- 1人~4人
- 30分~120分
- 12歳~
- 2020年~
プラハ 王国の首都maroさんのレビュー
ボードゲームギークではレート8.3(1900vote)、先日のゲムマでも海外重量級の目玉の一つであった作品。
ラストウィル、パルサー2849、アンダーウォーターシティーズなどで著名なvladimir suchy氏の2020年の新作です。
ゲームの概要は数寄ゲームズのブログに詳しいので、ここでは2回ほどプレイした感想を書きます。
やや軽めの重量級でアクションを共有のホイールから選択します。アクションはリソース獲得/産生強化、個人のアクションボード強化、市壁や建物、王の道の建設、と極めてオーソドックス。
勝利点もメインボード上に配置した建物タイル、アクションボードに隣接した市壁タイル、ハンガーウォールや大聖堂といった特殊建築物、技術トラックなどや、ゲーム中に獲得したトークン類と、ポイントサラダですがこれも王道的な体系となっています。
近年のユーロゲームによくあるように、アクションを選んだあとはいくつかのシークエンスが続いてこれまでの行動で強化された内容が加味される、というように最初の選択肢は狭いがそこから網の目のように拡がります。
たとえば市壁タイルのアクションボード隣への設置により報酬獲得、ハンガーウォールへのアクセス、隣接タイルとのコンボアクションなどが起動します。その後ハンガーウォール、タイルコンボの処理へと続きます。
王の道の建設からはチャールズ橋のタイル獲得、その効果でハンガーウォールや大聖堂、技術トラックへのアクセスに続いたりします。
ゲーム中に悩まされるのは、まずアクションの強化を行うのか、リソース獲得や建造物に手を付けるのかです。構造自体は(BGGのウェイト4点台のゲームと比べると)そこまで複雑ではないため、勝利点への見通しは良いです。ただし、あるアクションの結果が他のアクションの効果(あるいは勝利点ボーナスなど含む)に影響したり、最終得点計算に絡んだりというのが多いため、計画は重要です。
計画といえば、やはりある程度いずれかに特化するのが本流と思えますが、共有のアクションホイールにおいて、しばらくの間選択されないアクションは勝利点ボーナスが付くエリアに流れていくような構造となっています。アクション選択で直接勝利点ボーナスが付くなんてなかなかないことです!そして同じアクションを繰り返し行っても、得点は伸びない軽い循環的な構造となっています。
共有のホイールというとツォルキンがまず頭に浮かびますが、これと同様、他者と戦略上のバッティングをしない方が有利は有利でしょう。更にいうと戦術的に勝利点ボーナスを狙いに行くことも必要となるかもしれません。
非常によくデザインされた典型的な近代ユーロゲームですが、ここまで書いて、目新しい要素というのは目立ちません。それだけ真っ向から勝負と言えるわけですが、この手のゲームをいくつもプレイしている人からみると、少々新鮮味に欠けるかもしれません。アクション間の相互作用もあるにはあるのですが、ここが妙に複雑で枝葉末節感が強いです。個人的な嗜好ですが、アクションのシークエンスがもう少しシンプルで、その代わりアクション間およびプレイヤー間のインタラクションがある方が好みです。2-3回ならいざしらず、10回、20回というリプレイ性を求めたとき、自分としてはそのような意見となります。もう一つ付け加えると、「このゲームでなければならない何か」には欠けていると感じます。
目的とした実行アクションから伸びてゆく多層の副次的アクションやボーナスに焦点を当てたものとしてルチアーニ(ニュートンやバラージなど)やラセルダ(リズボアやオンマーズなど)が思い出されます。西ブランクの聖騎士などもこのタイプでしょうか。いずれも濃厚なねっとりとしたプレイ感を満喫できるゲームです。プラハはラセルダよりは見通しが立てやすいですが、特定の状況で起動するボーナスが多く、誘発忘れには注意が必要でこのあたりが細かい印象を与えるといえます。ラセルダの作品で枝葉末節感をあまり感じないのは、テーマ性の素晴らしさと、あそこまで行くとあきらめもつくからということもあるかと思います(というか超複雑なゲームを遊んでいるという自己満足感からか)。
