- 2人~4人
- 30分~50分
- 10歳~
- 2016年~
たたらばと森Bluebearさんのレビュー
大阪の『たなごころ』というゲームサークルがデザインした、森との共存をテーマにした作品。
2016年のゲームマーケット神戸でプロトタイプが発表され大好評を博したそうです。『たなごころ』さんのゲームは全て手作りのため少数生産しか出来ず、関西でしか手に入らないという状況なので、ファンは関西まで買い付けに出るらしいです。
そのため今作は、大手のホビージャパンから全国規模でリリースとなりました。(良い作品はこういう展開が嬉しいですよね)
◾️人と森林の共存がテーマ
舞台は江戸時代の山陰地方、今で言う奥出雲のあたり。『たたらば』という製鉄のための施設を運営するのが目的です。(ジブリの映画『もののけ姫』にも描かれました)
《植林》と《伐採》、そしてそれらの《資源化》を繰り返す事で環境を崩さずに安定した森を作り、それと共存してゆく人たちの姿を描きます。
木々を安定させて資源にすることで最終目的の《永代たたら》を作り上げる事が目的です。
本物の木の手触りを大事にしたコンポーネントで、大きめの木製コマを使うことで木の成長を実感できるように作られているところが好感度大でした。
◾️ゲーム自体は割とシンプル
自然との共存がテーマなせいか、派手な攻撃も、ガツガツした交渉もありません。思ったより緩やかな展開ではありますが、しっかり計画を立てて行動しないと勝てないようになっています。
プレイヤーコマは1つだけで、これは必ず動かさなければならず、その後にアクションを2回やって手番終了です。すごく簡単。
アクションは3種類あって、幼木を植える《植林》、成長した木を切って資源やお金に変える《伐採》、どちらもやりたくない時に移動力を貯める《足マーカーの獲得》です。
全員終わると、ランダムにいくつかのエリアに生えている木が1段階成長します。(日照など様々な要因で木は同じスピードでは成長しません)
これがくせもの!
アカマツはクヌギに遷移し、スギも育っていきますが、放置すると価値のないブナになってしまいます。ブナは全く伐採できず完全な障害物になってしまいます。
そうならないように適度に伐採を繰り返していかねばなりません。このサイクルの管理がけっこう難しいだけでなく、成長した木は移動の妨げにもなるので、うまく計画を立ててやりくりしないとすぐに行き詰まってしまいます。(人コマは1人しかいないし、木の成長は思ったより早い!)
これを4人とかでやるので、植林場所の取り合いになったり、自分の木を伐採されてしまったり、たたらばを建てられて進入できなくなったりするわけです。
意図的に攻撃するというより、自然と他プレイヤーの行動が次第に邪魔になってくる仕掛けですね。
◾️誰かが永代たたらを建てたら終了
いろんな木を伐採していき、お金10と、建材10を貯めたら《永代たたら》を建設して終了です。
そんなに難しいハードルではないので、ぼやぼやしているとあっという間にゲームが終わってしまいます。(最後に何を何本植えたかとか関係ないです。笑)
4人でやって説明に10分程度(難易度は低いほうです)、ゲーム自体は40〜50分程度でした。
最初は木の成長スピードが感覚的に掴めないため、あまり大した展開にならずにあっさり終わってしまった印象でしたが、時間があったので気を取り直してもう一回!とチャレンジしてみた結果、お互いの移動範囲や植林場所の駆け引きなどがうまく回って、かなり盛り上がった2回目となりました。
これからプレイする人たちも、絶対に2回目以降の方が面白いので、1度目で『ふ〜ん…』って終わらずに、ぜひ何度かチャレンジして欲しいと思いました。
「じゃあ次私ね。…ここまで動いてアカマツを植えて、こっちのカシを伐採してお金にしまーす。」
「おお、だいぶアカマツが増えたね」
「じゃあ俺か。こっちのスギを伐採して建材3もらって…あとは…届かないから足マーカーかな。」
「植林で木は増えるけど人コマはずっと1人から増えないからつらいよね」
「林業は人材不足なのね〜(泣)」
「よし、じゃあ木の成長だね。札めくって…おお①と③と④がダブル!」
「きゃーっ!ここのクヌギとスギが全部成木になったじゃないの!伐採間に合わない!」
「こっちはアカマツがいい感じだよー♪」
「だんだんシビアになってきたねぇ。頑張れ〜」
「こら!お前がスギばっかり植えるから花粉症が増えるやんか!(一同爆笑)」
…と、こんな感じです。
純和風で自然なテーマのボードゲームでのんびりと手軽に対戦できる珍しい作品なので、厳しいゲームの合間にいい感じですよー。
《余談①》
1ラウンドに山を歩くのは2歩まで。でもその間に植林・伐採した幼木はどんどん成木になっていく。
あるプレイヤーが「これ成長早すぎじゃないのっ!」と驚いていましたが、これ実際に歩いているというより、『一族が管理するテリトリーを移動している』と考えたほうがしっくり来ます。だから停止できないし、同じマスに止まる事もできないわけです。
例えば杉は30〜50年で成木になるそうなので、そう考えると1ラウンドは約10〜20年くらいでしょうか?思ったより長いスケールのゲームです。
《余談②》
このゲーム、木製コマは原色で非常にカラフルなのですが、ボードやトークン類が単色で非常に地味!地味すぎて視認性もイマイチ。
せめてもう少し野山の雰囲気でカラーにしてくれたらもう少し映える盤面になって人気も出たのではないかと思います。
またボードも組み合わせ可なのは結構なんだけど、両面を見比べると印刷内容は全く同じです。せめて裏表でカシの配置などが少し変わるとかあれば盤面の変化も大きく、バリエーションも増えるのになあ、と少し残念に思いました。
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