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  • 1人~4人
  • 45分~120分
  • 14歳~
  • 2022年~

ワイルド:セレンゲティハナさんのレビュー

271名
6名
0
約2年前

【動物の木ゴマが素敵なボードゲーム】

セレンゲティはアフリカのタンザニアにある国立公園。「果てしない平原」というマサイ語の通り広大なサバンナ地帯となっており、様々な野生動物達が生息しています。プレイヤーは映画監督として野生動物達の貴重な生態を撮影し、素敵なドキュメントムービー「ワイルド:セレンゲティ」を完成させよう!というテーマのゲームとなっています。

プレイしたのでレビューします。



【ゲーム内容】


ボード上に動物駒を配置したり、移動させたりしながら、ドキュメントムービー作成に必要なシーンを示す「シーンカード」に示された動物配置条件を達成していくのが基本的な目的となっています。

例えばこのカードなら、ガゼルの周りにキリン、シマウマ、ゾウを配置、かつ、ガゼルが森、キリンが草地にいれば条件達成となり、自分のビデオギャラリーという条件達成カードを並べるエリアにプレイして☆(勝利点)10点を得ることが出来ます(シーンカードを完了すると言います)。


プレイヤーはラウンド開始時に6コイン~7コインを受け取り、そのコインを支払いながらワーカーを動かしてアクションをプレイしていく、ワーカープレイスメントとアクションポイント制を組み合わせたような仕組みとなっています。

アクションは主に、


・動物をボードに配置

・動物を動かしたり、場所を入れ替える

・シーンカードを引く


これらに加えて、自分のターンいつでも条件達成したシーンカードを完了したり、お助けアイテム(食糧トークン、VFXトークン)を使用したりすることが出来ます。


全6ラウンドで出来るだけ効率よくたくさんのシーンカードを完了させて、勝利点を稼いだプレイヤーが勝利となります。

シーンカードにはアイコンが付いているものがあり、このアイコンを集めることで追加の勝利点や食糧トークン、VFXトークンを得ることが出来ます。シーンカードの中にはアイコンを集めてから完了すると勝利点が増加するものもあるので、どのシーンカードをどのような順番で完了するのか、どのアイコンを重点的に集めるのかも重要となっております。

また、選択ルールでスペシャリストカードを導入すると、ゲーム開始時にプレイヤー固有能力を得ることが出来ます。

このあたりはなんとなく「テラフォーミングマーズ」のタグや企業を思わせますね。



【良い点】


とにかく世界観とコンポーネントは満点です。木ゴマは美しく、大量のシーンカード(全168枚!)にはすべて雰囲気を盛り上げるフレイバーテキストが入っており、作り込みは言うことなしですね。

大量のカード、裏表で地形が違うメインボード、固有能力をもたらすスペシャリストカードと、リプレイ性を高める仕組みも十分です。


ルールはそこまで複雑ではなく、自分の手番でプレイするアクションも分かりやすいものばかりなので、プレイ難易度はそこまで高くないです。

動物達を動かし、いかに自分のシーンカードを完了していくのか、パズルを解いているような感覚で楽しめますし、うまく連続して複数のシーンカードを完了できるとコンボのような爽快感があります。




【気になる点】


見た目にステータスを大きく振ったゲームだけあり、ゲーム性で気になる点も多数あります。


まずは盤面の場当たり感。

本来は計画的に動物を配置、移動させていきシーンカードを完了していくゲームなのですが、、他のプレイヤーがボード上の動物をバンバン動かすため、結局自分の手番になって現状から最善手を探すしかない印象です(それがインタラクションであり、面白さな面もありますが)。1手番で1体の動物しか動かせないのももどかしく、3、4体の動物が絡むシーンカードを達成したくて準備をしても、1巡後には滅茶苦茶になっていた、、なんてこともしばしば。プレイ人数が増えるほどコントロール不能な印象となります。


次に処理出来る情報量の多さ。

7×7のボード上に最大36体の動物がひしめき合います。手元には最大8枚までシーンカードを保有することができ、動物達の並び順や地形を考慮しながらシーンカードを効率よく、順番も意識して完了していく必要があります。各プレイヤーが所持している完了前のシーンカードもすべて公開情報であり、他のプレイヤーの狙いも考え、手を読みながらプレイとなると、本当にものすごい思考量が必要になります。そこまで考えて最善手を出すとなると本当に重いですし、かといってそれらを放棄して目の前の状況だけを場当たりで処理すると面白味のないゲームになってしまいます。


そしてプレイ時間の長さ。2人でも2時間近くかかり、かなり冗長な印象を受けました。ラウンド数は4ラウンドくらいで十分でしたね。


シーンカードのアイコンやスペシャリストカードなどの要素もやや難点が。

シーンカードはアイコンを提供するカードと、アイコンを得点化するカードが存在しており、アイコンをいくら並べても全く点数化するカードが来ずに無駄になることがあります。頑張ってカードをたくさん並べたのに、点数は全然伸びてない何てこともままあります。また、スペシャリストカードも要求する条件が全く手元と噛み合わずに空気になることが。

どちらもかなり効果にムラを感じますし、綺麗に条件がはまった人との得点差は絶望的で、長いプレイ時間と合わさって消化試合の苦痛な時間となる可能性が十分に想定されます。


トータルすると、場当たりプレイでファミリーゲームとして終えるか、ものすごい情報量を処理して重いゲームをするか、に分かれる印象で、両方のプレイヤーが同じゲームに混在するとお互いにとってマイナスなゲーム体験になりそうな、そんなゲームだと感じました。



【まとめ】


繰り返しますが、世界観、コンポーネントは最高です。

写真映えしますし、動物駒が並んだボードを見るだけでワクワクします。


しかし、ゲーム性は少しちぐはぐというか、ライトにプレイしたらアイコンなどの要素が煩雑で余計ですし、ヘビーにプレイしたら処理すべき情報量が多すぎてストレスを感じる、そしてどちらにとっても長すぎる、そんな感じのゲームだと感じてしまいました。手元の未作成シーンカード全公開は、駆け引き要素として大切なのかもしれませんが、個人的には負荷が大きかった気がしますね。

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