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  • 3人~6人
  • 20分前後
  • 12歳~
  • 2021年~

そういうお前はどうなんだ?18toyaさんのレビュー

352名
4名
0
7ヶ月前

言い訳、とぼけ、なすり付け。気心の知れた同士限定、ブラックユーモアたっぷりのパーティーゲーム!

【評価8/10】軽量、プレイ人数3〜6人

本レビュー投稿現在、本作のレビューは10本ほど投稿されているのですが、マダミス(マーダーミステリー)を比較対象としてたり、「マダミスっぽいゲーム」と言う表現がとても多い気がするので、ちょっと違う視点を投じてみたく、個人的な見解に基づいてレビューを投稿してみます^^

誤解しないでいただきたいのは、「マダミスと似ている」と言う意見を否定したい訳ではなく、あくまで「違う視点を提供したい」という観点からの投稿ですので、ご理解いただけると幸いです。


○犯人?そんなものはいない!これから作るんだよ、犯人をな

本作のポイントはまとめてしまうと

・うさんくさい舞台に

・うさんくさい人物しかいない中で

・誰も犯人が分からず、それを調べる方法もないので

・誰かに犯人役を押し付けて自分は逃れちゃえ!!

…というゲームです。身も蓋もないことを言えば「言い訳となすり付けのコミュニケーションゲーム」!この一点に集約します。だって他の人を犯人に仕立て上げられたら、自分は犯人じゃなくなるからね!逆説的に! 笑

各人は性格とキャラクターをランダムに割り当てられますが、そこから生み出されるのはイコパスなメイドとか天才の運転手とか浪費癖のある館の主人の妻とか依存気味な近所の婆さんとか、もう謎というかうさんくさいというか、「絶対犯人じゃないよ、この人だけは信じられるよ!」なんて人は人っ子ひとり現れず、いい意味で誰が犯人でも「ああやっぱりね。あの人ならやると思ってましたw」って言われちゃうような癖ツヨな面々ばかり 笑

まぁ、そういう面々ばかりなので他の人になすりつけるのも簡単ですが、自分がなすられるのも簡単な訳でして 笑

更にはスタート時点で各人配られたヤバさ満点の証拠物品たち、例えば人が入りそうな巨大な冷蔵庫だとか血の付いた車とか明らかに何かを殴った凹んだフライパンとか余計なことを喋りやがるオウムとか、まぁなすられそうな素敵な証拠たちが目の前に4枚もある訳です。

しかしこの証拠、4つのうち2つまでは自分の両隣に1枚ずつ押し付けることができる。これを活用して「この殺人現場だとどう考えてもこれはヤバいだろ、言い逃れできんわ!」という証拠を厳選して可哀想な隣人たちに送りつける訳ですよ。ただし勿論両隣からもヤバい証拠を送り込まれることは言うまでもありませんw

こうして自分の前には、最初に贈られた4枚の証拠のうち両隣に送ったものよりは多少マシな証拠2枚、プラス両隣から1枚ずつ送り込まれた危険な証拠たち、計4枚がある。送り込まれたカードの中身は見ないまま全ての証拠カードをシャッフルし、伏せて自分の前に並べる。もう自分にも、どれが元々持ってたカードで、どれが送り込まれたカードかなんて分かりません。


○「言い訳瞬発力」で短距離走を逃げ切れ!

で、ゲームの進行はお互いに「そう言うお前はどうなんだよ!」と言いながら他プレイヤーに疑いを向け、その人の前に伏せられた証拠カードのうち1枚をオープンする。この証拠をもとに片や「お前が犯人じゃないのか?」と詰め寄り、疑われた側は「イヤイヤこれは全く関係なくてね」と言い訳をして、丁々発止のやり取りになる訳です。

ここで開かれるカードは運が良ければ最初に自分で引いて中身が分かってる証拠かもしれません。その場合は言い訳は比較的容易でしょう。

しかし運が悪いと自分でも知らなかった隣から送り込まれたヤバ証拠がオープンされるかもしれない。自分でも「えっ!?こんなんどうやって言い逃れるのよ!」と息が止まるような証拠かもしれません!!

