フォックス・イン・ザ・フォレスト・デュエットR（アール）さんのレビュー

相手の手を読む緊張感と、ぴったり噛み合った時の達成感が心地いい『フォックス・イン・ザ・フォレスト・デュエット』

■ 筆者の基本スタイル

• 重ゲーが好き論理的に考える要素が好き
• 運要素とプレイ時間のバランスを重視
• ダウンタイムの少なさを重視

■ プレイ環境

• 2人プレイ
• 全員初回プレイ

■ Good

• 協力型トリックテイキングゲームとして、2人プレイ専用にデザインされており、独特なゲーム体験を提供する
• 相手の考えを読み合いながらマーカーを目的地に運ぶ協力感が面白い
• 上手く意思疎通できた時に盛り上がる
• カードの特殊効果を活かしたプレイが気持ちよく、記憶力と駆け引きが問われる
• 美しいアートワークがゲームの世界観を引き立てる

■ More

• ゲームのリプレイ性がやや低く、数回プレイすると新鮮味が薄れる可能性がある
• ゲームボードやトークンのコンポーネントが平凡で、カードのアートワークと比較して魅力に欠ける
• ゲームの難易度調整が単調で、上級者にとっては物足りなさを感じる場合がある
• コミュニケーション制限下で協力しながらトリックテイキングをするのが難しく、楽しめない人もいそう
• 中盤の展開が薄く感じられ、終盤の手札に結果が大きく依存する

■ 感想

『フォックス・イン・ザ・フォレスト・デュエット』は、2人専用の協力型トリックテイキングというだけでちょっと惹かれるテーマだった。普段は対戦ばかりのトリテを、協力でやるという新鮮な切り口にまずワクワクした。

実際に遊んでみると、カードの効果はすっきりしていて、トリテ経験者ならルール説明もほぼ詰まらない。プレイ中も、強いカードを出せば勝ちという単純な話ではなく、「相手にどう取らせるか」「自分がどこで勝つべきか」といった判断が毎ターン求められる感じで、想像以上に頭を使う。

特に面白いのは、喋れないという制限。ちょっとしたプレイに意味を込めて、相手に意図を伝える。これがうまく噛み合ったときはテンションが上がるし、読みがズレたときは悔しい。初回はとくに、お互いの感覚が合わず苦戦したけれど、何度かやるうちに「そういう意図だったのか」と気づける瞬間が増えてきて、じわじわ楽しくなってくるタイプのゲームだと思う。

気になった点としては、盤面のバリエーションが少ないこと。同じ構成で何度も遊ぶとやや飽きがくる。あと、終盤の展開がかなり手札の運に左右されるのは、少しモヤっとした。でも、それを踏まえても全体の満足感は高い。

2人だけでじっくり向き合いたいとき、ちょっと変わった協力ゲームを遊びたいときにぴったり。気軽に出せるサイズと時間なのもありがたい。今後もふとした時にまた遊びたくなる、そんな一本。