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  • 1人~4人
  • 90分~120分
  • 13歳~
  • 2017年~
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1日前

島が息づく!スピリットアイランド本体の楽しみが一気に広がる必須級拡張!

【評価 9/10】

本作はソロゲームとして国内外で非常に評価の高いスピリット・アイランドの第1拡張です。

最初からズバリ本題に入りますが、本作はスピリット・アイランドの魅力に既にハマっている人のほか、以下のような方にもお勧めしたい拡張です!

  • スピリット・アイランド本体の高評価を知っていて購入し、ソロなどで遊んでみたけど今一つハマり切れなかった方
  • 本体は持ってて一通り遊んだ。拡張が2つ出たのは知ってる。けど、どっちの拡張を買うべきか決めかねてる。かと言って両方買うのも懐事情で厳しい…という方

なぜ本拡張は上記のような方にお勧めなのか、それをお伝えするためには本拡張がどんな特徴を持っているのかを説明した方が早いでしょう。


◇本拡張の特徴

本拡張に含まれる要素は以下の通りです。

  1. 小進歩カード31枚、大進歩カード21枚
  2. 精霊パネル2枚、固有能力カード8枚(精霊ごと4枚)
  3. 敵対国パネル1枚、敵対国タイル2枚、シナリオパネル4枚、シナリオマーカー20枚
  4. 荒廃カード7枚、不安カード15枚
  5. イベントカード25枚、敵対国固有カード1枚
  6. 獣/大自然/疫病/対立トークン 各22枚
  7. プレイヤーエイドカード4枚


このうち、1〜4は基本からある要素の増加。5、6は新要素。そして7は新たな要素やルールを反映した各プレイヤー用カード型サマリーです。


実を言うと、1〜4が目当ての人は既に本拡張を購入している人がかなりいると思われます 笑 これらを好要素として捉えている人は既にスピリット・アイランドの魅力に十分ハマっている人でしょうから。想像通り、これらの要素は従来の延長線の楽しさを膨らませてくれるものです。

対して、5、6の新要素は上で記載した「今一つハマり切れなかった方」「どっちの拡張を買うべきか決めかねてる」という方々にお勧めしたい要素です。そこで起きているのはスピリット・アイランドの質的な転換と言えるからです。

なぜ質的な転換と言えるのか、順を追って説明します。


◇イベントカードによる変化〜世界の広がり

まず5のイベントカードですが、毎ラウンド侵略者フェーズの一番最初、不安カードの前に処理されるものです。不安カードは「プレイヤーが不安マーカーを増やすことで発動でき、プレイヤーに利益をもたらすもの」であるのに対し、イベントカードはプレイヤーの行動に関わらず毎ラウンド必ず起こり、かつプレイヤーに利益だけをもたらす訳ではありません

悪い事ばかりでも良い事ばかりでもないイベントが起こる


都市がある土地に町や都市を追加するイベント、遠征隊が増えるイベント、ダハンが町に変わる(侵略者の文化に感化されて同化してしまうイメージでしょうか)イベントなど悪いことが起こる場合もありますし、一方でダハンが侵略者にダメージを与えたり押し出したりと言う効果が起こることもある。


イベントは侵略者の行動やプレイヤーの行動に影響を受けて起こる訳ではなく偶発的に起こるのですが、このことは言い換えれば「島が息づいている」と感じられる側面でもあります。

と言うのも、スピリット・アイランド本体では精霊がダハンを動かさなければダハンたちは自分たちの意思で動くこともありませんでしたし、一方の侵略者達も侵略者デッキから捲られたカードに従って規則的に遠征・建設・略奪を行う以外は動くことはなかった。敵対国の効果により侵略者デッキ以上の行動を起こすことがあっても、それは定められた行動、言ってしまえばプログラミングに従って動く機械的な存在であり、盤面で意思を及ぼすのはプレイヤーのみだった訳です。

