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QEQ.E.

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最初は100、最後は1兆!?。インフレ必至の競りゲーム!

2018年にキックスターターにて木製版が作られ、2019年にタイル版がboardgame tableから出版された。19年12月現在日本語版のアナウンスはない。

Q.E.とはQuantitative Easing、つまり量的緩和政策の事を指す。量的緩和とは中央銀行が市中銀行から手形等を買い取る事で金の供給量を増やし、投資を促す事である。

このゲームではプレイヤーは国となり、自国や他国の様々な産業タイルに投資(実際のゲーム内では競りによって表現される)をおこなうことで金融危機に対処していく。そして獲得したタイルでセットコレクション(1種類をたくさん集めた、たくさんの種類を集めた等)を行い、勝利点が最も高いプレイヤーが勝利するという、いたってシンプルな競りゲームである。

このゲームのユニークなところは競りに使う事のできるお金(いわゆる資金)が無限なところである。
ほとんどの競りゲームでは最初の資金が決まっており、それゆえ必然的に競るものの相場も定まっていく。例えば、モダンアートでは初期資金は10万ドルであり、1ラウンド目で最も高い絵は1枚3万ドルで売れる。この時に1枚の絵を5万ドルで買う人間はいないだろう。1枚3万ドル以下で、買った絵の合計が10万ドルを超えないようにする、というような相場観が暗黙のうちにプレイヤー間で形成されていく。

しかしこのゲームの資金は無限であり、タイルを競るときにペンで好きな金額を書く事ができる。なので欲しいと思ったタイルを100金で買おうとしてもよいし、1000金で買おうとしてもよいし、1億金で買おうとしてもよい(驚く事にこのゲームでは1億金で買えない事がしばしば起こる)。これによって相場の形成は著しく困難になる。

しかもこのゲームの競りは一斉入札システムかつ全員の入札額を確認できるのはターンプレイヤーだけのため、プレイヤー間で相場観を形成する事はさらに困難になる。ターンプレイヤー以外にわかるのは、タイルを獲得したプレイヤーは自分より高く書いた、もしくは全員自分より低く書いたという情報だけである。(ターンプレイヤーが最低落札金額を提示するため、それ以上で競り落とされたという情報はわかるようになっている)。

これによって何が起こるかというと、際限なき相場のインフレーションである。当然タイルをある程度獲得しなければ勝つ事はできないため、プレイヤーはタイルを競る事に必死になる。書いた金額で買う事ができないのなら、値段を上げるしかないのだ。しかも資金は無限。プレイヤーは魅入られたようにタイルをだんだんと高値で買うようになっていく。

このゲームには最後にお金を最も使った人が最下位になるというハイソサエティのようなシステムが組み込まれている。一見するとこれはプレイヤーがお金を使いすぎないようにさせるという安全弁のようにも思えるが、これもインフレーションを加速させる要因となっている。このゲームは2番目にお金を使った人が1番使える金額が大きいため、皆お金を1番使ってそうな人よりちょっとだけ少ない金額を使おうとする。この「1番お金を使ってそうな人」はゲーム中コロコロ変わるため、結果としてインフレーションは加速していくのである。

ここまで長々とこのゲームのメカニクスについて書いてきたが、私がこのゲームの1番の魅力だと考えているのはガードレールの敷き方の絶妙さである。

ガードレールとは慣れない人がゲームを壊してしまう、もしくは少し間違えただけで実質ゲームから脱落してしまう状態になる事を防ぐゲーム内の安全装置の事である。これがないと上記のような事態になってしまいゲームを楽しめない人が出てくるし、逆に敷きすぎると自由のない退屈なゲームになってしまう。このゲームは資金が無限という恐ろしいほど自由でガードレールが敷かれてなさそうなゲームという印象を受けるが、ガードレールはきちんと敷かれている。先ほどハイソサエティ型の脱落システムがインフレーションを引き起こしている事を説明したが、実はこのシステムが絶妙なガードレールとなっているのだ。

