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  • 2人~6人
  • 90分~150分
  • 10歳~
  • 2026年~

グリニヴィル山本 右近さんのレビュー

22名
0名
0
約1時間前

ぼくらの街づくり戦争

街づくりゲームと聞くと、すこし孤独で、けれどもどこか穏やかな響きがある。自分だけの街を少しずつ発展させ、建物を増やし、豊かな夢の都市を作り上げていく…そんなイメージを持つ人も多いだろう。

しかし、本作「Grinivil」が描く街づくりは、その柔らかい見た目とは裏腹に、非常に現実的で、厳しさすらも感じられる。

この街で起こることの殆どは、他のプレイヤーと無関係ではいられない。建物や資源の価値も、得点源の魅力も、すべてがプレイヤーたちの行動によって変化していく。Grinivilの最大の特徴は、このすべてにおいて徹底した相互作用にあると言っていい。

プレイヤーが行う主な仕事は、土地を広げ、道路を敷き、住宅・商業施設・公共施設を建設し、最終的には住宅を売却し住民を増やすことだ。しかし、どの行動にも当然ながらお金や資源が必要になり、それらの確保が非常に難しい。そのため、華やかな都市開発をしているはずが、手番中に頭を悩ませている時間の多くは「今、何を残し、何を手放すべきか」という厳しい選択を迫られる資源管理になってしまう。この苦しさも、Grinivilの魅力を支える大きな要素のひとつだ。

特にお金は終始苦しいが、何と勝利点すらも売買の対象となっていて、序盤は勝利点を切り売りして急場を凌いでいくことになるかもしれない。勝利点のレートはダイスロールで決まるのが少し残念ではあるが、おそらくテストプレイを重ねた結果選ばれた案なのだろう。


走るべきか、歩くべきか、それが問題だ

Grinivilでは、手番ごとにアクションロンデルを移動し、止まった場所のアクションを実行する。

このロンデルの面白いところは、移動できる場所が特に制限されているわけではない点だ。プレイヤーは好きなだけ歩数を進め、一部例外を除き好きなアクションを行うことができる。しかし、自由に進めるからこその悩ましさがそこにはある。

ロンデルを1周するたびに税金やワーカーの給料の支払いが発生するため、欲しいアクションを続けて実行するために大きく進むのか、それとも支払いを抑えるため、あるいは資金を確保するために短い移動で我慢するのか、常に判断を迫られるからだ。

アクションの内容によってはコストとして数歩進む必要が生じることも含めて、変わり続ける戦況を見ながら判断していくこの選択の積み重ねが、Grinivilの手番を悩ましく、そして面白いものにしている。


市場はみんなで作るのだ!

Grinivilで扱う主なリソースは、お金と3種類の建築資材だ。

建築資材の入手方法として最も頻度が高くなるのは市場からの購入だが、ここにもプレイヤー間の影響が強く現れる。供給過多になれば安価になり入手し易くなるが、逆に需要が増したり供給が少なくなれば価格は上昇し、手に入りにくくなっていく。

逆に、資材は売却することも可能だ。資材の売却は資金調達の手段として非常に有効なので、単純に必要なものを買うだけではなく、価格と他プレイヤーの倉庫の中身を勘案しながら「今売るべきか、それとも後の建築のために抱えておくべきか」という判断が常につきまとう。

特に面白いのは、市場の動きそのものがプレイヤーの行動によって変化する点だ。

プレイヤーがロンデルを1周するたび、市場には4つの資源が供給される。しかし、建築には1フロアあたり最低3つの資源が必要になる。各周回ごとに全員が積極的に建築を進めれば資源は不足し、価値は上がっていくだろう。一方で、周回は重ねつつも建築よりも資源の売買によって資金作りを優先するプレイヤーがいれば、資源価格は落ち着いていくかもしれない。

つまり、資源全体の大まかな価値すらもプレイヤーたちがゲームの中で作っていくのだ。

また、倉庫によって所持できる資源量や種類が制限されているため、大量購入して市場を操作するような単純な戦略は簡単ではない。この制限があることで、資源管理はより現実的で悩ましいものになっている。


お前のものはオレのもの?

建物を巡る駆け引き、インタラクションもGrinivilの大きな魅力だ。

建物はひとつあたり2〜3フロアで構成されるが、基本的には1手番で1フロアしか建設できない。そのため、ひとつの建物を複数のプレイヤーが共同で完成させることが多い。そして、この共同建設が単なる協力では終わらない。

住宅は建設に関わっていれば売却する権利を得られる。他のプレイヤーが売却した場合でも、建設に関わったプレイヤーは売却したプレイヤーから15金を受け取ることができる。しかしもちろん可能であれば売却した方が得なので、そこは相手を出し抜くことも重要になる。

商業施設も同様だ。自分が住宅を売るために必要になる場合もあれば、他プレイヤーが必要とする施設を建てることで勝利点を得られる場合もある。こちらは住宅に比べると相乗り建設するメリットが比較的大きいと言えるだろう。

そのため、より多くの種類の商業施設建設に関わることは有利になる。しかし、それは同時に他プレイヤーが住宅を売却しやすい環境を整えることにもなってしまう。

「相手を助けてしまうかもしれない。しかし自分にも利益がある」建設のみならず多くのアクションにつきまとうこの絶妙な距離感が、ゲームに魅惑的なインタラクションを生み出している。

公共施設はゲーム終了時の大きな得点源となる。ただし、最終的な価値はどの住民カードがプレイされたかによって変化するため、建設時点では正確な価値が見えないことも多い。大量得点の可能性を秘めた、夢のある投資先と言えるだろう。


常にプレイヤーによって変化する街

Grinivilでは、得点源も、資源価値も、建物の重要性も固定されていない。プレイヤーたちの行動によって市場が変わり、アクションの価値が変わり、最適な戦略も変化していく。

もちろん、ランダム性が存在しないわけではない。しかし、それは展開を決めてしまうほど強くはなく「こうきたら、どうする?」という問いをプレイヤーに投げかけてくるものに感じられる。

結果として生まれるのは「プレイヤーがランダマイザとして振る舞い運に翻弄される」ゲームではなく「自分たちの選択によって状況が変わっていく」濃密なインタラクションだ。


好みが分かれる部分と嬉しいカスタマイズ性

アクションロンデルを構成するアクションタイルには、ゲーム全体の雰囲気から見ると少し異質に感じられるものもある。露骨な直接攻撃要素や、処理がやや複雑なものも含まれているため、それらすべてを参加者全員が好むとは限らないだろう。

しかし、ロンデルはランダム構成であり、ゲームごとに使用されないタイルも存在する。また、初回プレイ向けの推奨構成もルールブックに用意されている。気に入らない要素を外し、自分たちに合った環境を作れるという点は、いろんな意味で選択肢を増やしてくれるものであり、非常に嬉しいところだ。

ルールブックは全体として読みやすく整理されているが、一部説明不足に感じる部分もあった。その点については、私が作成したインスト用台本を本項に投稿しているので、プレイの助けになれば幸いである。


さいごに

Grinivilは街を発展させるゲームだ。しかしプレイヤーたちが作るのは街を彩る建物だけではない。プレイヤー同士の思惑、経済の流れ、そして刻々と変化する街の空気そのものだ。

誰かの選択がゲーム展開を変え、その流れがまた誰かの選択を変えていく。多人数戦ならではの、そんな生き物のようにダイナミックな街づくりを楽しみたい人には、ぜひ一度体験してほしい作品である。

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山本 右近
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