こういうゲーム進行だと侵略者は湧いてくる虫、ダハンは虫退治の道具のように見えてしまっても、ある種仕方なかった。

しかし本作ではプレイヤーの思惑とは別に、ダハンが勝手に移動してしまったり侵略者と仲良くなろうとしたり、一方の侵略者側も内部で対立が起きて侵略が停滞したり別の侵略者に攻撃されて町や都市が壊されたりすることもあり、さらには新たな要素である獣が時折凶暴になって侵略者を襲ったり、気候が少雨の年になって島が荒廃の危機に晒される事案なども起こるのです。

イベントのごく一例。中には恐怖レベルや侵略レベルに応じて違うイベントが起こるものも。


スピリット・アイランド本体では神のごとくダハンを操って侵略者と争わせ、天罰のごとく侵略者にダメージを与えてきた精霊達は、この拡張の導入、もっと言えばイベントカードの導入により「力あるもの」ではあっても全てをコントロールできる訳ではない精霊島の登場人物の一人、ピースの一欠片となったのです。これにより精霊の視点以外、ダハンや侵略者達の思惑があるように見えてくるのが不思議なもので、世界が一気に色付いた、と私は感じました。

これが、スピリット・アイランドに今一つハマりきれなかった人に本作をお勧めしたい最大の理由です。

また、イベントカードによる偶発的な盤面介入はゲームシステム上で2つの影響を及ぼしました。

一つはイベントで何か不都合なことが起こる可能性を踏まえた行動を取る必要ができたこと。逆に言うと遅発効果のカードの使い方をより意識する必要が生じたとも言えます。

もう一つは「負けても自分のせいだけじゃないんじゃない?」と思えるようになりました 笑 これは冗談抜きで私にとっては大きい要素でした。本体の方は面白いと思いつつ、ダハンも含め全ての行動を自分が決めていたので、負けたら完全に自分のせいな気がして、何となく窮屈と思うこともあったのです。

しかし、本拡張の導入によって「まぁ、精霊さん以外のところでも世界が動いてるしね!負けても仕方ない時もあるよね!」と気軽にプレイできるようになった。これ、購入動機としては決して小さくないんじゃない?と思ってます 笑


◇新種トークンの追加〜島に息づく生き物や自然の要素

また、新種のトークン4種、獣、大自然、疫病、対立もいい味を出してます。これらは比較的プレイヤーに対しポジティブな要素をもたらす存在です。


そもそも精霊島にずっと住んできてこの土地や気候、風土に慣れ親しんでいるダハンと、いきなり島に侵入してきて元来馴染んでいた環境とは全く違う場所に身を置いている侵略者が、同じようにスムーズに島内を移動できたり定住できると考えることには無理があります。疫病が流行って町を作れるほど人が増えなかったり、自然が繁茂しすぎてて思うように遠征できない場合もあるでしょう。

島内に棲息する動物達の習性にも侵略者はダハンほど詳しくはないでしょう。時折襲われることがあっても違和感はありません。もちろん、獣はダハンの味方という訳でもなく、全く別の意思を持って生きている存在です。ですのでダハンも襲われることがある訳です 笑

また、島内に来た侵略者が皆一枚岩で「ダハンを追い落とそう」「精霊の力を失わせよう」と全員考えていたとも思えません。人間にはいろんな価値観があるわけで、ダハン側にも侵略者側にも「相手と融和を図ろう」と思う人たちも(少数派ではあったとしても)居ることも十分考えられます。たまには侵略者側が内部分裂して侵略が停滞することもあるでしょう。

新たな4種のトークンはこうした「普通に考えたらそうじゃない?」という妥当性をシステム的に体現したものです。無論、特に獣のように、一方的にプレイヤー側に利益をもたらすとは限らない存在も含め、これらのトークンは島の生態系や島のありよう、人々の暮らしを本体単独よりも豊かに表現してくれている、と感じました。


