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  • 2人~4人
  • 45分~75分
  • 12歳~
  • 2017年~

ガンジスの藩王Sato39さんのレビュー

720名
12名
0
3年弱前

《神の手のダイスに翻弄されつつ、マハラジャを目指す》

「元日にはガンジス」という一部のボードゲーマーがニヤリとしてしまう駄洒落により新年早々のボードゲーム会でプレイして、とても面白かったのでレビューします。ちなみにまた帰宅後にポチりましたw


【色鮮やかなメインボードに所狭しと並べられたアクションエリア】

色彩豊かに描かれたメインボードは、少しコミカルでとても魅力的だと感じます。ボード中央にはガンジス川が流れており、左には宮殿、中央上には採石場、その下に市場、港があり、アクションスペースとなっています。またボード右側には各建物(上から寺院、宮殿、砦、製粉所)の建設技術レベルが表されています。ボード周囲はお金トラックと名声トラックが取り囲み、ボード上に4色の木製駒を並べていくとさらに色鮮やかで派手になっていくのは楽しいですね。


【ゲーム概要】

時代は16世紀のインド、ムガール帝国でプレイヤーは担当する州の藩王(ラージャ)となり、お店を建て市場でお金を稼ぎつつ州を発展させ、寺院や宮殿、砦、製粉所などの建物を建設することで名声を獲得して1番の大藩主(マハラジャ)を目指します。


【勝利には富と名誉の両方が必要!】

ゲームの終了条件が一風変わっています。ボード周囲には時計回りの名声トラックと、反時計回りのお金トラックが平行に配置されており、プレイヤーの誰かの名声マーカーお金マーカー交差したときにゲーム終了フラグが立ち、全員が同じ手番数を行うとゲーム終了となります。そして2つのマーカーの交差した差が最も大きいプレイヤーの勝利となります。

お金を重視するお金戦略にすると進行は早いのですが、アクションを行う際にお金を使用することにより後退もします。また、名声を重視する名声点戦略にすると後退はしないものの、名声トラックの進行は遅いです。このため進行の早いお金戦略にするのか、または後退しない名声点戦略にするのか、はたまた両方を満遍なく獲得していく戦略にするのか、というプレイヤーの好みが反映されて面白いですね。


【システムはワーカープレイスメント+ダイス資源管理+箱庭タイル配置】

<ワーカープレイスメント>

初期ワーカー2人のワーカープレイスメントがメインシステムですが、アクションの条件にダイスが絡んでいてアクション選択が非常に悩ましいです。アクションエリアは4つに分かれています。

宮殿:ダイスの獲得や様々な恩恵を受ける。

採石場:建設アクションを行い、個人ボードに州タイルを置く。

市場:建設された店により、お金を獲得する。

:船を進めて川の収益を得る。

アクションスペースがとても多いように感じますが、お金戦略のプレイヤーには市場が非常に重要なアクションスペースになりますし、名声点戦略のプレイヤーには採石場がとても重要になります。このため、4人プレイでは特にワカプレらしい先取りや妨害の思惑が交錯し、アクションスペースの取り合いがとても熱いです。

ちなみに名声トラック、お金トラック、川トラックを進めていくとワーカーが最大4人まで増えますが、5人目は増えないため、どのトラックを優先して上げていくのか考えるのも楽しいですね。


<箱庭タイル配置>

採石場で建設アクションを行うとダイスを支払って州タイルを獲得でき、州ボード(個人ボード)中央上の邸宅が繋がるようにタイルを配置していきます。この時、ボード端に道が繋がるように配置できるとボーナスがもらえ、邸宅から遠いほどボーナスも強力になっていきます。特に下段両端に道が繋がると、条件により勝敗を分けるほどの高得点が得られるため勝利には欠かせないでしょう。

またタイルには建物お店が描かれており、お店があれば市場アクションを行なった際にお金を稼ぐことが出来ますし、建物は建設技術レベルの高さにより名声点を獲得することが出来ます。マイナス要素はなく、自分の州が徐々に拡大していく様子はとても楽しいですね。また他プレイヤーの州ボードを見ることにより、どういう戦略を狙っているか予測することができ、自分の戦略と被っていないか、ブロックするにはどうすれば良いのか、などを考える判断材料となるでしょう。そこに駆け引きが生まれ、熱くなってきます。


