現代版「クルー」。クルー同様、殺人事件の犯人捜しが目的です。
クルーが発売された頃には出来なかったことですが、「犯人を単純な消去法で探させるのではなく、複数の証言の組み合わせから導き出させる」為に、「真相を決めた上で、ゲームに使う70枚の証言カードをカードプールから選び出す」という「シナリオの生成」を、専用アプリに担当させることで可能としています。
アプリを使わなくても、ゲーム付属でシナリオはついてきますが。アプリを使うと、犯人の告発で間違っても「違います」と回答されるだけで、ゲームを続行できるところが便利です。
ゲームに使う70枚のカードには、「死体には黒色粉末は付着していない」とか「復讐の動機は事件に関係ない」などの手がかりが書かれており、プレイヤーは手がかりを組み合わせて、犯人・動機・凶器・共犯者がいるか/いるなら誰か、の4つを推理しなければなりません。
動機・凶器については、カードに書かれている「xxではない」という手がかりを組み合わせて、消去法で正解を見つける、というのはクルーと似ています。
しかし、犯人と共犯者については「証言が矛盾していること」がキーとなります。
低難易度では、犯人だけが嘘の証言をする為、「事件発生時にいたという部屋の証言が、他の人の証言と食い違う」と比較的分かりやすい推理で犯人を割り出せるのですが。
高難易度では、共犯者も嘘の証言をする為、「動機があり、凶器を拾って犯行現場の書斎まで辿り着ける、証言に矛盾のある容疑者こそが犯人。証言に矛盾のあるだけの容疑者は共犯者」と話が一気にややこしくなります。
ゲームの手順としては、70枚のカードのうち6枚ずつが各プレイヤーに配られ、手番が来たら「アンジェリカ、キッチン」のいうようにキーワードを示して、情報の提供を他プレイヤーに求めます。
手番以外の人は、求められたキーワードに関係する情報カードを提示して、情報交換に応じると表明できます。カードには情報の重要度によって1~3の値が定められており、手番の人も同値以上の情報カードを提示すれば情報交換が成立します。
とはいえ、4人でプレイしていても、全員で24枚しか手札が配布されておらず、残り46枚は山札か捨て札の中。情報提供を求めても「持ってない」「1点だけ」「持ってない。お前、キーワード選びのセンスがない」ということはありえます。(センスがないと言われても、他人の手札を推測するにも限界があるしなぁ)
逆に「カード4枚で10点」「不採用」「これ、かなり真実に近づける組み合わせだよ?!」「手札のカードでは10点も払えない」ということもあります。
ラウンドの終わりに3枚になるまで手札を捨てて、6枚になるまで山札から引き、情報交換のフェイズを再開する、というのを繰り返します。
確認したカードが、70枚の半数を超える頃には、告発の準備も整っていきます。70枚のカードは、組み合わせによって情報が重複していることになるカードや、犯人追及の決め手にならないカードも含まれている為、全部のカードを見る必要がないのも、面白いところです。
同ラウンドに、ほぼ全プレイヤーが告発できるようになるのも難易度的によく出来ていると思います。とはいえ、完全に真実が1つに絞られた人もいれば、凶器が二者択一とか、動機が二者択一とか、絞り切れない人もちらほらいるものてすが。
実はこのゲーム、ゲームが終了後が一番楽しいのかもしれません。
「なんで、シャベルが凶器じゃないと、みんな知ってるの?」「撲殺じゃない、って情報あったよね?」「死体に土の匂いはしない、とも言われてたよね?」「犯人は物置に行くルートが残ってないだろ?」「そんな情報、何一つ知らないんだけど!」とか。
「犯人と目星をつけていた容疑者の動機が、3つとも潰れた時の絶望感が凄かった」とか。
「これ、犯人あってれば、凶器とかどうでもよくね?」「散弾銃の傷を見て、シャベルが凶器と言い張る探偵は廃業した方がいい」とか。
マーダーミステリー同様、感想戦が物凄く盛り上がります。
推理ゲームというよりは、論理ゲームの面もありますが、カードを使うことで運が絡むところも大いにある、という好ゲームと感じました。