競りゲームに慣れない人たちがよくやってしまうのが、相場と比べて高すぎる金額で買ってしまう事である。これによりゲームが壊れたり、実質脱落者が生み出されてしまう。ハイソサエティでほとんどお金を残さず脱落してしまうのは初心者あるあるだろう。

しかしこのゲームでは最終盤以外相場より高すぎるという事はない。ハイソサエティでは初期資金106金中105金使ったらほぼ脱落だが、Q.E.なら107金使ってくれる人を待てばよいだけである。そして他のプレイヤーに107金使わせるシステムこそが、いままで散々書いてきたインフレーション誘発メカニクスである。これによって相場観を理解しづらい初心者でも熟練者に混じって楽しくゲームに参加する事ができるのだ。もちろんゲーム熟練者もこのゲームの自由度の高さに感動を受けるだろう。ゲームによって相場観が全く違うため、リプレイ性も高い。

このゲームはキックスターター発という事で初心者にあまり馴染みのないゲームだが、是非初心者に進めたい競りゲームである。どこかが日本語版を出してくれる事を切に願っている。

上記文章の執筆にご協力くださった方
  1. P³
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  • 402持ってる
テーマ/フレーバー
政治経済/各種産業
メカニクス
作品データ
タイトルQE
原題・英題表記Q.E.
参加人数3人~5人
プレイ時間45分前後
対象年齢8歳から
発売時期2019年~
参考価格未登録
レーティング
レーティングを行うにはログインが必要です
10点の人9
9点の人12
8点の人29
7点の人48
6点の人18
5点の人12
4点の人2
3点の人0
2点の人0
1点の人0
プレイ感の評価
トグルスイッチを押すとプレイ感()の投票ができます 
運・確率3
戦略・判断力20
交渉・立ち回り10
心理戦・ブラフ31
攻防・戦闘0
アート・外見9
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レビュー 14件