◇新要素のプラスとマイナス

本作は従来のスピリット・アイランドファンで未購入の方にとっては、1〜4の要素だけでも十分な購入動機になるでしょう。特に「既存要素の拡大」という意味で大きいのは4の「荒廃カードと不安カードの追加」ですね。本体では不安カードは15枚、荒廃カードは何と2枚しかありませんでした。この部分が不安カードは15枚追加で倍増、荒廃カードは7枚追加で4.5倍と非常にバリエーションが生まれます。

不安カード、荒廃カードの一例。不安時の効果や荒廃の仕方もバリエーションが増える


もちろん大進歩・小進歩、敵対国、シナリオ、精霊の追加も単純に嬉しい増要素です。が、個人的な所感ですが本体で遊んでいた時の不満の一つは「荒廃カードや不安カードにもっと幅が欲しいなぁ」と思っていた点なので、ここが増えるのは純粋に嬉しかったですね。

一方で「今一つハマり切れなかった方」「どっちの拡張を買うべきか決めかねてる方」にお勧めできる要素として、上記したように5・6が「島の生態系をより豊かに、より生き生きと表現するシステム実装」であることを強調しておきたいと思います。

むしろ「スピリット・アイランドは発売前、枝と鉤爪拡張も含めて基本システムと想定していたのではないか」と思うほど、欠かすべきではない必須級の拡張であり、本作を加える事によりスピリット・アイランド基本ボックスがいったん完成する。そう言っても過言ではない、と思っています。


ただし、本拡張にも弱点、マイナス点は存在します。

まず、スピリット・アイランド本体から本作を加える際に追加要素となる5・6は、純粋なルール増加要素であるため、基本セットに十分に習熟していないうちに本作を導入するのは危険だという点。ただし、本体のルールブックにも書いてある通りスピリット・アイランドのルールは複雑なので、処理を間違えることはある!という前提でトライ&エラーを繰り返しながら習熟していけば十分であり、必ず正しく遊ぼうという考えに縛られさえしなければマイナス点にはならないかも。

もう一点は、本拡張のお勧め要素である5・6が「ひび割れた大地拡張」にも含まれているという点。「どちらかだけを購入する」のであれば、もっとたくさんの小進歩や大進歩の追加、精霊10体の追加など、ボリューム感が非常にある大地拡張を購入すれば事足りることに、理論上はなります。

ただし、要素が多いことが必ずプラスになるとは言い切れません。ひび割れた大地拡張は本拡張の4種の新トークンに加え更に「悪地トークン」も追加されています。また追加された精霊10体も使用難度が「超高」の2体を含め、ピーキーな性能のものも少なくないし、使う上で習熟が必要な精霊達もいます。

これに対し本作では精霊は2体ではあるものの、どちらも使用難度は「中」と使いやすく、かつ「葉陰に潜む鋭い牙」は獣トークンに、「禁断の大自然の番人」は大自然トークンに、それぞれ慣れるために使用することを想定しており、増要素を噛み砕くための配慮が盛り込まれています。


勿論、スピリット・アイランド大好きっ子であればひび割れた大地拡張を選択して増要素も噛み砕いた上で新たな精霊10体をぶん回したい!くらいの気概はあるかもしれませんし、もっと言えば本作と大地拡張の両方を購入しても良いくらいだと思います!笑

ただ、特にスピリット・アイランド本体だけでは十分に噛み砕けなかった、今一つハマりきらなかった方には新たなイベント、新たなトークン等を導入しやすい本作の導入検討を提案したい。

5・6の要素を加えるという一点のみを見るなら大地拡張よりも本作の方が価格的に手を出しやすく、増要素が緩やかな本作でも新たな世界を十分体験できます。どちらの拡張を買うか悩んでる方にはココも刺さるのではないかと思ってます。

どんな拡張なのかなーと思って様子を見ていた方の中で本レビューが刺さった方が居れば、ぜひ一緒に「息づく島」を味わいましょう♪


長文乱文にも関わらず最後までレビューをお読みいただいた方、ありがとうございました!皆様の良きボドゲライフに貢献できれば幸いです。


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