さぁ、ここからが瞬発勝負!他の人達は自分が犯人にならないためにここぞとばかりに貴方に疑いをかけ、犯人役をなすって来ようとするでしょう!ここで「いやいやこれはね!」とどんなに苦しくても粘るのが吉です!なぜって、自分がどれだけ苦しくても、もっと厳しい人が出てこないとは限らないんですから。もしくは、貴方が!他のプレイヤーを!苦しくしてやるんですよ! 

こうして、各プレイヤーの前の証拠4枚のうち、全員2枚が開かれた状態でお互い詰め寄るセクションは終わり、犯人投票の時間となります。

全員が同時一斉に犯人と疑わしい人を指差します。この指差しが最も多数入った人が「犯人役をなすられるに相応しい人」と言うことになり、警察に連行されてエンディングを迎えます。

勘違いしてはいけません。このゲームに正解はなく、真犯人を「当てる」ゲームではありません。誰もが犯人に吊し上げられる危険性がある中で、自分も呼吸が止まるような証拠をオープンされた瞬間に、「言い訳瞬発力」でみんなの追求を躱せたか?また他の人の致命的な証拠を抜け目なく瞬発的に咎めることができたか?この刹那の閃きを楽しむゲーム、と自分は思ってます 笑

それゆえ、マーダーミステリーのような「自分のハンドアウト(設定集)を読み、ストーリーを聞き、他の人の発言をメモしつつ矛盾がないかを確かめ真相を突き止める」ゲームとは楽しみ方の本質が違っており、非常にスプリント的、刹那的なゲームだと思ってます。それゆえ軽い気持ちで遊べますし、非常にパーティー的だと思ってます。自分の評価の高さはそこ由来ですね^^


○弱点

さて、上記の通り瞬発力勝負で軽く遊べる良パーティーゲームな本作ですが、一方で弱点も内包していると思います。

まず根本的に「なすりつけ合い」と言うゲーム性。これは本作のスリリングな展開を生む長所であると同時に、お互いに「お前が犯人だろ!」と押し付け合いなすり付け合うので、気心の知れた間柄同士でないと危険が伴います。もしかすると不快な気持ちやモヤモヤしたものを生んでしまうかも知れません。

加えて、仮に気心が知れた間柄同士であっても「言い訳瞬発力」「咎め瞬発力」にあまりに差がある場合も、微妙な空気になるかも知れません。遊んでる最中に「力量の差があるかもな」と感じた場合は1,2ゲーム程度でサッと切り上げて次のゲームに移る臨機応変さも必要でしょう。

場合によっては拡張ルールの「刑事」を導入し、瞬発力がある人が刑事役になるのもいいかもしれませんね。刑事は誰の事も咎めず、弁護だけする役割です。ただし、こうした瞬発力の高い人はその能力を活用した危機回避やなすりつけを楽しみたいかもしれないので、ここも難しいところです。

あと、プレイ人数は3人からとなっていますが、出来れば5〜6人で遊びたいところです。誰かが誰かを疑うと言う矢印のパターンが、人数が少ないと露骨だというのもありますし、人数が多い方が単純にヤバい証拠が出てくる可能性が高まるので、犯人を押し付けられそうな人が分散しやすくなりゲーム性がより引き立つと思います。


以上です。誰しもが言い訳をしたり、人のうさんくさいところを咎めたりすることは多かれ少なかれあるでしょうから、潜在的には誰でも遊べるゲームです。

ではあるのですが、瞬間的に危機に瀕するゲーム性、自分でも「これ普通に考えたら俺が犯人なのでは?」と思いつつ口八丁手八丁で逃れ、他の人の些細な要素を拡大解釈しこじつけて犯人に仕立て上げる。まぁブラックなゲームなわけで人は選びますよね w

しかし一方で、ピーキーなゲームほど突き刺さる人にはとことん突き刺さるもの。思考瞬発力を互いにフル回転したい人はぜひお試しください^^

長文を最後までお読みいただきありがとうございました。皆様の良きボドゲライフに貢献できれば何よりです。

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18toya
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