117名
6名
0
充実
競りゲームでありながら、競りで使えるお金が無制限という、かなり斬新なルールのゲームです。プレイヤーが国家であるため(その気になれば造幣局で)いくらでもお金を刷ることができるという設定だそうで、これがゲームのルール設定にとてもマッチしています。ただ、「最終的に競りでもっとも多...
続きを読む(12日前)
仙人
てんじく
てんじく
227名
2名
0
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一発入札の競りゲームで、資金は無限。ゲームにより、額は様々でしょうね。5人で遊びまして8000兆円からスタート。国の事業を良くしようとするのはお金がかかるなぁ。ゲームのほうは、参加人数×3ラウンドの競りをしたらゲームは終了。ゲーム終了時に1番得点が高いプレイヤーが勝ちになり...
続きを読む(約1年前)
うらまこ
うらまこ
321名
3名
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レーティングが非公開に設定されたユーザー
7/102023年ドイツ年間ゲーム大賞の推薦リストに入ったということで、レビューしてみる。一時期、入札制限がないことで、とても話題になったオークションゲームで、出た当時、マイナーメーカーからの登場だったため、品薄だったが、待望の日本語版が登場しても話題になった。パッケージも...
続きを読む(1年以上前)
白州
白州
414名
6名
0
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初めてやった時の楽しさは異常です。すぐにもう一回プレイしてしまいました。ボドゲカフェで爆笑しすぎて店員の方に注意された、思い出のゲームです。・コンセプト正直あんまり理解していないんですが、プレイヤーは国を担当し、いくらお金を刷っても大丈夫な状態で競りをしていきます。最終的に...
続きを読む(1年以上前)
仙人
山の川
山の川
275名
1名
0
個人的競りゲーNo.1!入札金額上限なし!所持金無限大!最初は1000円とかで始まったゲームなのに、最後の競りは1億からスタート何てこともざらにある。得点を稼ぐ方法も種類があるため、攻めては多い。このゲームのよいところは一番お金を使ったら点数に関係なく脱落となる。明らかに勝...
続きを読む(2年以上前)
仙人
おぱちょ
おぱちょ
188名
0名
0
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お金が無限に使える一発入札競りゲーム。本当にお金を無限に使えるから、プレイ中もめちゃくちゃ自由度が高い。かと言って一番お金を使ったプレイヤーは脱落なので、見えない制限もかけられている。本当にプレイ中はとにかく悩む!情報が無さすぎる!相手がどのくらいのお金を使っているのかは親...
続きを読む(約3年前)
山田
山田
309名
4名
0
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率直に遊んだ感想を言う!競りゲーム。Q.E(QuantitativeEasing量的緩和)、つまりお金を作りまくって使いまくる💸最大にして強烈な特徴が、本作には所持金と言う概念が無いということ。つまり金が無限にあって、使いたい放題であるという事を意味してます。テーマに合って...
続きを読む(約3年前)
鳴屋
鳴屋
246名
0名
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相場の無い競りゲームです。ついでに言うと、お金チップもありません。でもプレイヤー間の意思疎通だけで相場が決まります。最後まで勝者が分からない変わったタイプのゲームです。▼ゲームの概要各プレイヤーに個人ボードと、お金を書くボードを1枚ずつ配ります。ホワイトボードマーカーでそれ...
続きを読む(3年以上前)
atckt
atckt
190名
0名
0
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見えない入札額の代わりに相手方々の顔色を見ながらセットコレクション!「Q.E(量的金融緩和政策:Quantitativeeasing、QE)」 という、各個人が国家代表となり企業をブラインド・オークション形式で入札し獲得。その物件の国柄、企業種などからセットコレクションの要...
続きを読む(3年以上前)
大賢者
ビッチュウ
ビッチュウ
388名
1名
0
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レーティングが非公開に設定されたユーザー
サルでもわかる量的金融緩和政策ゲーム。難しそうな金融用語ですが、本当はとても簡単なゲームです。各プレイヤーは各国、各セクターの物件を自由に値段をつけて競ります。一番高値を付けた人が競り落とします。ここまでは普通の競りゲーです。このゲームが一味違うのはここから。最も資金投入し...
続きを読む(4年弱前)
のっち
のっち
314名
2名
0
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①【持ち金】を気にしないオークションがすごく斬新で面白い。自分の勝利点を稼ぐためにいくら注ぎ込めるのか、自分の欲しい度アピールも親手番にしか知られない。親手番がみんなの入札額を見るのも超楽しい、ブラインドタイプのオークションゲーム。②【一番お金を使いすぎた人が脱落】も面白い...
続きを読む(約4年前)
仙人
カツオ
カツオ
308名
1名
0
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手持ちの資金に制限のないオークション、セットコレクションゲームです。各プレイヤーがJAPAN、アメリカなどの国を担当して農場や工業などのタイルを集めていくゲームになります。このタイルを手に入れる方法が特徴的で使える金額に制限がありません。1億でも100兆でも好きな金額を書く...
続きを読む(4年以上前)
仙人
0710t
0710t
608名
0名
0
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最初は5000円でも高いと思っていたボードゲームが、8000円くらいは許容範囲となり、そのうち1万円、1万5千円・・・・・・と当たり前となっていく。ゲームに限らず、世の中にはこんな物になんでこんな値段が??というものも少なくはない。人間の欲求というものの深さを感じてしまうが...
続きを読む(4年以上前)
maro
maro
441名
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2018年にキックスターターにて木製版が作られ、2019年にタイル版がboardgametableから出版された。19年12月現在日本語版発売のアナウンスはない。Q.E.とはQuantitativeEasing、つまり量的緩和政策の事を指す。量的緩和とは中央銀行が市中銀行か...
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皇帝
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続きを読む(3年以上前)
フクハナ
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セットアップ各プレイヤーにビッドタイル、プレイヤースコアボード、ホワイトボードマーカーを配ります。プレイヤースコアボードの、プレイ人数の面(訳注:3-4人用と5人用があります)を使います。(UKは5人プレイでのみ使います)産業トークンをシャッフルして、1枚ずつ配ります。プレ...
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