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  • 2人~6人
  • 15分~30分
  • 10歳~
  • 2023年~

ファラウェイ18toyaさんのレビュー

85名
7名
0
約12時間前

【レビュー】最後に置いたカードから効果を発動し始める!?軽中量の皮を被ったジレンマたっぷりのゲーム!

【評価8.5/10】

タブロービルド✖️ハンドマネジメント✖️手順競り

2024年のレビューに本作を挙げないのは嘘になる。というくらい、個人的にはブッ刺さった作品だ。

本作はフランス年間ゲーム賞「アスドール賞2024」の中量級部門を受賞。作者は「ピクシーズ」「ラウハ」など最近面白い軽中量〜中量級クラスをデザインしているヨハネス=グーピー氏と「ドラフトサウルス」「トレック12」などを共作しているコランタン=レブラット氏。

本作で出来ることは、手札からたった8枚のカードをプレイするだけ。なのに、とても悩ましいし上手くいかないし、だけど次はもっと上手くやれるんじゃないか…と何度も遊びたくなるゲームだ。

他の方も既に素晴らしいレビューを投稿してくれているので、本レビューでは本作の要点、醍醐味をかいつまんでご紹介したいと思う。


本作の醍醐味

本作はたった8回、3枚の手札から1枚を選んでプレイするだけなのに悩ましさに脳が爆発しそうになる。

その理由は以下の通りだ。


後に出したカードから効果を発動する得点システム

本作は8枚の地域カードをプレイした後、地域カードを全て裏向きにし、最後に出したカードから捲り始めて、


最初に出したカードに戻ってくる。裏向きという事はカードが見えないので、そのカードにいかなるアイコンがあっても参照する事はできない。まずは、この事をしっかりと頭にとどめて欲しい。これが、脳がバグる大きな原因となるからだ。

裏向きカードのアイコン等は見えないので参照できない。この状態を予想してカードをプレイする必要がある


高得点のものほど厳しい発動条件

カードの得点には5つの種類がある。

そもそも得点がないもの


発動条件不要で固定の得点が取れるもの


発動条件不要で、アイコンの個数やプレイしたカードの枚数に応じて得点を取れるもの


発動条件を満たせば大きめの固定得点を取れるもの
(赤のマーカー囲みが、得点能力を発動できる条件)


発動条件を満たせば、アイコンの個数やプレイしたカードの枚数に応じて大きめの得点を取れるもの(赤のマーカー囲みが、得点能力を発動できる条件)


以上で見たように、大きい得点を狙えるものは発動条件がなかなか厳しくなっている。発動条件を満たすためには、各カードの右上のアイコンを、発動条件に応じて必要な個数揃える必要がある。


さて、後に出したカードから捲っていく点と、カードの発動条件を組み合わせて考えてみよう。例えば、自分は最後の3枚を「21→1→4」と出したとする。

発動は後から出した順なので4→1→21と捲っていく。


4、1には得点も発動条件もない。21は「鉱物(ヒトダマみたいなやつ)」が2つあると発動できて8点を取るカードだ。これが、4、1が捲られたおかげで

発動して8点が取れる。と、本作の得点の仕組みはこのような感じだ。


ただし、発動条件だけを満たしても…

得点の方に条件がある場合、そちらも満たす必要がある。発動条件にばかり気を取られると低得点にとどまったり、最悪0点の恐れもある。写真の場合も、発動条件の動物と植物は満たしたものの、得点の条件となっている地図が無いので0点だ。


これらの要素を考え合わせると「じゃあ得点条件が厳しいカードをどんどん先出して行って、後から条件を付けていけば良いんでしょ」と思うでしょう?

どっこい、そうは問屋が卸さない。


プレイしたカードの数字順で手番を実行

なぜ問屋が卸さないのかと言うと、毎ラウンド、ディスプレイカード(陳列されたカード)の獲得順番に、カードの「探検時間の大小」が関わってくるから。

みんながカードを取っていく共通ディスプレイは毎ラウンド「人数+1枚」が陳列されるが


このカードの取り順に、自分が出したカードの左上の数字「探検時間」が関わってくる(赤い囲み)。

この数字は1〜68まであり、みんながカードを伏せて出す。全員が出したら一斉にカードをオープンして、探検時間が小さい(左上の数字が小さい)カードを出した人から順番に、ディスプレイの中の良いと思うカードを取っていく

発動条件が厳しいカードは探検時間が大きいことが多いため、手番順は後になりがちだ。となると、探検時間が大きなカードばかり出していると余り物しか貰えない。何度も後手を引かされると、発動条件に必要なアイコンを揃えられるか、暗雲が立ち込め始める。


写真の例で言うと、Bさんは66のカードの発動条件が厳しいと見て「流石に先に出しておかないと鉱物4つなんて満たせないぞ…」とプレイした。しかし、Aさんは3、Cさんは33と、2人ともBさんよりも探検時間が小さいカードを出したので、Bさんはディスプレイからカードを取る順が一番最後になってしまう。

この写真だとAさん→Cさん→Bさんの順にディスプレイのカードを取る。さて、Bさんには良いカードが残ってるだろうか。

このように、自分の都合だけで迂闊に大きい数字を出すと獲得カードが目も当てられない惨状になる可能性がある。欲しいカードがあるなら「手番順はここまでに潜り込みたい!」等を考えてプレイするカードを選択する必要があるのだ。


更に手番順の問題だけではなく、もう一つ、探検時間があまり大きくないカードから出したくなる理由がある。それは聖地カードのためだ。


聖地…出したいけど、出したいけど…どうするのが良いの!?

