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  • 1人~4人
  • 60分~2500分
  • 13歳~
  • 2021年~

スリーピング・ゴッズハナさんのレビュー

1346名
19名
0
1年以上前

壮大な世界観とシンプルながらも面白いゲームシステムが魅力の、ゲームブック型ボードゲーム。

1週目ソロでエンディングまで見ました。1回のセッションで3時間×5日の15時間はかかりましたね。すごいボリュームです。現状の感想を、ネタバレに気を付けてレビューします。

スリーピング・ゴッズは、リゴレさんがクラウドファンディングで日本語版を発売したゲームです。海外ではすでに高い評価を受けており、BGGでは、去年のファンディングスタート時点で105位でしたが、今(2023/6)は55位まで順位を上げています。



【ストーリー】

マンティコア号という船が、まるごと嵐で異世界に飛ばされます。船に乗っていた9人が協力して神々が眠る異世界から元の世界に帰るために「トーテム」という神々の遺物をたくさん集める、、、

という内容です。

文章に起こすとわりとファンタジーで良くある設定ですが、実際にプレイすると本当にワクワクします。広大なオープンワールドを手探りで探索し、お使いのようなクエストをこなしていくと、至るところで神々の気配が感じられます。いくつもの場所を周り情報を集め、大きなクエストを達成するとトーテムを手に入れることができます。

ストーリーの没入感が素晴らしく、まるで映画や海外ドラマを観ている気分になります。オープンワールドの手探り感が楽しく、先が気になって仕方がありません。ストーリーは間違いなく面白いです。9人のキャラクターも様々なイベントのテキストを読んでいくと少しずつ個性が出て愛着が湧いてきますね。日本刀を持った日本人女性も出てきます。

エンディングも複数あり、とても2、3週では遊び尽くせないボリュームです。


【コンポーネント】

かなり豪華で、ゲームの雰囲気を盛り上げてくれます。

本タイプのマップイラストは美しく、シナリオブックも見易いです。訳も違和感がなく、これだけのテキスト量を訳されたリゴレさんはすごいですね。大量のカード類(拡張込みで700枚以上!)もエンボス加工でしっかりとしており、イベントカードを入れる宝箱のようなボックスも素敵です。マンティコア号のフィギュアも造形が良いです。

キャラクターのイラストは少しクセがありますが、慣れると気にならなくなりました。

コンポーネントではないですが専用のサントラまであり、プレイ中に流すとさらに没入感が増す気がします。


【ゲーム性】

ストーリーが凄まじいボリュームな分、ゲーム自体はかなりシンプル。

9人のキャラクターの内、船長以外をプレイヤーに振り分けて(4人プレイなら2キャラずつ、ソロなら8人全員を担当)、全員で協力してクリアを目指します。

進行は毎ターン、

①船で1アクション

②イベントを処理

③船の外で2アクション

を繰り返すだけ。

「船でアクション」は、「医務室」なら回復、「甲板」なら釣りで食料調達、みたいな感じ。

「イベントの処理」は54枚のイベントカードを3デッキ各18枚に分け、毎ターン1枚ずつ処理します。1つのデッキが終わると中間のイベントが発生して次のデッキへ。3デッキ終わった57ターン目に最後のイベントが発生してゲームが強制的に終了となります。無制限に探索できるわけではありません。

「船の外でアクション」は、船を移動させる「航海」、マップを調べてクエストが起こる「探索」、買い物ができる「市場」、回復やキャラクターのレベルを上げられる「港」の4種類を2アクションプレイ。この探索で地図の色々な場所を調べると、分厚いゲームブックを開いてストーリーを読み上げ、クエストが発生します。時にはキャラの能力アイコン(腕力、知識、狡猾、感知、手技)を使用してクリアしていく試練や、武器を使用して敵を倒す戦闘などが発生し、クリアすることで報酬が得られたり次の探索のヒントが得られたりします。

戦闘はこのゲームの良いところ。シンプルながらもかなり面白いです。危険な部位を狙って攻撃したり、並んだ隣の敵にダメージの一部を分散したり、キャラクター同士の連携があったりと、相当考えさせられますね。初期状態だと弱そうなモンスター相手でも瀕死に追い込まれる難易度ですが、レベルが上がって装備や道具が整えば危険な大物でも倒せるバランスになっていて、しっかり成長を実感できると思います。


【全体の感想】

圧倒的ボリュームの壮大なストーリーと、分かりやすくしっかりと成長が実感できるゲームシステムが秀逸です。リプレイ前提のゲームで、プレイで得た情報を書き込み用のマップに書き込んでいくことで2周目以降確実に効率良く周ることができるようになっています。入手したトーテムの種類数で2周目以降にアンロックされる要素もあり、リプレイ意欲を高めてくれています。逆に1周目では、いきなり勝ち目がない敵と戦闘になったり、選択を間違えてアイテムが入手できなかったりと、様々な初見殺しに苦しめられる理不尽さがあります。トライ&エラーを繰り返す「死にゲー」的なゲームですね。

1回のセッションで10~20時間かかるので、週末に仲間で集まって、、ではなかなか終わりません。少人数で集中して一気に終わらせる方が没入できて良いと思います。一応、途中でメンバーが抜けたりしても大丈夫なようにルールが整備されていますが、、、

プレイ人数によってかなり難易度が変わり、1人だとやや制限が緩すぎ、4人だとハードな気がしました。理想は多分2人です。また、セッション途中で中断、再開できますが、片付けと再セットアップがすさまじく面倒なので許されるなら終わるまで出しっぱなし、みたいなのがおすすめです。場所も相当必要です。

ストーリーがメインのレガシー的ゲームですが、不可逆要素(コンポーネントにシールを貼ったり等)はないので、リセットすれば何度でもゼロからプレイできるのは個人的に良いところ。

難点として特定の道具が少し強すぎる気がします。組み合わせでバランスが壊れると感じる物もあり、取れるかどうかでかなり難易度が変わります。あと、道具が揃った後半は船のアクションをほぼ「船橋」一ヶ所しか使わなかったのも少し気になりました。

あと、ゲームブック特有の難点として、選択先の内容を先行して読まないようにする自制心が求められます(私だけかもですが)。


ゲームブックによる10時間級の協力ゲームというだけで間違いなく人を選びますが、好きな人には間違いなく刺さる超大作です。拡張も同時に2種類出ているので、まだまだ当分遊べそうです。

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