【ダイス目はカーリー女神のみぞ知る】

ダイスは資源そのものとなっているため、この作品の肝はダイス管理にあると言っても過言ではありません。10本の手を持ったカーリー像がダイスを一つずつ管理されており、まさに神の手によるダイスに終始翻弄され一喜一憂しますが、目の小さいダイスでもアクションスペースがちゃんと用意されているため無駄になることはなく、また州タイル獲得時には複数のダイスを組み合わせることが出来るため、その目に合わせた戦略を思考することがとても面白くできています。

ちなみにカーリーはヒンドゥー教の女神であり、三大神シヴァの妻パールヴァティが姿を変えたものとされています。なんでもパールヴァティは通常戦う際にはドゥルガー(戦いと勝利の神)という人格に変わるのですが、悪魔と戦うときはさらに強いカーリー(殺戮と闘争の神)に変わるそうです。悪魔を倒すほど恐ろしい女神ですが、ご利益がすごいとのことで非常に人気がある女神です。ダイスにもご利益がありそうですね。


【カルマ】

もう一つ、この作品で面白い要素にカルマがあります。カルマとは業などと訳されますが、行為そのものを表す言葉で、良い行いには良い結果が返ってくること、悪い行いには悪い結果が返ってくることを表します。いわゆる因果応報ということですね。

ゲーム中では、ダイスを支払う際にカルマを使用するとダイスの目をひっくり返すことができます。つまり、1を6にしたり、2を5にひっくり返すことができ、思わぬところで苦しい状況を打破することが出来ます。そのためには普段からカルマを高く維持することが大事なんですね。人生を感じます(笑)。


<良いところ>

  • インドのムガール帝国、ヒンドゥー教のテーマがとても感じられる色彩豊かなアートワーク
  • 珍しい終了トリガーによる多彩な戦略と駆け引き。
  • ダイスの目に一喜一憂しつつも、それを何とかやりくりするダイス資源管理ワカプレ
  • タイル配置により徐々に発展する箱庭の州ボードが楽しい。


<悪いところ>

  • やや盤面がゴチャゴチャしているので、難しそうに見える。
  • 選択肢が多く、ダイスのやりくりもあるのでダウンタイムはやや長め。


<説明書&対象>

説明書:12ページ。インスト:30分、プレイ時間:90分(4人プレイ)
BGG weight: 2.89(2022/1/17現在)。重めの中量級

おすすめの対象は、ダイスの目に一喜一憂するのが好きなゲーマーでしょうか。マルコポーロシリーズが好きな方は、特に気に入るのではないでしょうか。私は大好きな作品でした。ただ、ダウンタイムはあるので長考する方がいるときは最初に確認したほうが良いと思います。

※今回のレビューにあたり説明書より画像を引用させていただきました。問題があれば削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです。


【感想】

新年早々から素晴らしい作品に出会えて大満足でした。今回、アドバンスルールで最初に獲得した収益タイルが、「ガンジス川で舟駒が進んだ3マスごとに名声点を獲得できる」というものだったので舟駒を進める方針としたのですが、これが最後の最後で大量名声点を生み勝利することが出来ました。最初に方針が立ちやすいので、収益タイルのアドバンスルールはとても良かったです。

ゲーム終了時の盤面。最後の手番での攻防が熱くかなりの接戦となった。

序盤は比較的ゆっくりと進みますが、中盤以降は獲得できるお金、名声点が大きくなり、拡大感が気持ち良いですし、またワーカーが増えるとダイスの消費が激しくなりカツカツなダイス数と、思うようにならないダイス目の管理が苦しく、楽しかったです。

個人ボードタイル配置による自分だけの箱庭感と、市場や採石場スペースの取り合い、駆け引きが絶妙なバランスで混在しており、とても素晴らしい作品と感じました。

「元日にはガンジス」お正月の定番になりそうですw

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Sato39
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