- 2人~4人
- 75分前後
- 14歳~
- 2018年~
スターシップ・サムライBluebearさんのレビュー
今作はなんと《サムライ》をモチーフにしたスーパーロボット兵器(笑)を駆使して、大宇宙を舞台に、星系の支配権を奪い合ってバトルする!という、ネタにしか聞こえない内容のゲーム。
2018年にPlaid Hat Gamesからリリースされた、いかにもアメリカーンなちょっとズレたジャパン風味のボードゲームです。(Plaid Hat Gamesと言えば『Dead of Winter』や『Mice & Mystics』が有名ですね。いつも雰囲気抜群のゲームを作るメーカーですね。)
もちろんバカゲーだよね!ってスルーするつもりだったのですが、意外に各方面から『意外に面白い!』という評価を聞き、4人でガチで『戦える』ゲームならやってもいいかと気まぐれで購入。
案の定、いつものメンバーからは呆れた顔をされましたが、まあまあとなだめてプレイ開始。
結局、大騒ぎの盛り上がりで、連続2ゲームとなりました(笑)
◾️宇宙の各星系の支配権争い
計16枚ある《星系》カードの支配を巡って戦います。(これらが小国扱いで、これらを支配する事で各ダイミョウは強大な権利を得ることができるのですね)
誰の支配にもならなかった星系カードは流されてしまうので、4人でやるとわずか4ラウンドで終わる計算。(意外にコンパクトでした。)
この星系カードを置く小さいボードが4枚あって(人数分だけ使う)、ここに戦力を置くスペースが7つずつあり、そこに戦力を派遣していって、合計戦力の高い陣営が支配権を得る仕組み。
この戦力コマとして、《宇宙戦艦》と《宇宙戦闘機》があるのですが、これらは全て立体ミニチュアになっており、これが結構出来が良い。海外風のダサいデザインではなく、日本アニメでも通用するカッコいいデザインになっているところが好感です。
◾️最強戦力はサムライ!
上記の《戦艦》《戦闘機》に比べて圧倒的な戦力を誇るのがこの《サムライ・メック》です。
いかにも的なデザインの巨大スーパーロボットが全8種類あり、これらは全て性能が異なるのです!(戦闘力も高いのですが、それぞれ特殊な固有能力を持ちます)
これを各ダイミョーは、セットアップ時にドラフトで2機ずつ保有してゲームを開始するわけです。これは燃えない訳がないじゃないですか!
人間の武将でもなく、戦闘艦でもなく、《スーパーロボット》であるところがツボです。このデザイナーは分かってらっしゃる(笑)
《戦艦》と《戦闘機》の戦力構成には各陣営で全く差がないのですが、この《サムライ・メック》の選び方(2機いるのでその組み合わせ)によって陣営の特徴が大きく変わる仕掛けですね。
これはなかなかリプレイ性が高い。(他の組み合わせを試してみたくなるに決まってるじゃありませんか)
組み合わせは8体から2体なので、8C2=28通り。かなりバリエーションは多いですね。
ちなみにモチーフとなっているサムライは、時代も何もメチャクチャで、《シンゲン》とか《マサムネ》《ヒデヨシ》とか有名どころ。他にもなぜか《オダ》《モーリ》…、これ家名じゃん!さらに女性型の《ゴゼン》って…、こらっ!笑)
これらのユニットはしっかりしたモールドの立体フィギュア、そして意味もなくデカい!デザイナーがやりたかったであろうイメージが伝わりますねー。(ペイントは暇ないし面倒なので、例によってスミ入れだけ)
◾️戦力集めて陣取り
プレイはシンプル。4種類あるアクションから1つを選んで実行するだけ。
内容は以下の通り。
①小国の支配ポイントの上昇
②戦闘コマの移動
③資源トークンの獲得
④手札の獲得
面白いのは、4枚あるアクショントークンを配置して実行を明示するのですが、1〜4のパワーランクがあって、どのレベルを置くかによって効果が異なるのです。さらに同じアクションも選べるので、選択肢は相当多い!これは意外にも 悩みどころが多い良いルールです。
これらのアクションを組み合わせて、かなりハードな陣取りをやるわけです。
資源トークンでアクションの強化ができたり、交渉材料にしたり…
艦艇コマを移動させて多数を狙っていたら、そこに《サムライ・メック》が斬り込んで来て撃破されたり…
星系の多数争いで、2位でも実は少しおいしいので、あえて2位を狙ったり…
意外なアクションカードの攻撃に歓声と悲鳴が上がったり…
なかなか盛り上がりゲームでした。
◾️時間と人数について
ルール自体は特に複雑ではなく、ルール説明にかかる時間は15分ほど。(泥試合を避けるためにもどれだけ相手を倒したか、ではなく、星系の支配ポイントをどれだけ集めることができたかが勝利条件なのをよく伝えないといけませんね。)
プレイ人数は、残念ながら4人までしか参加できません。(もう少し多人数でわいわいやりたかった)
ゲーム自体は1時間半を越えた程度の軽さでした。慣れればもっと早いかと思いましたが、逆にあーだこーだと交渉に時間がかかりそこで時間が取られるようです。(いちおう《交渉あり》は選択ルールですが、絶対に入れたほうがいいです。←あくまで我々の話)
「よし、俺は移動3!《シンゲン》いきまーす!」
「おお来やがったな!」
「それで、戦闘機部隊も一緒にこっちの星系に…行けぇぇっ!」
「きゃー、こっちなの⁈」
「あれ、《シンゲン》って、他のコマの戦闘力に+1できるんじゃなかった?」
「あー、だからそれ狙いって事か」
「やばい!負ける!」
「いや、まだ奴にはマサムネがいる」
「そうとも!僕が一番マサムネをうまく使えるんだ!必殺のマサムネビームをくらえ!」
「こら、そんなルールはねえ(笑)」
「ねえねぇ、資源1払うから見逃さない?」
「う〜ん、どうしようかなぁ(笑)」
…とこんな感じでした。
このように、割と盛り上がりどころのある賑やかなゲームです。有名武将の名を冠したスーパーロボットを駆使して戦う展開にノリノリで一喜一憂できる人にはオススメです。
反面、攻撃要素盛り盛りなので、それが苦手な人からは厳しい評価が来そうです。
特に大きな欠点は無いと思いますが、支配を狙う《星系の数》は、常にプレイ人数と同じにセッティングされるため、全員が穏便に講和ばかりすると予定調和な展開になると思われます。
しかし誰かが攻撃に転じると、たちまち荒れた展開になるので、そうなるか、ならないかで評価は大きく変わりそうです。そこが難しいゲームだと感じました。
どうせなら最初から人数と合わない星系数にしたほうが荒れに荒れる展開になり、我々には面白そうですが、そうするとたぶん世間一般には受けないんでしょうねえ…。
《追記》
2019年に拡張セットが出ていますが、日本語版になるのはほぼ絶望的でしょうね。追加の武将は『ハンゾウ』と『イシダ』だそうです。お好きな方は探してみるのもいいんじゃないですか〜?
《追記2》
コマの色が、赤、青、緑の他、なぜかもうひとつが《灰色》なんですが、(なぜ黄色にしなかった⁈)サムライメックのフィギュアが全部灰色で、非常に区別しにくい!
またサムライメックは全部同色なのでフィギュアの形で判断するしかなく、視認性がけっこう悪い。ここの工夫を何とかしたいと思って、改善方法を検討中です。いい方法が見つかったらまた報告します。
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