これから中~重量級の現代的なゲームをプレイしたい方には、一見複雑そうですが進行自体は意外とシンプルで、何かすれば点が取れる(もちろん高得点を狙うには考えなければなりませんが)構造なのでむしろおすすめできるかもしれません。
BGGでも8割強の人たちが8-10のレートを付けています。このオーソドックスさでこの点数というのは驚きです。suchyファンによる得票も含まれてるのでしょうが、今後どこまで順位を上げるのか注目です。 基本的に言語依存はありませんが、4月末には日本語版の一般販売も予定されているためどのような意見がでてくるかも楽しみです。
- 185興味あり
- 424経験あり
- 98お気に入り
- 307持ってる
maroさんの投稿
- 戦略やコツパックスパミール(第二版)ボドログさんのブログでパックスパミールについての非常によくまとめられた...1年以上前の投稿
- レビュークリニック:デラックス・エディションBGGでは4をわずかに超えるウェイトがつけられているが、それよりもかな...3年弱前の投稿
- レビューパックス・ポルフィリアーナ発売からもう10年近くたつが高い人気を誇るカードゲームで、2019年に...約3年前の投稿
- レビューパックス・ルネサンス 第2版2016年のパックス・ルネサンスの第2版が2020年に発売された。パッ...約3年前の投稿
- リプレイパックスパミール(第二版)今回は、ワハーンの処理を詳しめに記述しました。ロシアをR、イギリスをE...約3年前の投稿
- リプレイパックスパミール(第二版)パックスパミールのソロプレイ。ラウンド1開始早々パンジャブ、ペルシアの...約3年前の投稿
- レビューケメト2012年発売の、古代を舞台としたバトルマルチ。最近のものではブラッド...3年以上前の投稿
- レビューウォー・オブ・ザ・リング(第二版)若干複雑なルール、長いプレイ時間、ウォーゲーム寄りのシステム、マニア向...3年以上前の投稿
- レビューロンドン(第二版)そこそこ言語依存のあるワレスの中量級。2021年6月に日本語版が発売と...3年以上前の投稿
- レビュージェンティス様々な効果を持つカードを集め、勝利点を獲得するのが主眼であるカード収集...3年以上前の投稿
- レビューライジング・サン多くのレビューではフィギュアがすごいが内容も良い、思ったよりルールが少...3年以上前の投稿
- ルール/インストマハラジャ:新版新旧マハラジャの相違点をまとめました。BGGのフォーラムに以前アップさ...3年以上前の投稿
会員の新しい投稿
- レビューエバーデール:新緑の汽笛(拡張)星6ボドゲ300種を所有し、軽〜中量級を中心にプレイするゲーマーの感想...約7時間前by おとん
- レビュープリズム・ピクト六角形のマスの描かれたボードにピースと配置して行く、タイル配置ゲーム。...約7時間前by みなりん
- レビュースカイチーム世界に浸れる感 ☆☆☆☆★楽しさ ☆☆☆☆★アートワーク ☆☆☆★★飛...約7時間前by DKnewyork
- ルール/インストテラフォーミング・マーズ:プレリュード2(拡張)1:ゲーム名:テラフォーミング・マーズ:プレリュード22:プレイに必要...約8時間前by Hide
- レビューメソス10ラウンドのオープンドラフトゲームで、上下にあるカードを1〜2枚獲得...約9時間前by うらまこ
- レビューワンダーランズ・ウォー個人的総合評価【82点】 ...約10時間前by has
- レビュークイズすごろく かぶーる5人と4人でプレイしました。クイズゲームですが、プレイしながら笑いが止...約11時間前by 坂の上のレンタルスペース
- レビューハーモニーズ最近のボードゲームの中で1番ハマったゲームです。「もう1回やろう」が止...約11時間前by 坂の上のレンタルスペース
- レビューゲイツレビュー 評価:7/10ミント缶に入ったタワーディフェンス&デッキ構...約13時間前by ミーマ
- レビューモンスター大戦新ゲームシステム搭載ウォーゲームのシリーズ4作品目にして万人向けで集大...約20時間前by あんちっく
- レビュークーフシュタイン世界に浸れる感 ☆☆★★★楽しさ ☆☆☆☆★アートワーク ☆☆☆☆★農...1日前by DKnewyork
- レビューパッチワーク:10周年記念バージョンウヴェ様の2人用名作タイル配置ゲーム。別バージョン(冬の贈り物等複数)...1日前by じむや