという間に行き詰ってしまうシビアな展開となります。
3.ユーモラスな外見なのに、ゲーム展開中はほとんど無言で集中
デザインイメージだけ見ると、にこやかに盛り上がるゲームっぽい印象ですが、実際にやってみると、みんな真剣に悩み始めるので、全員が無言で考え、コマを置くときの「カチャッ」という音と、それに対するコメントだけが続く感じですね。
「じゃあ次、ワタシね。この群れを…ここへ(カチャッ)」
「うわ、やっぱりこっちへ来たか~、まずいな…」
「次オレね。こっちの群れを…向こうはじまで…(カチャッ)」
「ぐ…そうきたか。」
「え?次私?…ああ~ん、どうしよう。囲まれちゃう。こっちへ逃げる(カチャッ)」
「うぉ…何でこっちへ来るんだよ。そっち空いてるじゃん!」
「だって、そっちの方が広いから♪」
「ぐ…マズったな…」
「うう…俺も計画が狂った。ヤバい…」
「ううう…どうしよう」
…という感じで、静かに悩むゲームなので、パーティ系を期待したら意に反するので気を付けて下さい。
4.豪華なコンポーネント
『俺の魚』は、安価な小箱だったので、持ち運びもかんたんでありがたいのですが、タイルが小さく扱いにくい欠点がありました。
それに対しこのゲームは、ものすごくしっかりした頑丈なタイルと、プラスチック製で厚みも重みもしっかりある大きめの羊コマとなっていて、取り扱いも見た目も非常によろしい。(コストとの兼ね合いが難しいところですよね。)
しかも16枚の羊コマは、全部デザインが異なるという手の込みよう。
この豪華さは、接待用には抜群ですね♪
実際に我々のゲーム中の様子を他の人が見て、「おおすごい楽しそう~♪」と、興味深々でしたので、次は誘ってみようと思っています。
こんな感じなので、シンプルなルールでガチ勝負がしたいグループには、ぜひおすすめです!!
《追記》
4人プレイで慣れてくると思ったのが、お互いにそれぞれのマスの確保をバランスよく考えていくと、全員がピッタリすべての羊を置ききって終了となるケースが増えてきました。(誰かが露骨な妨害をしかけると状況が荒れますが、互いに遠慮すると、予定調和でおとなしい展開になってしまいます。)
そこで提案!
最初に並べる牧草地タイルを規定より1枚除きましょう。
どうやっても全員が置ききることができなくなるので、必ず場が荒れて楽しい展開(?)となりますよ。
お試しあれ。
- 106興味あり
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