例えば、下の写真のように「33→38」と探検時間が昇順に(後出しした数字の方が大きく)なるように地域カードを出せた時、プレイヤーは聖地デッキから


カードを取って


1ラウンドに1枚までプレイする事が出来る。聖地カードにもアイコンが付いているものがあって、カードの発動条件の助けになる。偉い!有り難い!


しかもこの聖地。地域カードを8枚プレイしたら地域カードは全て裏返されるが聖地カードは裏返らない!と、言う事は……?


何と、最後の方に出した地域カードだって、聖地カードのおかげで発動条件を満たせる場合が出てくるのだ。

下の写真の場合、まだ裏返ったままの地域カードに鉱物がいくつあっても条件を満たす助けにはならない。しかし聖地は最初から最後まで表向きなので発動条件を満たすことができた。おまけに得点条件の動物まで聖地カードに居るので、得点も伸びるオマケ付きだ。


ちなみに上の方の写真で、聖地カードを2枚取って、そのうち1枚を選択していたが…


初期状態だと本当は聖地カードはデッキから1枚引いて1枚出すだけ。このままだと運ゲー、引きゲーでしかない。しかし、地図のアイコンがついたカードをプレイしていれば

地域カードを昇順にプレイして聖地カードを引く時、地図アイコン1つごとに1枚多く引ける。ラウンドごとにプレイできる聖地の枚数は相変わらず1枚のままだが、複数の聖地カードの中から都合の良いものを選べると発動条件を満たしやすくなるのは明白だ。できれば地図付きの地域カードを何枚かプレイしておきたくなる。


このように、聖地カードは便利なため出来るだけプレイしたい。そのため、地域カードを常に昇順に出したいのはヤマヤマだ。だがディスプレイにどうしても引きたいカードがあって探検時間が小さいカードを出したくなった時などに、昇順を崩してしまうこともあるだろう。

地域カードをあくまで昇順に出して聖地カードをプレイする方が良いのか、いったん小さな地域カードを出してディスプレイの取り順を優先した方が良いのか。これは大いなる悩みだ。


以上で見て来たように、本作で遊ぶプレイヤーは必ずと言って良いほど「発動が厳しめの、探検時間が大きい地域カードを先に出したい」という欲望と「小さい地域カードを出して有利なディスプレイカードを取りたい」「昇順で地域カードを出していって聖地の力を借りたい」という、矛盾した欲望の板挟みになる。このジレンマが非常に面白く、本作の醍醐味と言えるだろう

正解は恐らくない。あなたが、あなた自身の選択を正解にしていこう。


弱点

本作は「理想解」というものが恐らく無く、手札次第、ディスプレイ次第、聖地次第という「流れを掴んで点数を伸ばす」動きが必要となる。つまり、ベストではなく、状況を見てその都度ベターな動きを選択していくプレイが求められる。こうした遊び感は、なかなかに玄人向けなのではないかと思う。

本作を「たった8枚のカードをプレイするだけの、簡単なゲームだよ」と紹介することは容易い。しかし本作は1プレイに要する時間は短いものの、濃縮されたゲーマー的思考が必要とされるゲームであると筆者は考える。アスドール賞で本作が「中量級」に分類されたのもゆえなき事ではない。


以上から、本作は一見手軽でポップなゲームではあるものの、本質は「これから中量級に進もうかどうしようか」と考えている人の試金石になりうる作品だと筆者は考える。

本作は小さな箱の中にボードゲーマーが喜ぶジレンマを詰め込んだ宝箱のようなゲームだが、逆に言えば「誰でも遊べる系のゲームとは言い難い」点も理解しておいた方が良いだろう。


まとめ

本作には既に素敵なレビューがたくさん付いているため私はだいぶん掻い摘んでお話ししたが、

・たった8枚、手札からカードを出していくだけと言うシンプルな流れの中に、強烈なジレンマがある

ことはご理解いただけたものと思う。

・カード8枚をプレイしたら終了という流れのシンプルさゆえ、一見初心者でも遊べそうに感じてしまうが

・実態は小さな箱、ミニマルなゲーム展開の中に、ゲーマーが大好きなジレンマを詰め込んだ、「中量級へのステップ」ともなりうる作品である

重ゲーマーは、ゲームの短さには物足りなさを感じる部分もあるだろうが、「所詮軽中量級だろ?」などと侮ると痛い目を見るだろう。本作の、濃縮されたジレンマを是非一度試してみていただきたい。


以上です!本作をレビューせずに2024年は終われまい!と急遽本レビューを執筆させていただきました!かなり要点に絞った記事になりましたので、他の方のレビューと合わせて読んでいただければ幸いです^ ^

最後までお読みいただきありがとうございました!皆様の良きボドゲライフに貢献できましたら何よりです♪

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